賢治を止めた高浜駅
   

賢治を止めた高浜駅


Kenji & Event

2000年12月10日 賢治を止めた高浜駅

高浜駅


常磐線高浜駅に行ってきました。 この駅は、賢治の手紙に出てくる駅です。 【新】校本宮澤賢治全集第15巻書簡、本文篇24ページ、大正5(1916)年、16〔8月1日〕保阪嘉内あて葉書の文章です。

この間は御葉書をありがたう  あれは岩手県の花巻で拝見致しました  休みになつたら旅行とか湯治とかとにかく自分の宅に帰つては悪いと云ふ様なあなたの心持をとても頭から感激の極と云ふ事に致しました。 昨日海岸線が二時間高浜と云ふ千葉県(?)の停車場で洪水の後始末を待つたあとで上野駅に着きました。 私はこんな事をよく知つて居ります。 何となれば私はこれに就て科学の依て立つ所の最正確な立場に居りましたから。 則ち私はそれを実見したのです。 さて、今日から例の講習であります。 先生の態度が気に入りました。 みなさんによろしく。

全集校異篇の解説資料によると、賢治は1916年7月30日夜に花巻を出て、31日に上野駅に着き、翌8月1日に書いたものと推定されるとあります。 手紙に出てくる「海岸線」は、現在のJR常磐線です。 手紙では、洪水の後始末で、この高浜駅に2時間も停車させられたというエピソードが記されています。 「千葉県(?)」とあるのは、「茨城県」の誤りですね。 もっとも、岩手に住む賢治からみれば、千葉県や茨城県も同じようなイメージだったかも知れません。

☆常磐線高浜駅にて☆
   

駅前の看板
高浜駅は、常磐線土浦駅から水戸方面に各駅停車で、2駅目にある小さな駅です。 写真は駅前の看板です。 看板にもあるとおり、霞ヶ浦付近の好つり場として有名な場所です。

駅のホーム
駅は小さな駅で、改札と待合室があるだけの簡素なものです。 ホームにも「楽しさいっぱい つりの高浜」と大きな看板が出ています。

ホームにて(1)
これが賢治が止められたであろう上りのホームです。 写真の奥が上野駅方面です。 駅のすぐ南側には恋瀬川という河川があり、この川の増水が賢治を阻んだ最大の要因と思われます。

ホームにて(2)
ちょうど日没どきでした。 真っ赤な夕焼けがとてもきれいでした。 この付近から見る筑波山は長く裾野をひく姿が有名で、とても美しいのですが、この日は見ることができませんでした。 この一帯はほとんどが水田で、賢治の訪れた時代とほとんど変わりない風景のはずです。

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