VPL-VW10HTの画面を引き締める
SONYの液晶プロジェクターVPL-VW10HTの画像を引き締める秘訣について考えました。
我が家の黒浮き/迷光対策についてまとめます。
黒浮き対策(NDフィルター)
黒浮き対策にNDフィルターを用いることは、500 ANSI-lm 程度の明るい
液晶プロジェクターが登場して以来多くの人に試みられた対策法である。
VPL-VW10HTは16:9画面で 1000 ANSI-lm もの明るさを誇るので、その余裕のある
明るさをセーブすることで、黒を沈めようと言う発想は自然なことである。
ということで、用意したのはFUJIFILM FILTER ND 0.3(75mm角)(約1,500円)
レンズ用の丸形フィルターで言えば"ND2"相当。明るさと角形・丸形の型番の関係を表に示す。
明るさに関わる各種数値の関係 |
種類 | 型番・号数 | 説明 |
フィルター号数 | 0.3 | 0.6 | 0.9 | いわゆるゼラチンフィルターの表示(0.1段刻み) |
露光調整倍数 | 2 | 4 | 8 | 丸形フィルターの表示(製品は2,4,8,16と有る) |
露光係数 | 1.0 | 2.0 | 3.0 | 写真の絞りの段数の表示 |
明るさの倍率を考えるなら、「露光調整倍数」の数字がわかりやすい。"2"ならば、
半分の明るさ。本機で言えば、1000ANSI-lmを半分の500に絞ったことになる。
人間の目は優れた「自動絞り」なのでフィルターを取り付けて数秒後には
「いわれてみれば少し暗い?」という程にしか変化しないし、黒浮きが無くなる
わけではないが、元から暗いプロジェクターと明るいプロジェクターではガンマカーブの
アレンジが違うため、真っ黒にするほど暗くしてしまうとバランスが崩れる。
すなわち、元から暗いプロジェクターは「階調再現を犠牲にして重要な領域
(人肌の明るさ近傍)が十分明るくなるように持ち上げ、ハイライトの伸びを捨てる」
設定であるのに対して、明るいプロジェクターは均一な階調再現をする。つまり
仮に1/8の明るさに絞ってしまうとすると、肌色は暗いプロジェクターよりさらに
暗くなってしまい実用的ではない。
NDフィルターは所詮、階調全域を平行移動するだけでコントラストを改善
するものではないからだ。
しかし、絶対的な明るさというものは、特に暗い領域では「瞳の自動絞り機能」が
有ったとしても見え方に影響はする。
本機はおそらくマット・スクリーンによる、「4:3 100インチ」「16:9 120インチ」
程度の大画面で設計されていると思われる。従ってこれより小さい画面、反射率の
高いスクリーンで見れば、黒浮きの絶対値は上がり設計値より黒浮きが目立つこと
になる。
従って、ここでは小画面、高ゲイン・スクリーンで明るすぎる画面を
「設計者が想定したであろう明るさのレベルまで落とす」ということを
ポイントとしてフィルターをかけることを考えるわけである。
左は設置の様子である。角形フィルターは「ぺらぺらのシート形状」なので、
これをフレキシブルクリップでレンズの前にセット。
75mm角ではレンズの直径より小さいが、映像はさらに小さな領域を使って
いるだけなので、周辺が蹴られることはない。
黒浮きは沈むが、ハイライトもまた沈むので、ハイライトが飛ばない限り
コントラストを上げてやる。けっして大きな変化ではないが、
「少し落ち着いた画面」というくらいの雰囲気で「映画館的暗さ」ではある。
『マトリックス』のように薄暗い映画には合うが、『私をスキーに連れてって』
のようにハイライトの輝きが綺麗な映画には合わない。ケースバイケースで
使い分けるといい感じだ。
また、最後の拡大写真を見るとわかるように、NDフィルターに当たった光は
かなりはっきりとハレーションを起こしているのが観察される。これによって
、わずかとはいえコントラストの低下を引き起こしているのは間違
いない。フィルターの付けっぱなしは本来の高画質を損なう可能性があること
も心に留めておくべきだろう。
迷光対策(暗黒化、スクリーン・マスキング)
我が家の迷光対策は、次の二つの記事に詳しい。
NDフィルターで暗くしたから、もう黒浮きが気にならないかというと、それは無い。
1.「スクリーン回りを黒くすると相対的に黒浮きが目立つのでしない方が良い」
2.「黒浮きのある液晶プロジェクターでは部屋は真っ暗にしないで少し明かりを
残した方が見やすい」
という人もいるがその通りだろうか?少し考えてみよう。
つづく
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