さらに、平成9年度からスタートする新基本計画において、「ヒューマニティに支えられた安全で生活感あふれる都市づくり」を目指し、21世紀を見据えた「高齢社会への対応」、阪神・淡路大震災を教訓とした「不測の災害への対応」、「子どもの健やかな育成」、「環境問題への対応」、「地域・産業の活性化」等を早急に取り組むべき課題として、これらの実現に向けて計画的に施策を推進することとしています。
しかしながら、これらの施策を支える区財政は、いわゆるバブル経済崩壊後の長引く景気の低迷や税制改正の影響を受け、区の歳入の根幹をなす、特別区税収入の落ち込みや特別区交付金の低迷などにより、かつてない厳しい状況におかれています。
この苦境を打開するため、区では2次にわたる事務事業の見直しを行い、事務事業の廃止・縮小や工事単価の抑制、一般事務経費の削減など、歳出の抑制を図るとともに、使用料・手数料等の見直しや国・都からの新たな補助金を確保するなど、財源め確保に努めてきましたが、未だ苦境を脱する状況には至っておりません。
また、景気は回復に向かう動きがみられるものの、今後、特別区税収入や特別区交付金に大きな伸びを期待することは難しい状況にあります。現在示されている税制改正の内容などをもとに、平成9年度以降の財政収支見通しを試算すると、多額の財源不足額が見込まれ、このままでは、新基本計画の実現はおろか、現行の区民サービスの維持さえ困難な状況になりかねません。
こうした厳しい現状に対処していくために、これまで以上に、事務事業の見直しや財源確保に向けての努力が求められており、全庁を挙げて取り組んでいるところです。
本冊子を通して、区民の皆様に区財政の現状と課題をご理解いただき、区と区民との協働で、次の世代に誇りをもって引き継げる明日の葛飾を築いていく一助となれば幸いです。
区財政の今後の見通し