映画館がやってきた!

室内音響対策

- フラッターエコー撲滅など -

フラッターエコー撲滅(高音の反響の処理)

 和室でも洋室でも、木造でも鉄筋でも、建物が箱形をしている限り 音色を濁らす原因としてもっともわかりやすいのがこの 「フラッターエコー」だと思います。
 フラッターエコーは「手を叩いてみる」だけですぐ体験できます。
 手を叩いた音は、屋外なら「パン」と短くて鋭い音になります。
 室内なら、何らかの余韻が付加されるでしょう。小さな部屋なら「パン」 に少し厚みが付いた程度、大きな空間ならはっきり「バーン」と音が残ります。
 この音が「バン」と濁ったり、はなはだしい場合は「ビ〜ン」という甲高い 音が長く残ったりします。
 手を叩いて聞いた「パン」の余韻の変化が、普段スピーカーから出ている 音にも付加されて、悪い場合は濁らされているということになります。

 空っぽのマンションの室内で手を叩いたら、盛大に「ビ〜ン」となるのが 普通だと思いますから、たいていは悪影響を受けているはずです。
 試しに、5.1chの各スピーカーの前で手を叩いてみましょう。
 「パン」と歯切れの良い音がしていればラッキーですが、 変な余韻が付くことが多いと思います。
 また、「パン」の音色が各スピーカーの場所で違って聞こえることも あります。この場合はやはり、スピーカーから出る音にも色が付いて いるはずです。

 フラッターエコーは、平行な壁面で音が何遍も反射することによって 起こります。しかし、幸いなことに耳障りな高音はまた止めることが 容易でもあります。
 対策は、『吸音する』か『乱反射させる』かのどちらかです。
 上下方向の反射は、とにかく絨毯を引いてしまえば止まります。
 前後左右方向は、家具を置く(乱反射)とか、布をつるす(吸音)です。

 わが家では、床は絨毯貼りで、スピーカーの後ろの壁面は大きな 窓なので、カーテンがあり、これが対策になっています。また、左右の 壁面は、片側に大きなAVラックがあるので、乱反射の役に立っているよ うです。

 以前の住処では、スピーカーの後ろと前はほとんど何もない壁面だっ たので、当初は立派なフラッターエコーが発生していましたが、 スピーカーの後ろの壁を全面的にカバーするサイズの布地を買ってきて、 ぶら下げたところ、がらりと引き締まった音になりました。
 高価な吸音グッズはあれこれ発売されていますが、素材による多少の 吸音率の違いより、大面積で対策する方がずっと確実だとわかります。

 いずれにしても、非常にありがちな現象かつ、対策も簡単なので、 まずは手を叩いてみることをお薦めします。
 フローリングで、あまり物のないすっきりした専用AVルームというのは、無対策では非常に 危険だと思います。


[低音のコントロール研究]に続く
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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!