映画館がやってきた! 映画鑑賞記

警部補、古畑任三郎

古畑任三郎 1st.

■1-1.笑福亭鶴瓶 - 狂言誘拐。Fax脅迫状のアリバイを崩せ

■1-2.中森明菜 - 密室殺人。ダイイングメッセージの謎

■1-3.堺正章 - 歌舞伎役者、人を殺して茶漬けを食う

■2-1.鹿賀丈史 - 興信所長から証拠を盗む。新幹線でカリウム注射

■2-2.古手川祐子 - 恋人をバットで撲殺。料理の下手な精神科医

■2-3.石黒賢 - 超能力者のトリックを暴け。

■3-1.板東八十助 - 将棋の封じ手トリック。若手棋士と古風な棋士の対立

 トリックも勝負に負けた謎も簡単に 分かってしまったのだが、ラストの名人の言葉が「さすが勝負に生きる男」 という感じで格好良かった。

■3-2.桃井かおり - DJおたかさんの完全犯罪

 今回見た6本の中では「桃井かおり」が抜群によい。
 「本番中の殺人事件」のために桃井さんが全力疾走するのだが、 学生時代は陸上部員だったという桃井さんの走りっぷりが大層素晴らしい。
 そして、徐々にアリバイが崩されていくシーンの揺れる心の 表現がぐっと来る。
 この回ばかり特別に脚本が凄いわけではないと思うので、やっぱり 役者として格が違うんだと思う。

■3-3.小堺一機 - 矛盾だらけの死体。秘書が、議員と愛人を偽装殺人

■4-1.小林稔侍 - 撮影所閉鎖騒動。殺陣のミスに偽装して二代目社長を斬る

 小林稔侍の犯人はベテランの味。

■4-2.木の実ナナ - 音楽院の跡目騒動。スタンガンで心臓病に偽装

 木の実ナナは儲け主義に走る音楽院の後継者たちに反対する音楽家 という役所だが、どう見たってクラシックのピアニストには見えないのが難か。

■4-3.菅原文太 - ベテラン刑事の後悔。証拠不十分で釈放されたホシを射殺

 菅原文太なかなか渋くて良いけれど、今回のネタは偶然に頼っている。

古畑任三郎 Special

■9.陣内孝則 - 殺人方程式、名誉欲にくらんだ数学者

★3日前に『破線のマリス』 を見たばかりでタイムリーなのだが、犯人が陣内孝則だ。
 ビデオは第9巻だが放送の順序としては1st.2nd.のあいだに来る2時間special番組。

 数学者コンビがある賞を受け、授賞式のためにオーストラリアのリゾートに来る。
 そこに古畑と今泉が懸賞に当たって旅行に来ている。
 数学者、二本松(陣内)は、相棒の妻と不倫しているが、業績のほとんどは相棒の おかげなので、コンビを維持しつつ妻は貰ってしまおうという強欲なことを 考えている。
 離婚話がもつれ、妻は夫を突き飛ばし意識不明に陥ったのを、陣内が処分する。
 数少ない日本人観光客の古畑たちは彼のアリバイ工作に利用され、いっしょに 夜を過ごすが、途中でトイレに立つ振りをしてアリバイ工作に戻った陣内は、 相棒が死んでいなかったのを発見する。
 ところが、相棒が頭を打った拍子にノーベル賞ものの定理を解き、これは 俺一人の手柄だと宣言したのを聴いて逆上し本当に殺してしまう。
 緻密なアリバイ工作ももはやボロボロ…
 翌朝から、古畑は地元警察に追い払われながら陣内を追求し始める。

 という話なんだが、まあ、陣内さんの特異なキャラを生かしたドラマで 推理ものとしてはそれほど大したことはなかったかなという感触。
 長いだけに、最初の殺人が実は未遂だった、などという捻りはあるが 二本松の行動が「数学者という割には知的でない」のが惜しまれる。 (哀れな犯罪者をねちねちいたぶるのが古畑の趣味だと考えると、二本松の 情けなさも致し方ない所かも知れないが…)
 むしろ、古畑が英語を喋るたびに「通じない」というしつこいギャグの 方が印象的。ホテルで何かオーダーすると必ず人の名前に聞き間違えられ、 色々な人が連れてこられる。しかし、英語が通じないのは私もオーストラリア で情けない目にあったことがあるので古畑氏には痛く同情する(笑)

古畑任三郎 2nd.

■5-1.明石屋さんま - 今泉が殺人犯?休職中の今泉が辣腕弁護士の罠に落ちる

 ビデオ5巻から新シリーズに突入だが、第一話がめちゃめちゃ面白かった。
 犯人の明石屋さんまは今回は脇役で、古畑と今泉の歪んだ友情が最高に 表現されている。解決編は凄いってわけではないのだが、話全体としてgood.
 この回はパート1の平均視聴率が15%だったのに対して、関東で33%取ったとか。

■5-2.山口智子 - 暗闇の謎。分家した生け花の弟子が邪魔な師匠を毒殺(ジギタリス)

 山口智子のフラメンコと、犯人としての演技は前シリーズの水準を 凌駕している。覚悟して人を殺す者の強い意志が感じられる。
(ちなみに、放送日はこの作品がパート2のラストだとか)

■6-1.木村拓哉 - 観覧車爆破予告。今泉くん危機一髪

 今回も今泉君は「なんでここまでドジなのか」というほど、ドジでいじめ抜かれて気の毒だ(^^;
 犯人の木村拓哉は、大学の研究室から見える公園の観覧車に爆弾を仕掛け、 現場を離れるところを警備員に見つかり殺害。翌日爆破予告の電話をするが、偶然 時限爆弾の専門家として現場に呼び出され古畑と対決する。
 今回は爆弾事件モノ定番のカウントダウンの中、赤を切るか、青を切るか の選択を迫るというお話。
 古畑が犯人を確信したロジックはそんなに驚くようなものではなかったけれど、 最後に犯人を追いつめる下りでのたたみかける語りにはなかなか緊迫感があり、 数多ある爆弾ものの中でも秀作だと思う。
 実は最後に明かされる犯人の目的は、金ではなく今時流行の理不尽な若者らしいもの。 そこで怒る古畑を見ると、やっぱりドジな今泉くんに対しても上司としての愛があると いいたいのかなと思う。「私は頭脳労働が専門で…」と日頃は銃も持たない古畑の怒りの シーンにはインパクトがあった。

■6-2.沢口靖子 - 宗教のためなら殺せる。戒律からの逸脱を恐れた女教師

 死体=相島一之、  藤谷文子が、寮生の役で出演。ガメラより上手くなっているんじゃない? というより、本来こういう役が得意なのか?
 とにかく、相島一之を殴り殺した沢口靖子が返り血を浴びながら、ぴくりとも 表情を変えないという絵柄だけでも見応え有り。

■6-3.草刈正雄 - 偽装無理心中の謎。ミステリーマニアの医師との対決

 死体=おひょいさん
 田村正和と草刈正雄の対決と言うだけで見栄え充分。
 おひょいさんも、ナチュラルにボケた味を出している。
 事件の鍵は停電が握っているのだが、リビングにビリヤード台を備えるような 豪邸で電子レンジを使っただけでブレーカーが飛ぶというのには違和感がある(^^;

■7-1.唐沢寿明 - 古畑、クイズ王に挑戦。密室から犯人が抜け出し た方法とは?

死体=伊集院光
 米映画『クイズ・ショウ』を彷彿とさせる舞台設定。あちらでは殺人は起きないが…
 7週勝ち抜き、無敵のクイズ王(唐沢)。しかし連勝の影には出題ヒント漏洩の 不正があった。しかしTV局の方針変更でヒントをもらえなくなったクイズ王は 衣装係(伊集院)に聞き出そうともみあうちに、うっかり殺してしまう。
 何故か発見された死体の周りには「くさや」が散乱。
 だが発見されたとき、その部屋に出入りした者は三人の出前持ち以外 いなかったと、ずっと廊下でネタの打ち合わせをしていたお笑いコンビは 証言した。

■7-2.加藤治子 - 脚本家姉妹の殺人

 海辺の一軒家、老齢のTVドラマ女性脚本家がマネージャーの妹と住んでいた。 わがままな脚本家はしっかり者で若手脚本家の育成事業にお金をつぎ込む妹を 疎ましく思い殺してしまうが、凶器が見あたらないのだった…
 この回、凶器の謎は非常にオーソドックスなのだが、脚本家の生態を描く というドラマ部分で盛り上げる。

■7-3.風間杜夫 - 殺人犯の嘘に嘘に嘘、どこからばれた?

死体=小野武彦
 若林仁(風間杜夫)は、山荘で妻の不倫相手を射殺。密室トリックを仕掛ける。 しかし乗ってきた車が故障したためヒッチハイクで逃走する。だが、なぜか 運転手(小野武彦)が一方的に自分を知っているらしい。しかも、留守電に自分の 名前を吹き込まれてしまう。
 証拠隠滅のため運転手を殺した犯人は、留守電のテープを盗むため運転手の家 に忍び込むが、なぜかそこに古畑が訪ねてくる。
 相手の挙動に不審を感じた古畑は、あの手この手で若林が留守宅の主でないこと を探る。
 この回はミステリー風に始まるが、内容は犯人が古畑にいじめられる様を描く コメディーである。とにかく、犯人に同情したくなるほど笑える(^^;

■8-1.鈴木保奈美 - アメリカの長距離バスの中で出会った女性の語る完全犯罪の謎を解く

 アメリカの長距離バスの中で古畑は偶然日本人女性と同席する。暇つぶしに 「私の友人の完全犯罪の謎を解けますか?」と夫殺しの様子を語り出す。
 「事件の話だけ聞いて真犯人を当てる」これは推理小説の王道。まあトリック 自体は目から鱗が落ちるとは言い難いのだが、今泉君が事件とは全く関係ない 他の客とトラブルを起こしながらも、ドライブインでの休憩時間にいろんな芸を 披露していつの間にかみんなと仲良くなっているのがおかしい(笑)

■8-2.澤林唐十郎 - 贋作を巡る陶芸家と骨董屋と美術館の確執

 将棋の名人戦の回と同じく、ミステリとしての面白さより、その道を生きる 人のこだわりを描く回。

■8-3.山城新吾/松たか子 - マジシャンの殺人。トリックを見破れ

 ペット病院で新米マジシャン(松たか子)と知り合った古畑は、マジック・バー のパーティーに招待される。店主がマジックを披露している最中に、彼女の 彼氏のマジシャンが毒殺される。
 だが、彼は自分で用意した何本かのジュースの一つを飲んで死んだのだった。 犯人はどうやって毒入りの瓶を飲ませたのか?
 この回は「マジック」のミス・ディレクションの技術がそのまま殺人事件の トリックになっているという、ある意味掟破りだが、興味深い仕掛けだ。
 もちろん古畑シリーズの定石通り「毒を仕込む」というシーンは視聴者だけに 露わにされているが、その前後の犯人のトリックは視聴者にも古畑にも平等に 撮影されていてズルの無いところがミステリーとしてしっかりしている。
 「本当の動機」を臭わせるシーンもあるし、いかにして、自分から毒の入った 瓶を選ぶように仕向けたかも映っているが、一回でこれを見抜いた人はきっと 少ないだろう。
 そういう「まんまとしてやられた感」の高さが上質だ。
 殺される男が桃井かおりの回で有名な「赤い洗面器」のネタをやるのも、 ファンにとってはスリリングなエピソードだ。決してオチが語られない赤い 洗面器を持った男の謎…、すなわち彼もオチを語ることなく…(^^;;
 ちなみに、この作品に出てくる「相手の選んだコインを当てる」マジック は種がわかったので、妻を相手に実演して不思議がらせることに成功した(^^)
 だけどやっぱりテーブルマジックは話術が重要だな〜と実感したのだった。

Special

■10.SMAP全員 - 友情の殺人。エレベーターの密室トリックを暴け ★

 SMAPが犯人SMAPを演じる。
 草薙君がコンサート・スタッフにゆすりにあい、他のメンバーが協力して 楽屋裏で殺し、自殺を偽装する。
 2時間(以上)スペシャルで、殺しはほぼ真ん中、60分頃。それまで、メンバーは コンサート会場の中で様々なアリバイ作りをする。
 密室のトリックには、仕出し弁当屋が来たタイミングで荷物用のエレベーター の天井に潜み、被害者の居る照明室(?)に潜り込むという仕掛けを使っているのだ が、完全犯罪を狙うには確実性の低い仕掛けだな〜と感じたところが惜しかった。
 米映画では確かにエレベーターの天井に乗るという仕掛けは多用されるが、 この作品では滅多に動かない楽屋裏のエレベーターを使うため、仕出し屋を 大荷物で右往左往させて時間を稼いでいるのだが、それがなんと言っても 不自然で引っかかってしまう。
 この仕出し屋の存在がラストのアリバイ崩しに絡んでいるので、このシーンだけを 書き換えるわけには行かないのだが、ミステリー的にはエレベーターを動かす役も メンバーの一人が分担して「5人だから出来る犯罪」を演出して欲しかった。
 ドラマでは逆に5人が仲がいいからこそ一緒に行動して、そのためにアリバイが 崩れるという隙を作っているが、首吊りを偽装するには2〜3人居れば何とかなる はずで、同時刻に他のメンバーはそれぞれ色々な工作を行っているというストーリー ならきっと画的にも格好良かっただろう。
 しかし解決編で、完全犯罪の予定になかった行動からアリバイが崩れる という下りは良くできている。つまり、古畑の推理は冴えているが、犯人の 行動に無理があったという事だ。

巡査、今泉慎太郎

 2ndシーズンの各話に対応して、今泉が科研の桑原君に愚痴る10分番組。
 今泉君が古畑の真似をするオープニングから大爆笑である。
 特に、「今泉君を讃える歌」は素晴らしい。

古畑任三郎 3rd.

■11-1.緒形拳 - おみくじ殺人事件。死体のお尻のアナにおみくじが… ★★

 古畑サードシーズンの第一話。
 びっくりするほど、演出が違う。演出=鈴木雅之、ホラーでスタイリッシュ な映像。
 謎の連続殺人事件。
 警察学校でランニング中の新人西園寺は、上司に呼ばれる。
 事件に苦慮する上司は「この事件は古畑にしか解決できない…」 という。
 そうして、西園寺は引退中の古畑わ訪ね。彼は暗い檻の中にいる 古畑に捜査資料を渡し助言を求めるが、「君は背が低いね…」と相手を 苛める古畑…って、こりゃ『羊たちの沈黙』じゃないか…(^^;;
 とはいえ、古畑だからこの状況には必ず落ちがある。
 この辺の下りは面白いから日記には書かない。秘密(^^;
 その後の「おみくじのトリック」は古畑がひらめく前に視聴者が 気が付くくらい単純ではあるけれど、話の広がりが面白い。
 かなり「コメディーに振った一本」であると言える。

■12-1. 市川染五郎 - 落語の若旦那が先輩からネタを盗む ★☆

 面白い!以前のシリーズより演出がスピーディーなのかなぁ?
 噺がうまく人気抜群だが、古典を学ぶのが嫌いでかといって新作を作る技術 もぱっとしない落語の若旦那が、話し下手だが新作を書く力だけは抜きんでた 兄弟子の作品を盗作する。
 だが、当然兄弟子は「もう一度やったら公表する」と怒る。
 若旦那は兄弟子のノートのコピーを奪えば誰が書いたかの証拠もなくなると 考えるがそれにも失敗し殺害してしまう。
 若旦那がアリバイ工作のために引きまくった伏線は、「そんな〜」と思う ものと「なるほど」と思うものが混在しているが、ともかく伏線の量は豊富。
 だけど、決定打となるミスはあまりにもあっけないもの。
 まあ、犯人が極めて危ない橋を渡りまくるので、結構緊張感が持続して 面白かったけど(^^)

■12-2. 真田広之 - メディアプランナーが自分の夢を実現しようとして ★

 べらぼうに忙しく飛び回るメディアプランナー(真田広之)、は一生に一度は 自分のための企画を通して見たいとレストランを企画するが、出資者が手を引こうと したためにピストル自殺に見せかけて殺害する。
 携帯電話と固定電話を使い分けるアリバイ作りはあまり上等な物では ないのだが、解決編に「オチ」が付いている馬鹿馬鹿しさが今回の特徴 かな(^^;

■12-3. 松村達雄 - 日本酒で村おこし。村長の名誉を守れ ★☆

 古畑一行が長野県での捜査の帰り、風邪をひいた古畑はひなびた村の旅館に 泊まることになる。今泉は村の中で東京から来たという女性と知り合い、 一緒に飲んだり卓球をしたりと楽しく過ごす。
 翌朝今泉は「お地蔵さんに落書きした」容疑で捕まる。前夜のアリバイ を証明してくれるはずの東京の女性を探すが、村人は全員見たこともないと いうばかりか、宿帳の記録も、卓球のスコアを書いた窓ガラスの埃さえ、なにも かも消えていたのだ。
 ということで、推理シリーズなら一度はやってみたい「関係者全員がグルだった」 という話。アガサ・クリスティーみたい(笑)
 「一人の人間が消える」というスリルは結構凄かったが、謎解き自体は 村人たちの愚かさが気の毒になるようなボロだった。字も読めんのか このボケ娘って感じ(^^;;
 だけど本当の田舎の人間は、もっと狡猾ではないかなぁ。あんなに素朴に ボロは出さないと思うが。

■13-1. 大地真央 - 女歯科医の殺人。古畑がアリバイづくりに利用される ★☆

 歯医者では治療中に顔にガーゼをかける。これを利用して、歯科医が 途中で助手に入れ替わるトリックが面白い。

■13-2. 津川雅彦 - 古畑の級友の作家。名探偵は殺人を止めることができるか ★★

 めちゃくちゃ歳の離れた妻が担当編集者と不倫していて、スキャンダルを 苦にした作家が…
 とにかく、名探偵が殺人を防ぐことが出来たらどんなに良いだろうかという 日頃の無念さを凝縮したようなラストの語りが良くて泣けてしまった。

■13-3. 市林正親 - 指揮者の殺人。絶対音感と耳の鋭さが殺人の証拠に ★☆

 犯人が、どこから見ても「小澤征爾」のそっくりさんなんだなあ(笑)

■14-1. 田中美佐子 - 几帳面でない人間に完全犯罪は向かない ★

 師匠(先輩?)の棋士と結婚した女流棋士(田中美佐子)だが、何事にも 几帳面で理想の妻を求める夫を息苦しく思う二年を過ごしていた。
 ケーブルTVの囲碁教室の講師としての仕事を得て、ようやく外の空気が吸える と喜んでいた矢先「おまえは家の中に居ろ」と指示され、思いあまって殴り殺し てしまう。
 友人の家でアリバイ工作をしてから、警察を呼ぶが、古畑は飼い猫が 女の与えた餌を食べないことに引っかかる。
 …そそっかしくて情けない系の犯人は何度も登場しているが、この回も 犯人の行動は結構ボロボロ。性格の合わない夫と結婚したのが間違いだったね。

■14-2. 福山雅治 - 車椅子の殺人者。自室から一歩も出ずに犯行を ★

 大学時代の友人で職場の同僚の恋人を大学時代の友人に取られた車椅子の 犯人(福山)が、爆弾入りの置物を遠隔爆破して完全犯罪を狙う。
 …ただ友人を殺すだけでなく、元恋人を犯人に仕立て上げるべく周到な 罠を張っているところがなかなかヤラシイのだ。

■14-3. 玉置浩二 - 飛行機の中で消えた重要参考人 ★

 ファーストクラスで快適な旅をする古畑。隣の席の男と知り合うが、この男、 同乗の妻に頭が上がらないところに、愛人に追跡されて飛行機のトイレで痴話喧嘩。
 そんなところに突然の乱気流で、彼女は頭を打ってぽっくり。
 自分が殺した訳じゃないけれど、彼女が持っていたツーショットのプリクラ シールがべたべた張られた化粧道具を始末しているところを人に見られて思わず 「私は副操縦士だ」と名乗ってしまったところから、取り調べを始めた西園寺 に対して山のような嘘を重ねることになる。
 …パート2にもあった「虐められ系犯人」。恐妻家でさえなければ、最初から 事故で済んだものを大変な目に遭う。何故か玉置浩二には情けないキャラが似合う。
 この回は最初から犯人の顔を知っている古畑は事件にタッチせず、西園寺君 活躍の番外編という作りだ。

■15. 江口洋介 - 幻の電車乗っ取り事件。テロを楽しむ男 ★

 いよいよ最終回。
 「動物園の動物を開放せよ」という動物保護団体SAZの一部の過激集団の 内部抗争でメンバーが殺されるが、彼の荷物が電車に置き忘れられ、 遺失物扱いになった。
 荷物の中に隠された秘密を取り返すため、メンバーの一人が駅に行くが 内容物の確認に答えることが出来ず、「友人の鞄なので…」とごまかして 帰ってきてしまう。そのため力尽くで奪い返す方法を考えざるを 得なくなった。
 テロ集団のリーダー(江口洋介)は、架空の「電車の乗っ取り」をでっち 上げメンバーの一人を「公安部の刑事」として乗り込ませ、電車の運行 掲示板と電話をハッキングして、脅迫電話をかける。
 そして、旅客売上金の小銭を遺失物のバッグに入れて、身代金として 運び出させようとするが…
 という話で二話連続。
 なまじ電話のハッキングなんてハイテクを利用した犯罪だと 「本当にそんなこと出来るのかなぁ」という疑問が先に立つ。
 それを置いても、身代金を詰めるバッグが沢山あるだろう遺失物の 中から目的のバッグが使われるのは完全に「運任せ」で、その他の 綿密な計画の中で大穴だ。
 ここまで大がかりにするより、普通に盗みに入った方が良かった んじゃないかな〜と思うんだけど…。たとえば、 「今度は友人を連れてきました」と二人で行って強奪するとか。
 そういうわけで「最終回にして最高傑作」というわけには行かなかった みたいだ。
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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!