映画館がやってきた! 映画鑑賞記

クイズショウ

■DATA 監督:ロバート・レッドフォード

Story

 スプートニクが飛びアメリカ国民がTVにかじりついていた時代。TVのクイズ番組の 回答者はスターだった。しかし、視聴率の横這いが続いたとき八百長によって 新チャンピオンが誕生した。旧チャンピオンの告発をきっかけに番組の 裏側に捜査のメスが入る。

感想

[2001.2.15 レンタル] ★
 TV局内部では番組の人気をコントロールするために、スター性をもった回答者を スカウトし、庶民派、知性派、美人etc.の回答者を視聴率の変動に会わせて次々と 投入し、そのために前もって答えを教えるのが当たり前になっていた。
 そのことを知っているのは、当事者だけだったが、すべては視聴率の世界で、 数字が良ければスポンサーは喜び、品物は売れ、視聴者は熱狂し、出演者も 潤い、悪いことなど何もなかったはずだが、『アメリカの良心』ってやつが 許さなかったという事件なんだろう。
 調査した若い委員は「TVの不正を暴きたかった」と言うが、事件は 新チャンピオンの勇気有る告白を讃える美談に終わり、番組制作会社の 数名が謹慎をくらっただけで、何も変わらず大衆は絵空事の世界に熱中 し続けたというのが、この映画の訴えたい部分だったのか。

 映画としては最初に舞台裏をたっぷりと見ているだけに、普通の 刑事、裁判ものの謎解きの緊張はなく、新チャンピオンの葛藤こそ が見せ所という事になっている。旧チャンピオンのあがき、調査する委員と 新チャンピオンの間に芽生える友情、堅物の父、大勢の人物の感情が 丁寧に提示されているが、面白さは並か。
 まぁ、これが並の作品に見えるのは「TVなんて所詮虚構の世界」と 思っているので、「TVに騙された」というショックが成立しない 部分が大きいのかも。
 実はこの映画は「米国の三大スキャンダル」とまで言われた 実在の事件を描いているのだが、それ自身が 今の時代には風化している。現場の人間を何人か謹慎させてお終い という処理も、ぜんぜん代わり映えがしない。 そういうやり方がより広く蔓延して埋もれて いることが問題なんだ…と今更気づく人がいれば、なにがしかの 教育効果もあるのかも知れないが…

■DVDの出来映えなど

 DVDとしては、LB収録のオマケ無し。ざらついているが色は悪くない。
 日本語吹き替えが付いているので吹き替えで見た方が面白いタイプの 作品だと思う。

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!