スターリングエンジンの歴史


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ロバート スターリング

スターリングエンジンの発明

 スターリングエンジンは、1816年にスコットランドの技術者であり、牧師でもあったロバートスターリングによって発明された閉サイクル外部燃焼式エンジンです。当時、全盛であった蒸気エンジンに対して爆発の危険性が少なく、熱を再利用するための交換器を用いているエンジンとして脚光を浴びました。高い圧縮比を得るためにディスプレーサとピストンを同じシリンダ内に配置した形式は、現在でも優れた形式として認められています。


19世紀における開花と凋落

   スターリングエンジンの実際的な開花は、スウェーデンの発明家兼技術者のJ.エリックソンによって成されました。彼はイギリスとアメリカで当時としての実用的なスターリングエンジンの製作に成功し、1850年頃までには実に2000台近くの0.5〜5馬力クラスのエンジンを販売しました。そしてその後、高出力、高効率を目指して、多くのスターリングエンジンが作られました。しかし、1877年にN.オットー(ドイツ)により発明されたオットーエンジン(現在のガソリンエンジン)、1893年にR.ディーゼル(ドイツ)により発明されたディーゼルエンジンが当時のスターリングエンジンに比べて高性能であったため、スターリングエンジンは次第にオットーエンジン、ディーゼルエンジンの陰に隠れ、小出力の範囲で細々と生産されるようになりました。


スターリングエンジンの再浮上

 再びスターリングエンジンが脚光を浴び始めたのは1940年頃、オランダのフィリップス社が、携帯用無線機の動力源としてスターリングエンジンの研究を開始したときからです。そして1950年頃、出力200W程度の試作スターリングエンジンが完成しました。またその同時期に、冷凍機としてのスターリングエンジンの研究もしており、マイナス200度まで下げることに成功しました。しかし、小電力で起動するトランジスタが発明されバッテリが最も有効な動力源となり、無線機の動力源としての実用化はなりませんでした。


スターリングエンジンの現在

 その後、スターリングエンジンは欧米で広く研究されるようになり、1973年のオイルショックによる脱石油化、省エネルギー化の影響を受けて大きく発展しました。一方、日本におけるスターリングエンジンの研究開発は欧米諸国より約20年遅れて開始されました。1982年には通産省のムーンライト計画の一環として、6カ年計画で汎用スターリングエンジンの研究開発が開始され、ヒートポンプやコ・ジェネシステムを主目的とした高性能エンジンが開発されました。そして現在、国の内外で太陽熱利用スターリングエンジン、地熱利用スターリングエンジン、海中動力用スターリングエンジン、空調スターリングシステム、スターリング冷凍機などの研究開発が活発に行われています。近い将来、低騒音、長寿命、信頼性、燃料の汎用性、排気の清浄性、過負荷に耐えるという長所を生かし,開発された様々なスターリングエンジンを見ることができるはずです。


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