「しつもん」  葛飾の「かつ」ってどう書くの? のどれ?   正解は


 NTTのサーチエンジンで「葛飾」を検索して、知りました。検索の理由は葛飾区が「葛」の字に古い字を主張していると聞き、事実かどうか、またなぜなのかを知りたかったからです。グラフィックでの「葛」の字は確かに古い字を使っていますが、その他はみんな「葛」の字を使っていますね。混乱するのでワープロで出てくる「葛」に統一したらどうでしょうか。そんなにこだわらなくとも良いのではないでしょうか。渋谷区が、「澁谷区」が正しいと主張しているという話は聞きませんし(昔の古い地図だと「澁」になっています)。

お名前= 渡口 潔さん/email= wkaa9546@miti.go.jp


 メールのご質問にお答えいたします。総務部広報課長の回答です。お答えをするにも3通りの「葛」を表現出来ず困っております。従って、下の部分を、()内に、人、ヒ、メと表します。(困ったもンですね。)まず、「葛(人)」とされている経緯について出版物より紹介します。

 『「漢字語源辞典」の著者、藤堂明保さん(60歳)は「どこが変ったのかわからないような“新旧のごった煮字”をつくったことが、字体表の最大の欠陥だ」と批判する。“ごった煮”の実例が、私たちの身の回りに多過ぎないか。「葛(人)」と「葛(ヒ)」「葛(メ)」が同じ葛飾区役所で三通りも使われている。これはどうしたわけか、と読者から電話が来た。

 私たちは、さっそく調べに出向いた。なるほど「葛(人)」が正面玄関口の張め込み板に。「葛(ヒ)」が隣り区議会入り口のに。「葛(メ)」は、区役所西側の高さ15メートルもある「交通安全宣言塔」に大書されていた。庁舎を管理している区の総務課長安田栄一さんが、びっくりした。「えっ、三つも違う字がありましたか。正字は「葛(人)」でしたね。それに統一しなければ・・・」では、「葛(人)」以外の二字は全くのでたらめ字なのか。そう言い切れるものなのだろうか。

<表外にも”当用風”>  「かつしか」の「かつ」は「葛(人)」か「葛(ヒ)」かそれとも「葛(メ)」か。新聞社が使っている活字を調べてみると、二種類あった。A社は「葛(人)飾区」、B社が「葛(ヒ)飾区」。どっちが”正字”なのか。こ存じのように「葛(人)」は当用漢字表外の字だから、字体表に当たってみるわけにはいかない。「大字典」(上田万年ら共編、講談社)には「葛(人)」は正字で「葛(ヒ)」は俗字、と出ている。

 文化庁国語課に見解をただしてみた。

 「いわゆる表外漢字は”野放し”同然です。何が正字か、決められていないのですから、辞典を頼りに判断するしかない。ただ、常識的には、康煕辞典の字体を中心にした字体が、正字体とされている。それに従うと「葛(人)」が正字ということになります。」(松原純一専門員)ならば「葛(ヒ)」の活字体がどうして派生したのだろう(手書きでは古くからこの字があった)。当用漢字の「掲(ヒ)」、これの旧字は「掲(人)」だった。同様「渇(人)」は旧字で、字体表ではこれが「渇(ヒ)」に変わった。簡略化の系統としては「葛(人)」も、この中に含まれよう。』

                   (『日本語の現場・第2集』読売新聞社会部編、p.178-179)

 以上の様に葛飾区では、葛(ヒ)は、あくまでも俗字という判断です。因みに渋谷区の場合の「渋」と「澁」は共に正字で新字、旧字の関係である(渋谷区広報課)そうです。と、説明しながらもワープロが「葛」を3種に変換してくれないので、不便この上ないと思ってはおります。(よく見ると私の名刺も葛(人)、葛(ヒ)混在です。)


 *『渋谷の「渋」は「澀」が正字のようです。』とのご指摘があった。(3月11日)
 *区立の小中学校への「指導の確認」は教育委員会を通じて、マスコミには広報課長を  通じて「お願い」してもらった。


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