映画館がやってきた! | 映画鑑賞記 |
17世紀フランス。若き国王ルイ14世(L.ディカプリオ)の馬鹿殿振りに憤った
先王時代の三銃士、アトス、アラミス、ポルトスは、鉄仮面をかぶせられ
バスチーユ監獄に幽閉されていた国王の双子の弟を救いだし、替え玉作戦を
実行する。 幼少の頃からルイに使えていたダルタニャン(ガブリエル・バーン)は、 親衛隊長として殺気立つ国民と、ルイ(親衛隊)の間に立って、いつかは良い王に なってくれる日を祈っていた。 ダルタニャンは三銃士のたくらみに気付き、これを阻止する。 替え玉作戦は失敗してフィリップは、再び牢獄に。三銃士は辛くも逃亡。 だが、三銃士のもとにダルタニアンから、フィリップ救出の手引きが。 フィリップとルイの運命は… |
どこの個人ホームページを見ても書いてあることなので、今更ですが、原作の
タイトルでも分かるとおり、主役はルイではなく、ダルタニアンでした。
興行的にはディカプリオファンを集められる利点はあるでしょうが、私のよう
に「ディカプリオ人気で作った映画など見たくない」と思っている人も確実にいる
わけで、売り方には疑問を感じます。
そのディカプリオに関しては、兄弟二役の演じ分けが注目されたわけですが、
台本がそれほど演技力を要しない物だったような気がします。つまり、
ストーリーの重点はルイ/フィリップの一人二役の面白さではなく、
ダルタニャンや、ルイに振り回される人々の苦悩などの描写に
重点が置かれていたと言えます。
役者としてのディカプリオは、『ばか殿』とか『周囲に振り回されるおどおどした少年』
なんて役が非常に「らしく見える」というのは演技力なのかも知れないけれど、
すり替えられた後のルイがイマイチ「良き王」らしく見えないので、演技じゃなくて
地なんじゃないの?なんて疑念が湧いてしまうわけです。詰めが甘いのだな。
一方、三銃士のブレイン役アラミスと、ダルタニャンのやりとり、大人の渋さは
十分楽しめたと思います。
A級娯楽映画には遠いですが、おじさまの渋い魅力全開で、いっとき
王宮絵巻に浸れるという楽しみ方は十分提供してくれる作品でした。
この作品は、脇を固める名優たちの過去の作品を発掘してみたくなる、良い
きっかけになるかも知れません。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |