緑いろの通信 2022年9月
   

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緑いろの通信
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- 緑いろの通信 2022年9月 目次 -


緑いろの通信

 「緑いろの通信」へようこそ! 2022年9月号をアップしました。 今月の写真は、アルクマ列車です。 観光キャンペーンの一環の臨時列車のようです。 長野県の人気キャラクター「アルクマ」でラッピングされています。 (車内では、等身大?のアルクマがシートを占領していました。) 今月もまたよろしくお願いします。




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緑いろの通信

 新着情報でも更新ページを知ることができますが、少し紹介を加えたりしてプラス・アルファの書き込みです。 日付を付けて書き加えますので、時々のぞいてみてください。


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9月1日(木)
 曇りのち夜雷雨。

 次の写真は「今月の写真」で紹介したアルクマ列車です。 大糸線穂高(ほたか)駅のホーム、燕岳からの帰りに撮影しました。


(アルクマ列車 2022年8月17日撮影)

 9月に入ったとたん、蒸し暑い日となってしまいました。

 賢治の年譜において、1921(大正10)年、今から101年前の今日9月1日付けに次の記事が掲載されています。

九月一日(木) 本日付雜誌「愛国婦人」九月号(愛国婦人会機関紙)に童謡「あまの川」を発表。 おそらく投稿が採用されたもので、賞金三円を得たと推測される。 同誌応募規程による。


(賢治の童謡集『あまの川』 2022年9月1日撮影)

 「あまの川」は、唯一の生前発表童謡とされるものです。 以下に全文を引用しておきます。

   あまの川

 あまのがわ
 岸の小砂利も見いえるぞ。
 底のすなごも見いえるぞ。
 いつまで見ても、
 見えないものは、水ばかり。

 また、1923(大正12)年の創作とされる童話「二十六夜」の語りの部分に、類似した発想が盛り込まれているのを見つけることができます。

 そらがあんまりよく霽れてもう天の川の水は、すっかりすきとほって冷たく、底のすなごも数へられるやう、またじっと眼をつぶってゐると、その流れの音さへも聞えるやうな気がしました。

 夜空の「天の川」は、ちょうど川のように連なって見えますが、地上にある川のように水を湛え流れるものではありません。 「みかけのみの川らしさ」から、「水が見えない」という発想・創作に至ったのでしょうか。

 童話「銀河鉄道の夜」においては、この天の川の水がみえないという発想が踏襲され、1924(大正13)年に成立したとされる〔初期形一〕からすでに記載。 そして〔初期形二〕では、作中歌的にも登場させています。 その際、童謡「あまの川」から若干の改変も行われています。

 男の子がこしかけの上に大威張りで立ってゐました。 そしてジョバンニの向ふの窓をのぞいて叫びました。
「あまの川、
 底のすなごも見ぃへるぞ。
 かはらの石も見ぃへるぞ。
 いつまでも見ても、
 見えないものは水ばかり。」


(「銀河鉄道の夜」現存紙葉番号58より「あまの川、…}の部分)

 この箇所は、第二次稿における手入れのうち、〔初期形二〕成立以降の鉛筆による大幅な手入れで削除される部分です。 全体を通してみると、この箇所は実に短命な(〔初期形二〕で気まぐれのように追加された)箇所となります。

9月2日(金)
 曇りのち夜雷雨。

 アニメーション版の映画「銀河鉄道の夜」関係図書から。


(映画版「銀河鉄道の夜」本 2022年9月2日撮影)

 この写真は『アニメーション・銀河鉄道の夜・ファンタスティック・コレクション・スペシャルNo.51』(朝日ソノラマ・1985年8月5日発行)です。 1985年7月公開のアニメーション映画として公開された「銀河鉄道の夜」(監督:杉井ギサブロー、原案:ますむらひろし、脚本:別役実、音楽:細野晴臣、プロデュース:原正人、田代敦巳)に関する資料集となっています。

 同じく資料集としては『アニメーション・銀河鉄道の夜・設定資料集』(朝日ソノラマ・1985年8月5日発行)、『同 増補新装版』(復刊ドットコム・2018年9月15日発行)があります。 こちらの方は、絵コンテ(全部)が中心で、それに設定資料の掲載。 写真のファンタスティック・コレクション・スペシャルの方は、ほぼ全編がカラー版で、むしろスタッフや声優のインタービューなどが中心の構成です。 天沢退二郎さんやますむらひろしさんの独立したインタービューの掲載もあります。


(『設定資料集』(朝日ソノラマ) 2022年9月2日撮影)

 天沢退二郎さんの「「銀河鉄道の夜」とは、いったいどんな作品なのか?」というインタビューの中で、賢治の童話は、「銀河鉄道の夜」を中心に収斂する作品群と、「風の又三郎」を中心に収斂する作品群があるのではないかとお話される中で、「銀河鉄道に夜」に関しては、次のとおりお話されています。

「銀河鉄道の夜」に収斂していく作品群というのは、観念的な主題がいろんな形で表に出ているし、「風の又三郎」などには観念をふりかざしているところがあまりないわけです。
そういう意味で、「銀河鉄道の夜」は「風の又三郎」と共に、賢治全作品群を二分する大きな流れの、最後にそこにたどりついて収斂していくものとして一方にあるんじゃないかと思います。
それから、「銀河鉄道の夜」に関しては、あと相当に長生きしたとしても、「完全無欠の最終形」というようなものはできなかったんじゃないでしょうか。 いろんなところにある矛盾みたいなものが、あっちを出せばこっちが消えてしまうみたいな関係がずいぶんありますからね。 その点、「風の又三郎」などは、もっと時間があれば、きちんとそろった決定稿ができていたに違いありません。

 普通の賢治研究の論考の方では、このような考えをあまりお話されていませんが、天沢さんの一つの整理としては、興味深いお話です。

9月3日(土)
 晴れ。

 自宅で所用。

 出版社より『イーハトーブ風景学』(七月社)をお送りいただきました。 著者の皆様、ありがとうございました。


賢治の新刊
イーハトーブ風景学
イーハトーブ風景学
宮沢賢治の〈場所〉
岡村民夫・赤坂憲雄編
七月社

 宮沢賢治学会でもおなじみの研究者による賢治論集です。 以下、目次より。 (便宜上、本文とコラムを分けて掲載してあります) 0 なぜ〈場所〉から宮沢賢治を読むのか(岡村民夫)/ 1 原風景としての丘のうえ(赤坂憲雄)/ 2 〈上の野原〉と〈さいかち淵〉−「風の又三郎」における場所について(吉田文憲)/ 3 「風の又三郎」の存在/不在−《三年生》の問題から《誰ともなく……叫んだもの》へ(平澤信一)/ 4 風景と存在−〈川〉という場所(澤田由紀子)/ 5 近代化する山中異界−山男、山猫(たち)と、馬車別当をめぐって(安智史)/ 6 賢治の〈郊外〉 まなざしのせめぎ合う場所(森本智子)/ 7 イーハトーブの装景−プロセスとしての賢治庭園(岡村民夫)
コラム@ 種山ヶ原(平澤信一)/ コラムA さいかち淵(岡村民夫)/ コラムB 遠野(安智史)/ コラムC 北上山地の石灰岩(岡村民夫)/ コラムD 花巻・盛岡の郊外(森本智子)/ コラムE 下根子桜の家(安智史)/ コラムF 花巻の温泉(岡村民夫)




 「賢治の図書館」  岡村民夫・赤坂憲雄編『イーハトーブ風景学 宮沢賢治の〈場所〉』/(七月社)を賢治の図書館に追加しました。

 2000年に行われた第2回宮沢賢治国際研究大会のテーマは「宮沢賢治−多文化の交流する場所(トポス)」というものでした。 本書のテーマとも重複するものですが、賢治にとって「場所」とは何を意味するのでしょうか。 そこに見える風景とは・・・。 冒頭の岡村さんの論では、本書の導きの先を案内すべく、テーマの拡がりをも示唆しながら、読者をイーハトーブ(イハトヴ…)へと誘います。

9月4日(日)
 晴れ。

 再び暑くなってきました。 都内へ。

 20代の頃通った高円寺へ。 都内の自宅から、週2〜3回のペースで行っていました。 本日の訪問メモなど。

 駅近くの丸山餃子製作所へ。 味噌ダレ餃子が有名。 ここでランチ。


(丸山餃子製作所 2022年9月4日撮影)


(餃子定食 2022年9月4日撮影)

 続いて、高円寺駅の南口近くから続くアーケード街(高南通り)を抜けて、「賢治のお店」でも紹介している珈琲亭 七つ森へ。 老舗の喫茶店です。 実は、高円寺からよりも、新高円寺からの方が近い。 (「七つ森のご案内」はこちら


(七つ森の看板 2022年9月4日撮影)

 昼過ぎで混んでいたので、少々待って入店。 いかにも昭和的店内。


(昭和的店内 2022年9月4日撮影)

 アイスコーヒーとアップルケーキを注文して、外の暑さから逃れる。 メニューに描かれたフクロウのイラストは昔と変わらず。


(メニュー(表紙) 2022年9月4日撮影)

 このお店を創業された方が賢治好きで、店の名前を「七つ森」としたことは聞いたことがありますが、何か他に賢治らしいものがないかと探してみたら・・・。 ありました。 お店の柱の古い短冊に。


(「賢治」を見つけました 2022年9月4日撮影)

 「銀河より 賢治の声で 七つ森」と書かれています。 入口近くのもう一つの柱には「風薫る 賢治ゆかしき 七つ森」とありました。

 ささやかな発見に満足してお店を出ました。

 帰りは御茶ノ水駅を下車して、蕎麦の名店、かんだ やぶそばへ。 (「かんだ やぶそば」はこちら

 裏通りの和風建築のきれいなお蕎麦屋さんです。 1880(明治13)年創業です。 (賢治を立ち寄ったことがあるかも(想像))  「季節のおすすめ」から「冷し茄子そば」を注文。


(かんだ やぶそば 2022年9月4日撮影)

 ここは万世橋駅跡もすぐ近くです。 他にもいろいろ立ち寄ったのですが、食事中心でレポートしてみました。

9月5日(月)
 晴れ。

 天文2誌購入。


(天文二誌 2022年9月5日撮影)

 『天文ガイド』10月号は、特集が「好シーイング環境下に建てる惑星観測家の天文台計画」です。 惑星の表面は、高倍率で観測するために、大気のゆらぎは禁物です。 しかし、地球表面の大気には大きな流れ(ジェット気流)があり、大変不安定な状況となります。 そこで、日本付近は、偏西風の流れの下に位置するために、低緯度のセブ島(フィリピン)に観測所を建てて観測をしようという試みです。 そして、前月号に続いて、塚田健さんのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の記事、 観測機材関係では、シグマのアートのラインナップから新型20mm F1.4レンズの紹介記事がありました。

 『星ナビ』10月号は「秋空に輝く魅惑のM31 ときめくアンドロメダ銀河」(両誌ともにメインタイトルが長い!)です。 ページを開いて、「彗星観測家のマックホルツさん亡くなったんだ」(享年69)という驚きから。 茅野市八ヶ岳総合博物館の渡辺真由子さんによる「宇宙のバトンは世代を超えて」という諏訪天文同好会創立100年の活動を紹介する記事、 そして世界が驚愕!超解像ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が大型特集記事。 2誌を通じて一番面白いと思ったのは川村晶さんの「夜明けの「受け月」を見よう」で、つくば星の会の久保庭さんも協力されています。

 「9月5日」に関して私的なメモではありますが…。 賢治と星の研究書、草下英明『宮澤賢治と星』(學藝書林)に収められている「賢治の読んだ天文書」(「四次元」第三十号、昭和二十七年七月)の記事に、吉田源治郎『肉眼に見える星の研究』(警醒社)について次の引用があります。 (以下引用は宮澤賢治研究叢書1新装版)

(略)
 其の後、偶然私は或る通俗天文書の中にこの「赤い眼玉の蝎」を発見してびっくりした。 この天文書は『肉眼に見える星の研究』と題される本で、大正十一年九月五日初版発行(前章に引用した詩『東岩手火山』の製作年月日の直前であることにも注意されたい)著者は吉田源治郎氏、クリスチャンのアマチュア天文家で、確か現在も御健在の筈である。
(略)

 今日は、初版発行とされるその9月5日にあたり、「刊行100周年」といきたいところですが、この日付は誤りで、後付を見ると「大正十一年八月二十日發行」と書かれています。 これは自費出版となる甲文社版『宮沢賢治と星』においても同様の日付でした。 文献を引用される方も多いですので、要注意ということで・・・。


(『肉眼に見える星の研究』後付 2022年9月5日撮影)

9月6日(火)
 曇りのち晴れ。

 暑い日々。 自宅の所用など。

 月あかりの夜。 今月10日は旧暦の8月15日で中秋の名月。 今年は満月と同じ日です。

 写真は今晩の月。 いつものように、一眼レフカメラの手持ち撮影。


(旧暦11日の月 2022年9月6日撮影)

 この時期の月の南中高度は低いですね。 ステラで月の白道(通り道)を表示させてみました。 (「白道」の文字の上を左右に延びる曲線です。) 春先頃には頭上の高い位置にあった月も、南の空を穏やかに過ぎて行く季節になりました。


(この時期の白道 2022年9月6日撮影)

9月7日(水)
 晴れのち曇りのち雨。

 少し前ですが、賢治のニュース(小惑星の命名)に次のようなものがありました。 (「小惑星に宮沢賢治ゆかりの名 「藤原健次郎」「矢巾・南昌山」」はこちら(岩手日報2022年8月16日))

 天体写真家藤井旭さんのグループの提案で、小惑星「Fujiwarakenjiro(藤原健次郎)」(22352番)、ゆかりの地として小惑星「Yahabananshozan(矢巾・南昌山)」(22355番)の命名がIAUにより承認され、国内では今年7月7日に正式発表されたというものです。 藤原健次郎は賢治の盛岡中学時代の友人、矢巾・南昌山は、その地元の地名と山名です。


(二つの小惑星の軌道図)

 それぞれ、火星と木星の軌道の間(小惑星帯)に位置しています。

 小惑星の命名を伝える新聞記事では、賢治の盛岡中学時代の写真が掲載されていました。 キャプションでは「盛岡中学の寄宿舎12号室の寮生たち。宮沢賢治(前列左)は藤原健次郎(最後列左)を兄と慕った(藤井旭さん提供)」とあるものです。 (『【新】校本宮澤賢治全集第16巻(下)補遺・資料篇』の肖像写真より、〔写真八〕として掲げられているものです。


(肖像写真〔写真八〕)

 全集には次のとおり解説があります。

〔写真八〕明治四十三年、盛岡中学一年三学期。 前列左が賢治、最後列右は従兄の橋本英之助(のち喜助)。

 写真の解説によれば、盛岡中学で寄宿舎が同室の橋本英之助の名前も見つけることができます。 英之助は、賢治の母イチの父にあたる宮沢善治の末弟、喜七の次男で、1895年2月2日生まれ。 賢治からすると1学年上級にあたります。


(肖像写真〔写真八〕名前入)

 賢治にとっても、中学にいる(しかも入学した寄宿舎で同室の)親戚だったわけで、写真に短歌を添えて送ったり、特別な存在と感じていたことでしょう。 その写真は全集にも掲載されていて、そこでは「橋本大兄」と書いています。 (『【新】校本宮澤賢治全集第14巻雑纂』に〔写真献辞署名等 一〕として掲げられているものです。


(〔写真献辞署名等 一〕)

 この橋本英之助(嘉助)の旧別邸が「茶寮かだん」として、営業されているのはご存知の方も多いと思います。 次の写真は、公開が始まった時期のものです。 (「茶寮かだん」はこちら


(「茶寮かだん」の花壇 2016年9月25日撮影)

 ・・・小惑星のお話に戻りましょう。 宮沢賢治ゆかりの小惑星としては、他にもいろいろとあります。

(人物)
宮沢賢治(みやざわけんじ、5008 Miyazawakenji)
宮澤清六(みやざわせいろく、21016 Miyazawaseiroku)
保阪嘉内(ほさか かない、14447 Hosakakanai)

(地名・建物など)
岩泉 (いわいずみ 4712 Iwaizumi)
岩手(いわて、19691 Iwate)
大船渡(おおふなと 63897 Ofunato)
金色堂(こんじきどう Konjikido))

(賢治研究者)
須川(すがわ、6520 Sugawa(須川力))
文一(ぶんいち、6722 Bunichi(斎藤文一))

 さて、小惑星「宮沢賢治」ですが、賢治祭の晩(2022年9月21日20時)の位置をシミュレーションして調べてみました。 場所はイギリス海岸ですが、星座内のみかけの位置関係はどこでも同じです。


(2022年9月21日20時の小惑星宮沢賢治の位置))

 小惑星の明るさは16.3等星で、肉眼で確かめることはできません。 星座としてはうお座、木星の左下の辺りでしょうか。 19時過ぎに昇って、高度は約10度に位置していました。 もし、賢治祭の会場からであれば、北上川の方向、地平線の近くでしょう。 地心距離(地球との距離)はおよそ1.4au、地球〜太陽間の距離の1.4倍、2.1億キロメートルの彼方ということになります。

 賢治の詩「グランド電柱」「山巡査」「電線工夫」「たび人」「竹と楢」(1922.9.7)から100年。

   グランド電柱

 あめと雲とが地面に垂れ
 すすきの赤い穂も洗はれ
 野原はすがすがしくなつたので
 花巻グランド電柱の
 百の碍子にあつまる雀

 掠奪のために田にはひり
 うるうるうるうると飛び
 雲と雨とのひかりのなかを
 すばやく花巻大三叉路の
 百の碍子にもどる雀

   山巡査

 おお
 何といふ立派な楢だ
 緑の勲爵士だ
 雨にぬれてまつすぐに立つ緑の勲爵士だ

 栗の木ばやしの青いくらがりに
 しぶきや雨にびしやびしや洗はれてゐる
 その長いものは一体舟か
 それともそりか
 あんまりロシヤふうだよ

 沼に生えるものはやなぎやサラド
 きれいな蘆のサラドだ

   電線工夫

 でんしんばしらの気まぐれ碍子の修繕者
 雲とあめとの下のあなたに忠告いたします
 それではあんまりアラビアンナイト型です
 からだをそんなに黒くかつきり鍵にまげ
 外套の裾もぬれてあやしく垂れ
 ひどく手先を動かすでもないその修繕は
 あんまりアラビアンナイト型です
 あいつは悪魔のためにあの上に
 つけられたのだと云はれたとき
 どうあなたは弁解をするつもりです

   たび人

 あめの稲田の中を行くもの
 海坊主林のはうへ急ぐもの
 雲と山との陰気のなかへ歩くもの
 もつと合羽をしつかりしめろ

   竹と楢

 煩悶ですか
 煩悶ならば
 雨の降るとき
 竹と楢との林の中がいいのです
   (おまへこそ髪を刈れ)
 竹と楢との青い林の中がいいのです
   (おまへこそ髪を刈れ
    そんな髪をしてゐるから
    そんなことも考へるのだ)

 9月7日は、一日で5作品。

9月8日(木)
 曇。

 今夜のポール・マッカートニー『THE LYRICS』は、Hi,Hi,Hi(Single)〜House of Wax(Memory Almost Full)まで。 8月2日の『THE LYRICS』を取り上げた記事で Her Majestyから、エリザベス女王についてポールが書かれていたことを取り上げたところでしたが、96歳で亡くなられたというニュースがありました。


(『THE LYRICS』より 2022年9月8日撮影)

 Hi,Hi,Hiは、BBCで放送禁止となったナンバー。 今だから言える、ような余裕の言い訳と分析が楽しい。 曲ウイングス時代のヒットナンバー。 ホワイトアルバムの Honet Pie は、俳優フレッド・アステア(私も好きな俳優)の話題から。 そしてライブを辞めたことの理由。 Hope of Deliveranace は、ここに書かれているエピソードを知って、ビデオ動画を再確認。

 そして寝る前には、ピーター・フランプトンの古いCDを聴きながら。 1994年発売の4曲入りミニアルバム「アコースティックス。」


(「Acoustics」 2022年9月8日撮影)

9月9日(金)
 曇。

 宮沢賢治学会イーハトーブセンター事務局から、「2022年度定期総会招集について(通知)」「第33回定期大会のお知らせ」が到着しました。 事務局の皆さまありがとうございます。


(「定期大会のお知らせ」ほか 2022年9月9日撮影)

第33回定期大会のお知らせ

 期 日2022年9月22日(木)〜23日(金)
 会 場1日目:花巻市定住交流センター(なはんプラザ)
    2日目:宮沢賢治イーハトーブ館 ホール

第1日 9月22日(金)

◆第32回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞贈呈式(10:00〜)
  主催/花巻市
  選考経過報告、賞贈呈、主催者あいさつ、受賞者あいさつ、記念講演等
◆定期総会(13:30〜14:30)
  議事(1)2021年度事業報告及び収支決算の承認について
    (2)2022年度事業計画及び収支予算の決定について
    (3)役員の承認について
◆リレー講演(14:45〜15:45)
  古川日出男(第32回宮沢賢治賞奨励賞)
  アザリア奇譚部(第32回イーハトーブ賞奨励賞)
◆第7回宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞贈呈式(15:45〜16:15)
  贈呈式を開催し、賞の贈呈(趣旨説明と贈呈)を行います。
  引き続き受賞者から挨拶や成果の発表などをしていただく予定です。
◆イーハトーブ・サロン(16:30〜17:00)
  「私と賢治」というテーマで参加者が5分間の中で、
  それぞれの思いを気軽に述べあうコーナー。

 ※参加者交流会・懇親会は、新型コロナウイルス感染症対策のため、
  残念ながら中止とさせていただきます。

第2日 9月23日(金)

◆研究発表(10:00〜12:30)

 今年の第31回宮沢賢治研究発表における発表者と題目は次のとおりです。 今年は4名の方々。

 黄毓倫:現代小説の中で奏でられる宮沢賢治 −恩田睦『蜜蜂と遠雷』−
 齋藤雅典:自筆教材絵図における土壌生物に関わる図:羅須地人協会で「菌根」の講義をしたのだろうか
 増田栞里:ザネリという存在への再検討
 山口登:宮澤賢治とSTEAM教育〜永訣の朝の新しい解釈可能性を求めて〜

 他に、チラシとして、 「宮澤賢治歌曲全集【イーハトーブ歌曲集】福井敬(テノール)」(CD)、 「吉田重滿 愁いの王 −宮澤賢治−上映」(奥州市文化会館Zホール大ホール 2022年10月30日12時開場、12時30分上映開始)、 が同封されていました。

 宮沢賢治学会のサイトは以下のとおり。 (「宮沢賢治学会イーハトーブセンター」はこちら

9月10日(土)
 晴れ。満月。 そして中秋の名月

 朝から好天に恵まれました。 自宅の所用を片付けして都内に出て買い物など。

 神保町では古書店をいくつかまわり、三省堂の臨時店舗(本社)に寄って小川町交差点へ。 久しぶりに賢治ゆかりの水晶堂金石舎(それぞれ現在はビル)の前を通りかかりました。


(水晶堂跡(画面中央灰色のビル) 2022年9月10日撮影)


(金石舎跡(画面中央茶色のビル) 2022年9月10日撮影)

 さらに、地下鉄を乗り継いで六本木へ。 地下の和風カフェでお茶の時間。 六本木ヒルズ(ノース)地下の「パティシエが作る「おはぎ」と「あんみつ」のお店」松也さんへ。 たまにはこんな場所も良いものです。

 ここから高速エレベーターで高層階にある森アーツセンターギャラリーへ。 開催中の「特別展アリス―へんてこりん、へんてこりんな世界―」を見学しました。 ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』関係の資料が多数展示されていました。 (特別展「アリス」はこちら

 宮沢賢治関係では『注文の多い料理店』の(賢治自身による)広告文で、「少女アリスが辿った鏡の国と同じ世界の中…」と具体的な言及があります。

イーハトヴは一つの地名である。 強て、その地点を求むるならばそれは、大小クラウスたちの耕してゐた、野原や、少女アリスが辿つた鏡の国と同じ世界の中、テパーンタール砂漠の遥かな北東、イヴン王国の遠い東と考へられる。
実にこれは著者の心象中にこの様な状景をもつて実在した
ドリームランドとしての日本岩手県である。
そこでは、あらゆる事が可能である。 人は一瞬にして氷雲の上に飛躍し大循環の風を従へて北に旅する事もあれば、赤い花杯の下を行く蟻と語ることもできる。

 そんなことを少し考えながら、ぼんやり眺めてきました。 ファンタジー一色の展示かと思ったら、作者や作品研究的な資料もきちんと並べられていて、期待以上のものでした。


(「アリス」展会場風景から(1) 2022年9月10日撮影)


(「アリス」展会場風景から(2) 2022年9月10日撮影)

 展示を見学して、ビルの屋上にある東京シティービュー(スカイデッキ)へと向かいます。 今日は、中秋の名月。 六本木ヒルズの上からのお月見を楽しむことにしました。 (「東京シティービュー」はこちら


(夕陽が沈む頃 2022年9月10日撮影)

 太陽が沈みしばらくすると、今度は反対の東の空から満月が昇ってきます。

 六本木ヒルズの屋上は、標高270メートルです。 次の写真は、ここから、北東方向70キロメートル先にある筑波山(876メートル)。 二つの峰や、電波塔などの施設がはっきと確認できました。 辺りはまだ夕陽が当たっています。


(筑波山 2022年9月10日撮影)

 太陽の反対側(ちょうど東京タワーがある方向)に、反薄明光線が見えていました。 地上にいると見過ごしてしまうような大気光学現象も、ここなら簡単に見ることができます。


(反薄明光線 2022年9月10日撮影)

 予定では18時10分頃に月が昇ってきます。 当然、大気による影響で、少し上下が潰れた形になって赤味を帯びて出てくるはずです。 近くには、多数のアマチュア&プロカメラマンが、大きなレンズを構えて待機中です。

 「あそこに月が出てる」と撮影を開始。 東京タワーの横に出てきました。


(東京タワー(上部)と月 2022年9月10日撮影)

 予想どおり、ちょっと変わった姿で月の登場です。 今晩のお月見の主役です。 宮沢賢治の詩「林学生」(1924.6.22)が思い出されました。 岩手山登山中の様子が描かれている「春と修羅第二集」の作品です。

   林学生

 ラクムス青の風だといふ
 シャツも手帳も染まるといふ
 おゝ高雅なるこれらの花藪と火山塊との配列よ
 ぼくはふたたびここを訪ひ
 見取りをつくっておかうといふ
 さうだかへってあとがいい
 藪に花なぞない方が、
 いろいろ緑の段階で
 舶来風の粋だといふ
 いゝやぼくのは画ぢゃないよ
 あとでどこかの大公園に、
 そっくり使ふ平面図だよ
 うわあ測量するのかい
 そいつの助手はごめんだよ
 もちろんたのみはしないといふ
 東の青い山地の上で
 何か巨きなかけがねをかふ音がした
 それは騎兵の演習だらう
 いやさうでない盛岡駅の機関庫さ
 そんなもんではぜんぜんない
 すべてかういふ高みでは
 かならずなにかあゝいふふうの、
 得体のしれない音をきく
 それは一箇の神秘だよ
 神秘でないよ気圧だよ
 気圧でないよ耳鳴りさ
 みんないっしょに耳鳴りか
 もいちど鳴るといゝなといふ
 センチメンタル! 葉笛を吹くな
 えゝシューベルトのセレナーデ
 これから独奏なさいます
 やかましいやかましいやかましいい
 その葉をだいじにしまっておいて
 晩頂上で吹けといふ
 先生先生山地の上の重たいもやのうしろから
 赤く潰れたをかしなものが昇てくるといふ
    (それは潰れた赤い信頼!
     天台、ジェームスその他によれば!)
 ここらの空気はまるで鉛糖溶液です
 それにうしろも三合目まで
 たゞまっ白な雲の澱みにかはってゐます
 月がおぼろな赤いひかりを送ってよこし
 遠くで柏が鳴るといふ
 月のひかりがまるで掬って呑めさうだ
 それから先生、鷹がどこかで磬を叩いてゐますといふ
    (ああさうですか 鷹が磬など叩くとしたら
     どてらを着てゐて叩くでせうね)
 鷹ではないよ くひなだよ
 くひなでないよ しぎだよといふ
 月はだんだん明るくなり
 羊歯ははがねになるといふ
 みかげの山も粘板岩の高原も
 もうとっぷりと暮れたといふ
 ああこの風はすなはちぼく、
 且つまたぼくが、
 ながれる青い単斜のタッチの一片といふ
    (しかも 月よ
     あなたの鈍い銅線の
     二三はひとももって居ります)
 あっちでもこっちでも
 鳥はしづかに叩くといふ

 今日の月も、まさしく「赤く潰れたをかしなもの」状態で、厚い大気の層を抜けるまでは、この不自然な状態が続きます。

 月もすっかり昇り、街の明かりも揃ってくると、夜景+名月の両方が楽しめます。 今夜の地上のホストは東京タワー。


(東京タワーと月 2022年9月10日撮影)

 月との位置関係がいいですね。 夜景をさらに取り入れると、こんな感じでしょうか。


(東京タワーと月 2022年9月10日撮影)

 ここではかなり縮小した写真となっていますが、オリジナルでは月の模様もきれいに写っています。


(月を写す人たち 2022年9月10日撮影)

 月がすっかり昇る頃になると、さらに大勢の方々が月を撮影されているようでした。 19時からは「六本木天文クラブ」による中秋の名月観月会も計画されていたようです。 速やかにビルを下りて、夕食後に帰宅。 (その後、ビルのエレベーター待ちは30分となったそうです)

9月11日(日)
 晴れ。

 自宅で作業。

 抱影の『星三百六十五夜 秋』(中公文庫)の今日のテーマは「ひしぼし」です。

 七夕の子供の星や、瓜畑の星は、孫たちに指さして教えても、見つけるには暇がかかる。 しかし、彦星とお供の二星との一文字の上で、同じく天の川に浸る矢座の一文字と、天の川を左へはずれた海豚座の菱形とは、一と目でわかってくれるので、いつも私を満足させる。 共にちまちまと可愛らしいのも、子供たちに向くのだろうか。 (略)

 このような書出しで始まる文章です。 夏の大三角付近の小星座(星座の一部)を紹介した文章となっています。

 それぞれについては、次の図を参照してください。 (図中の「や」は、「矢座の一文字」と文字を入れるのが良かったですね)


(「ひしぼし」に登場する星)

 東京の印刷博物館で開催されていた「きて、みて、刷って 昔のきっぷ」では、賢治の『銀河鉄道の夜』に登場する駅名の切符を印刷体験できるイベントが行われていました。 8月27日〜9月2日まで(すみません、すでに終了)の短期間のプログラムでしたが、参加者には4駅分の硬券のプレゼントがあります。 実際に北海道の駅で使われていたという本物の機械で刷る「硬券」の切符は味わいがあります。 地紋のデザインもリアルでした。 (「印刷博物館」はこちら


(イベントでのいただきもの 2022年9月11日撮影)

 「銀河鉄道」の停車駅に合わせて、銀河ステーションから「白鳥停車場」「鷲の停車場」「小さな停車場」「南十字 サウザンクロス」ゆきとなっています。 本物の質感ですので、銀河鉄道の夜マニア、鉄道マニアも喜ぶ完成度ですね。 ついでに言えば、ジョバンニの切符も欲しいところです。

 次の企画展は「地図と印刷」(9月17日(土)〜12月11日(日))で、「日本の近世を中心にスポットをあて、地図や地誌づくりにおける印刷と人々とのかかわり」がテーマです。 こちらも面白そうです。


(「地図と印刷」展案内)

9月12日(月)
 晴れのち夜雨。

 昼間はまあまあのお天気。 夜になって雨が降り出しました。

 今日、9月12日は宇宙の日。 Wikipediaの項目には以下の説明があります。

宇宙の日(うちゅうのひ)は、国際宇宙年であった1992年に日本の科学技術庁(現・文部科学省)と宇宙科学研究所(現・宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)が制定した記念日。 公募により、毛利衛が日本人として初めてスペースシャトルに搭乗して飛び立った9月12日に定められた。

 1992年の制定なので、今年で30年ですね。 日本人宇宙飛行士ということでは、ジャーナリストの秋山豊寛さんが先(1990年12月)ですが、日本の公式宇宙計画の最初の日本人宇宙飛行士では毛利衛さんが最初(1992年9月)ということになります。 科学技術庁と宇宙科学研究所が制定しているので、毛利衛さんの方が記念日として取り扱われるのは必然でしょうか。

 何れにしても、日本の本格的な宇宙開発への参画から、もう30年も経ってしまったというのが印象です。 次の写真は、宇宙の日と賢治ということで・・・。


(『氷河ねずみの毛皮』 2022年9月11日撮影)

 わかる人にはわかる奥深い1枚でした。

9月13日(火)
 小雨のち曇り。

 朝は天気予報にない小雨。

 写真は、今夜のいろいろ。 左から『銀河鉄道の夜』(朝日ソノラマ)、石田五郎『星の文人 野尻抱影伝』(中公文庫)、CD「The Beatles EMI STUDIO Sessions '65-'66」です。


(今夜のいろいろ 2022年9月13日撮影)

 『銀河鉄道の夜』は、「宮沢賢治生誕100年記念出版」と書かれた帯のついているものです。 末尾に本文の「解説」(天沢退二郎)、「解説・「銀河鉄道の夜」における宮沢賢治の銀河宇宙観」(斉藤文一)が掲載されています。 解説文を読むために購入したものでしたが、どちらも、別の書物として刊行されていないので、ちょっと貴重です。 斉藤文一さんの方は、驚きもあり、誤解もあり…新鮮です。 『星の文人 野尻抱影伝』は、ちょっとした調べもの。 ビートルズのCDは、アウトテイクを流して聴くため。 イン・マイ・ライフのオルガン間奏バージョンが耳に残ります。

 渡辺えりさんから、10月に新宿シアタートップスで行われるオフィス3○○公演「ぼくらが非常の大河をくだる時 〜新宿薔薇戦争〜」の案内をいただきました。 清水邦夫さん作品で、演出が渡辺えりさんです。 (『ぼくらが非情の大河をくだる時』新宿薔薇戦争」はこちら(オフィス3○○公演 2022年10月23日(日)〜10月30日(日))、 「ぼくらが非情の大河をくだる時―新宿薔薇戦争」はこちら(戯曲デジタルアーカイブ))


(『ぼくらが非情の大河をくだる時』 2022年9月13日撮影)

 舞台にとっての演出は、オーケストラの指揮者のような役割。 どのように舞台演出が行われるのか・・・。 時間が取れたら行ってみたいと思います。

9月14日(水)
 晴れ。

 昨年6月に刊行された『賢治学+【第1集】』(杜陵高速印刷出版部)で、塩屋昌弘さんが書かれていた「外岡秀俊『北帰行』論 −あるいは、日常としての『啄木』論−」で気になっていた『北紀行』が文庫本(河出文庫)となっていたので、買い求めて読んでみました。 だいぶ以前のこととなりますが、ドナルド・キーン『石川啄木』(新潮社)が予想以上に良かったことが、(遠い)動機付けの一つでもあります。 (こちらも文庫版が書店に並んでいました。)


(『賢治学+』と『北帰行』 2022年9月14日撮影)

 個人的には、池澤夏樹さんの解説で総括されてしまった感じでしたが、何より北海道の風景を眼に浮かべながら読むことができたことに感謝しつつ・・・。

 週末の登山計画について再検討。

9月15日(木)
 曇り。

 賢治の書籍など。


賢治の新刊
小原流挿花 2022年7月
小原流挿花
2022年7月
No.860 特集◎星に願いを
小原流

 7月は「七夕」の月ということで、特集のテーマは「星に願いを」。 その中で、2番目の記事は、渡部潤一、谷口義明、畑英利「宮沢賢治と星」です。(連名の記事です) (特集記事の一つ目は出雲晶子さん「夏の星座と七夕」でした。 「宮沢賢治と星」は、「理科少年賢治の思い」「作品に現れる星たち」「銀河鉄道に沿って旅をしてみよう」「星光浴のすすめ」からなるエッセイです。




 「賢治の図書館」  「小原流挿花」2022年7月 No.860/特集◎星に願いを/渡部潤一、谷口義明、畑英利「宮沢賢治と星」/(一般財団法人小原流)を賢治の図書館に追加しました。

 関連して、この号に記事を執筆されている谷口義明さんの『宇宙を動かしているものは何か』(光文社新書)も読んでみました。


(『宇宙を動かしているものは何か』 2022年9月15日撮影)

 素粒子物理学から宇宙を読み解くことが大きなテーマです。 (帯にある「4つの力」、懐かしい言葉ですね!) しかし、実は奥が深く深く、未解明の領域がいくつも残された世界。 「宇宙を動かすエンジン」に注目することで、その仕組みを個々に解明してみましょうという試みです。

 今回本書を読み始めて、「天文学者が解説する宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と宇宙の旅」と、論のテイストがすごく似ていることに気づきました。

 今日の最後は付録的ではありますが「日本古書通信」2022年9月号(日本古書通信社)です。 連載記事の一つ「近代作家の資料」Fは「宮沢賢治の詩稿付特製本」(川島幸希)でした。


(「日本古書通信」より 2022年9月15日撮影)

 十字屋版『宮沢賢治全集』に「賢治の自筆草稿の断片を貼付した特製本」が存在していることについて、この記事の筆者が調査を重ねたものとなっています。 第一回配本の第三巻「童話集前編」にだけ特製本が存在し、現在確認されているものから、その全貌を推定されています。 後付の写真を見ると、中ほどには「特製 第*號」(*はゴム印の数字)と印刷された特別なものでした。 賢治研究者関係で、杉田さん、杉浦さんのお名前も。

 「賢治の図書館」  「日本古書通信」2022年9月/連載「近代作家の資料F 宮沢賢治の詩稿付特製本」/川島幸希/(日本古書通信社)を賢治の図書館に追加しました。

9月16日(金)
 曇り。

 何度か発売日が延期となったジュリアン・レノンの新譜 JUDE(ジュード)がやっと発売となりました。 (「Julian Lennon」はこちら


(JUDE 2022年9月16日撮影)

 父はジョン・レノン(1940〜1980)、母はジョン・レノンの最初の妻シンシア・レノン(1939〜2015)です。 ジュリアン・レノンは1963年の生まれで、今年59歳。 ビートルズの名曲、Hey Jude の Jude(ジュリアンのこと)ということで、それをアルバム名としたものです。

 収録曲

 1 Save Me
 2 Freedom
 3 Every Little Moment
 4 Not One Night
 5 Love Don't Let Me Down
 6 Round and Round Again
 7 Love Never Dies
 8 Breathe
 9 Lucky Ones
 10 Stay
 11 Gaia (Feat. Paul Buchanan & Elissa Lauper)

 落ち着いた曲調が多めです。 Love Don't Let Me Down、Love Never Diesなどが印象に残りました。

9月17日(土)
 曇り時々晴れ。

 自宅の作業がキャンセルになったので、地元のひたち海浜公園へ。 (「国営ひたち海浜公園」はこちら


(園内の噴水前花壇にて 2022年9月17日撮影)

 到着が遅かったので、先ずは園内のカフェ「記念の森レストハウス」へ。 天皇陛下ご成婚を記念して建てられたという森の中にあるカフェです。


(記念の森レストハウス 2022年9月17日撮影)

 珈琲ぜんざいとネモフィラブルーティを注文してみました。


(お茶の時間 2022年9月17日撮影)

 レストハウスを出て、みはらしの丘へ。 あの一面がネモフィラのお花畑となる丘も、この時期は丸いコキアが植えられ、コロコロとした風景に変わっています。 今は黄緑色から色付き始める時期で、あと半月もすれば、この一帯すべてが真っ赤になります。


(みはらしの丘 2022年9月17日撮影)

 コキアの丘の先、空には大きな暈が現れていました。 大気光学現象としては、幻日環も見えていました。


(日暈 2022年9月17日撮影)

 (暑いなか)沢山歩いて遊園地のある側のレストハウスでコキアカレーを食べて、今日の散歩は終了。 なんとかお天気は持ちました。

 賢治の詩「銅線」「滝沢野」(1922.9.17)から100年。

   銅線

 おい 銅線をつかつたな
 とんぼのからだの銅線をつかひ出したな
    はんのき はんのき
    交錯光乱転
 気圏日本では
 たうとう電線に銅をつかひ出した
   (光るものは碍子
    過ぎて行くものは赤い萱の穂)

   滝沢野

 光波測定の誤差から
 から松のしんは徒長し
 柏の木の烏瓜ランタン
   (ひるの鳥は曠野に啼き
    あざみは青い棘に遷る)
 太陽が梢に発射するとき
 暗い林の入口にひとりたたずむものは
 四角な若い樺の木で
 Green Dwarf といふ品種
 日光のために燃え尽きさうになりながら
 燃えきらず青くけむるその木
 羽虫は一疋づつ光り
 鞍掛や銀の錯乱
    (寛政十一年は百二十年前です)
 そらの魚の涎れはふりかかり
 天末線の恐ろしさ

9月18日(日)
 曇り時々晴れ。

 古書など探す。 雨で移動が大変。

 天気が良ければ、当初は岩手山登山の予定でした。 (大型台風の接近によりキャンセル)

 賢治の詩「東岩手火山」(1922.9.18)から100年。

   東岩手火山

  月は水銀、後夜の喪主
  火山礫は夜の沈澱
  火口の巨きなえぐりを見ては
  たれもみんな愕くはづだ
   (風としづけさ)
  いま漂着する薬師外輪山
  頂上の石標もある
   (月光は水銀、月光は水銀)
 《こんなことはじつにまれです
 向ふの黒い山……つて、それですか
 それはここのつづきです
 ここのつづきの外輪山です
 あすこのてつぺんが絶頂です
 向ふの?
 向ふのは御室火口です
 これから外輪山をめぐるのですけれども
 いまはまだなんにも見えませんから
 もすこし明るくなつてからにしませう
 えゝ 太陽が出なくても
 あかるくなつて
 西岩手火山のはうの火口湖やなにか
 見えるやうにさへなればいいんです
 お日さまはあすこらへんで拝みます》
  黒い絶頂の右肩と
  そのときのまつ赤な太陽
  わたくしは見てゐる
  あんまり真赤な幻想の太陽だ
 《いまなん時です
 三時四十分?
 ちやうど一時間
 いや四十分ありますから
 寒いひとは提灯でも持つて
 この岩のかげに居てください》
  ああ、暗い雲の海だ
 《向ふの黒いのはたしかに早池峰です
  線になつて浮きあがつてるのは北上山地です
  うしろ?
  あれですか、
 あれは雲です、柔らかさうですね、
 雲が駒ケ岳に被さつたのです
 水蒸気を含んだ風が
 駒ケ岳にぶつつかつて
 上にあがり、
 あんなに雲になつたのです。
 鳥海山は見えないやうです、
 けれども
 夜が明けたら見えるかもしれませんよ》
   (柔かな雲の波だ
    あんな大きなうねりなら
    月光会社の五千噸の汽船も
    動揺を感じはしないだらう
    その質は
    蛋白石、glass-wool
    あるひは水酸化礬土の沈澱)
 《じつさいこんなことは稀なのです
 わたくしはもう十何べんも来てゐますが
 こんなにしづかで
 そして暖かなことはなかつたのです
 麓の谷の底よりも
 さつきの九合の小屋よりも
 却つて暖かなくらゐです
 今夜のやうなしづかな晩は
 つめたい空気は下へ沈んで
 霜さへ降らせ
 暖い空気は
 上に浮んで来るのです
 これが気温の逆転です》
  御室火口の盛りあがりは
  月のあかりに照らされてゐるのか
  それともおれたちの提灯のあかりか
  提灯だといふのは勿体ない
  ひわいろで暗い
 《それではもう四十分ばかり
 寄り合つて待つておいでなさい
 さうさう、北はこつちです
 北斗七星は
 いま山の下の方に落ちてゐますが
 北斗星はあれです
 それは小熊座といふ
 あの七つの中なのです
 それから向ふに
 縦に三つならんだ星が見えませう
 下には斜めに房が下つたやうになり
 右と左とには
 赤と青と大きな星がありませう
 あれはオリオンです、オライオンです
 あの房の下のあたりに
 星雲があるといふのです
 いま見えません
 その下のは大犬のアルフア
 冬の晩いちばん光つて目立つやつです
 夏の蝎とうら表です
 さあみなさん、ご勝手におあるきなさい
 向ふの白いのですか
 雪ぢやありません
 けれども行つてごらんなさい
 まだ一時間もありますから
 私もスケツチをとります》
  はてな、わたくしの帳面の
  書いた分がたつた三枚になつてゐる
  事によると月光のいたづらだ
  藤原が提灯を見せてゐる
  ああ頁が折れ込んだのだ
  さあでは私はひとり行かう
  外輪山の自然な美しい歩道の上を
  月の半分は赤銅、地球照
 《お月さまには黒い処もある》
  《後藤又兵衛いつつも拝んだづなす》
  私のひとりごとの反響に
  小田島治衛が云つてゐる
 《山中鹿之助だらう》
  もうかまはない、歩いていゝ
    どつちにしてもそれは善いことだ
 二十五日の月のあかりに照らされて
 薬師火口の外輪山をあるくとき
 わたくしは地球の華族である
 蛋白石の雲は遥にたゝヘ
 オリオン、金牛、もろもろの星座
 澄み切り澄みわたつて
 瞬きさへもすくなく
 わたくしの額の上にかがやき
  さうだ、オリオンの右肩から
  ほんたうに鋼青の壮麗が
  ふるえて私にやつて来る

 三つの提灯は夢の火口原の
 白いとこまで降りてゐる
 《雪ですか、雪ぢやないでせう》
 困つたやうに返事してゐるのは
 雪でなく、仙人草のくさむらなのだ
 さうでなければ高陵土
 残りの一つの提灯は
 一升のところに停つてゐる
 それはきつと河村慶助が
 外套の袖にぼんやり手を引つ込めてゐる
 《御室の方の火ロへでもお入りなさい
 噴火口へでも入つてごらんなさい
 硫黄のつぶは拾へないでせうが》
 斯んなによく声がとゞくのは
 メガホーンもしかけてあるのだ
 しばらく躊躇してゐるやうだ
  《先生 中さ入つてもいがべすか》
 《えゝ おはいりなさい 大丈夫です》
 提灯が三つ沈んでしまふ
 そのでこぼこのまつ黒の線
 すこしのかなしさ
 けれどもこれはいつたいなんといふいゝことだ
 大きな帽子をかぶり
 ちぎれた朱子のマントを着て
 薬師火口の外輪山の
 しづかな月明を行くといふのは

 この石標は
 下向の道と書いてあるにさういない
 火口のなかから提灯が出て来た
 宮沢の声もきこえる
 雲の海のはてはだんだん平らになる
 それは一つの雲平線をつくるのだ
 雲平線をつくるのだといふのは
 月のひかりのひだりから
 みぎへすばやく擦過した
 一つの夜の幻覚だ
 いま火口原の中に
 一点しろく光るもの
 わたくしを呼んでゐる呼んでゐるのか
 私は気圏オペラの役者です
 鉛筆のさやは光り
 速かに指の黒い影はうごき
 唇を円くして立つてゐる私は
 たしかに気圏オペラの役者です
 また月光と火山塊のかげ
 向ふの黒い巨きな壁は
 熔岩か集塊岩、力強い肩だ
 とにかく夜があけてお鉢廻りのときは
 あすこからこつちへ出て来るのだ
 なまぬるい風だ
 これが気温の逆転だ
   (つかれてゐるな、
    わたしはやつぱり睡いのだ)
 火山弾には黒い影
 その妙好の火口丘には
 幾条かの軌道のあと
 鳥の声!
 鳥の声!
 海抜六千八百尺の
 月明をかける鳥の声、
 鳥はいよいよしつかりとなき
 私はゆつくりと踏み
 月はいま二つに見える
 やつぱり疲れからの乱視なのだ

 かすかに光る火山塊の一つの面
 オリオンは幻怪
 月のまはりは熟した瑪瑙と葡萄
 あくびと月光の動転
     (あんまりはねあるぐなぢやい
      汝ひとりだらいがべあ
      子供等も連れでて目にあへば
      汝ひとりであすまないんだぢやい)
 火口丘の上には天の川の小さな爆発
 みんなのデカンシヨの声も聞える
 月のその銀の角のはじが
 潰れてすこし円くなる
 天の海とオーパルの雲
 あたたかい空気は
 ふつと撚になつて飛ばされて来る
 きつと屈折率も低く
 濃い蔗糖溶液に
 また水を加へたやうなのだらう
 東は淀み
 提灯はもとの火口の上に立つ
 また口笛を吹いてゐる
 わたくしも戻る
 わたくしの影を見たのか提灯も戻る
   (その影は鉄いろの背景の
    ひとりの修羅に見える筈だ)
 さう考へたのは間違ひらしい
 とにかくあくびと影ばうし
 空のあの辺の星は微かな散点
 すなはち空の模様がちがつてゐる
 そして今度は月が蹇まる。

 (天文的にみれば)読むたびに発見の多い作品です。

9月19日(月)
 敬老の日。曇り時々にわか雨。

 今日は雨降りの一日です。 20数年ぶりに、吉祥寺のカフェ、ゆりあぺむぺるに行ってみました。 (「ゆりあぺむぺる」はこちら

 ウェブサイトを見ていただければ独特の雰囲気がわかるかと思います。 アンティークな店内は以前と変わらず。 お店の名前の由来となる「ユリア」と「ペムペル」は、詩「小岩井農場」パート九に登場しています。

   小岩井農場

     パート九

 すきとほつてゆれてゐるのは
 さつきの剽悍な四本のさくら
 わたくしはそれを知つてゐるけれども
 眼にははつきり見てゐない
 たしかにわたくしの感官の外で
 つめたい雨がそそいでゐる
  (天の微光にさだめなく
   うかべる石をわがふめば
   おゝユリア しづくはいとど降りまさり
   カシオペーアはめぐり行く)
 ユリアがわたくしの左を行く
 大きな紺いろの瞳をりんと張つて
 ユリアがわたくしの左を行く
 ペムペルがわたくしの右にゐる
 ……………はさつき横へ外れた
 あのから松の列のとこから横へ外れた
   《幻想が向ふから迫つてくるときは
    もうにんげんの壊れるときだ》
 わたくしははつきり眼をあいてあるいてゐるのだ
 ユリア ペムペル わたくしの遠いともだちよ
 わたくしはずゐぶんしばらくぶりで
 きみたちの巨きなまつ白なすあしを見た
 どんなにわたくしはきみたちの昔の足あとを
 白堊系の頁岩の古い海岸にもとめただらう
   《あんまりひどい幻想だ》
 わたくしはなにをびくびくしてゐるのだ
 どうしてもどうしてもさびしくてたまらないときは
 ひとはみんなきつと斯ういふことになる
 きみたちとけふあふことができたので
 わたくしはこの巨きな旅のなかの一つづりから
 血みどろになつて遁げなくてもいいのです
  (ひばりが居るやうな居ないやうな
   腐植質から麦が生え
   雨はしきりに降つてゐる)
 さうです 農場のこのへんは
 まつたく不思議におもはれます
 どうしてかわたくしはここらを
 der heilige Punkt と
 呼びたいやうな気がします
 この冬だつて耕耘部まで用事で来て
 こゝいらの匂のいゝふぶきのなかで
 なにとはなしに聖いこころもちがして
 凍えさうになりながらいつまでもいつまでも
 いつたり来たりしてゐました
 さつきもさうです
 どこの子どもらですかあの瓔珞をつけた子は
   《そんなことでだまされてはいけない
    ちがつた空間にはいろいろちがつたものがゐる
    それにだいいちさつきからの考へやうが
    まるで銅版のやうなのに気がつかないか》
 雨のなかでひばりが鳴いてゐるのです
 あなたがたは赤い瑪瑙の棘でいつぱいな野はらも
 その貝殻のやうに白くひかり
 底の平らな巨きなすあしにふむのでせう
    もう決定した そつちへ行くな
    これらはみんなただしくない
    いま疲れてかたちを更へたおまへの信仰から
    発散して酸えたひかりの澱だ
   ちひさな自分を劃ることのできない
  この不可思議な大きな心象宙宇のなかで
 もしも正しいねがひに燃えて
 じぶんとひとと万象といつしよに
 至上福祉にいたらうとする
 それをある宗教情操とするならば
 そのねがひから砕けまたは疲れ
 じぶんとそれからたつたもひとつのたましひと
 完全そして永久にどこまでもいつしよに行かうとする
 この変態を恋愛といふ
 そしてどこまでもその方向では
 決して求め得られないその恋愛の本質的な部分を
 むりにもごまかし求め得ようとする
 この傾向を性慾といふ
 すべてこれら漸移のなかのさまざまな過程に従つて
 さまざまな眼に見えまた見えない生物の種類がある
 この命題は可逆的にもまた正しく
 わたくしにはあんまり恐ろしいことだ
 けれどもいくら恐ろしいといつても
 それがほんたうならしかたない
 さあはつきり眼をあいてたれにも見え
 明確に物理学の法則にしたがふ
 これら実在の現象のなかから
 あたらしくまつすぐに起て
 明るい雨がこんなにたのしくそそぐのに
 馬車が行く 馬はぬれて黒い
 ひとはくるまに立つて行く
 もうけつしてさびしくはない
 なんべんさびしくないと云つたとこで
 またさびしくなるのはきまつてゐる
 けれどもここはこれでいいのだ
 すべてさびしさと悲傷とを焚いて
 ひとは透明な軌道をすすむ
 ラリツクス ラリツクス いよいよ青く
 雲はますます縮れてひかり
 わたくしはかつきりみちをまがる

 2階への階段を上がった場所にある「銀河鉄道の夜」の複製原稿は、まだ飾られているようでした。


(「ゆりあぺむぺる」にて 2022年9月19日撮影)

 今日のニュースに、賢治関係の映画の制作発表がありました。 門井慶喜さんの評伝小説『銀河鉄道の父』(講談社)の映画化です。


(『銀河鉄道の父』 2022年9月19日撮影)

 公開は「没後90年となる2023年」とありました。 (「直木賞受賞作「銀河鉄道の父」が映画化!本市でも撮影が行われました」はこちら(花巻市)、 「銀河鉄道の父」オフィシャルサイトは、こちら、 銀河鉄道の父」公式Twitterは、こちら

9月20日(火)
 曇り時々にわか雨。

 本日、例年行われている賢治祭当日のイギリス海岸渇水化の取り組みは、今年も実施されると発表がありました。 しかし、当日付で台風の影響を理由に中止となりました。 9月20日の追記文は次のとおり。 「9月21日(水曜)に予定していた「イギリス海岸」出現の試みは、台風の影響により中止します。」 (「賢治の命日に「イギリス海岸」出現へ!(9月20日更新)」はこちら(北上川管理事務所))

 明日の賢治祭の案内です。 今年は没後89年目となります。 「いろいろな事情」の結果と思いますが、賢治祭が花巻市文化会館での開催、また時間の繰り上げも珍しいですね。 (「2022賢治祭」はこちら(宮沢賢治記念会)、 「イベントカレンダー 9月 賢治祭」はこちら(花巻観光協会))

 ニコンから新しい「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」が発表されました。 開放F値2.8で固定なのに、通常の同タイプのレンズの半分ほど、これは大歓迎です。 (但し、従前大型レンズとは、画角が異なります) しかも(この性能にしては)安価。 但し、天体写真となると、画質の方も気になるところで、周辺光量の落ち具合がとても気になります。 (「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」はこちら(ニコン))


(「NIKKOR Z 17-28mm f/2.8」製品紹介ページより)

 今夜も、自宅の作業を終えて、原稿と週末の準備。

9月21日(水)
 曇り。

 台風が去って、(急に)涼しくなりました。 花巻の賢治祭は寒いくらいかも知れません。

 賢治祭の開催は、2021、2022年と2年続けて中止(詩碑前での献花のみ)となってしまったので、楽しみにされていた方も多かったようです。 SNSでは、映画「銀河鉄道の父」のチラシが会場で配布されたというお話もありました。

 ピンク・フロイド「アニマルズ(リミックス)」が公式盤として発売となりました。 このアルバムは、2018年にリマスター制作されたものでしたが、リリースが遅れたものです。


(「アニマルズ(リミックス)」 2022年9月21日撮影)

   Animals 2018 Remix

 1.Pigs On The Wing 1
 2.Dogs
 3.Pigs (Three Different Ones)
 4.Sheep
 5.Pigs On The Wing 2

 オリジナルは45年前の1977年発表。 オーウェルの『動物農場』にヒントを得て、「人間の世界を動物に比喩し、社会問題やモラルの崩壊を痛烈に批判するコンセプト」とし、 「豚」(支配する権力者) 「犬」(強欲なビジネス界のボス) 「羊」(従順で感情を失った労働者)と、動物たちを社会の構成員の喩えたものとされています。

 公式盤としてのリミックスは、各楽曲ともオリジナルに近い仕上がりとなっていました。 それでも、明らかに違う印象に聴こえる箇所も確かにあって、通して2回ほどヘッドホンで聴き比べてみました。

 アートワークの方は、モノクロの写真です。 撮影場所は同じく、ロンドンのバタシー発電所。 空飛ぶ豚も写っています。 添付の小冊子には、その撮影の様子も含まれていて興味深いものでした。


(Google Mapによるバタシー発電所)

 日本の南方にある熱帯低気圧が台風となる予報が出ました。 週末台風が続いています。

9月22日(木)
 晴れ。

 今日、花巻では宮沢賢治賞、イーハトーブ賞の授賞式が行われます。 そして、続いて宮沢賢治学会の定期大会。

 自宅では、週末に向けた作業が続きます。 今夜の音楽は、3枚のアルバム(佐橋佳幸「TRUST ME」、サリュウ「s(o)un(d)beams」、ジョアン・ジルベルトイン「ジョアン・ジルベルトイン東京」)から。


(TRUST ME 2022年9月22日撮影)


(ジョアン・ジルベルトイン東京 2022年9月22日撮影)

 どうしてもジョアン・ジルベルトの声が繰り返し頭の中で鳴ってしまいます。

 遠方の方より、天文書をいただきました。 感謝です。

9月23日(金)
 秋分の日。 曇りのち深夜雨。

 花巻では宮沢賢治学会の研究発表会。

 今年は賢治学会の一連の行事にも参加できないため、この週末は北八ヶ岳へ。 新宿駅から中央線特急に乗り、茅野駅へ。 そしてそこから、約1時間のバス乗車で白駒池駐車場へ。


(茅野駅前にて 2022年9月23日撮影)

 台風の動きを注意しつつ、移動時の風も降水の影響もほとんどなさそうなので、安心して入山しました。 日程上、若干の用事もあったためラッキーでした。


(白駒の池の森 2022年9月23日撮影)


(白駒の池の森 2022年9月23日撮影)

 登山道はぬかるみで、足元に注意が必要です。


(高見石小屋への分岐 2022年9月23日撮影)

 予定より時間をかけての到着。 夜になって、台風の影響と思われる激しい雨となりました。

9月24日(土)
 曇りのち晴れ。

 今日は穏やかなお天気となりました。

 午前中、誰もいないのを確認して、高見石の岩に登ってみました。


(高見石から白駒池方面 2022年9月24日撮影)


(高見石から丸山方面 2022年9月24日撮影)


(全天 2022年9月24日撮影)

 夜半前に霧(雲)が下りてきて、星はチラチラと見える程度です。 夜中には晴れると思われましたので、早々に就寝。

9月25日(日)
 晴れ。

 午前2時過ぎに起床。 外はよく晴れていました。 カメラを持ち出して撮影開始。 (小屋前の温度計では9度)


(夜明けどきの冬の星座 2022年9月25日撮影)


(オリオン座付近 2022年9月25日撮影)

 おうし座の火星は、それなりの存在感で輝いていました。

 数枚撮影したところで霧の中。 (「受け月」の日でしたが)仮眠して日の出前に起床。 直後に空全体が赤く染まりました。


(日の出直後の空 2022年9月25日撮影)

 今日は下山日。 下山時は地元の方の車でお世話になり、茅野駅まで早々に到着。 (次回来るときには、駅の「みどりの窓口」は無人化されるそうです) 特急も停車する駅の有人窓口が消えるとは驚きです。


(茅野駅のみどりの窓口 2022年9月25日撮影)

 駅近くで昼食。 特急あずさ号で東京に戻りました。

9月26日(月)
 晴れ。

 自宅の作業を終えて、荷物の後片付け。 今日は新月。 旧暦では9月となります。

 各種作業をしながら、ポール・マッカートニーのベスト盤「ピュア・マッカートニー 〜オール・タイム・ベスト(デラックス・エディション)」(2016年発売、4枚組)を聴きます。 選曲や曲の順番がいいですね。 ディスクでは4枚組というのもありますが、これまでに発売されたベスト盤の中では一番聴きやすいものです。 輸入盤の中古で状態の良いものが格安でしたので先日購入しました。


(ピュア・マッカトニー 2022年9月26日撮影)


(ピュア・マッカトニー 2022年9月26日撮影)

   Best Album 『ピュア・マッカートニー 〜オールタイム・ベスト』

Disc 1
 01. メイビー・アイム・アメイズド*
 02. 故郷のこころ*
 03. ジェット*
 04. やさしい気持*
 05. あの娘におせっかい*
 06. ディア・ボーイ*
 07. 心のラヴ・ソング*
 08. ザ・ソング・ウィ・ワー・シンギング**
 09. アンクル・アルバート〜ハルセイ提督*
 10. アーリー・デイズ
 11. ビッグ・バーン・ベッド**
 12. アナザー・デイ*
 13. フレイミング・パイ**
 14. ジェニー・レン
 15. トゥー・メニー・ピープル*
 16. レット・ミー・ロール・イット*
 17. NEW

Disc 2
 01. 007 死ぬのは奴らだ*
 02. イングリッシュ・ティー
 03. 夢の旅人**
 04. セイヴ・アス
 05. マイ・ラヴ**
 06. ビップ・バップ**
 07. 幸せのノック*
 08. 1985年*
 09. カリコ・スカイズ**
 10. ハイ・ハイ・ハイ**
 11. ウォーターフォールズ*
 12. バンド・オン・ザ・ラン*
 13. アプリシエイト
 14. シング・ザ・チェンジズ
 15. アロウ・スルー・ミー**  16. エヴリナイト*
 17. ジュニアズ・ファーム*
 18. ミセス・ヴァンデビルト*

Disc 3
 01. セイ・セイ・セイ(2015リミックス)[ラジオ・エディット]*
 02. マイ・ヴァレンタイン
 03. パイプス・オブ・ピース*
 04. ザ・ワールド・トゥナイト**
 05. スーベニア**
 06. ダンス・トゥナイト
 07. エボニー・アンド・アイヴォリー*
 08. ファイン・ライン
 09. ヒア・トゥデイ*
 10. プレス**
 11. ワンダーラスト*
 12. ワインダーク・オープン・シー**
 13. ビューティフル・ナイト**
 14. ガールフレンド**
 15. クイーニー・アイ
 16. ウィ・オール・スタンド・トゥゲザー**

Disc 4
 01. カミング・アップ*
 02. トゥー・マッチ・レイン
 03. グッド・タイムズ・カミング〜フィール・ザ・サン**
 04. グッドナイト・トゥナイト**
 05. ベイビーズ・リクエスト**
 06. しあわせの予感(DJエディット)**
 07. リトル・ウィロー**
 08. オンリー・ママ・ノウズ
 09. ピンチをぶっ飛ばせ**
 10. バック・シート*
 11. ひとりぼっちのロンリー・ナイト**
 12. グレイト・デイ**
 13. ヴィーナス・アンド・マース〜ロック・ショウ*
 14. テンポラリー・セクレタリー*
 15. ホープ・フォー・ザ・フューチャー
 16. ジャンク*

*アーカイヴ・コレクション再発時のリマスター採用
**2016年最新リマスタリング

9月27日(火)
 晴れ。

 今夜は古天文書から。

 1923(大正12)年刊行の原田三夫『最新知識 子供の科學叢書 第十輯 星の巻』(誠文堂・1925)です。


(『子供の科學叢書 星の巻』2022年9月27日撮影)

 大正時代に創刊された子供のための科学誌「子供の科学」の記事を取りまとめして、テーマ別に編集されたものです。 「星」がテーマということで、少年がベランダらしき場所から大彗星を眺めている絵が表紙です。 著者はもちろん科学ジャーナリスト(科学評論家)の原田三夫(1890〜1977)です。

 本書の「まへおき」には、本書の扱う天体について簡単な説明があります。

   まへおき

 星には遊星と恒星の二いろありますが、遊星はほんの僅かで、大部分は恒星です。 古人が、いろいろ面白い形を描かせて星座をまうけましたのは、勿論、この恒星です。 この巻では、その恒星のおもなるものと、星座と、それらに關する面白い御話をのせ、最後に、恒星の遠さや、宇宙といふものの廣さについて述べました。 遊星のことは、地球、太陽、月とともに、他の巻で御話することにしました。

 以下の目次を見るとよりはっきりしますが、恒星と星座が中心の編集です。

   子供の科學叢書第十巻 星の巻 目次

 星の見かた
 星とは何ぞや
 星の動きかた
 星座
 春見る星
 夏見る星
 秋見る星
 冬の星
 天の河
 附圖

 目次は少し省略して引用しましたが、例えば「夏見る星」では、

 織女星 − オルルフェウスの琴 − 牽牛星 − 七夕祭 − 白鳥 − 北の冠ヘルクレス − 蝎とアンタレス − 射手 − 蛇づかひ

といった具合に、恒星と星座の解説が網羅されています。


(「夏見る星」 2022年9月27日撮影)

 このような図版を用いて、星座に慣れ親しんだのでしょうか。

 また、読者が「子供」を対象としているだけあって、ノウハウに関する部分は、非常に丁寧に書かれています。

   星の見かた

 この本のなかに掲げた圖を手引として、星をしらべるには、次のやうなことに注意しなければなりません。

  空は非常にひろいもので、それが、このやうに小さい圖に縮つてゐるのですから、星を描く形も、圖の上では、頗る小くなつてゐることを、よく考へて下さい。

  星を見るときには、初は必ず、圖を携へ、それと引き比べなければなりません。 圖は簡單ですから、家でよく見て行けばよいやうに思はれますが、實際の空は簡單ではないからまごついてしまひます。 なるべく懐中電燈を用意し、圖を見るときには照し、空を見るときには消し、一々圖によつて見ることが、星を學ぶ秘訣です。

  ハガキの古いのを一枚持つてゐて、それを空にあてがつて、方角や角度をきめると、一層よくわかります。

  星を觀察するところは、山の上か川の堤など、なるべく闇い、そして高いところがよろしい。

  寒い時は、十分に防寒を用意して行かねばなりません。 寒さに氣をとられては、思ふやうに觀察できるものではありません。


(「星の見かた」 2022年9月27日撮影)

 「星の見かた」のページには、二人の少年が、星空のもとで観察するイラストが掲載されています。 (時期的には、賢治の「銀河鉄道の夜」が書き始められた頃の、子供たちの星空観察のイメージです。 一つの理想形、憧れの姿とは思いますが、とても大正時代(100年近く前)のものとは思えません。)

 「天の河」の項には、現在でもおなじみのハーシェルによる銀河系の図(本書では「ハーシェルの考へた星の世界の形」)が掲載されていました。


(「ハーシェルの考へた星の世界の形」 2022年9月27日撮影)

 本書では、「天の河」の不思議なところが説明されたあとで、「奥の知れない宇宙」にかけて、次のような説明があります。

 (略)つまり、わが太陽を始め、あらゆる星がドラ焼のやいな形に集まつてゐるので、太陽はその中心から少しはなれたところにあるのです。 天の河は、ドラ焼きの縁の方を見まはしたもので、その方向には、一番澤山の星が重つて見えるのです。 それならば、このドラ焼の大さはどのくらゐでせう。 つまり天の河の一方の端れから、他の端までは、どのくらい距離があるかといひますと、驚いてはいけません。 三十萬光年あるといふことです。

   奥の知れない宇宙

 しかし、世界は、このドラ焼きで終つてゐると思つてはいけません。 近頃の研究で、そのさきにも廣い廣い宇宙があつて、そのあちらこちらに矢張ドラ焼きが散らばつてゐることがわかりました。 ラセン状の星雲といふのは、昔、そのドラ焼きで、その距離は何百萬光年といふやうなものばかりです。 このラセン状の星雲は、今日までに七八千萬も發見されて居ります。 何といふ廣い廣い宇宙でありませう。

 大正時代の子供たちに宇宙の姿を説明した文章です。 出てくる数字は現在とは異なります。 また、ここで言う「ラセン状の星雲」は、アンドロメダ座大銀河に代表される銀河を指しているものと思われます。

 今日は、賢治の詩「犬」(1922.9.27)から100年。

   犬

 なぜ吠えるのだ 二疋とも
 吠えてこつちへかけてくる
  (夜明けのひのきは心象のそら)
 頭を下げることは犬の常套だ
 尾をふることはこはくない
 それだのに
 なぜさう本気に吠えるのだ
 その薄明の二疋の犬
 一ぴきは灰色錫
 一ぴきの尾は茶の草穂
 うしろへまはつてうなつてゐる
 わたくしの歩きかたは不正でない
 それは犬の中の狼のキメラがこはいのと
 もひとつはさしつかへないため
 犬は薄明に溶解する
 うなりの尖端にはエレキもある
 いつもあるくのになぜ吠えるのだ
 ちやんと顔を見せてやれ
 ちやんと顔を見せてやれと
 誰かとならんであるきながら
 犬が吠えたときに云ひたい
 帽子があんまり大きくて
 おまけに下を向いてあるいてきたので
 吠え出したのだ

 (天文的にみれば)夜明けどきのおおいぬ座(「犬の中の狼のキメラ=天狼」つき)、こいぬ座にも重なる設定です。

 そして・・・。 松島のカフェアルバートさんから、1922(大正11)年のアインシュタインが来日した際に、旧松島駅から五大堂前まで乗車した大崎水電の車両模型の写真(松島電車)を送っていただきました。 軽便鉄道ではありませんが、当時松島への観光用に整備された路面電車です。 (「カフェ・アルバート」はこちら

 その時のアインシュタインが、景勝地松島を訪れ、観月を楽しむという過ごし方は意外でした。 アインシュタイン自身は、薄明の空に浮かぶ月を見て感激したようで、当時の「河北新報」(1922年12月4日(12月3日夜までの取材に基づくと思われる))にも次のような記事が載せられています。

講演会を終つたア博士は本多博士の案内で金属材料研究所に自動車を驅つた、相畏敬する二碩学が肩の摺れ合ふ迄に語らうて、研究所の表玄関に降り立つた時は、唯譯もなく感激に打たれた。 斯くて本館各室を巡覧した、が純學術的な設備や、各研究室の業績を稱揚しながら、切りに質問を發する。 一巡し終りて博士は所長室に小憩すれば、本多博士は、「どうぞお土産に」と、東京以来約束のKSマグネットを贈つた。 博士は心からなる謝意を表して、急がるゝ儘に停車場に向ふ。

ア博士金属材料研究所から停車場に着いたのは發車前十分。三時五分までを待合室の人となるストーブを前にして博士は群がる子供等に愛嬌を振播いて喜ばせる駈けつけた岡本一平君がお手の物の漫画像を博士の閲覧に供せば『上出來上出來』といつて興がる。汽車中の博士は何もかも打忘れたかのやうに今し方見て來た本多博士の研究に對して矢継早に質問する斯くて利府に近づく頃から岡本画伯の漫画報が一座を賑かし案内役本多、愛知博士なども屡モデルを仰付かる、ア博士その横顔のスケツチに註して曰く「鼻に脳髄あり、それはタンク」と、なかなか味をやる松島驛で電車に乗替して漸く海岸に近づけば色とりどりに夕映えした雲の中に十五夜の満月が薄く姿を見せる變り行く窓外の景色に博士は靜かに眺め入る。 海岸での博士は「日本人は僕に土を踏ませない」といつた反撥かと思はるゝ足どりで凍りかけた濘道を歩む。 一行が大宮司氏の東導で白鴎楼に登つた時には朔風がコ甚く肌に耐えるが月は既う五大堂の左上空に麗姿を現して眺めは一段と冴ゆる四阿の細柱に倚りそつた博士は『おゝ月がおゝ月が』といつたのみで動かうともしない。 萬里異域に−と瞑想に耽るものゝやうなこの場面で誰か博士を科學者と言はう暫らくして乾燥を敲けば『イャどんな名工の繪でもどんな精巧な寫眞でも、かういふ自然の美は見られない、日本に來てから初めての景色だ』と頗るお氣に召した面持である振り返りつゝ此處から瑞巌寺に急ぐ山門を潜るなり右手の岩窟に驚く。 政宗さんに面會した博士は顧みて『漫画はどうですか』と一同を笑はせる御成玄關正面左甚五郎の虎や山門の屋根曲線美には噂の如く素人離れのした注意をする松島ホテルの三階の小憩重ね座布團に安座をかいた博士が「大仏さん?」と済まし込めば誰やらが合掌して一座の喝采を博す。 二杯目の博士の為めのコーヒーを前に『僕は娯楽のためには飲まない』と一行の茶呑氣分を解し兼た風、通譯の稲垣君が『誰か欲しくありませんか』といつた言葉をうけて博士は『欲する者は問ひ問ふものは必ず欲すサ』と警句を吐く盡きぬ名残を惜んで松島驛に着いたのは六時過ぎ。 暫らくの時間を利用して伯林の友に松島の繪葉書を送る。 斯くて仙臺に着いたのは七時半ホテルで晩餐を喫ると待つてゐた大學の自動車で學生の歡迎會に向つた


(「アインシュタインの見た月」 2017年12月3日撮影)

9月28日(水)
 晴れ。

 文教大学の鈴木健司さんから『宮沢賢治文学における地学的想像力II 〈岩頸〉表象の検証と精神医学的接近』(蒼丘書林)をお送りいただきました。 いつもありがとうございます。


賢治の新刊
宮沢賢治文学における地学的想像力II
宮沢賢治文学における
地学的想像力II
〈岩頸〉表象の検証と
精神医学的接近
鈴木健司
蒼丘書林

 2011年刊行の『宮沢賢治文学における地学的想像力〈心象〉と〈現実〉の谷をわたる』に続く論文集「地学的想像力II」です。 以下、目次より。 (章題のみ) 第1章 文語詩「岩頸列」 岩頸表象〈南昌山山塊〉/ 第2章 初期短篇「沼森」 岩頸表象〈岩手山麓滝沢方面〉/ 第3章 詩章「風景とオルゴール」 岩頸表象〈豊沢川中流域〉/ 第4章 童話「楢ノ木大学士の野宿」 岩頸表象〈葛丸川上流域〉
補 論 1「隣の引湯」新盛岡温泉について/ 2宮沢賢治は、なぜ南昌山で水晶を採取できたのか/ 3「沼森」の背景
補 遺 1〈種山ヶ原〉の岩石認識について/ 2〈鬼越山〉をめぐって/ 3「十六日」「泉ある家」の成立と〈剣舞〉の問題/ 4聞き書き・宮沢賢治に関する橋本利平氏の証言三題 他



 「賢治の図書館」  鈴木健司『宮沢賢治文学における地学的想像力II 〈岩頸〉表象の検証と精神医学的接近』/(蒼丘書林)を賢治の図書館に追加しました。 詩章「風景とオルゴール」 岩頸表象〈豊沢川中流域〉では、ウェブサイト「賢治の星の風景」のデータを活用していただきました。

9月29日(木)
 晴れ。

 今夜のポール・マッカートニー『THE LYRICS』は、I Don't Know(Single)〜I Will(The Beatles)まで。


(『THE LYRICS』より 2022年9月29日撮影)

 I Don't Knowは、親としての嘆きから発展。 (アルバム、エジプト・ステーションの中では意外な作風と感じていました) I Saw Her Standing Thereの歌詞のアイデアははっきりせず、「青春時代という大きなトロール網に、イルカのように引っかかってしまった」とあります。 I Want to Hold Your Handでは、ジェーン・アッシャーとのこと。 I Willは、「愛の喜びを歌った曲」。愛は「強くて、普遍的な力で」と歌詞に寄せた想いが語られます。

 『THE LYRICS』を読み始めてから、つまらない曲だと思っていたナンバーが突然名曲にも思えるような感動があります。 高額な本でしたが、(今のところ)今年読んだ本では第1位。

9月30日(金)
 晴れ。

 9月もいよいよ最終日となりました。 抱影『星三百六十五夜 秋』(中公文庫)の今日のお題は「中秋名月」

 今年の中秋の名月は、9月10日でしたが、抱影のは9月30日です。

   中秋名月

 すすきは近い野原まで行けばいくらでも生えていて、戦争の間、月に供える畑のものがなかった時でも、すすきばかりは縁側の鴨居にとどくほどだった。 今では、むろん豊秋の実りをこれに添え、電灯を消して、月が座敷の中までさし入るのにまかせている。(以下略)

 月の青い光にも感傷的になりながら、中国で昔、月には宮殿があり、天女が住んでいると考えられていたこと。 そして日本の「竹取物語」のこと、また月人のような生命の存在を現実に信じることのできた時代に思いを馳せていました。


(中秋の名月 2022年9月10日撮影)

 来月発売されるビートルズ「リボルバー」スペシャル・エディションに収録されるトゥモロー・ネバー・ノウズ(テイク1)の先行配信を聴いてみました。 スタジオのエンジニア、ジェフ・エメリック(詳しくは『ザ・ビートルズ・サウンド 最後の真実』にあります)が大きく関与して音作りが行われた作品と言われています。 (オリジナル:Tomorrow Never Knows (Remastered 2009)はこちら(YouTube)、 先行配信のテイク1:Tomorrow Never Knows (Take 1)はこちら(YouTube))

 ではまた来月。



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緑いろの通信

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