「たけくらべ」で有名な樋口一葉(1872-1896)の見た夜空です。
一葉の残した多数の日記のなかには、月の様子などを記した部分がいくつか残されています。
そんな記述を手がかりに、その夜空をシミュレートさせてみました。
「全集 樋口一葉3/日記編」(1)で、本郷菊坂町住まいの頃を綴った「よもぎふ」期の日記、
「につ記」から明治25年9月5日付けの部分は次のように記されています。
五日 曇天。芝より兄来る。「薩摩陶器の土瓶、かひてあらば売りたし」とて五箇ほど持参。
「我家にても一ツあがなひ度し」などいふ。
日没まで遊びて、帰路、諸共に万世橋まで行く。
兄君はこれより馬車。
おのれと国子は小川町に廻りて焼あとの新築を見、東明館に墨をかふ。
今宵、旧七月の十五夜也。
夕方より一点の雲なく成りて、名月の光り何ともいへず。
お茶の水橋に虫の声きゝながら暫時たゝずむ。
帰路にはがきをかひて、田中君に各評出詠断りを出し、小がさ原君に数よみ出席断りをいふ。
家に帰りても月の光見捨てがたく、板敷のもとで更るまで一人起居たり。 |
(1)「全集 樋口一葉3/日記編」小学館
(2)高橋和彦現代語訳「樋口一葉日記」アドレエー
(3)「新潮日本文学アルバム 樋口一葉」新潮社
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