S-VHSビデオ Panasonic NV-SB770 導入記
1998.9.15
[NV-SB770のカタログ]
現用のビデオデッキが崩壊寸前なので、とうとう新しいデッキを買いました。
現用ビデオは、SONYのSLV-R5という8年ほど前に購入したS-VHS HiFiビデオで、
走行系など故障で二度ほど修理に出したり、大切に使ってきました。
しかし、最後の修理では結局完全に直らず、録画は問題なくできるものの、
電源を入れてからHiFi音声が出るまでに30分以上暖機運転(^^;;が必要だとか
盛大に色にじみして、人間の顔にピンクの隈取りが出来るとか、さすがに実用の
限界に達したと感じるようになってきていました。
●きっかけ
前述のように、だいぶ前からビデオが当てにならないのでソフトはLD/DVDを
中心に揃えていましたが、妻が"にわかタイタニックおたく"で、輸入ビデオ
テープなんぞを買ってきてしまいました。
それを見たところとにかく「画質が悪い」。
前から気になってはいたのですが、主人公の顔面に派手な色にじみが出て、
全員ピンクのアイシャドウを付けたような顔に見えます。
これを90インチ画面に映すと、どうも気にならずにいられません。
さらに、黒澤映画特番が10月にハイビジョンで放送される。
「なぜハイビジョンなんだ〜」と叫んでも仕方ない。何とかして見たい。
一年以上前から買い換えを考えていたのですが、ついにこの二つの理由が、
後押しをしました。
●なぜ、今まで買い換えなかったか
冒頭に述べたようなひどいコンディションにも関わらず、ビデオの買い換えを
しなかった理由は、理想の機能のビデオがないことでした。
私はSONYファンで、あれこれSONYで揃えているのですが、最近まともなS-VHS
ビデオをSONYが作っていないというのが大きな原因。SONYが作ってくれないと、
編集機能の接続性(LANC端子の制御)が無いわけです。
私の理想の機能とは、S-VHS,HiFi音声,BS内蔵,M/Nコンバータ内蔵、
JOG/SHUTTLE による編集機能。
ここまではお金を出せば手に入る仕様ですが、LANC端子はどうしても他社には
無い。
LANC端子がないということは、編集を諦めると言うことです。
うちには編集対応のHi8デッキもあるのですが、Hi8も先細りなので、この二台
を編集接続するのは諦め、SONY以外で探すことにしました。
さらに、JOG/SHUTTLE によるコマ送り、可変速再生は、数年前までは色々な
機種があったのですが、今や各メーカーともそれぞれ最高機種一種類ずつくら
いしか、ダイヤルを備えた機種がない。
編集機能を使わない以上、こだわる必要もないかな…と思えました。
みんなSONYのVTR戦略が悪いのだ!
●で、NV-SB770購入
色々考えた結果とにかく絵が綺麗でハイビジョンが映ればいい。という、
平凡な仕様で検討したところ、NV-SB770になりました。
主な購入ポイントは
- デジタル三次元Y/C分離&NR&デジタルTBCで高画質
- M-Nコンバータ搭載でハイビジョンが見られる
- リモコンに液晶が付いていて、予約録画を手元で出来る
予約操作の機能性ではSONY方式が一番と感じており、これもSONY製にこだわっ
ていた理由の一つだったのですが、Panasonicの液晶付きリモコンも何とか使え
そうな気がしました。
最近のビデオの中には、Gコードでしか予約できない機種も多くなっている
ようですが、そういう仕様は理解できません。
トリックプレイは完全にビクターの独断場なのですが、ダイヤルで操作できな
いのでは魅力半減と言うことで、切り捨てました。
三菱にもM-Nコンバータつきの機種があったのですが、デザインがあまりにも…
なので検討項目に登りませんでした(^^;
●使用感
- 高画質 … とにかく、8年前の上級機種といまの中級機種とでは、やはり今
の機種の方が段違いに美しい。昔撮ったテープも高画質(よそのメーカーのコピー
だけど)。
色にじみ、ドット妨害、皆無。これは素晴らしい!
- M-Nコンバータが高画質 … 以前モーさんのお宅で見たビデオ内蔵のM-N
コンバータの画質が、普通チャンネルよりざらざらで見にくかったので、
期待はしていなかったのですが、意外に綺麗。
普通のBS番組と同程度の画質に見えます。これで黒澤映画もばっちり録画(^^)
- バックアップ電源付き自動修正時計 … 従来のビデオは、電源を抜くたびに
予約し直していたのですが、バックアップ付き時計のおかげで、出荷時から正確
に時刻があっていて、さわる必要なし。楽ちん(^^)
誤差は、NHKの時報で自動で合わせてくれるし。
- 自動選局 … リモコンに電話番号を入れると、自動的に受信可能な放送局を
サーチしてプリセット。なんて簡単(^^)
- テープ送りが速い … 120分テープが60秒で巻き戻し。
さらに、この機能を生かして超高速イントロサーチ。番組の変わり目を10秒
ずつ早送り再生して確認できます。2〜3分で何を録画したテープだったか確認
できる。
実は、毎週見る番組を押さえておくための使い回し留守録テープの内容が、
どこまで見たか、いつの番組か判らなくなることは良くあったので、とても
助かります。
総じて、コマ送りしてアニメを見るようなマニアのためでなく、レンタル
ビデオや、週末にまとめて留守録ビデオをチェックするような普通の人のための
簡単機能がびっしり詰まっているビデオだと感じました。
世の中変わったものです(^^;;
●不満点
・デジタル三次元ボタンの光
機能を誇りたいのは判りますが、この直径10mm程のボタンが、実に明るく光り
ます。明るい室内ならともかく、ホームシアターの暗室の中ではめちゃくちゃ
目障りです。
「店頭効果」を狙ったこういうデザインは止してもらいたいものです。
(そもそも常時onにすべき機能であり、デモ以外でon/offする必要がない)
赤と黄色のカウンター表示も、無彩色(白)にしてもらいたいですね。
これもマニアではなく、普通のお客さんに売るためのデザインなんでしょう。
●S-VHS ET
昔よりテープの性能が高くなってきたので、ノーマルVHSテープにS-VHS相当の
画質で記録でき、今までより安いランニング・コストで高画質が楽しめる。
…というのが、S-VHS ETという規格の売りです。
怪しげな売り文句ですが、S-VHS ETは思った以上に高画質だと思いました。
確かに解像度が高いですね。
もっとも、基本的にデジタル高画質回路でただのVHSもなかなかの良いので
すが。
S-VHS ET記録されたテープは通常のS-VHS対応ビデオで再生できるのですが、
互換性については、8年前のSONYのS-VHSビデオで再生しても特に破綻が見え
ないので、問題ないようです。したがって、常時onにしておいても良いような
気がします。
とっておきでなければ、S-VHS ETの三倍モードで十分という気がします。
が、S-VHSテープも昔のように高価なわけじゃないのでケチケチしなくても
本来のS-VHSテープによるS-VHS画質を楽しめばいいような気もします(^^;
●値切り
秋葉原のLで決算セールをやっていたのですが、在庫切れ。
となりのIに行って値段を聞くと全く同じ電卓をはじく。
「やや、お隣と同じですね」と突っ込むと
「うっ…、いやお客さんに迷惑はかけられませんので」
というよく分からない返事。
「…で、どうなの?」と返すと、うめきながら、さらに5%ほど安い金額を
はじいてきたのでした(^^)
新製品なのでなかなか値引きしにくいところでしょうが、ん〜、言ってみる
ものだ。しかし、その値段を持って、もう一度Lに行ってみるなんてことはしま
せんでしたが(^^;
●デジタルTBCの効能 … タイタニックがダビングできる?!
そもそもタイタニックを綺麗に見るという目的のために買ったこのビデオですが、
ただ画質が良いという以上の機能を持っていることが分かりました。
- スキュー歪みが消える
市販ビデオソフトには、コピーガード信号が挿入されており、そのためプロジェクタ
で投影すると画面上部に歪み(垂直線の曲がり)が出るという問題があります。
(TVでは、歪んだ部分はブラウン管の外にはみ出て見えない)
このVTRのデジタルTBCをonにすると、その歪みがビシっと垂直に戻ります。びっくり。
- コピーガード信号がキャンセルされる
コピーガード信号は、ビデオの同期信号の部分に小細工することで、ビデオを誤動作させる
という仕組みですが、上記のように、画面の歪みを起こす副作用もあります。
ところが、本機のデジタルTBC回路はその小細工された同期信号をすっかり「綺麗な同期信号」
に差し替えてくれるらしい。…ということは、コピーガード信号も無かったことに…
実際、試してみたところ見事にダビンク成功。あ〜びっくり。
…というわけで、スキュー歪みを消すために「コピーガード・キャンセラー」
を買おうと思っていたのですが、買わずに済んでしまったのでした。あ、得した \14,800円 (笑)
●後日談1…タイタニックがダビングできた件の真相
どうもこの現象はVHSビデオのせいだけではなく、『8mm/Hi8ビデオにはマクロビジョンが効かない』
という現象が有るようです。つまり、8mm/Hi8ビデオにデジタルTBCの組み合わせで綺麗にダビングが出来たと
言うことのようです。
ちなみに、DVDはさらに強力なコピープロテクトがかかっているので、8mmビデオで録画しても、
色信号に縞模様が出たりしますが、内容確認には問題ないという状態でした。
●後日談2…コピーガードキャンセラーが禁制品に
1999年10月から、コピーガードキャンセラーは、売るのも修理するのも法律で禁止されました。
もちろん、ソフトは正しく買うものですから、問題ないと言えば無いのですが、
「コピーガードにまつわる画質劣化」が起きないようにメーカーにはますます
しっかり互換性の検証をした製品作りをお願いしたいものです。
大画面に繋いで分かる画質の話
(2001.1.16)
SONY VPL-VW10HTというワイドXGAの高解像度プロジェクターに繋いで数ヶ月鑑賞して、
このビデオの画質についての考えが少し変わりました。
根本的に昔のビデオより画質がよいのは変わりませんが、絵作りの方向が小画面向き
の派手さ優先のものだと言うことです。色濃く、しゃっきり。
そして、チューナー部の性能は20万円クラスの据え置きHi8と比較視聴すると、
かなりはっきりした差が付きます。
比較対象の古いHi8デッキはもちろんフルアナログ処理の重量級の機械ですが、
派手さではなく、穏やかな滑らかさがあってとても自然。そしに対しS-VHS機の方は
明かな色ズレがあり、はみ出した色の部分に輪郭強調やべったりとした色の強調や、
後から細工して見栄えを良くしようというあれこれが、100インチ級のスクリーンで
は、目に付いてしまいます。
ちなみに、音質についても、もちろん実用的には何の問題もないけれど、聞き比べると
伸びやかさ、広がり感の点で明かな違いが有るのが分かります。
今、VHS機には「画質優先」という機械がないので仕方ない面はあるけれど、
録画再生の性能は昔の機械より格段によいのだから、チューナーにもっと力を入れて
「小画面向きの細工」はもっと控えても良いのではないかなと感じるのは確か
ですね。
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