事務局だより 第58号
   

The Miyazawa kenji Association Iihatobu Center

事務局だより 第58号
2001,09,07
Office Kenji

宮沢賢治学会
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事務局だより
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事務局だより 第58号
 *第12回定期大会プログラムについて


 21世紀最初の第12回定期大会が、来る9月22日23日の二日間にわたって開催されます。 土・日開催という、絶好の日程となりました。 会員外のかたも参加できますので、どうぞお誘いあわせの上、おいでください。

 9月22日(土)
会場 NAHAN(ナハン)プラザ
       (東北線花巻駅前)
▼第11回宮沢賢治賞、イーハトーブ賞贈呈式
 主催 花巻市     10:00〜12:00
 選考経過報告、主催者あいさつ、受賞者あいさつ、本賞受賞者記念講演
▼定期総会       13:00〜13:45
 議事 (1)二〇〇〇年度事業報告及び収支決算の承認について
    (2)二〇〇一年度事業計画及び収支予算について
▼賢治研究リレー講演  14:00〜15:00
 (1)黒沢勉(岩手県)「「雨ニモマケズ」考」
 (2)マリ 林(千葉県)「賢治とラ・フォンテーヌ」
 (3)木村東吉(島根県)「「カーバイト倉庫」の詩人が見つめるもの−「早春独白」と併せ読むとき−」
 (4)カレン・コリガン=テイラー(アメリカ)「未定」
 (5)宮静枝(岩手県)「春の修羅について」
▼イーハトーブサロン  15:15〜16:15
 −私と賢治−
 「私と賢治」というテーマで参会者が、5分間の中にそれぞれの思いを気軽に述べ合うコーナー。 発表者への記念品として、今年も「イーハトーブ館図書券」(5百円券2枚)を用意いたしますので、どうぞ皆様ふるってご参加ください。 当日会場にて申し込みを受け付けます。
▼参加者交流・懇親会  16:30〜18:00
 1日目の行事終了後、同会場にて、参加者交流・懇親会を開催いたします。 会費千円、当日会場にて受付いたします。

 9月23日(日)
会場 宮沢賢治イーハトーブ館
▼研究発表       10:00〜12:00
1藤森敏夫「「農民芸術概論綱要」に登場する童話の主人公たち」
 「農民芸術概論綱要」の一語一語からは、菩薩行の道を歩む賢治の、大地を見つめて立つ姿が浮かんでくる。 と同時に、なおも続く菩薩行の歩みの姿も浮かぶ。
 難解な言葉が連なる本書は、「賢治の成熟した理想の凝縮物」(マロリー・フロム氏)とされている。 私には全体を理解することは難しいが、所々に「思いあたる」ところがあって、そこを童話の主人公と重ねて読むと、「わかった」よう気がしてくる。
 例えば、『世界に対する大いなる希願をまず起こせ 強く正しく生活せよ 苦難を避けず直進せよ』である。 ここで言われていることは、いつでも、誰にでも求められることだ。
 しかし、これだけではよくわからない。 これを「グスコーブドリの伝記」や「鳥箱先生とフウねずみ」の主人公と重ねて読むと、その主人公が理解を助けてくれる。
 本書は、童話の主人公と賢治との出会いを深める案内書にもなっている。

2藤尾昌裕「『銀河鉄道の夜』登場植物の生育時期に関する一考察」
 『銀河鉄道の夜』の登場する植物は多岐にわたる。 先行研究でも度々取り上げられるトマトや苹果(りんご)をはじめとして、実にその数三十数種(数え方により異同あり)に及ぶ。 同時に、これら植物に着目して「作品中の季節」に言及する研究もいくつか見られる。 しかし、植物の生育時期を明示して主張を行った研究は発見できななった。
 本発表では『日本国語大辞典 第二版』(小学館 刊)で「テクスト内の名称で呼ばれることのある植物」(例、「野ぎく」→ヨメナ・ユウガギク・ノコンギク)を抜粋し、これらの植物学的に生育時期を示す。 そこで明らかになった各々の植物の生育時期を比較することで、「テクストに登場する植物」の生育時期の特徴と、そこから読み取れる事柄を明らかにする。

3杉浦嘉雄「『銀河鉄道の夜』に潜む「南中現象」を探る」
 宮沢賢治は、実際に出会った自然や科学的データから「自然のメッセージ」を把握し、その感動や物語を人々に伝え続けた自然の通訳者=インタープリター≠ナあり、彼の作品は「自然のメッセージ」がちりばめられた自然の翻訳書≠ナある。
 賢治の代表作『銀河鉄道の夜』を、右記の視座に基づいた、科学的分析及び共時性を重要視した考察をすることによって、この物語の描写の背景に多様な「南中現象」が潜在していることを明らかにする。
 また、賢治は何故に科学的「南中現象」を特別な思い≠ナ眺めたのであろうか−その真相を「南中」に関連する作品や行動を手掛かりにして探求し、賢治独自の宇宙観(=コスモロジー)の特徴の一端を解明する。

4板谷栄城「鏡鏡鏡鏡の正しい読み方」
 周知のように賢治は音楽を愛聴し、また歌うことが好きであったが、その声は明るくのびやかなものであったと伝えられる。 また童話「双子の星」を弟妹たちに読んで聞かしたという話も伝わっているから、童話もしばし音読していたと考えられる。
 当然その詩は音読を前提として書かれたと思われるので、賢治の詩を鑑賞したり研究する場合にも、思考による字句の吟味だけでは不十分であり、聴覚による音調の把握も必要であろう。
 近年、その詩を朗読して鑑賞する機会が増えたことは好ましい傾向であるが、「雨ニモマケズ」の場合にしばしば見られるような、思い入れ過剰な悲壮感に満ちた朗読は、あまり好ましくないと考える。 特に児童教育の場にそのような「雨ニモマケズ」の朗読を持ち込み、さらにその暗唱を強制するようなことは、賢治に対する誤った先入観をもたらすので、有害であるとさえいえよう。
 賢治の教え子の故沢里武治によれば、賢治自身の詩の朗読はきわめて抑揚にとみ、しかも明るいものであったという。 そこで、卒業後もしばしば賢治宅を訪れ、その身振り手振り口ぶりを記憶された沢里武治による詩「岩手軽便鉄道の一月」(「鏡を吊るし」)の朗読ビデオによって、賢治の朗読の様子を偲んでみたいと思う。
 沢里武治は賢治の教え子であるが音楽の才能に恵まれ、花巻農学校の楽団(沢里は「ガラクタ楽団」と称していた)の主要メンバーとしてオルガンを担当していた。 沢里はしばしば賢治の詩の朗読の聞き役を勤めたが、時々内容とは無関係に「おう!山猫!」などと合いの手を入れると、賢治は跳び上がって喜んだという。

▼ポランの広場      13:30〜15:00
 本年のポランの広場は、先月旗揚げしたばかりの、イーハトーブ子ども劇団による「なめとこ山の熊」(脚色 照井登久子、構成・演出 鹿川比呂志)の上演です。 どうぞお楽しみに。

▼宿泊のご案内
 花巻観光センターをご利用下さい。 市内すべての宿泊施設をご案内いたします。
      電話 0198-31-2244


 *賢治祭関連行事のご案内


 …9月20日(木)
 ◆花巻農業高校「賢治先生を偲ぶ会」
  ○佐藤栄二さんの講演、花巻農業高生による合唱、演劇、鹿踊りほか
   午前9時から 会場・花巻農業高校

 …9月21日(金)
 ◆宮沢賢治句碑除幕式
   午後1時00分 会場・南斜花壇

 ◆賢治祭
  ○午後5時 献花
   午後6時 鹿踊り、詩の朗読、合唱、野外劇、座談会など
   会場 桜町雨ニモマケズ詩碑前(雨天の場合、花南地区社会体育館)

 …9月23日(日)
 ◆宮沢賢治記念館開館記念行事
  ○午前9時 胡四王神楽
   会場・宮沢賢治記念館前庭
  また、9月20・21日の2日間、花巻市内の中学校・高校。イーハトーブ館にて、風のセミナー10講座が開催されます。   日程のチラシを同封いたしましたので、ごらんください。
  (日程はこちら(花巻市のホームページ)にあります。)


 *会費納入のお願い


 本会の会費は、毎年4月から翌年3月までが年会費となっております。 今年度の会費未納の方には、今回事務局だよりとともに郵便振替の用紙を同封いたしました。 同時に、会費の受納は随時受け付けておりますので、イーハトーブ館への来館のおり、郵便局、銀行へお立ち寄りの際納めてくださっても結構です。
 なお、すでに納入されているにもかかわらず振込用紙が同封されている場合は、お手数ですがご一方いただければ幸いです。 また、このお知らせと行き違いにお支払い済みの場合は、何卒ご容赦願います。

郵便振替口座02330=7=26637
岩手銀行花巻支店普通口座0480908
名義 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
会費年額 一般・3,000円 学生・1,500円
     賛助会員・30,000円

 なお、昨年度会費未納の方で、本年9月末日までにお納めいただけない場合は、やむなく退会扱いとさせていただいておりますので、どうかお早めにご納付ください。


 *「宮沢清六さんを偲んで」原稿募集
   編集委員会


 宮沢賢治イーハトーブセンターでは、顧問であり、宮沢賢治御実弟の宮沢清六氏のご逝去を悼み、去る6月29日宮沢賢治記念会との共催にて「偲ぶ会」を開催してきたところです。
 続きまして、会報24号にて、会員の皆様による「宮沢清六さんを偲んで」の特集を企画しております。 ここに皆様の原稿を募りますので、どうぞお寄せください。

 ■枚数 800字程度
 ■締切 2002年1月末日
 ■宛先 宮沢賢治学会イーハトーブセンター編集委員会・会報係


 *図書・資料受入れ報告(2001年3月21日〜5月7日)


【寄贈図書】
〔配列は受入れ日順で、記載項目は、寄贈者(出版社)・書名・発行所(寄贈者・寄贈出版社が同じ場合は略)の順〕
・梅光女学院大学日本文学会『日本文学研究』36号
・花巻農業協同組合『ぽらーの花巻』36・37号
・金城学院大学国文学会『金城国文』
・花巻農業高校『「賢治先生を偲ぶ会」記念読書感想文・作文集 イーハトーヴの仲間たち』
・田口昭典『あるびれお通信』571〜578号
・西田良子『大正十年の宮沢賢治−賢治と国柱会』(『熊本大学 国語国文研究第36号抜刷』
・中野隆之『黒葡萄』17号
・法研『お元気ですか』126号(アクア出版・刊)
・黒澤勉『医事学研究』14・15号(岩手医科大学医事研究会・刊)、『文宛』7号
・菅原實『層 復刊第5号』
・山猫通信編集室『山猫通信』106号
・鎌倉・賢治の会『かま猫通信』52・53号
・四国大学国文学研究室『うずしお文藻』14号
・佐々木民夫『岩手郷土文学の研究』2号(岩手郷土文学研究会・刊)
・平澤農一『銀河鉄道新報』3号(関西・賢治の会・刊)
・筑摩書房『ちくま』361・362号
・歴程社『歴程』480・481号
・上智大学国文学科『国文学科紀要』18号
・上智大学国文学会『国文学論集』34号
・くまがや賢治の会『ミミズク通信』16号
・新世界社『新世界』6144・6145号
・国立国会図書館国際子ども図書館『国際子ども図書館の窓』1号
・松田司郎『ワルトラワラ』14号(ワルトラワラの会・刊)
・新美南吉記念館『記念館だより』81号、『研究紀要』7号
・伊藤光弥『イーハトーヴの植物学』(洋々社・刊)
・佐藤栄二『銀河地人通信』14・15号(路傍舎・刊)
・中原中也記念館『館報2001』
・高橋万里子『街もりおか』400号(杜の都社・刊)、『りらく』9号(りらく社・刊)
・新潮社『宮沢賢治万華鏡』(天沢退二郎・編)
・実践国文学会『実践國文学』59号
・大橋和夫『絵本 雁の童子』
・フォーラム21少年少女合唱団『第8回定期演奏会プログラム』
・県立神奈川近代文学館『子どもの本の世界展示図録』
・田口昭典『宮沢賢治入門」(25)宮沢賢治の受けた教育』(コピー)
・長沼士朗『風船』4号
・白石書店『作家の風景I II』(小松健一・著)
・文教大学女子短期大学部現代文化学科『文藝論叢』37号
・跡見学園女子大学国文学会『国文学科報』
・東京女子大学学会日本文学部会『日本文学』
・宮城教育大学国語国文学会『国語国文』27号
・中川真平『イーハトーブ海岸』5・6号
・田川紀久雄『詩語りの旅I』101号
・ダ・ダ・スコ編集室『ダ・ダ・スコ』55号
・青山学院大学日本文学会『日本語文』31号、『緑岡詩林』25号(青山学院大学日文院生の会)
・宇治市『紫式部文学賞・市民文化賞10周年の記念誌』
・二松学舎大学『論集』44号、二松学舎大学東洋学研究所『研究所集刊』31集、二松学舎大学大学院文学研究科『紀要二松』15集
・甲南大学『紀要文学編118』
・游氣の塾『游氣風信』136号
・田口昭典『北東北郷村教育』10号(北東北郷村教育学院・刊)
・アトリエ・クレ『風蒼 Field Work I II』(風蒼・刊)




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