映画館がやってきた!

リビングの音響対策

〜 フラッターエコー、定在波をコントロールする 〜

 新からから亭の音響対策について紹介します。

新からから亭 2001.11.11

ファースト・インプレッション

■空っぽの新居で

 2001年9月19日。ついに新宿で新居の鍵受け渡し。その足で新居に向かう… といっても、新居は現住所から徒歩5分も無いので、ついでに寄ったという ところ。ここから「新からから亭シアター」がスタートするわけ。

窓=スクリーン予定地 / サイド=LD,DVDラック、機器予定地 / 背後=プロジェクター、ピアノ予定地
 未知の部屋に入ると必ずやることは「手を叩く」
 つまり、室内の音響を確認する。
 流石に何も無い14畳以上もある部屋の残響は「ぎよよん」と盛大。
 「これは戦いの日々になるぞ…」というのは、内覧会のときから 分かってはいたことだけれど(^^;;
 普通にしゃべるだけでギンギンに響く

手持ちの機材の写真を撮って、PhotoShopで空っぽの部屋の写真に張り込んでみる。 …こんな部屋になる予定。

■部屋の形

 うちのマンションは、高層マンションで、約6Mx4.5Mのスペースに カウンターキッチンが食い込んでいるというか、4.5M四角のリビングに 2M四角のダイニングがくっついているというか、そういう凸型の部屋。
 スクリーンの背面はガラス窓。4.5M四角の部分にシアターの全てが納まる。
 天井高2.5M
 床はフローリング。床暖房付。
 天井はコンクリートに壁紙じか張り
 一面窓。左右の壁は高密度石膏ボード(めちゃくちゃ硬い)
 …という構造。
 床は防震ゴムを使用していてフワフワと、かなり柔らかい。

 旧からから亭は、床はコンクリートに絨毯張り。天井は最上階なので 断熱材加工あり。広さは10畳強、といったところで、何も物が無い状態 でも床が吸音するような部屋だった。

引越し、第一印象

 とりあえず持ってきた機材、家具を収めた状態。ここがスタート地点。

■ぎょ、TVの音が悪いぞ

 色々な機材をセッティングしながら、とりあえずTVが見られる状態にして仰天(^^;
 壁から50cmほど放したラックに仮設置だが、ぼわぼわ言ってまったく不明瞭
 部屋そのものが響きすぎるのもあるが、仮置きで壁から中途半端な距離にあるので 後ろに抜けた音が反射して戻ってくるとき、ラックと壁の隙間を往復して複雑に 干渉しているのではないかな。
 妻も「変な音だ」と言ってる。
 目一杯高音を上げて何とか明瞭度を稼ぐが、前の家では低音を目一杯上げた 状態でちょうど良かったのだからものすごい違いだ。

■FM放送の低音がっ

 久しぶりに、スピーカーケーブルの剥き直しなどもやって、いい音になるように念じる。
 とりあえずつないだ順に鳴らしてみてFM放送を聞いてみると…
 低音がやけに響いてどわどわ言うぞ。

■電源の取りまわしは…

 AudioTecnicaのフィルター入り8口タップを買う。
 電源道楽は避けているのだが、見た目が非高級なのは惜しい。まあ、機器の裏に埋もれて見えるわけじゃないけれど。
 「3.5Vppのノイズでチェックランプが点灯」という機能があるのだがいきなりぼんやり点灯してびびる。
 原因は天井のシャンデリア用の調光器で、一時「調光器を使うと10HTの電源回路がうなる」という問題が掲示板を賑わしていたが、それの裏がとれた感じ。
 もちろん、鑑賞時には電灯類は消灯しているので、調光回路も蛍光灯も関係ないわけだが。

■とりあえず置きのまとめ

 引越しから五日。とりあえず一通りの音が出る。
 すべてを収めて、ラックを定位置にセット。

1.変形部屋なので、ちょっと音像が左に抜ける。
 分かっていたことであるが、スクリーン面積確保のため音響は多少犠牲にするのだ。
 具体的には窓(スクリーン&スピーカー)に向かって左がキッチン&ダイニングコーナーなので、壁は無いも同然。右だけから反射がある。
 高音に関しては、右の壁を吸音して、左に何か反射する物を置くとバランスが修正されていくのではないかと思う。完全には無理だろうが、センタースピーカーも置くし、リアも稼働させれば欠点は埋もれていくだろう。

2.エアボリュームが増したので、残響時間が長く低音が出る。
 残響のためか、音圧も出る。
 天井は15cmコンクリートスラブ。床はフローリング。一面窓、左右は高密度石膏ボートの二重張りという条件で、以前の部屋より全体、特に垂直方向の剛性が上がったことが、影響している。
 エアボリュームは、1.5倍以上はあるはず。
 一面がすべてカーテンで、床には2M四角の敷物。これでフラッターエコーは撲滅しているし、残響時間もだいぶ減ってはいるが、その分、低音の制動が効かない感じ。
 敷物をもっと厚手の絨毯にしてフローリングの共振を押さえ込めば低音も程良く損失してくれるのではないかと思うが、どうだろうか。あとは、ソファを入れるとかスピーカーの足下の強化か。
 …それにしても、フローリングのマンションがこんなに響いて色々難しいとは…いじりがいが有るとも思うが、大変。
 小さな安アパートに住んでいた頃は、音量が小さいことは勿論低音なんか全然出なかったが、カーペット敷きの洋室、フローリングの更に大きな部屋と、部屋が変わるごとにバランスは大きく変わって、それを押さえるのはパズルのようだ。難しい。

音響対策

 2001.9.30 引越から一週間。ついにリビングがリビングとして使用可能になる。
 これで、スクリーンをサイズアップして、プロジェクターを天吊りして、リアSPを入れればシアター的には完成。
 妻はピアノを入れる。
 インテリアは、ソファとガラスの二段テーブルをいれてダーク調の厚い絨毯を敷く(音響的にも効果を期待)。それからDVDラックのしっかりしたのを調達。
 そんな完成型を色々心で補って新リビングシアターが見えてきた。

 というわけで、ここからは上記のまとめ1.2.を対策しようという話です。

■センタースピーカーの効用 (2001.10.17)

2001.10.1
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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!