映画館がやってきた!

DVDクオリティー・チェック

購入したDVDのクオリティー(画質)をまとめてみました。メーカー毎の特徴が発見できるかも。
視聴環境:プレイヤー: パイオニア DVL-909 / 色差接続(SONY VMC-DVD50G(5m)) / プロジェクター: ソニー VPL-VW10HT

個別クオリティー・チェック

 メーカー、制作年で並べています
略語: BN:ブロック・ノイズ,Cont:コントラスト
評価:★:推薦,○:良好,△:VHS並(まあまあ),×:VHS以下(がっかり),××:返品もの(^^;

タイトルメーカー製作/
発売
 
コメント
トルゥー・ライズLHT/HER94/99LB解像度低くビデオ的。くすんだ色
エリザベスPLG/HER98/00SQ×冒頭でコンポジットマスターによるドット妨害。黒浮き。くすんだ色
ニキータGAU/JVC90/97SQ赤にじみ/ずれ,ハイCont.輪郭強調強い。黄が強い
レオン(完全版)GAU/JVC94/97SQBN多,冒頭赤の色ずれ有り,第一印象は綺麗だが、輪郭補正強い
フィフス・エレメントGAU/JVC97/98SQフィルム汚れ有,電気的輪郭,Cont強く白飛び有るが発色良い、黄強い
ロスト・イン・スペースNL/JVC98/99SQハイCont.輪郭補正強い。黄色が強い。
タイタニックFOX/FOX97/99LB解像度はLBにしては良,クリアで明るい,BN少ない。しかしハイライト/暗部の階調がやや不自然
アビスFOX/PC89/98LB×BN多,発色悪い
ムトゥ・踊るマハラジャ-/PC95/99SQ色がくすんでいるが、しっかりした画質
TAXiCAN/PC97/99SQ技術はJVC。JVC共通の電気的画質
中島みゆき 夜会Vol.10PC/PC98/99SQハイビジョンカメラ収録SQ版で期待したが、ほぼ全編ピンボケ。
私をスキーに連れてって-/PC87/00SQ雪のゲレンデの白が美しく、ハイコントラストで気持ちの良い仕上がり。BNもわずか。
エヴンゲリオンVol.1GAI/PDC95/97STD×再生レート高いのにBN多,画ががくがく揺れて大画面だと吐きそう
緑の街-/PDC97/99SQXX白ハイライトがピンクに染まり調整不能(PDCIは監督の意向と回答)。
BNだらけで、がさがさの質感。常に二線ボケ。SQよりLBモードの方がマシ。
ターミネーター2CAL/PLD91/97SQTHX,ハイCont.フィルム粒子強くBNも多く解像感低い
ATLANTISGAU/PLD91/99SQ青が綺麗。普通
イージー・ライダーCOL/SPE69/99SQフィルムの粒子が粗いが、DVDとしては良
ゴースト・バスターズ1/2COL/SPE84/99SQCont弱いが、ノイズ感は無い
レ・ミゼラブルCOL/SPE98/99SQ滑らかで解像度が高いが、そもそも暗くて寒い色合い。青い
8mmCOL/SPE99/99SQ全体に暗いが、明るいシーンはクリアで印象的
デスペラードSPE/SPE95/97SQBNは有るがまあまあ見られる
ジュマンジTRI/SPE95/97SQややくすんで色が薄い
マスク・オブ・ゾロTRI/SPE98/99SQ普通。難点はないが特に鮮やかでもない
恋におちたシェイクスピアUNV/SPE98/99SQ色乗良く豪華。Cont.高いがハイライトも落ち着いている。
アポロ13UNV/SPE- /99SQ蛍光灯照明が多いので色彩は地味だが、質感良好
ライフ・イズ・ビューティフルMIR/TDF97/99SQビデオ的強調感が無く自然な画調。映画らしい。
RONINMGM/WB98/99SQコントラストが弱くくすんでいる。解像度は十分
シティ・オブ・エンジェルREG/WB98/99SQ発色はよいが、輪郭の強調感がありチリチリする
マトリックスVRP/WB99/00SQ暗い映画だが、解像感が高くノイズも少ない。

評価:★:推薦,○:良好,△:VHS並(まあまあ),×:VHS以下(がっかり),××:返品もの(^^;

メーカー記号:

メーカー別特色考察

 テレシネ、オーサリングなどDVD化の作業を行う会社ごとにまとめました。
 今ひとつ、どこの社が担当しているのか分かりにくい所もあり、間違った分類になって いるところがあるかも知れませんが、判り次第更新していきます。

■20世紀FOX(FOX)

 FOX発売のFOX作品はタイタニックのみ保有。
 まず、あれだけの期待の大作をレターボックスで出してきたことが残念だが、解像感は良い方。 斜め線のはっきりした図柄以外ではそれほど気にならない。圧縮画像臭さも、輪郭強調感も控えめ。
 しかし、詳しく見ると深海探査艇のライトが照らすブルーの「等高線上の階調」が見えてしまったり、 女性の顔のハイライトが白く抜けたり、顔に夕日が当たっているシーンで白、オレンジ、肌色の等高線が 出たりしていて、おや?っと思ってしまう。グロリアスチュワートの顔色も、今ひとつ粉っぽい (そういうメイクかも知れないが)
 タイタニックの船内の照明の色温度が高すぎるように感じ、蛍光灯っぽいために重みがないのも 不満だが、これは元々かも。
 水平線に見える星空のグラデーションも等高線だし、特撮の合成で色温度が違うために浮いている 部分もあるし、重箱の隅は幾らでもつつけるが、総合点で合格という画質か。  

■日本ヘラルド(HER)

 トゥルーライズは期待していたのだけれど、LB収録だしLDと比較してDVDだから良い。 という部分が感じられない。画質に対してVHS程度の実力と思える。また、5.1ch音声も 思ったほどでなかった。LDのPCMステレオの方が生々しい。
 最近の作品を見ていないので、何とも言えないが技術的にはまだまだこれからの メーカーという印象。

■ビクター(JVC)

 ディスクに発売年が記入されていないので、発売年代による画質判断が付けられない のが難点。
 ともあれ、ニキータ、レオンなどの初期発売分(1997年頃)に関しては、圧縮画像で あることを感じさせるブロックノイズが多く、不自然な映像。またマスターの映像が 悪いのかも知れないが、ゴーモン社の赤いロゴが盛大に色ずれ、にじみを起こしているのが 印象を悪くしている。
 98年(?)のフィフスエレメントで、目の覚めるようなクリアな色彩を表現してみせるが、 かなりのハイ・コントラストで、電気的な輪郭補正が働いていることを意識させる。
 作為と高画質の分岐点に立つソフトで、大画面で見るほど苦しい。この作品はテレシネを JVCが担当したことが分かっているが、フィルムのゴミも目立つ。
 不自然さは感じるが「黄色くテカテカしたJVCの質感」が、この作品のおもちゃ箱のような 雰囲気にマッチしたために高画質という印象になった幸運な例。(駄目だという人もいる けれど、作品としてはOKでしょう)
 ロスト・イン・スペースも第一印象は綺麗な方だが、こちらは不自然さが隠せない。
 全てのビクター作品に共通して、電気的輪郭補正、ハイ・コントラストな絵作り、 黄色みの強い色彩が目立ち、小画面鑑賞でのインパクトを狙った絵作りを感じる。 大画面になると不自然さが吹き出す。
 再生はハイライトを飛ばさず、黄色を押さえる工夫が必要。

■ポニーキャニオン(PC)

 独自のマスター制作をしているのかどうか分からない。
 アビスは、ビデオ製作用のマスターを使い回しして、テレシネはやっていないように 見える。
 TAXiはポニキャニ発売だが、ビクターの名前もあり、画質はビクターと共通しているので、 発売を担当しているだけか?

■ポニーキャニオン・音楽作品(PC)

 とりあえず、中島みゆきの夜会Vol.10の印象。
 ハイビジョン撮影の16:9収録で、スペックとしてそそられるのだが、どこにも キリっとしたピントが無くもやもや。ステージが目一杯暗く見にくいのは演出で 仕方ないとしても、このぼけた映像は辛い。HiVisionなら、NHKのニュースの LB変換画像の方が数段きりっとして美しい。

■パナソニック・デジタル・コンテンツ(PDCI)

 アニメや邦画のDVD化をやっている物作りの会社。
 ごく初期の作品であるエヴァンゲリオンは、最大転送レートに迫るデータ量を 使っているにもかかわらず、ブロックノイズが目立ち、しかも、静止画の部分も ノイズがある。かなり技術的に低いが、初期のアニメDVDはこんな物か?。

 小田和正監督の『緑の街』は、本編の白ピークがピンクに染まるという普通では 考えられない色合いで、メイキングの同じシーンの映像の色合いが正常であること を考えると、明らかに何らかの手違いだとしか考えられない。
 また、全画面をがさがさしたブロックノイズが覆っており、オープニングの 緑の梢からしてザラザラ。ボケ具合を良く見ていると、縦方向に1ライン滲んで いるようにも思える。
 そんな原因で、プロジェクターのシャープネス最低、色の濃さを白黒寸前に するような工夫をしないと、この不自然さが苦痛で、見ていられない。
 私の送った画質に対する質問メールには「監督がOKを出した作品だから」 という返事を送ってきた同社だけれど、昨年の夏以降、それまであったPDCIの ホームページ自体消滅してしまい、表舞台に名前を出さなくなったことがまた、 不信感を募らせる要因でもある。
 少なくともおまけのメイキングより酷い本編の画質にOKを出す監督が本当に 居るのか、私は不審を隠せない。小さな業務用モニターでチェックさせてOKを 取ったのだとしたら、監督の名誉にとっても不幸だろう。

■パイオニアLDC(PLD)

 ごく初期に出たターミネーター2の画質は今となってはたいしたことなく、 ブロックノイズ、フィルム傷は気になるし、フィルムの粒状感も強いが、 たぶん同時期の中ではましな方か。THXだからなんだ…ってのは分からない。
 99年末の最新作ATLANTISは、これと言った欠点はない。普通。

ソニー・ピクチャー・エンターテイメント(SPE)

 コロンビア、トライスター、ユニバーサル。最近ではヘラルドもSPEから 出ているのでSPEの技術で製作されているのがどこまでなのかは良くわからない。
 世間で高画質の定評のあるSPEも、97年頃の作品(ジュマンジ、デスペラードなど)は、 ブロックノイズが多く、 「圧縮してます」という画質なので、どこのメーカーも同様だが、DVD初期に 発売された物の画質は、そういう物と我慢するしかなさそう。

SPEの99年の製品の傾向は、どの作品もコントラストが控えめで、フィルムに 記録された階調は全て見せるというアプローチ。電気的な輪郭補正も 恐らく無い。もちろんブロックノイズもまず分からない。プロジェクターによる 大画面鑑賞を意識した作りと思える。
 ただし、コントラストが弱いために「暗くてぼーっとした絵」と見える 可能性もあるので、プロジェクターの調整は作品ごとに、メリハリを 引き出す必要があるだろう。

■ユニバーサル(UNV)/SPE

 現在私が見たUNV/SPEのDVDは、「恋におちたシェイクスピア」と「ハムナプトラ」「アポロ13」くらい だが、他のSPE作品と違ってコントラストが高く色乗りも豊か。他と明らかに違う。
 これまでのコロンビア/トライスター作品より派手で、ビクター(JVC)ほど無理な強調を 行っていない絶妙な落としどころを突いているようだ。
 「アポロ13」は、管制室、船内とも蛍光灯照明なのでほとんどの部分が地味な印象だが、 計器パネルや豆電球などの精密感があり出来はよい。特撮が分かってしまうという話もあるけれど…

 ちなみにユニバ/SPEの作品は、映画の最後にPDSI(パナソニック・デジタル・サービス)とかいう クレジットが入っており、技術的にはこの米国会社が担当しているらしい。要チェック。

■東芝デジタルフロンティア(TDF)

 ライフ・イズ・ビューティフルを見ると、ハイライトのレベルが低めでコントラスト控えめだが、 プロジェクター側で合わせ込んでやれば、強調感のない自然な画質で楽しめる。大画面向き。
 圧縮に伴うノイズ感もほとんど無い。

■ワーナー・ブラザーズ(WB)

 ごく初期に発売された「アウト・ブレイク」('97年)は、全面細かいブロックノイズあり、 もやもやする。ジャングルの葉っぱがざわめいたりするとアウト。という感じ。
 「ティン・カップ」('98年?)になると、がらりと傾向が変わり、クリアでシャープだが、 それがたたってか、輪郭の縁にぎゅっとブロックノイズがしがみついているような変な癖。 明らかに、アウト・ブレイクとは圧縮アルゴリズムが違うぞ…という感じで、メーカーも 試行錯誤して居るんだと感じる。
 99年にリリースされた作品はさらに良くなり、あまり圧縮された感じはしない。 高画質グループに入ってきた感じ。
 全体的な傾向を見れば、発色、輪郭補正などはくっきりはっきりTV向け、30インチあたりで見ると 綺麗、というような狙いは感じるが、JVCなどの作為よりは控えめというバランス。



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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!