Tour 2003.12〜2004.1

南天の星を求めて

Office Kenji
- Star Watching Tour 2003-2004 -

(C)2004





その他 雑録

「エアーズロック」星見はいつがいいのか?
 天候を考えると、おすすめは日本の夏。 オーストラリアは冬の時期です。 ちょうど7月〜9月頃でしょうか。 理由は次のとおりです。
【その1】年間降水量が一番少ない時期で、快晴に恵まれやすい時期です。 エアーズロックの傍にあるアボリジニ文化を研究するセンターの気象統計資料で調べましたが、降水量の一番少ない時期でした。 なんと2ヶ月間降水量0の年もありました。 反対に雨が多いのは1月〜2月です。 以前訪れた時には7月中旬で、7日間連続快晴でした。
【その2】その時期には、真夜中にさそり座〜いて座の天の川を天頂に見ることができます。 すなわち、銀河系の中心方向を見るのに適しているわけです。 小型望遠鏡や双眼鏡がればもちろんですが、肉眼でもこの付近を眺めると「すばらしい」の一言に尽きます。 また、さそり座が思ったより小さく感じられることにも気付くはずです。 宮沢賢治ファンでしたら、「銀河鉄道の夜」の舞台となる星座(はくちょう座〜みなみじゅうじ座)を一望することができます。 地面にシート敷いて星空を見上げたら、銀河系という小宇宙を傍から眺めている気持ちになれます。

▲7月中旬23時の星空

エアーズロック付近でどうやって星を見るのか?
 観光リゾート施設のあるエアーズロックリゾート(ユララ)は街灯が多いので、星見にはあまり適しません。 移動して無光害の地へ移動する、または妥協してリゾート内の天文台などでガイドつき観察会に申込みする等の方法が考えられます。

【その1】星見ツアーに参加する方法。 「Night Sky Show」というもので、ショッピングセンターの一角にあるツアー&インフォメイションセンターで申込することができます。 料金、時間などはホームページをご覧ください。 日本語による解説がある場合もあります。 (Discovery Ecotoursのホームページはこちら、 Night Sky Showの案内はこちら、 エアーズロック天文台のページはこちら

▲現地で入手した資料

【その2】レンタカーを借りるのが便利です。  本格的に星見を目的とするのであれば、リゾート施設の光害から逃れる手段を確保しておくのが懸命です。 「写真撮影を考える場合」、「星見そのものを目的とする場合」は必ず手配しておくべきでしょう。 ハーツなど大手レンタカー会社であれば、国内の旅行代理店を通じて予約申込することもできます。 予約しておけば、コネラン空港に着いたら、簡単な手続きですぐ前の駐車場から利用できます。 国際免許証を予め取得しておきましょう。 ガソリンスタンドは、リゾート内にもあります。 給油はもちろんセルフ。 また必要に応じて保険にも加入しておきましょう。

車での移動観測(観望)の注意事項は?
 国立公園内だと滞在できる時間帯には制限があります。 エアーズロックやオルガは国立公園内に位置しています。 (下の地図参照) 従って、ビューポイントでの天体写真撮影、観望には時間的制約があります。 ちなみに私が訪れた時期では、現地時間で5時〜21時までとなっていました。 季節によって変わりますので、入口のゲートにあるオフィス(料金所)で確認しておきましょう。 今回の旅では、日没(19時40分頃)後、エアーズロックを入れた天体写真を撮影しようとすると、移動や機材撤収も考えるとその間、撮影時間は約1時間ほどとなります。 (天文薄明時刻は21時10分頃) 21時近くになると、国立公園を管理するレンジャーの方が巡回して居残る観光客に注意を促します。 警告を受けたらすみやかに公園外に移動しなければなりません。 (もちろんその前に退去すべきですが。) 最初は声をかけるだけでしたが、レンジャーによっては、観測・撮影機材を撤収して駐車場を立ち去るまで監視を続けます。
 国立公園外の場所がメインの観測場所となります。 当初は、アリススプリングス方面に向かう道の路肩の空き地を利用していましたが、地面がむき出しで足場が悪く、赤道儀の極軸も狂いやすいし、傍の草むらから虫(蛾や蚊)の攻撃も受けやすくなるので、あまりおすすめはできません。 (ただ、車を停めて、ちょっと星を眺める程度でしたら、申し分ないかと思います。)
 私は天体写真の撮影を考えていたので、ドライバーのための休憩用駐車場を利用しました。 利用した場所は、エアーズロックリゾートからアリススプリングス方面に向かう道路の駐車場(進行方向右側)で、エアーズロックリゾートから約28Kmの距離です。 地面はアスファルト舗装、機材も安定して設置することができます。 道端より離れるので通過する車のライトの直撃を避けられるし、視界も広く取れ、夜露の心配も減少します。 車の通過は一晩に3〜4台、かなり遠くから音が聞こえますから、ガイド撮影中であれば布で覆う等の対策で十分でした。 なお、場所によってはディンゴが現れることもありますので、注意してください。

▲国立公園内は時間制限があります。

エアーズロックで入手できる天文資料は?
 ショッピングセンターではいくつかの天文書を購入することができます。 購入してきたものを紹介しましょう。(2004年1月現在)
【The Australian Guide to STARGAZING】(AS$ 27.00)
北天版も出ていますが、これは南天(オーストラリア)版です。 小型望遠鏡、双眼鏡による星空の楽しみ方のガイドブックです。 (写真a) (販売場所:エアーズロックリゾート・ビジターズセンター、Ayers Rock Newsagency)
【spirit of the night sky】(AS$ 16.50)
星見のための簡単な案内本です。 オーストラリアの星座神話なども紹介されています。 日本語訳版も出ています。 (写真b) (販売場所:ユララ観光案内所、エアーズロックリゾート・ビジターズセンター、Ayers Rock Newsagency)
【STARFINDER】
南天用の星座早見盤です。 星見が目的であれば、日本から用意していくのが普通ですが、おみやげ用に便利です。 北天版も出ていますが、これは南天(オーストラリア)版です。 小型望遠鏡、双眼鏡による星空の楽しみ方のガイドブックです。 (写真c) (販売場所:エアーズロックリゾート・ビジターズセンター、Ayers Rock Newsagency)

▲エアーズロックリゾートで購入できる天文書など

その他あると便利だったものなど
【星図】
 極軸望遠鏡を合わせるため、南天の星座、星雲・星団めぐりのために必携です。 小型のノートパソコンに天文シミュレーションソフトをインストールしておくのも便利です。 ただパソコンを使うとあまりにも明るいので、必要なチャートをプリントしてクリアファイルに整理しておくと便利です。 例えば日々の月の位置、惑星の位置、彗星の位置。 そして時間別の全天図、星雲・星団導入用など、工夫してつくっておきましょう。 夜間屋外で使用の場合は、白地に黒で印刷しておくと見易くなります。 極軸望遠鏡用のものには、視野を示す円を描いて作成しておくとよいでしょう。
【機材のマニュアル】
 当たり前といえば当たり前ですが、突然の機材トラブルや、故障などが想定されます。 カメラなど電子機器のエラーメッセージなどを確認するためにも用意しておきましょう。 機材の忘れ物をなくすコツ:一度組み立てをして動作確認をしてから梱包すること。 予備電池などは最低でも一式を入れておくこと。
【データ記録用紙など】
 写真の撮影データを記録するものです。 エクセルで作成したものをプリントして持参しました。 夜間の記載は面倒なので、デジタル(IC)レコーダーなどで音声にして記録しておくのも便利です。 その場合は、記録項目を箇条書きにしたメモて作成しておいて読み上げるのが合理的です。 例えば、最初「フィルム名」〜各撮影時「目標」「カメラ名」「レンズ」「絞り」「撮影開始時間」〜撮影〜(撮影中のコメント)〜「撮影終了時間」といった具合です。
【ヘッドランプなど】
 夜間屋外での活動ですから、必ず用意しなければなりません。 私の場合はペツルのヘッドランプとミニマグライトを用意しました。
【双眼鏡】
 天体写真撮影中に、南天の天の川を眺めるのに最適です。 数名で機材を分担できるのではれば、ちょっと大きめの双眼鏡を三脚に同架して見るのがいいでしょう。
【ビニールシート】
 地面に横になるとき便利です。 地面に横になると、疲れず長時間楽な姿勢で観望できます。 寒い時はコンパクトな毛布や寝袋も・・
【MP3プレーヤー】
 好きな音楽を聴きながらの旅行、あとでいい思い出になります。 最近のデジタルプレーヤーは小型で、MDのようにかざばらず、数千曲を手軽に持参することができます。 小型スピーカーと組み合わせてラジカセのようにも使えます。 車にFMがあればトランスミッターで飛ばして、カーステレオにも使えます。 オーストラリアのFMの周波数は87.5〜108MHzです。 (使用したのはApple社のiPod 40GBモデル+iTrip2)
【水】
 これは便利というよりは必携でした。 昼間、スーパーなどで買出ししておきましょう。

▲持参した星図(一部)

銀塩フィルムの持参する場合空港での対策は?
 テロ対策の一環として、X線を利用した荷物検査は、今では常識となっています。 スーツケースなどに入れてしまうと強度のX線を受けるので、カブリが生じてしまいます。 もちろん高感度フィルムが問題となるわけですが、念のためにX線照射を受けない工夫が必要になります。 以下はこれまでの経験から感じたことです。 (空港や警戒の程度により異なります。)
【その1】
 フィルムはスーツケースには入れない。 機内へ手荷物として直接持ち込みをすること。
【その2】
 手荷物検査場では、フィルムであることを説明し、それを見せながら機械を通さないようにお願いする。 その場合のポイント。 (1)透明なビニール袋に入れる。 (2)予め紙箱やプラケースから取り出し、パトローネが見える状態にしておく。 (3)高感度フィルム(ASA1600、3200など)をダミーとして数本入れ、X線照射を受けるとまずいことをアピールする。
 高感度フィルムがないとわかると、さっさと機械に通されてしまうこともあります。 ASA400程度の感度であれば問題はないようですが、やはりお金と時間をかけて出かけるわけですから余計な心配は回避すべく努力しましょう。 また、紙箱やプラケースに入れている場合は、全て開封し、一つ一つ点検されたこともありました。 チェックが終わったら、直射日光が当たらないよう袋に入れ、注意して保管します。

▲撮影した写真(写真整理はお早めに!)

現地でカメラなどの電池は購入できるの?
 リゾートの中にあるショッピングセンターのカメラ屋さんでほとんどの種類を買い求めることができます。 もちろん値段は高いです。 デジカメのコンパクトフラッシュカードなどもありました。 日本から予備は持参し、どうしても不自由した時の緊急用と考えるべきでしょう。 単1や単3、感度400のネガフィルムであれば、スーパーマーケットでも購入できます。


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