クリムゾン・リバー
■DATA 監督:マチュー・カソヴィッツ
出演:ジャン・レノ、ヴァンサン・カッセル
Story
ちらしに「本作品は、その衝撃的なストーリーの秘密をご覧になる前の方に
説明してしまうことを絶対にしないよう、制作者及び監督より希望されております」
などと書いてあるので、ストーリーの説明はしない。
予告編の範囲内でいうなら、これは「山奥の大学城下町で起きる猟奇殺人の謎解き」
の映画である。
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感想
[2001.2.3] ヴァージンシネマズ市川 screen#8 SRD ★☆
ジャンレノが「雪山で発見された猟奇殺人事件」の応援のためパリから呼ばれた一匹狼の敏腕刑事。
ヴァンサン・カッセルが「全く別の町で起きた"少女の墓"泥棒」の捜査をする
規格はずれの刑事を演ずる。
主役として、二人のファンが十分納得するくらい渋く活躍するのは
なかなかであるし、雪山に閉ざされた町の美しい風景、死体発見現場となった
万年雪の積もる山の美しさもなかなか。
猟奇殺人が風光明媚な田舎の閉鎖的な町で起きる。というのはフランスでも
日本でもたぶん同じ感覚なんだろう。
ただ、この作品に「名探偵」は出てこない。
したいに残された犯人の「解いてくれ」と言わんばかりの謎を追って
二人の刑事が走り回ると、事件は次から次へと彼らを襲い、あたかも
事件の方から解決を望んでいたかのように真実に行き当たってしまう。
非常にテンポは速いが、おかげでなんだかよく分からないうちに、事件が
解決してしまうのが、推理物としてはちょっと惜しい。もちろん、本人たちには
どうやらはっきりと事件の真相が分かったようなのだが、観客にとっては、
「猟奇殺人の遺体に刻まれたサインの意味」がいったい何だったのかという
具体的な説明は一切無いまま終わるので、どうも釈然としない…というのは
ある。
なので、これから見る人には気合いを入れて見ることをお薦めする。
パンフレット買えば書いてあるのかな(^^;?
グロテスク度については、オープニングの映像が虫に食い荒らされる死体の
舐めるようなクローズアップで一番嫌かも知れない。ただし、あまりにも
クローズアップなので「虫嫌い」の人には「げろげろ」な映像だが、
死体嫌いの人への刺激はそれほどでもないかも知れない。
オープニング以降に出てくる死体の描写は、わりとチラっと見せるような
手法が多い。
そんなわけで、どんな映画化というとこれはやっぱり「アクション映画」だった
ような気がする。
ヴァンサン・カッセルは勤務中にマリファナをやるような不良刑事で
殴り合いの喧嘩が大得意だが銃は苦手。対するジャンレノは若い者からは
スーパーコップと呼ばれながらどこか影がある一匹狼。強引な
捜査スタイルで強引にねじ込むは、ドアは蹴破るものだと思っているし、
銃もガンガン撃ちまくる。だけど犬が苦手…。という設定。
ヴァンサン・カッセルが不良グループのガレージに聞き込みに入って
喧嘩になってしまうシーンで、ちょうど彼らがやっていた格闘ゲーム(鉄拳かな?)
の音楽がBGMになって、ゲームそっくりの格闘アクションが繰り出される所が
笑える。
「中段+下段回し蹴り」とか、ゲーム中のキャラクターと同じ攻撃を
実際にやっているところを見ると結構格好良くて「お〜本当に出来るんだ」
と感激する(笑)
アクション映画ではあるが、フランス映画なので全体を貫く渋さは
ハリウッド作品とは全く違う雰囲気がある。
■画質・音質
ちなみに、クリムゾンリバーは実に暗いシーンの多い映画で、
画面全体が見えるか見えないかギリギリのシーンもある。液晶プロジェクター
にはとても厳しそう。
ただ、こうも全面真っ黒になるとフィルムでもはっきり黒浮きしていること
は分かるので、フィルムのコントラスト比の限界が目で見て実感しやすい、
良い素材とも言える。
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