事務局だより 第42号
   

The Miyazawa kenji Association Iihatobu Center

事務局だより 第42号
1998,7,6
Office Kenji

宮沢賢治学会
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事務局だより
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事務局だより 第42号
 *夏季特設セミナー開催のご案内
長期企画 宮沢賢治「文語詩」の謎にせまる(その2)


 「宮沢賢治文語詩」をめぐって、4年間にわたる長期企画「夏季特設セミナー」の2回目が開催されます。
 入沢康夫さんのコーディネーターにより、昨年は岡井隆さんによる講演、続いて、島田隆輔さん、栗原敦さんによる研究発表がありました。 今回もまた、謎にみちた「宮沢賢治 文語詩」を多角的に掘り下げ、最終的にはその研究成果を研究報告集としてまとめる予定でおります。
 盛夏の花巻へ、夏休みを利用して、どうぞ皆様おいでください。
 開催要項は次のとおりです。

◆期 日 98年8月1日(土)・2日(日)
◆会 場 宮沢賢治イーハトーブ館
◆コーディネーター 入沢康夫(詩人・明治大学教授)

第1日(8月1日)
(1) 受  付 13:00〜
(2) はじめに 14:00〜15:00 入沢康夫
(3) 講  演 15:00〜17:00
 『宮沢賢治「文語詩」について(仮題)
 講演 高橋世織(本学会理事・早稲田大学教授)
(4) 交流会・懇親会
17:30〜18:30
 希望者による会費制(千円、当日会場にて)

第2日(8月2日)
(5) 研究発表 10:00〜12:00
1村上英一「作品研究「朝」」
 文語詩「朝」について作品論を試みる。 「朝」は、双四聯の文語詩で、対や脚韻を駆使し、ラ行音が効果的に使われ、韻律の整った詩である。 「遠き讒誣の創傷」と過去の労苦を暗示させなながら、旱の田に待望の水が入る喜びに満ちた情景を、音、色、光、感触いう五感に響く豊かな表現の中で歌いあげている。
 この作品は口語詩[アカシヤの木の洋燈(ラムプ)から]を文語詩に改作したもの。 口語詩は、心象表現のない叙景詩であるが、下書稿を見ると「讒誣の創傷(あと)」という自身の心象の書き込みに腐心しつつも、納得のいく表現を得られなかったことが分かる。
 「心象スケッチ」である口語詩において断念した心象テーマを、心情的なものを排除する傾向にあると言われる文語詩において結実させている点、この作品の大きな特徴といえるだろう。

2澤田由紀子「「心象スケッチ」としての「文語詩稿」」
 「文語詩」は従来「心象スケッチ」とは切り離されて論じられてきたが、「(すべてわたくしと明滅し/みんなが同時に感ずるもの)」とする「心象スケッチ」の世界の把握のあり方は、文語詩にも通底しているものと考えることができるのではないだろうか。 叙述の方法としてだけでなく、世界を見渡す視点として「心象スケッチ」を捉えるとき、「文語詩稿」において賢治が世界を描写していったその本意は、構成された空間性とともに、心象の揺らぎと世界の揺らぎの呼応を描写する事によって、世界の実相を流動を伴ったものとして描こうとしたのではないかと考えている。 このことを、具体的に「文語詩稿」の中の詩篇を、連の構成別に取り上げることによって、指摘してみたい。 連の構成は描写に定型性をもたらすものとして、描写の内容の関連性を見てゆきたい。

3赤田秀子「作品論〔日本球根商会が〕
 関連作品の口語詩「病院の花壇」、短編「花壇工作」、文語詩未定稿「モザイク成り」などの作品を参考にして、文語詩として定稿に至るまでの過程を検討し、また作品の背景になったと思われる伝記的事柄も確認し、この作品の解釈と鑑賞を明快にしたい。
 宮沢賢治の文語詩の魅力とは何か、伝統的文学とは異なる独特な語彙の構築、その手法について考えてみたい。
 そのうえで、賢治にとって、文語詩未定稿とは何か、これまでの代表的な概論と照応しながら考察したい。
◆受講料 無料
◆申込 電話か葉書で本会事務局まで。
 〒025-0014 岩手県花巻市高松1-1-1
 電話 0198-31-2116
◆宿泊 お手数でも各自お手配ください。 花巻観光センターは、市内すべての宿泊施設のご案内をいたします。
 電話 0198-31-2244
◆ 本会の催しものはすべて会員以外のかたも参加できます。 お誘いあわせのうえ、ご参加ください。


 *イーハトーブ館ショップ 猫の事務所(ご案内)


 イーハトーブ館ショップ「猫の事務所」の書籍等販売図書をお知らせいたします。 宅配もしておりますのでどうぞご利用ください。
 なお、会員は5パーセント割引となります。
▼日本図書刊行会
・須田浅一郎『宮沢賢治に酔う幸福』(価格1,400円+税)
▼新曜社
・赤田秀子・杉浦嘉雄・中谷俊雄『宮沢賢治鳥類学』(価格3,300円+税)
▼筑摩書房
・ますむらひろし『イーハトーブ乱入記』(価格660円+税)
▼洋々社
・間村俊一画集『ジョバンニ』(価格10,000円+税)
▼フランス図書
・『Traversee de la neige』(価格1,344円+税)
・『LE COQUILLAGE FEU』(価格3,486円税込み)
▼双文社
・奥山文幸『宮沢賢治「春と修羅」論』(価格3,300円+税)


 *定期大会 第8回研究発表会 発表者募集


 本年も、当定期大会のプログラムの一つとして、宮沢賢治研究発表会を下記のとおり開催いたします。 ここに、その発表者を募集いたしますので、どうぞご応募くださいますようご案内申し上げます。

 期日 9月23日(水・祝) 午前10時から
 会場 宮沢賢治イーハトーブ館
 発表時間 発表時間20分、質疑時間10分とし、一人(一件)の持ち時間を30分。
 発表者数 会場と時間の都合で、人数を限らせていただくこともあります。
 申込方法 所定の申込用紙に発表要旨(四百字以内)を添えて事務局あてお申込みください。 申込用紙は事務局に請求してください。
 締め切り 7月31日(事務局必着)
 選考 申込者が定員を上回る場合は、大会実行委員会において、発表者を選考させていただきます。
 発表資料 発表者は発表会場用資料として、800字以内の要旨を提出してください。 これ以外の必要とする資料は、発表者において準備願います。  なお、研究発表の記録集を作成するため、後日発表の内容を原稿にして提出願います。
これらのことについては、発表者あて別途ご連絡いたします。
 その他 発表者の旅費は各自負担願います。


 *会報16号の訂正について


 『会報16号 黄水晶』中「聞き書き 大津三郎のこと」の内容について、執筆者の中村節也さんより、聞き取り内容についてミスがあったと申し出がありましたので、次のように訂正願います。

- 正誤表省略 -

 なお、日出さんが伝え聞いた話では、賢治は早朝の事なので私鉄を利用せずに、蒲田駅から歩いて通ったとのことです。 大津宅まで2.5kmほどあります。


 *「猫の事務所」オリジナル・エプロン頒布について
(御礼)


 事務局だより前号におきまして、イーハトーブ館内「喫茶コーナー」オリジナルエプロンを50着以上のお申込にて頒布する旨ご案内いたしましたところ、多数のお申込があり、ただいま急いで制作に入っております。 ここに御礼申し上げますとともに、注文されました皆様には、いましばらくお待ち願います。
 なお、少し多めにつくりますので、追加注文を受付いたします。 ただし数に限りがございますので、品切れになり次第締め切らせていただきます。


 *イーハトーブ館 企画展示
「宮沢賢治・イギリス海岸」展のお知らせ


 宮沢賢治イーハトーブ館では、7月1日より、「宮沢賢治・イギリス海岸」展がスタートしました。 宮沢賢治が「イギリス海岸」と名付けた北上川河岸を、賢治の教育者・科学者・詩人の集大成の場所として、わかりやすく紹介するもので、監修は宮城一男さん(秋田桂城短期大学長)です。 展示は12月27日までとなっておりますので、どうぞ皆様おでかけください。


 *図書・資料受入れ報告(1998年4月26日〜)


【寄贈図書】
〔配列は受入れ日順で、記載項目は、寄贈者(出版社)・書名・発行所(寄贈者・寄贈出版社が同じ場合は略)の順〕
・杉原正子『比較文学・文化論集14号』(東京大学比較文学・文化研究会・刊)『青山語文28号』(青山学院大学 日本文学会・刊)『緑岡詞林22号』(青山学院大学日文院生の会・刊)
・井上允邦『ほん247号』(東大生協『ほん』編集委員会・刊)『銀河ステーション1〜3号』(早大宮沢賢治研究会・刊)『くらかけ山』(早大宮沢賢治研究会・刊)『U.P.L.Philately 1998』(大学郵趣連盟・刊)
・森本智子「宮沢賢治と〈造園学〉- 「装景」との関わりを中心に -」(『武庫川国文』第51号抜刷)
・田口昭典『あるびれお通信』420・421号
・実践国文学会『實踐國文学』53号
・名古屋女子大学『紀要人文・社会編』44号
・筑摩書房『ちくま』326号
・市立小樽文学館『市立小樽文学館報』17号
・高橋富子「1998/4/30東京新聞記事」
・澤田由紀子「森茂起 宮沢賢治の心理学」「森茂起 宮沢賢治と精神分析学」(『甲南大学紀要』抜刷)『日本語学コピー16巻 10号』
・サンマーク『サラ・ストロング The Twin Stars』((財)国際言語文化振興財団・刊) ・真世界社『真世界』6109号
・宮沢賢治記念館『宮沢賢治記念館通信』58,59号
・安田女子大学大学院文学研究科『安田女子大学大学院文学研究科紀要』3号
・宗像和『ビデオテープの宗像和・声の音楽』
・にいがたマグノリアの会『マグノリア』9号
・田口昭典『あるびれお通信』422・423号
・信時哲郎「宮沢賢治の手ざわり」(『神戸女子短期大学環境文化研究所紀要」抜刷・神戸山手女子短期大学・刊)
・歴程社『歴程』451号
・上智大学国文学科『上智大学国文学科紀要』15号
・上智大学国文学会『上智大学国文論集』31号
・川村光夫「青江瞬二郎戯曲 デクノボー」(『悲劇喜劇』コピー)
・筑摩書房『ますむらひろしイーハトーブ乱入記』
・宮沢賢治研究会『賢治研究』75号
・宮沢賢治を語る会『でくのぼうたより』19〜22号
・釧路宮沢賢治を語る会『マグノリア』62号
・跡見学園女子大学国文学科『国文科報』26号 ・田口昭典『あるびれお通信』424・425号,『北域』(北域社・刊)
・筑摩書房『ちくま』326号
・清水正『D文学通信』382号〜423号(D文学研究会)
・斉藤征義『苫小牧民報コピー』『ほべつ町パンフレット』
・大竹由美子『かま猫通信』27号(鎌倉・賢治の会)
・山猫通信編集室『山猫通信』89号(鎌倉・賢治の会)
・洋々社『間村俊一画集ジョバンニ』
・松田司郎『ワルトラワラ』9号(ワルトラワラの会)
・花巻東高等学校図書編集委員会『東雲』9・10号
・佐藤信夫『大田カルテット物語』
・鈴木健司『KOJIRO AND BEARS コピー』(Collins Publishers・刊)『KENJU'S FOREST コピー』(Angus & Robertson・刊)『THE NIGHT HAWK STAR コピー』(RED FOX・刊)
・赤田秀子『賢治鳥類学』(新曜社・刊)




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