映画館がやってきた! |
VPL-VW100 | QUALIA 004 | 参考:DPX-1200(YAMAHA) | 参考:DLA-HD11/12K(Victor) | ||
価格 | 1,365,000 | 2,500,000 | ? | 1,695,750〜2,362,500 | |
パネル | 0.61型 SXRD(1,920×1,080ピクセル) | 0.78型 SXRD(1,920×1,080ピクセル) | 0.8型 単板DLP(1,280×720ピクセル) | 0.8型 D-ILA(1,920×1,080ピクセル) | |
応答速度 | 2.5mS | 5mS(ただし立上がり+立下り) | ?mS | ||
開口率 | 90% | 92% | 89% | ||
反射率 | 74% | 65% | ?% | ||
光源用ランプ | 400W ピュア・キセノンランプ(3,000時間) | 700W/500W ピュア・キセノンランプ | 270W SHPランプ | 200W NUPランプ(高圧水銀) | |
レンズ | 1.8倍ズームレンズ(電動) f18.7〜33.7mm/F2.54〜3.53 レンズシフト 上のみ0.65画面 横約15cm(100インチ時)(電動) |
三種類の選択式 |
1.6倍電動ズームレンズ F=2.7〜5.0 f=24.3〜38.9mm レンズシフト 上下0.5画面 |
スタンダード/ロングズームの2タイプが用意され、ともに電動ズーム/電動フォーカスを搭載。ズーム倍率はスタンダードズームが1.4倍(投射比1.5:1〜2.1:1)、ロングズームが1.9倍(投射比2.1:1〜3.8:1) | |
投影サイズ | 40〜300型(対角・16:9) | 40〜300型(対角・16:9) | |||
投影距離 | 約3.1〜5.3m(100型16:9) |
・短焦点レンズ:3,160mm〜4,120mm ・中焦点レンズ:4,110mm〜5,710mm ・長焦点レンズ:5,690mm〜7,750mm |
3〜4.8m(100型16:9) | ||
輝度 | 800lm | 1800lm(推定) | 800lm(アイリス開) | 600lm | |
コントラスト比 | 最大15,000:1(アドバンスト・アイリスONにて / OFF時推定 3,000:1) | 非公開 (推定2,000:1) | 5000:1(アイリス閉) | 2500:1 | |
アイリス | アドバンスト・アイリス 切/入/オート コントラスト検出型/10bit制御/オート時1/5まで絞り動作 |
マニュアル | マニュアル | ||
スケーラー | DRC-MFv2 | DRC-MFv1 | DCDi | 上位機種はDCDi搭載 | |
カラー方式 | NTSC3.58 / PAL / SECAM / NTSC4.43 / PAL-M / PAL-N / PAL-60 自動切り換え/手動切り換え(PAL-60は自動切り換えのみ) | - | NTSC、PAL、SECAM、NTSC4.43、PAL-M、PAL-N、PAL60 | ||
対応信号 | 15kHz RGB/コンポーネント 50/60Hz、プログレッシブコンポーネント 50/60Hz、DTV(480/60i、575/50i、480/60p、575/50p、720/60p、720/50p、1080/60i、1080/50i)、1080/60p(DVI/HDMI チャンネルのみ)、1080/50p(DVI/HDMI チャンネルのみ)、コンポジットビデオ、Y/C ビデオ、コンピューター信号(fH: 19〜72kHz,fV:48〜92 Hz) | 同左(1080pは非対応) | 480i、576i、480p、576p、720p、1035i、1080i(RGB):VGA、SVGA、XGA | 1080/60P可能 | |
映像 入出力 |
ビデオ入力 | コンポジットビデオ×1系統、Sビデオ×1系統 | コンポジットビデオ×1系統、Sビデオ×1系統 | ||
コンポーネント入力 | 1系統(3RCA) | 1系統(3RCA) | |||
INPUT A | 1系統(アナログRGB/コンポーネント:D-sub 15ピン) | 1系統(アナログRGB/コンポーネント:5BNC) | |||
DVI-D入力 | 1系統 | 1系統 | |||
HDMI入力 | 1系統 | 1系統 | |||
TRIGGER | 1系統(ミニジャック:DC 12V) | 1系統(ミニジャック:DC 12V) | |||
REMOTE | 1系統(RS-232C:D-sub 9ピン) | 1系統(RS-232C:D-sub 9ピン) | |||
NETWORK | RJ-45 | RJ-45 | |||
電源 | AC100〜240V、50/60Hz | AC100〜240V、50/60Hz | |||
消費電力 | 最大:610W(スタンバイモード時:10W、ECOモード時:0.5W) | 最大:980W(スタンバイモード時:7.8W) | 最大:375W(スタンバイモード時:0.1W) | 最大:320W(スタンバイモード時:?W) | |
外形寸法 | (幅)496×(高さ)175×(奥行き)574mm | (幅)597×(高さ)201×(奥行き)745mm | (幅)495×(高さ)193×(奥行き)465mm | (幅)513×(高さ)169×(奥行き)549mm | |
質量 | 約19kg | 約40kg | 約14kg | 約17kg | |
ファンノイズ | 22dB | 25dB (シネマブラック・プロ動作時) | 28〜30dB | 27dB | |
主な付属品 | リモートコマンダー他 | リモートコマンダー、ガンマ調整用ソフト「ImageDirector2(CD-ROM)」他 | ? | プロジェクタヘッド用とビデオプロセッサ用の2つのリモコンが付属 | |
別売アクセサリー (12月10日発売) |
天井取付金具『PSS-H10』希望小売価格 80,850円 交換用プロジェクターランプ『LMP-H400』希望小売価格 103,950円 |
− | 交換ランプカートリッジ PJL-427 税込希望小売価格 63,000円 | 交換ランプ「BHL5008-S」26,250円 |
●VPL-VW100の投影距離
画面サイズ | 最短 | 最長 |
80インチ | 247cm | 425cm |
90インチ | 278cm | 479cm |
100インチ | 310cm | 533cm |
120インチ | 373cm | 640cm |
150インチ | 467cm | 802cm |
●デモの様子
50人ほど入る会場は完全に暗幕で真っ黒。
VPL-VW100は約2mの高さにやぐらを組んで天吊り。
音声はSS-X90EDを使用した9.1chシステムだが、サブウーファーは同社のSA-WM500を10台
(5台2段積み)で壁のように並べたもの。これは笑える(^^;
開始前、スクリーンに近づいて「ドット」の見え具合を観察する。
映像入力していないため、左隅に入力インジケータの文字が出ているだけであるが、
ドットの形が非常にくっきりして色滲みも無く、3枚のSXRDがぴたりと合っている。
このクリアさからレンズの性能が高いことがわかる。
画素の隙間は、レンズの性能で判別できるすれすれの細さである。
デモは、アンプの紹介とプロジェクターの紹介と半々の進行。
DVD『マスター・アンド・コマンダー』からの砲撃シーンで、10台並べたSWが唸る。
砲撃の瞬間に3m以上はなれた席で顔に風圧を感じた。10台の30cmウーファーは、
面積的には95cm口径と同等となるが、これは驚いた。
画面は「金髪少年の髪のサラサラ感」が、ソースがDVDにしては綺麗に表現されている。
シネスコの黒枠を見ると、最新のDLPよりわずかに黒浮き感が強い気がするが、
延々と薄暗いこの作品が暗くてもクリアに見えるのは、暗部の階調表現が優れているからだ
ろう。
ハイビジョンは「クオリア(PJ,リアプロ,トリニトロン)」でお馴染みの黒い服を着た女性
のデモ。モニター調、高忠実という印象。リアプロで見たときにも美しいと思ったが、
スクリーンで見ると一段としっとり癖の無い画だ。
最後に『XXX』予告編。
これが驚いた。アクション映画の予告編だからものすごいスピードで画面が切り替わる
にもかかわらず、圧縮画像につきものの破綻がまったく無い。これはどうも特別な
映像らしい。
鮮やかな発色とキリキリと締まったフォーカス感、解像感。このデモに関しては
完全に「映画館で見られる映像を超えている」としか言いようが無い。
今のハイビジョンは圧縮による破綻や動き部分の解像度の低下など、100%満足できる
ものではないけれど、もしも、来年発売されるハイビジョンソフトがこのクオリティー
ならばと想像すると、ドキドキしてくる。
潮さんのデモはDVD中心。
「今までSONYの100万円クラスの三管を使っていた人にとって、VPL-VW100は
心穏やかならぬ出来栄え」また、
「今は80点くらいの仕上がりか」
「低輝度の階調が素晴らしい」
「150インチ以上はQ004でないと苦しいが、120インチ以下ならVW100」などの発言。
デモはまずライブDVDでアンプの言及。絵はビデオ的でたいしたことの無いソフト。
DVD『Ray』は絵と音のバランスの良いソフト。
ここで「自動音場補正」のデモ。綺麗な和音がキロリロリンと鳴るだけ、30秒で
補正完了だそうだ。
SACD『カーペンターズ』のSACDマルチから「オンリー・イエスタディ」は、
これもアンプのデモだが、ものすごく情報量が多いことがわかる。
DVD『トルク』バイクチェイスの映画は、重低音のデモとして持ち込んだのだが、
アンプの機嫌が悪くなってしまいパス。
DVD『ミスター・インクレディブル』(chap.21)は、VW100の色の深さを証明する
ソフトとして紹介。
これも暗いシーンの連続なんだけれど、すごく色鮮やか。
また凄い勢いで走り回るシーンが我が家(VW10HT)と比較して「はっきり」見える。
これってデバイスの応答速度が速いから?
最後にDVD『イーグルス・デスペラード』
ステージの置くまで広がりを感じることが出来るのが低輝度の階調の良さ。
輪郭強調は無いのに、衣装の細かい模様やアップになった顔の細部が良く見える。
●VPL-VW100に関する感想(まとめ)
当日の試作機の完成度は潮さんによれば80点。
デモ中本体のメニュー画面は一切操作せず、外部に用意したコンポーネント入力の
セレクターを使用して入力のON/OFFを実施。
DVD(DVP-NS9100ES)にはHDMI出力もあるが1080iにアップコンバートしてからコンポーネントで
VW100に出力している。
BDもコンポーネント1080i接続。
このことから、まだメニュー関係のソフトが完成していないのかもしれないし、
内蔵のアップスケーラ、DRC-MF-v2、HDMI入力など、「1080iのコンポーネント入力」
以外の様々な機能がまだ開発・調整途上にあることは十分想像される。
また、上記のことから今回のDVDの画質に関しては、色に関する評価は出来るが、
解像度に関する評価は出来ない。
同じ100万円クラスのDLPとの比較に興味のあるところで、直前にYAMAHAのブースで
DPX-1200を見てきた。
黒浮きは、シネスコサイズの映画『マスター・アンド・コマンダー』の黒枠
では見えたが、絶対の黒のレベルとしては、DLPプロジェクターで絞り全開よりは暗く、
全閉より明るいような感じ。
ただし、シネスコの黒枠以外の部分で黒浮きの存在が感じられることは、その他の
すべてのデモで無かった。
コントラスト比というのは、黒浮きのために高めているわけではない。
その効果は低輝度域の色の純度に現れる。
今回のデモでは暗い映像が多かったが、コンサート映像のステージ衣装や、
黒人の肌の色、アニメのコスチュームなど、どれも濁り無く美しい。
黒いドレスや皮革製品の純黒の表現も実に純粋。
『マスターアンドコマンダー』のようにずっと薄暗い船内の映像ばかりの
映画はVW10HTではもやもやしてストレスを感じるところだが、VW100は格段に
クリアだ。
DLP/720Pプロジェクターと比較すると、SXRDのフルHDは、2.25倍の画素数を
持つことになる。開口率はほぼ同格。
フルHD化の効果を確認すると、120インチを約3mから見た条件では720Pだと
ハイライト部分の斜め線などで画素の存在を感じるがフルHDでは画素は分からない。
画素サイズは面積で2倍、長さで1.5倍だから、理屈の上ではそれだけ近づいても
大丈夫ということだが、家庭での具体的な視聴距離を考えると絶妙に画素感が無くなる
サイズだろう。
開口率が高いために画素の隙間が見えないのも効いている。これは液晶では
逆立ちしても勝てないところ。
液晶ならではの色むらは、全白の投影などが無かったので厳密には分から
なかったが、作品を見る限りではむらは感じなかった。垂直配向なので当然ながら
ラビングノイズは皆無だ。
注目に値するのは色彩の自然さ。
これがキセノンランプだというようなこれ見よがしなところが全然無い。
…というのは、液晶TVのQ005のデモ映像などでは「色域の広さ」を強調するために
現実とは違う濃い色を見せているけれど、今回のデモを通じて一度もそういう不自然さ
は感じなかった。
その現実的な色の範囲内で、しっかり色をのせている。
デモで見た『Ray』のchap.21のバスの車体の大写しのアルミの質感とか、
日陰の黒人の立体感とか、難しい色がクリアに出るのには感動した。ピアノの黒や
レイのサングラスも美しい。この作品はもともと古っぽい映像なのだが、
VW100で見ると「輝かしい過去」って感じになるから不思議だ。
白のハイライトではランプの素性が出やすいものだが、非常にさわやか
な白の印象を受けた。
欲を言えばキセノンならでの赤の描写をたっぷり見せるようなデモも見たかったが。
メーカーデモのラストに紹介された映画『XXX』予告編は衝撃的だった。
当然入念に作成されたソフトの威力でもあるわけだが、VPL-VW100と高画質の
HDソフトが揃えば映画館の画質を超えられる。ランプは同一。画素感はゼロ。
コントラストはフィルムを超えているし、上質なHDソフトは映画館の上映フィルム
のようにボケたり傷ついたりすることも無い。フォーカスだって完璧だ。
「映画館で見られる映像を超えている」というのは、オーバーな表現ではない。
今回のデモはコンポーネント1080i入力だけだから、DVDの480i/p入力やHDMI 入力でどのような絵になるのかは気になるところ。チューニングもまだまだ あるのだろう。しかし、今の段階でも、特にハイビジョン映像の凄さには 胸が高鳴る。
●そのほかに気が付いたこと
画素欠けは見当たらなかった…デモの合間には電源ONのまま全黒画面を
出していたが、常時点灯は見当たらなかった。SXRDは「ノーマリー・ブラック」仕様なので
もし点灯しない画素があったとしても、それは「常時黒」になるのか?
アドバンスト・アイリスは動作していたのか?…デモを見ただけでは判別できなかった。
目玉機能の一つなので機能していたと思いたいところだが、副作用のようなものを
見分けることは出来なかった。
(もし動作していなかったとしてもその状態でコントラストは高かった)
直前に見たYAMAHAのDPX-1200ではアイリスが「PCのプレゼン」から「DVD」に
切り替る時に「シャコッ」という作動音と共に「黒」の濃度が変わるのがはっきり
見えたのだが、VPL-VW100のデモ中に「絞りの作動音」も「黒の濃さの変化」も
分からなかった。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |