Tour 2003.12〜2004.1

南天の星を求めて

Office Kenji
- Star Watching Tour 2003-2004 -

(C)2004





2003年12月31日(水)

今日は大晦日。 オルガとエアーズロックのまわりにあるポイントをいくつか訪ねました。 時間はたっぷりあるので、灼熱の地を散策です 下の写真はその時のスナップです。 以下、各写真の説明です。 (1)車を走らせると雲が雨を落としている様子を見ることができます。 遠くから見ると、雲に脚が生えて歩いているようです。 (2)エアーズロック、オルガ付近には飲料水タンクが点在しています。 トレッカーの生命を守るためのものです。 場所によっては天水を貯めているところもあります。 (3)オルガの一番奥にある風の谷への道です。 谷への道はここからスタートです。 時には迷子になって遭難者も出るとか・・。 (4)おなじみ「カンガルー標識」です。 野生動物に注意という意味でしょうか。 カンガルーを見ることはありませんが、怪獣のようなトカゲ(ソーニー・デビル)は道で目撃しました。 (5)日本風にいうと「あづま屋」でしょうか。 日差しを避け、休むのにちょうどよいところです。 木製のベンチもユニークです。 (6)道端はこのような風景が延々と続きます。 何百kmも延々と変わらない地形や植生が続くのです。

▲雨を降らせる雲(1)
▲飲料水(2)
▲風の谷コース入口(3)
▲標識「カンガルー注意」(4)
▲休憩所(5)
▲道端の風景(6)

エアーズロックを真下から見ると、こんな感じです。 思ったよりでこぼこしていて、木が生えていたり、滝ができていたります。 岩の上には青空です。 今夜もきっと晴れることでしょう。

▲エアーズロックをすぐ下から見上げる。

アパートに戻り機材の点検。 埃のついたレンズやカメラボディをクリーニングです。 手入れをして今晩の撮影に備えます。 写真は、今回オーストラリアに持参した35ミリカメラの装備です。 後列左側より、SIGMA 8mm(F4)全周魚眼、 Ai NIKKOR 16mm F2.8S 対角魚眼、 AF NIKKOR 20mm F2.8S、 AF NIKKOR 24mm F2.8D。 二列目は、Ai NIKKOR 28mm F2.8S、 AF NIKKOR 35mm F2D、 Ai NIKKOR 50mm F1.2S。 前列は、AF MICRO NIKKOR 105mm F2.8S、 Ai TELECONVERTER TC16ASです。 カメラボディNikon F5に装着したのはAF ZOOM NIKKOR 80〜200mm F2.8S。 星座写真を中心に撮影するため、広角レンズを中心に持参しました。 他にNikon F3HPボディ。 使用したフィルムは、フジのプロビア及びベルビア(カラーリバーサルフィルム)です。

▲撮影機材(35ミリ判システム)

夕方になるのを待ってまずはサンセット・ビューイングに出かけました。 今年最後の日没はオーストラリアで見ることとなりました。 空には大きな黒いすじが・・。 どこかの山の陰でも投影されているのでしょう。 西空には月や金星も姿を見せます。

▲夕焼けどきの東空
▲西空

夜はいつもの駐車場まで出かけました。 なかなかの星空ですが、天頂付近に雲が少し出ています。 月明かりも残っていましたので、車で少し仮眠を取り、晴れると撮影を開始しました。 次の写真が今回のセッティング状態です。 この他に、ジッツォ三脚にペンタックス67(広角レンズ装着)で固定撮影も同時に行いました。 計3台のカメラで同時に撮影です。 データの記載と構図の決定が分刻みで結構大変です。 新年はこの状態で迎えました。

▲ポータブル赤道儀(スカイメモR)

夜明け近くになると、西空にオリオン座がかかり、東空にはさそり座が昇ります。 北半球では同時に見ることができません。 そこでそれを利用した神話もあります。 「毒さそりに殺された狩人オリオンは、死んで天にあげられた後もさそりを恐れ、同時に現れることがない」 というものです。 有名なのでご存知の方も多いでしょう。 ところが、こちら南天では同時に出てしまうのです。

ところで、宮沢賢治の詩集、春と修羅第一集「東岩手火山」には次の一節があります。

    あれはオリオンです、オライオンです
    あの房の下のあたりに
    星雲があるといふのです
    いま見えません
    その下のは大犬のアルフア
    冬の晩いちばん光つて目立つやつです
    夏の蝎とうら表です

この作品ではオリオン座(あるいはおおいぬ座)が夏のさそり座と正反対の位置関係にあることを説明しています。 賢治もそんなことを知っていたのですね。 オリオンが毒さそりに殺されるお話は、賢治の読んだとされる天文書、吉田源治郎著「肉眼に見える星の研究」にも出てきます。

▲朝4時半頃の空(薄明開始時刻)

▲東空(さそり座)
▲西空(オリオン座)

撮影が済むと撤収してアパートへと戻りました。 明日元旦の晩はいよいよ最終日です。 みなみじゅうじ座ともあと一晩でお別れです。


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