映画館がやってきた! 映画鑑賞記

アイアン・ジャイアント

■DATA

Story

 1957年。『遠い空の向こうに』と同じ、スプートニクが飛んだ年に、 空から降ってきた巨大な鉄人と少年の物語。

感想

[2000.9.6]レンタル(DVD) ★★
 1957年。『遠い空の向こうに』と同じ、スプートニクが飛んだ年。
 鉄人を敵国の未知の兵器とつけねらう「政府機関の男」も、そういう時代背景 によく似合う。こいつの悪さははっきりくっきり。出世の ことしか考えていない男で、鉄人の本性が悪ではないとわかっても軍隊を けしかけて手柄を取ろうとする。
 鉄人は空から降ってきた衝撃で記憶を失っており、少年に出会うことで 成長する子供のような心を持っている。
 少年とその母はどこにでもいる平凡な感じの母子家庭。母はちょっと苦労して 生きているが少年は伸び伸び生きている。
 そういうところに、進歩的で理解ある大人の男…鉄屑屋にして芸術家…が、 少年と鉄人の理解者として登場する。
 そんなこんなで、わかりやすい性格の登場人物がずらっと並んで、期待を 裏切らない展開が続く。

 大人の目から見ればいかにも危険な兵器である鉄人が、純真な子供の心を 芽生えさせ、正義の味方を夢見る、というのがストーリーの背骨だが、 ま〜とにかく、政府の回し者や軍隊を相手に危機また危機をくぐり抜け、 人類の友達として認められようと耐える姿は「じ〜ん」とさせられる。
 大人から子供まで楽しめる作品だと思う。

 アニメーション技術的には、手書きの2Dアニメを基本にして、鉄人はフル3D (日本で言えば、ゾイドみたいなの)で、滑らかに気持ちよく動く。2D,3Dの 馴染みがとても良い。
 ただ、いかにも「古いアメリカのアニメ」って肝心のキャラクターデザインは 馴染めないなあ。アメリカ人はあのキャラクターで「可愛い子供」って思うん だろうか?

■DVDの出来

 DVD的には、ちと、モスキートノイズが多いかな?アニメだから厳しいと 言うところはあると思うけれど。でも階調は暗いところでもきっちりと出て いるし、主人公の自宅の明るい「カントリーなキッチン」のパステルカラー は、実に美しい。

 安心してお勧めできる度 ★★★★★

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!