ウエスト・ロード・ブルースバンドのアルバム紹介

「BLUES POWER」


記念すべきファースト・スタジオレコーディング。ブルースを演ろうと思った若い奴等はこのバンドの後に続くことが目標だった。日本のバンドブルースの金字塔に輝くアルバム。1975年春リリース。75年月5月号のニューミュージックマガジンの「今月のレコード」でブルース評論家の日暮氏は75点という辛い採点を付けた。要約すると「ヴォ−カルが弱い、音程が悪い、原作の良すぎる曲を選びすぎる、落ち着いた気分では聴いていられない」等散々です。このアルバムのライナーは中村とうよう氏が書いていますが、当然好意的な内容になっています。ここで思い出すのは中村氏のB・Bキングの批判です。ウエストはB・Bキングと共演したこともありますし、B・Bのナンバーも数多く取り上げています。中村氏のB・B批判に真っ向から反論した日暮氏が今回は中村氏がライナーを担当したウエストをやっつけています。なんだかややこしい話になってしまいましたが、よくこの二人はやりあっていました。もし、このアルバムを京都で録音していたら、京都のライブハウスを借り切ってスタジオライブ形式でやってたら・・・なんて考えてしまいます。初めてのスタジオ録音なれないスタジオでの作業、限られた時間の中で悪戦苦闘しながら出来上がったアルバムです。日暮氏もウエストが憎たらしくて辛い点数を付けたわけではないと思います。日本を代表するウエストならもっと出来るはずだ、ちがうアプローチがあったはずだ・・・確かに日暮氏の意見も一理あると思います。アメリカのブルースミュージシャンと比較されてはウエストにとっては酷な話だと思います。やっとブルースが芽生えた日本で出来が上がった国産のバンドブルースのスタジオ録音。まだ、みんな手探りでした。あえて、ブルースの名曲に果敢にトライしたウエストのメンバーに敬意を表したいと思います。ストーンズだってそうだったではないですか。

「LIVE IN KYOTO」

ホームタウン京都でのライブ。メンバーも変わりサウンドも変わりました。しかし、彼等のライブバンドとしての魅力は充分に発揮されています。高水準な演奏が楽しめます。なんのギミックもなくこれだけの高い演奏力を発揮できるのですからこの当時のウエストは本当に凄かった。ある日、某私鉄の駅でギターの塩次氏がギターを片手に持ち佇んでいました。わたしは勇気を出し話しかけました。「林のバンドか」と言って気さくに話してくれました。丁度このライブが出た直後で色々裏話を伺いました。ダウン・ホーマーズでこれから次郎吉でライブだと言っていました。日本一のブルースギターリストとお話することができて感激した思い出があります。


1985年にリリースされたリユニオンアルバム。ファーストから10年、円熟したウエストがオリジナルメンバーで帰ってきました。ホトケさんのボーカルの素晴らしいこと。バンドは確実に成長するものなのです。ヒップホップ、レゲエ等幅広くトライしています。


1995年のニューヨークでのライブ。おれたちは20年以上もブルースを演奏しているんだぜ!というホトケさんのMCにまず感激! もうウエストは世界的なバンドに成長しています。ハイ・リズムのチャールズ・ホッジスがゲストで参加しています。ウエストは10年単位でアルバムをリリースしています。息の長いバンドです。ついにここまで来たか!そう思わせるアルバムです。21世紀のウエストはどう進んでいくのでしょうか。楽しみです。