映画館がやってきた! | 映画鑑賞記 |
1999年、地球的規模でギャオスが大発生。鳥類学者長峰真弓はその生態研究を
進めていた。 そしてついに東京にギャオス飛来。これを追ってきたガメラとの戦いで、渋谷 は一瞬にして壊滅。死者1万5千から2万という。 政府はこれによってガメラをギャオス以上に危険な生物と見なし、退治を検討 する。
「ガメラが憎い」 … 4年前、東京のギャオスとガメラの戦いで両親と飼い
猫を亡くした少女、比良坂綾奈(前田愛)は、弟とともに奈良の山奥の村に住む
親戚に引き取られていた。
綾奈と切り離されたイリスは洞窟を抜け出し、周囲の村の住人を食べて急速に
成長し、ついに自衛隊との交戦状態にはいる。 |
怪獣映画の最高峰。ガメラ3を見て、この言葉を贈らない人はいないだろう。 圧倒的なビジュアルは、伝統的ミニチュア技術にデジタル技術が絶妙に被さっ て、飛躍的に「作り物臭さ」を拭い去ることに成功している。 画面を覆い尽くす炎の中で戦う二体の怪獣は、本当に、100m近い体長を感じさ せる。 ギャオスの、生物らしい造形も秀逸だが、より凶暴さを増したガメラの表情も 「人類の敵か味方か?」という今回の謎を、見るものにかき立てる。 そしてイリスの造形、特に幼体と飛行形態の美しさ。 特撮映画のクオリティに占める映像のクオリティの重要性を改めて感じされら れる。 もし『巨大生物被害』が我が身に降りかかったら、ということを真面目に扱お うとしたら、ミニチュアの街の中で怪獣が暴れている映像ではなく、その街の中 に視点を置くことが必要。その重要な映像を見事にリアルに描いている。 ドラマ作りも、徹底的に『巨大生物被害』のシミュレーションにこだわり、 お子さま向けシーンや、くだらないジョークを差し挟んで緊張感を損なわない 真面目な所が良い。 とにかく『ガメラは人類にとって何なのか』という問いに真面目に答える。 充実した作品でした。 1,2作の回想シーンが冒頭に出てくるけれど、前作を見ていた方がより楽しめ ることは間違いない。というわけで、可能なら予習して行くことをお薦めします。 『怪獣は災害だ』というわけで、災害映画はハリウッドでも大量に作られてい るが、アメリカが、火山だ、隕石だ…と言うなら日本の代表的な災害は『怪獣』。 そういう位置づけで、肩を並べられる出来であることは間違いない。 ●音楽 イリスのテーマの神秘的メロディーが、繰り返し繰り返し流れてきて、妙に心に 残る。なかなか良い出来と思います。 ●映画館にて 月曜の最終回、しかも大雨の中という条件にしては、まあまあの入りかも知れない。 子供は皆無で、ほとんど「育った怪獣少年」という顔ぶれの客であったが、この映画 はもっと幅広い層に、見られるべきと思う。 映画は"DOLBY SR"のロゴが付いているが、なぜかSRDのトレーラーが上映された。 何故??
画質の非力さに比べて、音質、特にサラウンド感はなかなか立派で、 アナログなpro-logicながら、迫力があり楽しめた。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |