映画館がやってきた!

マルチチャンネル・インテグレーテッドアンプ
SONY TA-DA7000ES 導入記

〜 フルデジタルアンプ9.1ch(近日予定)の威力を聴け 〜
参考URL集

TA-DA7000ESを購入するまで

■検討

 従来の我が家のシステムはSONY TA-V88ESというドルビーデジタル初期 (DVDの出始め)のAVアンプを使用してきた。TA-V88ESは厚い力感のある音色で この時期、価格帯を代表する名機であると思うが、デジタル時代の変化は早く、 dts,AACという新規フォーマットに対応するための買い替えを数年前から検討 していた。
 新機種の条件は新フォーマットへの対応と「それと分かるほど音がよくなること」だ。 具体的にはCDとSACDの音の違いが分かる精密さが欲しかった。TA-V88ESでは、 CDのデジタル入力とアナログ入力で明らかにデジタル入力のほうが音が良く、 SACDをアナログで聴いた場合CDに負ける場合があったからである。
 TA-V88ES以降、SONYにはこの価格帯で目立つ新機種・新技術が無く、 昨年発表のフラグシップ機、TA-DA9000ESの世間の評価の高さと価格の高さ、 巨大さに、弟分の登場を待っていた。
 そこに登場したのがSONY TA-DA7000ESだ。
 DD-EX,dts-ES,AAC,SACDのi-Link接続にまで対応し、DSD信号を直接増幅する フル・デジタルアンプ で精密・高効率、最大9.1chでダビングシアターの音響を再現可能という、文句なしの 大進化を遂げて価格はTA-V88ESを買った時と大差無いという、本機はまさに 「待った甲斐のある一台」と思われた。

■設置

 TA-DA7000ESが我が家に到着したのは2004年11月20日。発売予定日早々で品薄 らしかったが、通販で在庫を探してすんなり入手。セッティングは満を持して 翌日曜、一日がかりである。(結局本体、接続する側の機器、多機能リモコンの再プログラム など含めて10時間もかかった)

 全ての設定が完了したのは夜10時になってしまった。
 立ったり座ったり体がバキバキ。インストーラーに丸々お願いする 人の気持ちもちょっと解る。楽しくてもこれは辛い(^^;
 全体に取扱説明書の記述が簡単すぎたり親切でなかったりするので、これまでに SONYのAVアンプを使ったことの無い人が読むと一層手間がかかりそうだ。まあ、 ゴツイ単体アンプを購入する対象に初心者は入っていないのかもしれないけれど。

First impression

 以下各種ソース別に、音質の印象をレポートする。
 使用機材は次の通り
注:後日サラウンド系スピーカーにはVictor SX-L33を4本導入。その構成は  に変更された。詳細は別項にて

■CD/SACD Stereo

 定番ソースで、まず基本2chを確認する。
 DVDプレイヤーがSACD対応になった頃から、TA-V88ESの限界が気になって いた。このアンプのアナログ入力は必ず内蔵のA/Dコンバータ を経由するらしく、そのためかCDのデジタルとアナログを 切り替えると僅かにアナログの方が音場が小さくなったように感じるのだ。
 パチッとその場で切換えなければ分からない程度の差ではあるが、 アナログ入力がデジタル入力に負けているのではSACD(アナログ接続)の音質は 期待できない。買い替えの大きな理由の一つである。
 そこでまず、TA-DA7000ESでいつものCDを聴いていくと、 デジタルとアナログ入力を比較して、違いをほとんど感じない。
 TA-DA7000ESは入力されたアナログ信号をA/DSD変換して増幅するが、 デジタルのPCM/DSD変換された音色とこれほど一緒だということは、どちらの 回路も非常に高忠実度の出来なのは間違いないだろう。

 セットアップのテスト・トーンの段階で気が付いたことに、 EQをいじらなくても、フロント2chとセンターの音色がTA-V88ES の時より同質に近いことがある。不思議だが、これはアンプのドライブ力が高い からか。スピーカーの癖を押さえ込んで駆動しているようだ。
 デジタルアンプのS-Master PRO回路は「フィードバックを使用しないのでスピーカーからの 逆起電力の影響を受けない」という特性を論理的に持つが、そのためにどの スピーカーも特性がフラットに近づいているのかもしれない。

 (私的)定番のCD「コントラバス・マリンバ」をかけてみる。
 冒頭の最低音C(32Hz)を叩く 「ゴンッ」という衝撃音が明らかに軽い。だが、続く共鳴音の 「どわ〜ん」という空気のうなりは音圧が増したように感じる。
 そもそもV88ESがそれ以前のアンプ(TA-F333ES)に比較しても「どんどん・ごりごり」 いう傾向があったので低音が修飾されていたのかも知れないし、蹴飛ばした ウーファーを制動できていなかったのかもしれない。
 このコントラバス・マリンバの最低音で、衝撃音が軽くなったように聞こえるのは、 マレットが木片を叩いた瞬間の接触時間が短くなった感じで、良い単語を使えば 「キレ」が良くなったとも言える。恐らくリアルなのはこちらの音だ。
 まだエージングが必要なのは確かだし、これから音は変わる かもしれないが、やや軽い重量感の代わりにスピード感は確実に増している ように思う。
 低音の位相を変化させる機能は、初期値を使用しているが、これを 変化させた時の効果はまだ良く分からない。低音の量感が変わるという 話なので、ゆくゆく極めたいものだ。

 最近はまっているジャズピアニスト「上原ひろみ」のCD(another mind)は、 アタックが明瞭でキラキラして美しい。
 もともと家のスピーカーの高音が華やかではあるが、V88ESではもう一つ ピアノの生々しい実在感が出きらないところが有ったが、TA-DA7000ESは 同じスピーカーでも音像の立体感が増す。ピアノの音の一つ一つの 粒の輪郭が立っている感じか。
 オーディオ専門店の試聴室には必ずといっていいほど、ジャズのピアノ・トリオが 流れていて、「いいな〜、家ではこういう音はしないなあ」と 思っていたものだが、デモの巨大システムのスケールより小ぶりかもしれない けれども「こういう音」にぐっと近づいたようだ。
 我が家の貴重なSACD版(笑)のピアソラの曲も、バンドネオンの切れ味が 違う。ジャズやタンゴの録音を沢山聴きたい気分になってきたではないか!

■SACD Multi

 今までSACD Multiのディスクを持っていなかったので、これを機に購入。
 最近聴き込んでいる上原ひろみのアルバムのSACD版が有ったのでこれを聴いてみること にした。
 上原ひろみ「another mind」
 CDの項で聴いた上原ひろみのディスクと同じ音源で、"CD,SACD Stereo/Multi" というフル装備のディスクである。
 この作品は(CD版も)最初からDSD録音で、マルチチャンネル録音は、単に2chを拡張して 残響をつけただけと言うのとは違って一工夫あるミキシング。背後に配置された音の 動きも面白い。とりあえずSACD Multi を一枚というのには音楽・音質・仕様共に推薦できるディスクだ。
 2chのCDとSACDを聴き比べはそんなに驚くような違いはない。DSD録音したマスター をきっちりCDに落としたという印象。「SACDの方が良い」と断言するのは難しい。 その差は16bit録音と20bit/SBM録音の差より、DSD録音の差は小さく感じる。
(比較視聴するためには、プレイヤーの方は、CD/SACDの切り替えと、SACDの Stereo/Multiの切り替えの二つの操作が必要で、必ず停止しなければならない。 アンプもデジタル/アナログの切り替えをしなければならず、比較視聴は案外 操作が多くて面倒だ。)

 そしてSACD Multi
 これは凄い。無理にリアに楽器を配置するようなことはしていないが、リアもかなりの 音量で後も鳴っており、結果的に録音スタジオの中に入り込んだような気分になる。
 ベースはセンター付近にコンパクトにまとまり、ピアノは2mくらいの大きさを 感じさせる空間に定位する。ドラムはその奥に配置か。いずれにしても、ワンポイント 録音的にリアルというより、現場のリアリティを維持したまま5.1chによる空間の表現を 最大限に引き出した絶妙のMIX。
 トランペットのソロなんか、センタースピーカーの位置より前にズバっと張り出して 聴こえ、猛烈なインパクト。
 2chでもセンターの楽器はビタっと目に見えるかのように定位しているけれど、 MultiでセンターSPが鳴っていると、それはプレイヤーが実体化したかのような インパクトがある。こんなに違うとは思わなかった。
 この録音はとにかくセンターSPの重要性が高い。残りの4chは空間を形成している。
 サラウンドチャンネルに(残響ではなく)直接楽器が配置されることもアクセント的に あるが、始終4ch鳴りまくって聴覚に負担がかかる冨田の「惑星」よりナチュラルにマルチ 凄い。って感じ。
 演奏のレベルが高いこともあわせて、SACD Multiの効果を確認する一枚として、 「another mind」は申し分なく絶対お勧めの一枚だ。

参考:DVP-NS999ESのマルチ出力には、CD/SACD 2ch の出力も来ている。逆に SACD Multi再生時の2ch出力には、5.1ch出力のLRが出力され、 ダウンミックスはされない。

■AAC 2ch/5.1ch

 デジタル放送のAAC 5.1ch対応は、アンプを変えた大きな理由の一つである。
 なにしろハイビジョン放送はDVDより高画質なのだから、今や映画鑑賞のメイン・ソース となっている。
 驚いたことに、AAC 2chをチューナーでPCM 2chに変換したものと 比較して、TA-DA7000ESでAACを直接デコードしたものは格段に音が良い。
 チューナーでPCM 2chに変換したものは(比べると)あきらかに曇った音だ。
 AAC→PCM変換はデジタル領域で行われているはずだが、恐らくチューナーに内蔵された デコーダと、TA-DA7000ESのデコード能力の違いが音に違いになっているのだろう。
(ということは、DVDのドルビーデジタルも以前よりデジタル領域で音がよくなる 可能性があるということか…)

 であるから、従来の AAC 5.1ch放送をチューナーでPCM 2chに変換したものをアンプの 「Dolby PROLOGIC」モードで3/1サラウンドに変換したものと、AAC 5.1chをアンプで 直接デコードしたものとの比較は、議論の余地無くTA-DA7000ESが良い。
 とりあえず未見で積み上げていたテープから『HERO<英雄>』を見たが、クリアな サウンドだ。
 『スパイダーマン』とか『指輪』とか、撮りためた大作映画を次々と 見直したくなる。

■7.1ch

 TA-DA7000ES導入の目玉は「デジタル放送がAACで5.1chサラウンドになる」ことと、 「最大9.1chのスピーカーによるサービスエリアの拡大」だ。
 以前のマンションはほとんど左右対称で理想的な長方形をしていたため、 5.1chで安定したサラウンドが楽しめたが、今の部屋は左右非対称のため音像に 偏りがある。そのため スピーカーを増やすことで安定したサラウンドが期待できるのではないかと 考えていた。
 そこで、アンプの入替を機にとりあえず手持ちのスピーカー総動員で 「サラウンド・バック2本使い」による7.1chを試みることにした。
(各スピーカーは仮置きだし、サラウンドバックは素性不明の8cmフルレンジだが)

 とりあえず、サラウンドチャンネルにたっぷり音が入っている作品として、 冨田勲の「惑星(DVD-Audio/DD4.1ch)」を聴いてみた。
 この作品は4本のスピーカーが均等に使われることを意図しているので、 本来はフロントとリア(サラウンド)を同一スピーカー(ラージ)で揃えた環境で聞くべき 作品。
 TA-V88ESの5.1ch(リア・スモール)の時には「それなり」の音だったのが、 TA-DA7000ESの7.1ch(DolbyPROLOGIC IIxでサラウンドバック有効、リア・スピーカは 小型スピーカだが設定はラージ)にしてみたら格段に空間が広がった。
 サラウンドとサラウンドバックは寄せ集めスピーカのため音色も全然違うが、 1チャンネルを2本で分担する負担の少なさが幸いしてか、足して二で割った 音は悪くないどころか、それぞれ単体の音より良くなって聞こえる。
 中型ブックシェルフのフロント2chと(質はともかく)バランス的に拮抗して 縦横無尽に音が飛び回り、思った以上に明瞭な効果がある。今まで5.1chで 環境の制約を我慢していたのが「何だったの」と思うほどだ。
 「惑星」は、四方のスピーカーを均等に 活用しているのが良く分かって面白いソースだが、LP(昔の実家のステレオは マトリックス4chだった)で聴いたのとはミックスが違うようで、華やかだが ガッツが減ったような。
 またセンター有りの7.1chとすると、LPでちゃき〜んと脳天に響いた音が センターchに収束してしまったりして、これはセンター無しの方が絶対に良い。
 一方、2chステレオの通常のCDである冨田の「バミューダ・トライアングル」を Dolby Prologic IIx(SB有り)で聴いてみると、結構サラウンド効果を 感じて良い。冨田の過去のCDを全部聴き直してみたくなる。

 V88ESでは2chオーディオに対しドルビー・プロロジックをかけると、 音楽がしぼむような 感じがしたが、TA-DA7000ESでDolby PROLOGIC IIxを使うのは、アルゴリズムの 進歩も大きいのかもしれないが、原音を損なう印象がほとんど無い。
 これもDSPが大きく進化している証拠なのだろう。

■DolbyDigital-EX/DTS-ES

 DTS-ES版『千と千尋の神隠し』DVDを鑑賞
 このDVDは「ドルビーデジタル2ch」と「DTS-ES」なんて仕様で、DTS以前の古いAVアンプ ではディスクリートのサラウンド音声が聞けないという挑戦的な仕様だ(^^;
 だから今までかなりプアな音でしか聞いていなかったので、今回アンプをTA-DA7000ESに 買い換えてDTS-ESに対応したのを記念して再見してみた。
 ドルビーデジタル(2ch)で見たのもずいぶん前なので、あまり比較にはならないけれど、 「こんな音は聴いた覚えが無い」という瞬間が随所にあって、あからさまにサラウンド・ バックが鳴るような箇所は少ないけれど、情報量は2chより格段に多いのは間違いない。
 音の情報量が増すと、それが手がかりになるのか画面での新発見もあった。
 休日の昼間に、それなりの音量を出して見直してみたいものだ。

■9.1ch

 ⇒続編2.SONY TA-DA7000ESによる9.1chサラウンド 導入記 をご覧ください

機能と設定

■音場プログラム/モード

 本機は「2CH、A.F.D.、MOVIE、MUSIC」の4種類の「音場プログラム/モード」 ボタンが付いている。
 音場プログラムは「入力FUNCTION」ごとに最後に使ってものが記憶されるので、 DVDは「シネマスタジオEX A」、CDは「2CH」で素のステレオと、設定しなおすことなく 切り替わるのがとても便利だ。
 それぞれの機能、使い勝手について解説する。

●2CH STEREO
 1ボタンで2ch STEREOモードになる。
 普通にCDなど聴く時はこのモードにすると「SW」使わずに純粋にメイン・スピーカー だけを使うことが出来る。(設定によって、SW使用にすることも可能)

●A.F.D.
 Auto Format Directの略で、[AUTO]にしておくと入力された信号に対して ストレート・デコードした音声を出す。
 このボタンで、[AUTO]以外に[ドルビー・プロロジックIIx]とか[DTS Neo6]など のプログラムを選択することも出来る。

 [AUTO]はもっとも基本的なモードで、DVDやデジタル放送のAAC音声の「原音」を 聴く事ができる。 (DVDのDD-EXのフラグ無しソフトの時にはSB DECODEボタンを操作する必要がある)
 ただし、デジタル放送のAAC音声だと、「モノラル」の時には真面目に センター・スピーカー1本しか鳴らないので[2CH]モードに切換えた方が面白いし、 100インチ超で素の2CHステレオを聞く場合、偏った位置で聞くとバランスが 悪いのでセンタースピーカーを使用する[DOLBY PROLOGIC IIx MOVIE]などに 切り替えた方が良い場合もある。
 [MULTI STEREO]は、フロント、サラウンド、サラウンドバックのLRに2ch LRの 同じ音を出力する。
 マニュアルに何に使うとは書いてないけれど、物凄く広い空間で鳴らすとか、 バイアンプ/トライアンプとして使うとか、映画以外の使い方が有るようだ。

●MOVIE
 [シネマスタジオEX A/B/C]と[バーチャルマルチ]のモードがある。
 シネマスタジオEXは、映画館のスピーカーがスクリーンの裏にあることを シミュレートする機能(スクリーンデプス)、 残響感の付加、サラウンドスピーカーを複数設置した効果などを出す。
 中でも「スクリーンデプス」効果は台詞がセンター・スピーカーに張り付かず にスクリーンの奥から聞こえてくる感じを良く出してお勧め。
 残響の付加はとても控えめなので「最近の良い映画館」の雰囲気だ。

●MUSIC
 音楽系サウンドエフェクト
 力いっぱい残響のあるホール(教会)で音楽を聴いた後で、手持ちの古楽CDの サウンドが物足りなくて[CHURCH]のエフェクトをかけてみた。
 TA-V88ESでは、「バーチャル・シネマ」系以外の音場プログラムは完全な おまけで実用に耐えないと思ったものだが、DA7000ESの"CHURCH"なんて、 本物の大聖堂の響きをうまく真似して、しかも肝心の元の演奏がもやもや にならない絶妙なバランスで、これで聴いたらどんな演奏も極上の 美音になってしまう。
 音楽系のエフェクトはHiFi的には「おまけ」の機能では有るが、 デジタル・エコーというのは DSPの超高速な演算の賜物であるのだから、教会の音をきめ細かく極上に 真似られるというのは、基礎体力としての演算能力が優れている証拠だ。
 リスニングルームの音響は、映画用には出来るだけ響きを抑えた方が良いし、 音楽用には程よい響きがある事が望ましい。
 これを一つの部屋で両立させることは出来ないが、「響きの良い部屋」を 作るより「響きを押さえた部屋」を作る方が簡単なので、その状態で適度に 音楽用のエフェクトを使用するのが、ホームシアターでの音楽鑑賞方法として 有効であると思う。
 SACD Multiによるマルチチャンネル音楽ソフトは、後方からの音も含んで 非常に充実した響きを持っている。これを聴くと、2chソフトに響きを補う事も 悪くは無いという気持ちがする。

●ヘッドホン・モード
 ヘッドホンを挿すと、自動的に専用モードになる。

 「包囲感」というほど強力な効果は無いが、普通に2chソフトをヘッドホンで 聴くように頭の中で響く感じは無くなる。

●SB DECODE
 「ドルビーデジタルEX」のDVDには、「EX識別フラグ」が無くて手動でサラウンド・ バック・デコードを有効にしなくてはならないことが多い。
 無論、あらゆる5.1chソースでこのボタンは有効。効果の程はソフトしだいなので 試してみるしかないが。

●その他

■音質に直結する機能

●低音の位相回転
 「アナログアンプは、低音の位相が回転し、デジタルアンプにはそれが無い。 そのため低音の量感が変化する事がある」というのが、本機にDC PHASEの コントロール機能が搭載されている理由だ。
 そこでコントラバス・マリンバの打撃音(約40Hz)をパソコンのFFT測定ソフトで 観察してみた。
 一段目はOFF、二段目はSTD-A(デフォルト)である。
 3,4段目は、同じ録音のタイムスケールを縮小したもの。

 波形を見る限り、まったく違いが分からない。条件を変えて2度録音した とは思えないくらい同じだ。
 100〜200ms経つと基音の40Hzがはっきりしてくるが、上下で位相の差の ズレは見られない。
 もちろん、耳で聞いても分かるような違いは無い。
 ちなみに、STD-Aでの位相回転の中心周波数は4Hzだそうだ。低い。
 とすると例えば20Hz以下はほとんどのスピーカーで再生できないし、出来ても 聞き取りがたい皮膚感覚の世界なので、その差は微妙な世界のことに なるのだろう。

■TA-DA7000ESの便利な機能

●ナイト・モード
 ボタン一つで「ナイトモード」に切り替り、「ダイナミックレンジの圧縮」と 「イコライザー調整」をして小音量でも聞き取りやすくなる。
 本来は昼間に大音量で鑑賞したいところだが、どうしても深夜の鑑賞はありがち。 些細な機能だが便利だ。
 民放とNHKの音量の違いの調整、CMの音量を下げる機能を誰か付けてくれれば なおgoodだが(^^;

■TA-DA7000ESの分からない機能

  • TA-V88ESにはSWレベルとLFEレベルの調整が有ったのだが、本機にはSWレベルの 調整しかない。
     基本的にはテストトーンで他のチャンネルと同じ音量になるようにするのだが、 SWの低音だけの信号と、他のチャンネルの音量を耳で合わせるのは難しい。
     恐らく、
    「[SWレベル]を0dbにした状態でテストトーンを出してSW本体のボリュームツマミで レベルを合わせ、DVDのLFE再生のために[SWレベル]を-10dbに設定する」
    というのが、手順だと思うが、どうなっているのだろうか、本当は…
     「アナログMulti入力時、+10db機能」というものが増えているので、 これが意図するところは、「DVD再生時は-10dbが基本」と言っているように思うのだが。

    ■その他

    トラブル・レポート

    ■バグ(?)編


    参考URL集:

    続編1.サラウンドスピーカー Victor SX-L33 導入記
    続編2.SONY TA-DA7000ESによる9.1chサラウンド 導入記
    [戻る]
    文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!