映画館がやってきた! 映画鑑賞記

FROM THE EARTH TO THE MOON

■DATA(年/米) 監督,脚本:トム・ハンクス

Story

 アポロ計画の全貌に光を当てるドキュメンタリードラマ

感想

■Apolo 1

■Apolo 2

■Apolo 3

■Apolo 4

■Apolo 5

■Apolo 6

■Apolo 7

■Apolo 8

 1968年の世相、月着陸船の開発と初の月面着陸のエピソード。
 アポロ計画がベトナム戦争や黒人の自由民権運動などの激動の中で進められたことがわかる。 アポロ1のエピソードでもっと別のことに予算を使うべきだと主張する議員が出てくるが、 ほんと、よくあの政情不安の中で続けられた物だと思う。だがアポロ計画が世界に与えた 夢はお金で変えられないと思う。
 月着陸船の開発話は、難航したという話は今までも聞いたことがあるが、 あの特異な形状が決められていった経緯などが丁寧に描かれていてなかなか 興味深かった。

■Apolo 9

■Apolo 10

■Apolo 11

 アポロ11号の話はもう少し実際の記録映像などが使われていると思ったが ほとんど再現映像。もっとも、資料映像のほとんどは画質が悪すぎて使用に 耐えなかったということらしいが。
 で話はかなり「人類初の月着陸」の飛行士の心情に光を当てた話になって いた。宇宙飛行士は実際に飛ぶことよりも訓練とマスコミ対応が仕事の ほとんどだから、これを描くことは正しいのかも知れない。しかし、 それだけではなくて砂漠で月着陸船の操作の練習をするためのジェット エンジン付きの模擬着陸船の映像があるのは、1シーンしかないけれど 非常に興味深かった。
 月着陸の再現は、着陸船の燃料の残りがギリギリ切れるのと着陸が ほとんど同時でなかなかスリリング。月面のセットもなかなか本当っぽい。

■Apolo 12

 12号は、なかなか順調だったらしいが、新人パイロットの手記のような スタイルで描かれ「月旅行はこんなに素晴らしい」って話。他の話と全然 雰囲気が違って明るい気分。

■Apolo 13

 13号は、機械船の爆発事故を地上の報道陣から見た話し。
 この事故はトムハンクスの映画にもなって、ロケットの中からの情景は 見てきたように鮮明な疑似体験をしているが、実際にはコントロール ルームからの発表と、アポロからの細々としたラジオ音声しか情報のない 状況で世界の人がTVの前に釘付けになった。という話。
 そこで、報道陣はNASAに詰めるのだけれど若いニュースキャスターの 暴走で家族への突撃インタビューがあったり、それを否定する職人気質の ベテラン科学キャスターが居たりという話。

■Apolo 14

 14号はアメリカ初の宇宙飛行士として15分間の飛行を経験したものの 病気で最前線を離れていた47歳の宇宙飛行士の再起の物語。
 親爺の頑張り話は、そんなに颯爽としたものではないけれど、 月着陸船のアボート警告が誤作動して、このままだと着陸見送りという ピンチを「とりあえず叩いて直したり」とか、笑ってしまったのだが、 コンピューターの警報を無視する修正プログラムを手入力して切り抜ける。 なんてシーンがあって見ていて緊張してしまった。
 着陸船のコンピューターはなんと「5kBあれば動くよ」なんていう会話 シーンがあるほど、今となっては小規模なシステムだったのだが、 動いているコンピューターのメモリーのアドレスを指定して、その命令を 直接書き換えるというのは、一文字間違えればアウトな作業。
 私がその昔大型コンピューターの開発をやっていた頃は紙カードが 生き残っていたくらい昔の話で、当時修正プログラムを制御コンソール からプチプチ打ち込むことは良くあったが、まあ、10回に一度は予期せぬ自体 になってクラッシュしたものだ。
 大型コンピュータといってもそれを起動させるための制御ルーチンなどは 本当に原始的なデバッグ方法しか無かったので、雰囲気はアポロの 制御板の世界に近かった。なんて事を考えると、緊張感の生々しさも 跳ね上がるというもの。
 それにしても、アポロのコンピューターも命令の書き換えボタンが 操縦士がいつでもいじれる場所に用意されているなんて、飛んでから デバッグなんて事を前提にやっていたんだなあと思うとびっくりだ。
 大型コンピューターの開発でも、「やばい機能はとりあえず無かっ たことにして…」という、この話同様の「とりあえずの修正」は基本だっ たのでなんだか懐かしいような気分にもなった。
 そういえば、アポロの話の中には何か不具合があると「とりあえずリセット」 という操作が無数に出てくるのも昔のコンピュータらしい話だ。

■Apolo 15

■Apolo 16

■特典ディスク

 特典映像の中で、出演者が子供の頃宇宙飛行士ごっこをして遊んだ話がたくさん出て くるが、日本だってアポロのプラモデルはたくさんあったし、まるで関係ない物でも 「NASAの特許で作られた画期的な××」という売り文句のあらゆる商品が売られていた。
  • それにしても小学生の頃、30年後の21世紀は、鉄腕アトムが出来るとは 思わなかったけれど、地上にはエアカーが走り、宇宙旅行も可能になっていると 漠然と思っていたけれどなぁ。
     冷静に考えれば、宇宙旅行は消費エネルギーが大きすぎて、どんな未来になっても、 旅行としてはお金がかかりすぎるのは変わらないだろう。
     あと一番予想外なのはTV電話。技術的には可能なのに、普及の気配がない。
     衛星携帯電話は、とっても未来的だったが、経済的に破綻したのは「これが現実」 と見せつけられたような気がする。
     HALのようなコンピューターも無い。
     無限の核融合エネルギーというのも遠い夢のままだ。
     ファッションというのは、もしかすると全然進化していないのかも知れない。体を ぴったりと覆う銀色のスーツとかね。でも、これは万人がモデル体型にならない限り 流行るはずがないか…。そういう意味では、21世紀になっても理想的な体型 はお金で買えない…(^^;
     動く歩道は、そこそこ普及したし、壁掛けTVや腕時計型コマンダー(携帯電話)は すっかり普及したけれど、普及するとあまり未来という感じはしない。
  • 未来予想図は色々あるけれど、悪い方に極端なシナリオにもならなさそうだ。
     なんとなく、未来は核戦争を回避して、自然エネルギーを効率よく使って、 戦争抜きの「風の谷」みたいになることを思い描くのだけれど…


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    文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!