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吾妻小舎おかげさまで70周年
2005年吾妻小舎では関連イベントを計画しています。
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ごあいさつ 総合管理者 二階堂匡一朗
吾妻小舎は、昭和9年(1934年)の開業から数えて70年が経過しました。
人生に例えれば古希を迎えた誠ににお目出度い歳月を過ごしたこととなります。
この小屋は仙台鉄道局が吾妻山の美しい自然を楽しむ人達の為に地元の人達の要望に応えて建設の英断を下したものでした。
特にこの場所は全国的に有名になった、五色−沼尻のツアーコース上にあり、それまで利用されていた浄土平の硫黄精錬所が一部消失し無人化が決まっていたので、新しい山小屋は完成前から大きな期待がかかっていました。
工事中の昭和9年春、仙台鉄道局を代表して二人の方がぬる湯温泉に来訪され是非小屋の管理を引き受けていただきたい、との要請がありました。
事の難儀さを考えた二階堂では一旦は辞退したのでしたが、当時家業から引退していた6代目伊蔵の意見、鶴の一声で管理を引き受けることになりました。
(7代目哲三の記録による。)
予想したとおり、管理は厳しいもでしたが、鉄道局でも主要駅にはポスターを貼り、誘客につとめたりの努力により少しづつ利用者が増してきました。
特にお正月には毎年この小屋で過ごすグループもおられる様になりました。
順調に推移してきた小屋でしたが、16年12月の戦争勃発により事態は変化、19年10月31日を以って休業することになりました。
戦争も終わって昭和も23年頃になると、ポツポツ登山する人も出て来て、7月17日戦後第一回の吾妻山開きが行われ、同時に吾妻小舎復活の要望が高まり24年5月までに復活署名1,864名を数え、仙台鉄道局では24年7月10日から小屋再開を決めました。
二階堂では高湯温泉の協力を得て管理にあたりました。
39年6月、小屋の所有権が(財)日本交通公社に移り、ぬる湯二階堂の単独管理になりました。
そして56年、ぬる湯二階堂に所有権が移り現在に至っております。
70年間の間、いろんな出来事がありましたがそれをいちいち挙げれば膨大な字数になりますので、省略しますが、吾妻山の環境も大きく変わってまいりました。
しかし吾妻山が皆様に提供できるものは、新鮮な空気と樹々の緑、そして山小屋での人との触れ合い・・・・
これを大切に守って行くことが山に住む者の使命であると思います。
吾妻小舎管理人 遠藤守雄 雅子
「いってらっしゃ〜い」「気をつけてネェ〜」エプロン姿の小屋の人達が登山者に声をかけている。
仕事に意欲が失せていた時、朝日に照らされた山小屋がテレビに映し出されていた。
よく分からないが久し振りに目頭が熱くなる。
妻の実家ぬる湯温泉に、この仕事をやりたい吾妻小舎の管理をさせてほしいとお願いする。が、妻雅子には、病後でもあり小屋の労働はあなたには無理だと反対される。
彼女は小さい頃から手伝いをしていてわかった上での言葉だった。
テレビを見てから半年後の昭和57年4月ドップリと残雪に埋まった念願の小屋に入ることが出来た。
しかし吾妻を歩いたことの無い私どもは地名や雪に埋もれた登山道を説明できずオロオロするばかり、当時はまだ山屋の匂いを残している人達も多くよく気合を入れられたのを覚えている。
雪融けとともに私たちは吾妻を歩き始めた。
当時慶応山荘管理人の林さん、登山者が管理人に望む姿を教えてくれた友人の福田夫妻も一緒に歩いてくれた。
大げさかもしれないがこの時の優しさが今の自分の下地になっている。
小屋に入って24年が経過したが、入舎当時からの事が昨日のように頭を廻る。
このころから世の中は裕福な時代へと移行し、行政も奨励してハイキングや登山のカルチャースクールが各地に誕生、山は中高年の人たちで賑わってきた。
小舎をベースに吾妻山を楽しんでおられた横山厚夫様ご夫妻や大森久雄様には吾妻の良さを頻繁に紹介して戴いた。
また、全国山岳写真協会の高野多喜雄様にも、春、秋の撮影会を途絶える事無く開催して戴き業績も少しづつ上向いてきた。
更に平成2年〈山と渓谷9月号〉に〈星になったチロ〉の著者、藤井旭さまの推薦により吾妻小舎が〈夢の山小屋特集〉で紙面を飾ることとなり益々忙しくなった。
反面小屋の老朽化が進み不安なところが目に付き始めた。
大工さんによるとまだまだ骨組みはしっかりしており要所を補強すれば後30年は耐えるだろうとの事、この小屋の姿を残したい、多くの方々が結集し〈吾妻山と小舎を守る会〉が動き出した。
築60年還暦を迎えた平成6年の秋に小屋の支えを兼ねて台所の増築にこぎつけ、その後1年ごとに食堂、トイレ、冬季用も兼ねた2階玄関、物置など補強と改良を重ね6年かけて現在の姿に落ち着いた。
周囲の環境や小屋の美しさを壊すことなく自然の中に溶け込んでいると思っている。
吾妻山と小屋を愛してくださった全国の皆様そしてそれぞれ自然に親しんでいる多くの団体、労を惜しまずに通い続け手伝ってくれた仲間達、通りすがりに励ましてくれた皆々様に心より御礼申し上げます。
福島市の文化遺産とも言われる吾妻小舎の存在は、ぬる湯温泉と代々守り引き継いできた小屋番ほか多くの方々の努力のお蔭です。
私共も先人たちの意思を次代につなげる大きな役割を担っています。
これからも私達を育ててくれた多くのお客様のご恩を忘れず、吾妻に行ってよかった楽しい山旅だったと言っていただけるよう、人に、自然に、小舎に微力ではありますがお役に立てれば幸いです。
世の中暗い話題ばかりですが、皆様の笑い声がどこの山にこだまし続けることを願って、吾妻小舎は白寿を目指し新たなスタートです。
吾妻小舎記念企画
4月 八甲田春スキー&山遊びツアー
5月 山菜天ぷら月間
6月 6月23日〜7月3日ヒメサユリ鑑賞ご案内
7月 7月1日〜10日天然記念物ネモトシャクナゲ鑑賞ご案内
7月9日ランプコンサートII
7月23日&24日青森の一戸義孝さんと歩く写真教室
8月 8月27日ランプコンサートIII
9月 星座観望会
10月 星座観望会
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ランプコンサートIIより |
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