映画館がやってきた! 映画鑑賞記

惑星ソラリス

■DATA

Story

 人類が初めて遭遇する、謎の惑星ソラリス。
 その海は人間の脳波を読みとって、追憶を実体化する力を持っていた。

感想

 最も有名なソビエトSFであり、未来都市の映像に日本の『首都高』が 使われたことでも知られる本作。延々と、淡々と映し出される首都高の うねりを見ていると確かにSFだなあという気もする。

 この作品は映画と言うよりほとんど「哲学」であって、暗く、地味で、 異常で、内省的。見ているのは辛いと言っても良い。
 しかし、 『それが「幻の実体化した物」に過ぎないとしても、過去の過ちで 失った最愛の人間ともう一度出会ったら、人はどう生きるか』という 巨大な問題にまともに取り組んだのは、SFという舞台装置を借りて こそ、描くことが出来たと言えるだろう。
 これは、好きにはなれなくても「一度見たら忘れられない」という タイプの作品だ。


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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!