星空のどの部分を写しているのか?
入場券は、「宮沢賢治記念館」「入場券」「花巻市」の文字と、童話「銀河鉄道の夜」をイメージしたイラストから構成されています。
背景はカラーの天体写真で、星が画面いっぱいに写しこまれています。
するとどこかで、ふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションと云う声がしたかと思うと、いきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万の螢烏賊の火を一ぺんに化石させて、そら中に沈めたという工合、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと獲れないふりをして、かくして置いた金剛石を、誰かがいきなりひっくりかえして、ばら撒いたという風に、眼の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは思わず何べんも眼を擦ってしまいました。
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俄かに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。見ると、もうじつに、金剛石や草の露やあらゆる立派さをあつめたような、きらびやかな銀河の河床の上を、水は声もなくかたちもなく流れ、その流れのまん中に、ぼうっと青白く後光の射した一つの島が見えるのでした。 その島の平らないただきに、立派な眼もさめるような、白い十字架がたって、それはもう、凍った北極の雲で鋳たといったらいゝか、すきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久に立っているのでした。
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入場券の星を詳しく解説
下の図は、さらに入場券の範囲を拡大したものです。
写真の原版を見たわけではありませんので、どのような形で処理されたかは不明ですが、色がかなり青い色に処理されています。
35ミリのカメラで撮影の場合、50ミリ(標準)レンズかあるいは35から28ミリ程度のもので撮影されたものでしょう。
「もうこゝらは白鳥区のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測所です。」 窓の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟ばかり立って、その一つの平屋根の上に、眼もさめるような、青宝玉と黄玉の大きな二つのすきとおった球が、輪になってしずかにくるくるまわっていました。 黄いろのがだんだん向うへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進んで来、間もなく二つのはじは、重なり合って、きれいな緑いろの両面凸レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみ出して、とうとう青いのは、すっかりトパースの正面に来ましたので、緑の中心と黄いろな明るい環とができました。それがまただんだん横へ外れて、前のレンズの形を逆に繰り返し、とうとうすっとはなれて、サファイアは向うへめぐり、黄いろのはこっちへ進み、また丁度さっきのような風になりました。銀河の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所が、睡っているように、しずかによこたわったのです。
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(1)「宮沢賢治全集」ちくま文庫
(2)草下英明著「宮澤賢治研究業書1 宮澤賢治と星」学芸書林
(3)原恵著「星座の神話」恒星社恒星閣
(4)藤井旭著「星座ガイドブック春夏編」誠文堂新光社
(5)林完次著「宙ノ名前」光琳社出版
(6)山田卓著「ほしぞらの探訪」地人書館
(7)山田卓著「新訂ほしぞらの探訪」地人書館
(8)山田卓著「夏の星座博物館」地人書館
(9)平沢康男著「新訂初歩の天体観測」地人書館
(10)Erich Karkoschka著 監訳村山定男 訳白尾元理「フィールド版スカイアトラス」 丸善
(11)小林さえか著 アストロアーツ編「星座ガイド[夏編]」アスキー出版局
(12)藤井旭監修 アストロアーツ著「マルチメディア天体観察」アスキー出版局
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