映画館がやってきた! |
周波数(Hz) 20-25-30-35-40-45-50-60-70-80-90-100 o:sw(ヤマハ YST-SW150) o# o# #:メインsp(SONY SS-A5) +6db ------o-----*--o#------------------- *:sw窓全開時 * * * o#*o o#* 0db ---o*----------------#*-o#*o#*o#*--- o* -6db ------#----------------------------- # 周波数(Hz) 20-25-30-35-40-45-50-60-70-80-90-100メインSPと、サブウーファー(SW)、それに、窓を全開にしたときのSWの結果を グラフにしました。db値はあくまで感覚(^^;
SW,メインとも、一見して、30〜60Hzに大きなピークが有ることがわかります。
テスト・トーンのスタートの100Hzからすると、メインSPのピークの35-50Hz
あたりは、鼓膜がぐっと来るほどの音量です。
普通に映画や音楽を聴いていると、他の帯域の音が大量に出ているので、
目立たないだけで、実は凄いことになっていた。
試しに、部屋の窓という窓を全てあけてSWを鳴らしてみたのが"*印"で、
だいぶ、ピークがなだらかになったことが分かるでしょう。
結局、室内に溜まったいわゆる『定在波』の仕業であることに間違いない
ようです。
メインSPの周波数特性"#印"が30-35Hzのあいだですぱっと切り落としたように
なっていますが、恐らくバスレフ・ポートの最低共振周波数と、部屋の共鳴の
ピークが一致したためでしょう。
窓を開けたときの特性を見る限り、定在波の影響を受けない場所でSWを
鳴らしたら、見事にカタログ通りの周波数特性(20〜140Hz)で、ほぼ平坦な
特性を持っているのであろうことが、想像されます。
これらの事実が分かれば、後は使いこなしにかかっていると言えるでしょう(^^)
場所 :鉄筋コンクリートマンションのLD
長さ(m) | 共振周波数 | その1/2 | |
高さ | 2.5 | 136Hz | 68Hz |
幅 | 3.3 | 103Hz | 51.5Hz |
奥行き | 4.5 | 75.5Hz | 37Hz |
奥行き2 | 6.0 | 56.7Hz | 28.3Hz |
30-60Hz及び100Hzのピークをこれに当てはめてみると、
まず、100Hzの小さなピークは、幅方向のようです。窓を開けたときも
減衰が少ないのできっと。(窓は奥行き方向にある)
天井方向の1/2波長(68Hz)は影響がないようですが、これは、全面カーペット
敷きのせいでしょう。
奥行き方向の影響は、カウンターキッチンの空間も入れると複雑な形状なので
単純に計算では出ないでしょうが、1/2波長の共振が30-60Hzあたりに密集するこ
とになるので、このへんが膨らむのは避けられないの感じです。
窓を開けたときのSWの周波数特性の変化は、興味深い物で、聴感上、はっきり
とピークが下がるのが感じられました。
いわゆる木造の和室の特性というのはこういう感じでしょうか?
反対にバリバリに気密性の高い防音室を作ると、低音対策はかなり念入りに
する必要があるのでしょう。
吸音材などの資材をつぎ込む対策は後回しにして、なんとか、設定で 聴きやすくする方法を探ることにしました。
これと、各スピーカー出力のイコライザー(EQ.)の設定で、全体の低音の量を
決めていきます。
いずれにせよ、本器の取扱説明書には、各パラメーターの意味や有るべき設定
については、さっぱり書いてないので、改めて調べてみて「目からウロコ」
状態でした。
●イコライザの設定
まずメイン/センターSPについては、イコライザで低音を落とします。
TA-V88ESは、BASS/TRABLEのカットオフ周波数とレベルを設定する
いわゆる普通のトーン・コントロールです。
BASSの周波数は最低が99Hzなので、もう少し下げたいところですが、そこに
設定して、レベルを-3.5dBとしました(聴感で)。
40Hzあたりは、+6dB以上は確実に出ているので、もっと下げても良いかとは
思いますが、あまりフラットにするのも物足りないだろうと言うことと、99〜70Hz
の比較的フラットな帯域を落としすぎないという考えから、控えめな補正にしてい
ます。
●SUB WOOFERレベルの設定
サブウーファーにもボリュームつまみがあるので、これをどのくらいに設定
するかも悩みどころですが、取りあえず固定する必要があるので、私は目盛りの
"6"、時計の1時くらいの場所にしています。深い根拠はありませんが。
SUB WOOFERには、リアSPの90Hz以下が出るので、
『ドルビー・デジタル・エクスペリエンス』の全チャンネル3-20KHzスイープの
信号を入れて、低域がフロントと同じ音量で出るか、低音と高音の音量が平坦に
繋がるかを聴きながら合わせ込みます。
だいたい-9.5dB〜-7.5dBあたりの低い値に落ち着きました。
ここまでの調整で、低音は今までの感覚からはすかすかに感じるほど 小さく設定されています。
●LFE MIXの調整
EQ.や"SUB WOOFER"を下げた分、"LFE MIX"を思い切り上げて、
「ここぞと言うときに低音が出る」という設定にしてみました。
"LFE MIX=-1.5db〜-6db"
"SUB WOOFER"の設定より、1.5〜6db大きいことになります。
このへんは手頃なドルビーデジタル・トレイラーを再生して、
好ましい迫力だと感じたところで設定。
「タイタニック」でLFE大爆発シーンの最大値を0dbとすると、
平常時は-20〜-10dBくらいで、リアの低音が流れてきています。
本当のLFE信号は、冒頭のドルデジ&THXのトレイラー以後沈黙が続き、
3:30 潜水艇のスクリュー音などなど、ごく時々。
15:40 OLD ROSEの乗るヘリの音
28:30 タイタニック出航
31:30 タイタニックのエンジンの回転音
今回の試みで、とりあえず 「有るべき姿に近づいたな」という確信を得ることが出来ました。
あまり低音の出ないシステムで聴いていた頃の経験から、低音は有ればある
ほど嬉しいという方向に走りがちでしたが、定石通り、私の部屋もまた、定在波
によって低音が膨らんでいました。
今までは、サラウンド感に不満を感じると、リアSPのボリュームをアップ
することで、広がり感を取ろうとしていたのですが、今の設定だと、
テスト・トーンで全ch同音量に揃えた状態で、リアからの情報に不満を感じる
ことは無くなってしまいました。思わぬ所に、本当の原因がひそんでい
たのですね。
じっくり取り組まなかったら、気が付かなかったところです。
低音の膨張は、諸悪の根元。私の耳を覆って本当の音を聞こえなく
していたのですね。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |