《メイン業務(2) 市民法務関係業務》

何故、遺言書の作成を業務の中心におくのか?

相続・遺言などの後日に争いごとが発生しないよう予防法務を扱います

 区議会議員在職中の「区民相談」や、行政書士の支部会の「遺言書書き方相談会」でとくに遺産分割に関する相談に当たっていると、被相続人が遺言書を作成しておいてくれたら、よかったのにと思うことが少なくありませんでした。例えば、被相続人と妻との間に子がなく、遺産として妻が現に居住している家屋とその敷地のみしかないという場合、被相続人が「この家屋と敷地を妻に相続させる」と遺言をしておいてくれれば兄弟姉妹やその代襲者には遺留分がないので妻はその家屋と敷地を取得し、その後の生活に事欠くこともないのに、そのような遺言がないため妻は兄弟姉妹や甥姪との間で遺産分割をするため家や敷地を売却して今後住むべき住居を失うようなことになってしまいます。また、被相続人に相続人として先妻との間の子と後妻やその子がいるときは被相続人の生存中は表面に出なかった感情的対立が死後の遺産の処理を契機として紛争として表面化することが多いのです。こうした争いは被相続人が遺言書を作成し遺産の処理を指示をしておいてくれれば避けることの出来るものなのです。

 それでも最近では昔に比べると次第に被相続人が死後の遺産の処理のため遺言をする事例はふえていますが、せっかく自分で書いても遺言の方式について正確な知識がないために日付をおとしたり捺印がなかったりしてそのため無効となり被相続人の意図した遺言の執行ができないものがあります。あるいは方式の違背はないものの遺言書の内容が不明確であったり、遺言した当時と財産の状態が変わっていて事実上遺言の執行が出来ないものもあります。

 遺言の内容とはやや違う次元ですが、被相続人は病気が重く死期が迫り身体が衰弱し心も混乱している頃に遺言をするため、本人の看病に努めた本来ならば当然多く遺産を与えなければならない妻に対し一時の感情から何もやらず、それまで被相続人を顧みず病気になってから病院に見舞に来た子や甥や姪に全財産をやるといった遺言をしてしまう事例もしばしば耳にするところです。

 このようなことを避けるためには、我々は常日頃から遺言制度について正しい知識をもち、心身ともに健康なときに正しい遺言書を作成し死後の遺産の合理的な処理をきちんとしておくことが極めて大切であると思います。

 そのため、「遺産」が本来収まるべきところに収まり、事後の争いを防止するという観点から、当事務所では『遺言書の作成』を主たる業務と致します。

 

■行政書士葛飾支部主催「遺言・相続区民相談会」での数年前の相談事例です。

 x年前、xx歳の夫を病気で亡くしたxx歳代の妻です。

 夫の財産の相続についてご相談します。子供のない夫婦の場合.遺言がなければ、法律で相続権は親にもあると聞きました。xx歳になる夫の母親は義兄夫婦と同居していますが、夫の財産の三分の一を相続することを希望しており、驚いています。夫は遺言を残していませんでした。結婚してからxx年以上、私たちは誰からも援助を受けず頑張って生活してきました。互いにもっと早く遺言を書くべきでしたが、夫の闘病中にそんなことは思い付きませんでした。
 法律は法律だし、夫の母だからとの思いもあります。しかし、二人で築いた財産を義母が相続するのは納得できません。実際の生活状況を顧みることなく、縦の続き柄を重んじる法定相続は、今の社会の実情に合わないのではないでしょうか。

注:個人の特定を避けるため年齢等はxxとし、趣旨を変えない範囲で相談者の実際の言葉とは表現を変えています。

 こうして紙に書くと印象は違ってくるのですが、聞いていて「一方的なのでは?」の感じがしました。「誰からも援助を受けず」と言いいますがこれまで「亡夫の母」の世話をしていたのは「同居している義兄夫婦」。相続することを希望するのは実際には義兄夫婦なのでありましょうから、これまで親の扶養をしらんぷりしてきた弟夫婦への怒りが背景にありそうです。ならば、親の扶養の義務を果たす上から夫の財産の三分の一を請求されても仕方ないのかなあと感じました。(仮に、「妻に全財産を与える」の遺言があっても母には六分の一の遺留分があるのですが…。)
 確かに法律は法律なのですが、さりとて法律も万能ではありません。事例のような状況に立ち至る前に親族間で意思の疎通を図っておくことをお勧めし、なおその上で法律を上手に使っていく方策を一緒に考えていきたいと思います。しかし近年は遺留分を請求するケースが増えています。親族どうしで法律の知識を出し合っても、後にシコリを残す原因になりかねません。憎まれ役は、どうぞ専門家におまかせ下さい。


当事務所で取扱う主要な手続き業務

遺言の手続き

 遺言書起案

 遺言書作成 

 (*「公正証書」遺言を希望する場合は公正役場と交渉し、同行します。)

相続の手続き

 相続人及び相続財産の調査

 分割協議書作成

 相続分無きことの証明書作成

 遺言執行書類作成、遺言執行

その他の業務

 内容証明書の作成

 契約書の作成

   (契約書のたった1行1文の有無で数百万、数千万の損害が回避できるかも知れません。)  


木下行政法務事務所
木下行政法務事務所