映画館がやってきた! 映画鑑賞記

トゥルーマン・ショー

■DATA
キャスト:ジム・キャリー,エド・ハリス

Story

 アメリカン・ホームドラマを地でいくような、平凡だが幸せな生活を いとなむトゥルーマン氏。彼の生活は赤ん坊の頃から24時間世界生中継 されていた。
 彼の世界は孤島に作られた巨大なセット。彼の周囲の人間は 全て人気番組「トゥルーマン・ショー」のキャストだった。彼の妻さえも。 そして、それを知らないのは世界で彼一人。

感想

 前半の平凡な日常があまりにも平凡なのが、そこがミソとはいえ平凡だ(^^; たとえば、 この番組(トゥルーマン・ショー)に映る物は全てが番組スポンサーの商品で 「トゥルーマン・ショー通販」で買うことが出来、番組そのものがCMになっていると いうが、トゥルーマン目線で奥さんがココアの効能をしゃべるのや、トゥルーマンの 出勤経路の背景に色々な看板が掲示されているのも、自然に溶け込んでいるので 「ここがCM」ってのが前半では分かりにくい。
 推理小説と違って、この世界は虚構だというのは見る人は最初からわかっているの だから、もっと露骨に作っても良い気がする。
 トゥルーマンを囲む状況が徐々に説明され、本人の怪しむ気持が徐々に拡大されていく、 その盛り上げ方が一本道なので、緊張が持続しにくいと言うのも弱点か。トゥルーマンの 脱出と阻止、脱出と阻止、これがエスカレートして、結末はなんとなく見えてしまう。
 結局この作品を面白くしているのは、主人公役のジム・キャリーのキャラクター なのかも知れない。朝、鏡に向かって一人言したり、ルーチンな出勤途上でのルーチン な人々との挨拶の歯切れの良さ、爽やかさは彼の個性だ。
 彼の住む偽りの世界は壮大な規模だが、その暮らしは小粒でシンプルなストーリー展開。 だが、けなげなトルーマンがいい味だしている。そういう映画。
 「神の視点」なんてものを持ち出して解釈しなくても、楽しめばよろしい。
 それにしても最近は「あまりにも本物そっくりな仮想世界/未来/ロボットetc.」という 設定が多い気がする。特撮費用が安上がりになるせいだろうか?なにしろ本物を使えば 良いわけだから(^^;
 米国は、軍隊、警察、NASAなどなどが、映画製作に協力的でそういうところは楽そう。
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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!