映画館がやってきた! 映画鑑賞記

ランダム・ハーツ

■DATA (米)
キャスト:ハリソン・フォード(ダッチ),クリスティン・S・トーマス(ケイ)

Story

 ハリソン・フォード(ダッチ=しがない警察官)と クリスティン・S・トーマス(ケイ=米国議員さま)が、浮気された 夫と、浮気され た妻を演じ、情けない気分の男女がむしゃくしゃしてくっついてしまう話し(笑)

感想

[2000.9.2](レンタルDVD) ★
 クリスティンは、どこかで見た女優だと思ったら『イングリッシュ・ペイシェント』 とか『ミッション・インポッシブル』『モンタナの風に吹かれて』に出ている人だっ た。知的で突っ張って生きているが故に、ワイルドな男にぐらっと来てしまうという 設定が、似合う。
 職業=警官で、まるで犯人を追いつめるように妻の不倫を調べずにいられない男、それに 巻き込まれるようにして夫の不倫を知っていく女…という設定は面白いし、次第に近 づいていく二人の心というのもわからんではない。
 しかし、飛行機事故によって実現しなかった二人の配偶者の不倫旅行の目的地の クラブでタンゴの踊りを見ている間に、そのセクシーな踊りに配偶者の不倫の情景を 重ねて見てしまい、思わず本人たちがデキてしまう…、というのは、いささか「飛躍 しすぎ」に感じるし、それもメイキングで監督が説明するのを聴いて 「そういうことかい」と思ったような次第。とうてい納得できない。
 とにかく、その唐突さにはついていけない。
 しかし、全てが終わったときにまるで初デートのように「映画でも見に行かないか」 と誘うシーンは全く素晴らしい。新たな始まりを予感させる名セリフだ。

 この作品、話の半ばで二人がデキてしまうというエピソードさえなければ、 「傷ついた心の物語」として名作路線だったかも知れないが、おかげでなんだか 「下半身に振り回されている感じ」が付きまとうし、妻の不倫の後を追うこと自体が 心の整理というより、「血が上ってしまっている」という印象が濃厚になってしま う。
 その下世話さの故に一流になり損ねた映画だと思う。惜しいよ、まったく。
 アクションスターのハリソンフォードが見たいなぁ。


ストーリー納得いかない度 ★★★★★
ラストのさわやか度 ★★★★

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!