映画館がやってきた! |
液晶プロジェクターとビーズ・スクリーンを新調してから、飛躍的に明るい画面で鑑賞
できるようになった我が『からから亭ホームシアター』ですが、
輝度アップと同時に迷光と黒浮きの問題が顕在化してきました。
黒浮きでいちばん気になるのが、絵そのものではなく、実はシネスコサイズの
作品を上映するときに出来る上下の余白(余黒?)です。
液晶プロジェクターはどうしても黒が真っ黒にならず、灰色になるので、
輝度の高いスクリーンを使うほど、何もない部分の光が気になります。
それが、どのくらい灰色かと言えば、"全黒画面"を投影しても部屋が
うっすらと明るくなり、字は読めないけれどぶつからずに歩き回れる程度。
これがシネスコサイズともなれば、4:3スクリーンの面積にして半分近くが灰色。
従って、画面の余白部分を"白いスクリーン"に映すのではなく、黒布でカバー
してしまえば、視覚的にすっきりするばかりか、迷光も減少して全体のコントラスト向上にも
繋がると考えられます。
プロジェクターの黒浮きばかりでなく、迷光が入射して余白が明るくなるのも防げます。
●なぜワイドでなく4:3スクリーンか?
では、「最初から余白の無いワイドサイズのスクリーンを買えば…」と思う人もいるでしょうが、
ちょっと待った、と言いたいのです。
DVDは字幕の位置が画面の中に入るか外に出るかが切り替えられます。
しかし、たいていのLDは画面の下に字幕が出るため、プロジェクタ側に仕掛けがなければ、
ワイドスクリーンの下にはみ出てしまうことになります。
また、映画作品にもワイドスクリーンより、縦横比の小さな物は沢山ありますし、
ほとんどの音楽作品は、明らかに画面からはみ出ます。
これを液晶プロジェクタのズーム機能で「縮小」して見るならば、何のための大画面なので
しょう(^^;
つまり、「大は小を兼ねる」使わない部分は隠してしまえば良いじゃないか。というのが、
今回のシネスコ・マスクの制作なのです。それに、ワイドスクリーンでもシネスコ上映時には
結局『余白』が出来るわけですからね。
わが家のスクリーン・ケースは壁面取り付けのため、上部にわずかな隙間があります。
これを利用して、スクリーンケースの幅方向にぐるりと巻き付けるゴム入りベルトを
作成し、そのベルトに黒布を縫いつけることにしました。
構造的には、エプロンみたいな物で、ゴム紐の張力でスクリーンの
ケースに引っかけて止めます。片づけるときも引っ張るだけで外れます。
高さと水平の調整は、紐に引っかかっている部分をたくし上げるだけ。
なんてシンプルな構造なのでしょう(^^)
●試作と効果の確認
本格的に縫い物にはいる前に、効果の確認です。
スクリーンケースの金具部分にS字金具を引っかけ、目玉クリップで黒布を下げてみました。
引っかけるだけでは軽い布といえども、どうしても中央部が弛んで、水平が出ませんが、
効果確認用としては、ほぼ本番通りでしょう。
スコープサイズ(縦横比1:2程度)の映画が、ものすごく画面が引き締まって見えます。
上下方向が引き締まったために、ワイド感が強調されるような気もしますし、
迷光が減少して、スクリーン上部を覆っただけなのに、部屋全体の暗さがましました。
これは、作る価値有り。
本番制作にGOサインです。
●制作手順
さらに、制作過程で横に裂いた布地の残りを、スクリーン下に取り付けます。
これは、目玉クリップで留めるだけ。
これでスクリーン下端のバーも隠れて、上下とも真っ黒です。
●調整
上端の布は、芯棒など入れていないのでどうしても真ん中が垂れ下がりますが、たるんだ分は
二カ所ほどつまんで、安全ピンで留めてしまいます(^^) これで水平を確保。
下端(上下の幅)は、スクリーン自体の上下で高さ合わせします。
今回は、シネスコ・サイズを想定して作成しましたが、調整範囲が広くなるように、
縦方向をもう少し長く取ってみるとより使い勝手が良くなるのではないかと思いました。
見かけは仰々しいですが、簡単なものですから是非、人にも勧めたいですね。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |