マイ・フェア・レディー
■ My Fair Lady ■ DATA (1964年アメリカ/70ミリ1x2.2/173分/ステレオ)
監督:ジョージ・キューカー,原作:バーナード・ショウ,作曲:フレデリック・ロウ,指揮:A.プレビン
キャスト:オードリー・ヘップバーン(イライザ),レックス・ハリソン(ヒギンズ教授),
スタンリー・ハロウェイ(イライザの父),ウィルフレッド・ハイド・ホワイト(ピカリング大佐)
Story
言語学者のヒギンズ教授は、ピカリング大佐と賭をする。イギリスの下町の
花売り娘イライザに美しい英語を仕込んで「レディー」に仕立て上げ、見事
社交界デビューさせることが出来るか。
血のにじむようなレッスンの末に、大使館主催のパーティーで華々しい成功。
大成功に沸くヒギンズ邸の片隅で、イライザは不安と寂しさを募らせていた。
男達にとってはただの「掛け」かも知れないが、イライザはいつしか教授を愛するように
なっていたのだ。
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音楽:
- なぜ英語が話せない / Why Can't the English
- ああ、なんて幸せ! / Wouldn't It Be Loverly?
- 僕は普通の男 / I'm an Ordinaly Man
- 運がよけりゃ / With a Little Bit of Luck
- 今に見ろ / Just You Wait
- 召使いたちの歌 / The Servant's Song
- スペインの雨 / The Rain in Spain
- 踊り明かそう / I Could Have Danced All Night
- アスコット・ガボット / Ascott Gavotte
- 君住む街角で / On th Street Where You Live
- (大使館のワルツ / The Embassy Walts)
- うまくやった / You Did It
- 私に見せて / Show me
- だがまずは教会へ / Get Me to the Church on Time
- 男性賛歌 / A Hyman to Him
- あなた無しでも / Without You
- 忘れられない君の顔 / I've Grown Accustomed to Her Face
感想
このミュージカルはどうしてこんなに良くできているのだろう。
タイタニックを見たおかげで1900年代の上流階級の風俗ってこんな感じなのだ、という
知識を仕入れた目で改めて見てみると、それが新鮮。
タイタニックのローズが登場シーンでかぶっている帽子と、イライザが競馬場で
かぶっている帽子がほとんど同じデザインなのも並べてみると改めて感心してしま
うが、イライザがじゃらじゃらしたドレスなのに比べてローズがスーツ姿なのが、
やはり現代女性に通じる雰囲気を持たせたかったのかな?と思ってみたり。
面白いのは、ヒギンズ家の世話になるまでイライザはお風呂(バスタブ)を見た
こともないと言うこと。タイタニックでも三等船客のシラミ検査などしているが、
ジャックだってまるっきり着た切り雀だし、さぞかし…。
発音はともかく、あのがさつで上流階級の皆さんとあわ無さそうなヒギンズ教授
のもとで、どうしてあれほど完璧なレディーが出来上がったのかいささか疑問であった
が、今回見ていて着替えの手伝いから何から、メイドは彼女を完全に上流階級の娘
として扱っているのに感心したし、「行儀はピクリング大佐に習いました」と言って
いるのを聴いて深く納得した(^^)(1999.10.4)
●マイ・フェア・レディー 特別版DVDについて
DVDレンタルで、目的は「特別版のおまけ」のNGになったオードリーの歌声。
LDの『スペシャルコレクション版』に収録されていた映像らしい。
オードリーはちょっとくすんだ感じの声で華やかさに欠け、発音のキレも悪いが、
それほど悪くもない、という感じ。しかし、やっぱり吹き替えの「マーニ・ニクソン」
の透明感のある軽妙な歌声にはかなわない。
比べてみると、ちょっとハスキーな素のオードリーの歌声は「下町のイライザ」で
透き通った吹き替えの歌は「レディーのイライザ」という雰囲気。
でも良いんじゃないだろうか?オードリーの演技と笑顔はこの映画にはなくては
ならなかったと思うし、歌って踊れるジュリー・アンドリュースが主役だったとし
たら、この「下町の花売り娘から、レディーへの変身」の鮮やかさはこれほどまでに
鮮烈にはならなかったと思うから。
(もちろん、ジュリーのステージも見てみたかったけれど…)
マーク・ニクソンは「ウエスト・サイド・ストーリー」でナタリー・ウッドの
吹き替えもしたそうだけれど、あの作品も吹き替えて正解だと思う。
ミュージカルの命はやっぱり『歌』だし、なかなかうまい人だと思う
今回見て気が付いたことは、街の夜明けのシーンで、『通行人が出てきては
ストップモーションになる演出』があるが、止まっているはずが我慢しきれず
バランスを崩してよろめいている人が居ること。
知らなかった人は是非見て欲しい(私は大笑いしました(^^))
なんであれがNGにならなかったかなぁ…(^^)
●画質音質評
LD(THXワイドスクリーン版)も買った当初は高画質だと思ったのに、
DVDの映像にはLDの画像から薄皮を
剥いだようなクリアさがあり、ヒギンズ邸の内装がぐっと豪華で艶やかに見え
る。ドアや階段の木質は磨き立てられ、壁紙も鮮やかでハイコントラストで、
細かい模様にも良く色が乗る。隅から隅までぴかぴかになった感じ。
この違いは「LDではタイタニックのブルーの沈み込みや色乗りが…」など
という私の講釈にまるで興味の無かった妻も「一目でDVD版の鮮やかさが
良くわかった」と言うくらいの差だった。
音声もLDに入っている物と少しミックスが違うようで、細かな効果音が
良く聞こえ、セリフがふっくらしている。何気なく聞いていて、
「お、こんな音が入っていたのか」と思う箇所がいくつもあった。
フロントの定位感も良くできていて、70mm映画らしい人物の位置と、音声の
位置の同期が楽しめる。当然フロント3chの音質統一が求められるので厳しい
けれど。
字幕は、日本語字幕はLDとほぼ同じようだが、英語字幕がLD-Gの方が
情報量が多く、たとえば「踊り明かそう」の歌のイライザと彼女をベッドに
連れて世話を焼く使用人の掛け合いの部分が、DVDの英語字幕では使用人の
歌詞がカットされて、イライザの歌詞しかわからない。
日本語字幕でも、イライザの歌詞しか表示されないわけだが、使用人も
「早く寝ないと風邪をひきますよ」とか、ちゃんと意味のあることを言って
いるわけで、ぜひ盛り込んで欲しかった。
LD/DVDコンパチ機の非力さはあって、LD高級機で再生した場合の結果はまた
わからないが、字幕のことはともかく、これだけ画質が良くなっていれば、DVDを
買い直しても良いかもと思わせる出来だった。(1999.10.19)
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