映画館がやってきた! 映画鑑賞記

ブリタニック

■DATA

Story

 タイタニックの姉妹船が大戦中に病院船として駆り出され、地中海でU-ボートの 攻撃を受けて沈んだという史実を元に作られた映画。
 ブリタニックが狙われているということを掴んだ当局が家庭教師に変装した 女スパイを送り込むが、彼女は実はタイタニックの生き残りだった…。なぜ ブリタニックは狙われたのか?

感想

[2000.9.19](レンタルDVD) ☆
 タイタニックブームの 後追いで安く作られたのは間違いない作品であるが、DVDで発売されれば見るのが マニアの悲しいところである(笑)
 ストーリー的には、ブリタニックが狙われているということを掴んだ当局が 家庭教師に変装した女スパイを送り込むが、彼女は実はタイタニックの生き残 りの一人で、このトラウマで頻繁にパニックしてしまうという弱点を抱えている。
 タイタニック以後なので、救命ボートも沢山あるし、避難訓練もきっちり やっているというサービスカットが、タイタニックファンを笑わせてくれる (あるいは涙を誘う?)
 防水隔壁は、タイタニックより増強されているし、運用上常時閉めた状態で 使用する規則になっていると言うところも、「タイタニック以降」を強調している。
 女スパイが船長に「敵の摘発に協力して欲しい」と、指令書を見せても、 船長は「本戦は病院船だから」と掛け合わない。
 ところが実際には船内は怪しい人間だらけで、聖書に仕込んだ無線機を操る 謎の牧師なんかが登場したり、ちらちらと、Uボートが見えかけるシーンが続く。
 ともあれ、冒頭で船長は「この船は病院船であり最低限の武装しか持っていない」 ということを意味ありげに強調するのだが、実は、病院船でありながら秘密裏に 大量の武器を運ぶという仕事が隠されており、敵はこれを狙っていて、Uボートに 撃沈されてしまう…という話。
 主人公は救命ボートが沢山あるので助かるんだけれど(^^;
 冒頭から主役の女スパイが頑張っているのに、船長が非協力的でワカランチン なのが見ていてイライラするのだが、この映画の最大のお楽しみはチープなCGに つきると言っていい。
 室内や甲板シーンをのぞく、船が映るほとんどのシーンがCGで、どこから見ても 立派なCGらしいCGなのだ。
 たとえば、タイタニックのCG合成というのは、船の質感などはきっちり本物に 合わせているし、海面の波は本物を撮影した素材を元に貼り込みをしたりと、 現実のオブジェクトとの違和感を消すことに細心の注意を払っているのだが、 このブリタニックのCGは、きわめて標準的な素材をペタペタ貼り付けて作った だけに見える。
 当然空気感なんてものも感じられず、あくまでもくっきりはっきり 「コンピュータの画面」という質感なのだ。だから、ブリタニックやUボートが 映るたびに笑ってしまう。

 さらに笑えるのは、付録の予告編。
 音楽がタイタニックをそのまま使っていて、耳を疑ってしまった。
 いくら、2匹目のドジョウ狙い、コバンザメ商法でも、そいつは露骨じゃ ないか?(^^;;
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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!