映画館がやってきた! | 映画鑑賞記 |
海から来る敵と、潜水艦「青の6号」が戦う |
○話題のフルデジタル・アニメは、買いか?
この作品では、基本的に人物は2Dペイント、メカは3D-CGで描かれていて、
背景は場面によって、2D,3Dが使い分けられているようです。
国産3D-CGムービーは、考えてみればゲーム機で年中見慣れた映像。
それ自体には特に驚きもなく、頭を3D-CGモードに切り替えれば、ごく
当たり前の映像でした。
技術が「当たり前」のものならば、人を驚かすためには使い方ですね。
CGでなければ絶対出来ないと思われる映像には、巨大な鯨をベースにしたよう な生物兵器が泳ぎ回るシーンなどがありましたが、あれは、デザインも優れてい るし、なかなか良かった。
ハリウッドのSFXの緻密さには全くかなわない、CGくさい映像ですが、 画材の一つとして、使いこなしていく面白さは期待できそうです。
○キャラ
女主人公の声質が耳障りなのもさることながら、青6の艦長の仕草は常に斜め
でよろよろしているように見えます。あれで、「斜に構える」という表現なんだ
ろうか…? 片目をつぶるのも不自然。もっと、人間の役者の動作を観察した方がよいと思います。
○サウンド
実はOVAとしてこの作品で一番画期的なのは、5.1ch音声ではないかと思いまし
た。
オネアミスの翼のサウンドリニューアル版もかなりの物でしたが、本作は、
2chにサラウンド効果を付けたというのではなく、全てのチャンネルを対等に
扱っているのが、画期的です。
もはや、センターSPは「ダイヤローグ・チャンネル」なんて意識もまるで無く、
画面に映っていない物を全て音で表そうとしているようです。
あまりにも、爆音を重視しすぎて、セリフが何を言っているのか全然聞こえて
こないシーンも多々あるのは、ちょっと素人仕事的な感じもしますが、台詞を
犠牲にしても迫力を出したいという心意気は大いに買うことが出来ます。
ともあれ、戦闘シーンの物凄さは欠点よりも凄さが上。
四方の爆発音は、容赦なく全てのSPから発せられますし、吹っ飛んでいく物体
に割り付けられた音は、画面の外まで飛んでいきます。
これはちゃんと5.1chで見てあげないと、店頭デモなど見ても全然参考に
ならないですね。
作品としては、何しろ30分しかないので、「主要メンバーが揃って敵と一戦交えた」という
だけのことで、これから面白くなるのかどうかも、さっぱりわからん!と、
そういう意味では不満はあるけれど、とにかく絵も、音も新しいことをしようと
言う気合いはたっぷりで、取りあえず満足しました。
○オマケのこと
次回予告すらまともになく、設定シートは紙。DVDなら、メニュー画面を用意
して楽しませて欲しいと思うのですが、封入物はどうも、同時発売のLDと同一
仕様らしい。惜しいですね。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |