映画館がやってきた! 映画鑑賞記

リー・リンチェイ作品

少林寺

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 悪い将軍に強制労働させられる人々がいて、主人公(リー)の 父親(足技の達人)が殺されてしまい、主人公は逃げ延び、少林寺に匿われる。
 やがて拳法の練習を積んで強くなっていく彼は、偶然将軍に追われるお忍びの 皇帝を助けるが、そのことが少林寺全体を巻き込む戦いに発展し、少林寺の様々な 拳法の達人達が一致団結して立ち上がる。

[2000.2.6 鑑賞(レンタルVHS)]
 リー・リンチェイの作品は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ天地黎明」 で初めて見て、彼のデビュー作の「少林寺」はいつかは見ようと思っていた作品。

 ストーリーは、中に師匠の娘とのロマンスがちらっと挟まる以外はほとんどが 拳法のデモンストレーションで延々戦いまくり。だから、中国拳法を見慣れている 人でないと視覚が追いつかなくて疲労度が高いかも知れない。私も呆然として しまった(^^;
 ともあれ拳法は凄い。形にパターンはありそうだから、見慣れると技が見えて くるのかも知れないとも思うが、あの早技、映画の秒24コマでは辛い世界かも 知れない(^^;;

 拳法以外ではやっぱり、蛙食べる、犬食べるというシーンが「お〜中国だなあ」 と文化を感じさせる。が、いくら死んだのは偶然だ(とはいっても、馬鹿力で 絞め殺してしまったのだが)といっても師匠のお嬢様が大切にしていた犬を 食っちまうというのは、デリカシー不在と避難されても仕方有るまい。
 まあ「それほどまでに坊主は食生活が貧困だった」とか「食えば供養になる(?)」 とかいう事情は有るのかも知れないけれど…。

 少林寺 + リー・リンチェイで検索すると、めったやたらとヒットするのも カンフーファンの多さを感じさせる。(少林寺だけだと、ブルースリーの方が 大量にかかるけれど)

少林寺2

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亜羅漢

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ブラック・マスク

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 某国で痛覚を司る神経を切り離し、無敵の兵士を作り出すという実験部隊が、 国策の変化によって抹殺される。
 殺戮を生き延びた兵士(リー)は、図書館に勤め 平凡な人生を全うしようとしているが、地下組織と化して復讐を目指すかつての 仲間と警察との戦いの中に巻き込まれていく。

[2000.2.6 鑑賞(レンタルVHS)]
 少林寺のリーの近作。(近作だが画質は少林寺とあまり変わらない)
 筋を読むだけなら結構マトモに思うだろうけれど、中身は超破天荒。 強引この上なし。でも悪者のボスがなんとなく日本の戦隊物のノリで、とめどない 超B級テイストの中にそこはかとない親しみが沸く。
 実験部隊の生き残りというのは、米ユニバーサル・ソルジャーを引用するまで もなくありがちな話だし、ヒーローと刑事が居て刑事がヒーローと混同される という設定は、 アイアン・キングとそっくりだし、美人な敵、過去の因縁、どじでお茶目な ガールフレンド もお約束。その子がラストでちょっと格好良く描かれるのもお約束。
 で、邦画アクションと違うのは、トランポリンではなくワイヤーを使って いることか。もちろん本物の格闘家がアクションしているというのも売りで、 目にも見えない早技を繰り出していくのは爽快である。
 主演のリー・リンチェイは、ワイヤー吊りしなくても「これってほんと?」 と思うような壮絶なアクションを繰り出す人なので、彼がとことん暴れ回る だけで話は盛り上がるというもの。
 ワイヤ吊り&カンフーは、「マトリックス」にも使われてハリウッド進出 したものの 「あれは本物のカンフーじゃない」なんていう意見がネット上でちらほら 見られたが、確かに香港/中国のカンフーアクションを見慣れている人が 見たらぬるいのかも。
 個人的に、総合力でマトリックスは大した物だと思うし、キアヌが やってこそ面白かったのだとも思うのだけれど。

 閑話休題。ともあれ、話はB級、アクションはA級。敵の首領の 色眼鏡をかけた長髪男(ちょい、仮面ライダーの××将軍のノリ)も、 イロモノのくせしてアクションは素早い。最後の死闘は、飛び道具を使ったり 毒ガス攻撃したり、かなりズルいけれどスピード感があるから許すって感じ ですね。

 「ブラックマスク」のマスク。冒頭の研究施設からの脱出シーンでは 特殊部隊のゴーグルのようなものをかけていて、それなりにそれらしかった のだが、「ブラックマスク」としての登場は、「頭脳バンド」みたいな デザインの目と鼻だけ覆う黒い仮面と、学生帽または山高帽に黒マント。
 日本人としては、なんとなく「江戸川乱歩の怪奇小説に出てくる悪人の扮装」 を連想して、ウルトラ・レトロ…。狙ってやっているなら凄いセンスです。

 90年代日本の戦隊物か、007シリーズの中に「ブラックマスク」という キャラクターを作るなら、もう少しメカメカしたものが作られそう。
 イメージとしてはやはり、マトリックスかブレードの黒装束をベースに サングラスをベースにしたメカニカルな覆面で行くのじゃないかな。
 そうしてこないのが「さすが香港」なのかな?

リー・リンチェイの足技のこと
 敵役で出ていたリーサル4でも見られたが、足を後ろに振り上げて自分の 肩越しに敵を蹴り倒す技、まるでバレエかフィギュアスケートのような動きで そうとうびっくりするのだが、実践での有効性はどんな物なんだろう?

ファイナル・ファイター

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 物語は、第二次世界大戦の中国対日本の戦いから始まり、主人公らの活躍で なんとか勝って終戦。故郷に帰るところから始まる。
 兵隊さんは大歓迎を受けるかと思いきや、街は政府の「米中友好」の方針のため 米国海兵隊の荒くれ者達が我が物顔に歩き回り、中国人は虫けら扱い。米兵相手に 商売をする中国人だけがこっそり小金をため込むという、まるで敗戦国のような 有様。米兵は中国復員兵に対して「戦争に勝ったのは俺達が原爆を落としたお陰だぞ」と 威張り散らす。
 軍隊で兄貴分だった男を頼りに街に来た主人公(リー)は、人力車を引く手伝いを するが、米兵には虐められ続け。人力車の修理代を捻出するために、米兵相手の バーのボクシング設備で、スパーリング相手のアルバイトを引き受けるが、 実体は人間サンドバッグで米兵の格好の玩具だった。我慢できずについ打ち返し てしまったことから賭試合になるが、慣れないルールに縛られて、ギリギリで勝利。 しかし、このことが米兵の集中的ないじめに繋がり、人力車は壊され、さらに 恋人と兄貴分もどさくさに紛れて殺されてしまう。
 この乱闘で全員捕まるが、役人は完全に米兵の味方で彼らには何のとがめもなく リーだけが残される。だが怒りに燃える彼は監獄を脱出し、最後の戦いを挑む。

[2000.2.7 鑑賞(レンタルVHS)×]
 冒頭で延々日の丸を付けた戦車と戦っているのもちとしつこいが、同盟国なのに 進駐軍気分の米兵(海兵隊)の悪いこと。とにかく悪さのしほうだい。殴る蹴る物を 壊す、女に手を出す。揚げ句に殺してしまっても一晩でお咎め無し。
 主人公もひたすら、いじめられては仕返しを延々繰り返しで、ストーリーは単調 この上ない上に、中盤までボクシングなので、リーの足技が見られないし、 とにかく拳と拳でただ殴るだけの試合シーンが多い。
 敵の大ボスは、巨漢の将軍。こんなのにパンチを食らったらヤバイぜ、とは思うが 大振り空振りの連続で、必然的に受けるリーの技もスピード感がない。つまり カンフーの美味しいところはついに見られなかったと言っても良い作品だった。
 後味は面白さよりむしろ、いじめられ抜くリーを見て惨めな気分が伝染して くるほど。リー・リンチェイのカンフーが見たいという期待は満たされなかった。

Story

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!