映画館がやってきた! 映画鑑賞記

U-571

■DATA (2000年/米)
キャスト:

Story

 戦闘で航行不能になり大西洋上で補給を待つドイツの潜水艦 U-571から暗号機「エニグマ」を奪取すべく、味方に偽装して乗り移る作戦に出た アメリカの潜水艦S-33の話。
 奪取作戦は成功裏に終わるかに見えたが、現れたドイツの味方の潜水艦に S-33を撃沈され、U-571に避難した乗組員はドイツの潜水艦、駆逐艦に追われる ことになる。

 ドイツから暗号機を奪うために展開された幾つかの史実の作戦のエッセンスから 再構成された物語である。

感想

[2001.2.4] DVD ★★
 爆発音がもの凄い。画面が暗い(^^;;
 タイトルは『Uボート571号』の意。  話は「連合軍を救った英雄万歳」という内容なので、別にどうってこと無いし、 音楽ときたらまるで『エアフォース・ワン』そっくりの曲もあり、たぶん アメリカ人の愛国心のツボを突くなにかが有るんだろう。
 それはともかく、監督の潜水艦のディーテイルとサウンドに対する こだわりはたいした物で、原寸大のUボートは作るし、内装の再現、乗組員の 緊迫したやりとり、潜水艦の閉塞した空気を再現するサラウンド感の重さ などは、凄い。
 S-33という乗組員より年寄りなおんぼろ潜水艦の「水漏れは当たり前」 と聞いて嫌な顔をする同乗してきた情報部の将校の様子や、揺れる船内の 食事シーンで乗組員は滑る皿を器用にまとめながら食べているのに、 情報部の将校は皿やスプーンをあちこちに落としてしまって食事どころで ない様子など、息抜きのお笑いもまた楽しい。
 この映画の最大の山場はやはり、傷ついた潜水艦で爆雷をかいくぐる 所。サラウンドのリアリティーが潜水艦戦の疑似体験をさせてくれる。
 圧倒的な閉塞感、本当に爆発させて撮影した爆雷の映像、凄まじい爆雷の轟音、 そう言うのは飛び抜けて良くできている。爆雷の水中映像なんて滅多に見ることが 出来ないので、これだけでも見物。

■画質・音質

 音の方はちょっと異常なほどの気合いが込められている。
 ダイアログに合わ せて通常のレベルで聞いているとあわててボリュームを絞らなければならない。 これがLFEに頼るわけでなく全チャンネルからどかどか来るのだから、スピーカーも たまらないだろう。
 LFEは主として爆発本体ではなく、爆雷がガツンと来た後の「船体のどよめき」の どろどろした低音に使われている。

 もう一つの特徴は、画面が暗いこと。もの凄く暗いけれど、真っ暗の中に 微かに潜水艦の細部が見えるという「黒側の階調が多い」難しい絵が多い。 点光源の影の中でほとんど黒く見える乗組員の衣装の紺、茶、灰色、カーキ色などの くすんだ色をちゃんと出すのは結構根気のいる調整が必要だった。
 そんなわけで、サウンドとプロジェクターの限界チェック用としても 好適かも知れない。


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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!