映画館がやってきた! | 映画鑑賞記 |
つまり『愛は地球を救う』というお話 |
リュック・ベッソン監督といえば、レオンやグランブルーなど、アクションの 中にも叙情有り…みたいなイメージを持っていたので、 「あの」ブルース・ウィリスが主役(?)でドンパチやるというのが"ピン"と来な くてLDが発売されても放置していたのでありました。しかし、先日公開された "TAXi"が思いの外面白かったので、DVD発売を機に見てみようかという気を起こ した次第。
オープニングは、1910年代のエジプトでとある神殿の壁画を解読する考古学者。
地球には5000年に一度、全ての生命を破壊し尽くす悪が飛来し、その神殿には
彼らと戦う武器、風、土、水、火の四要素、そして完全なる生命の第五の
エレメントがまつられているらしい… そして、次の襲来は300年後。
というところに、人類の味方の謎の宇宙人(モンドジャワン人)が現れて、
エレメントを回収して去っていく。
悪が訪れるとき我々もまた来ると。
なんとなく、インディージョーンズみたいで、考古学ネタも結構好きなのです
が、モンドジャワン人の、人相の悪い甲冑姿を見た教授が
「ドイツ人?」とボケて見せるのがフランス流ジョークなんでしょうな。
そして、舞台は23世紀の地球。
太陽系に現れた謎の球体。迎え撃つ連邦艦隊のシーンは、なかなか美しい。
なんとなく、宇宙戦艦はスターウォーズのエッセンス頂きって感じ。しかし、
この絶対悪は敵の攻撃をおのれの力に取り込むような、超越的な的で人類は
絶体絶命!
ってところで、いきなり寝起きのブルース・ウィリスの、どアップになるのだ から始末が悪い(^^;; 舞台はニューヨーク。
ここまでスターウォーズかスタートレックかというノリできていたのに、 いきなり、気分がダイハードにジャンプしてしまった。だから、映画館に行かな かったんだよな〜、と思うわけです(^^;;
ここから全ては、マンガチックなノリに変化します。
でも、これが面白かった。
敵と内通している武器商人の親玉(ゾーグ)は、レオンに出ていた「キレた刑事」
で、コスチュームも未来漫画的。
地球にやってきた「フィフス・エレメント」の女の子を連れて、他の四要素の
"石"を入手するために、ウィリスは「コロッケの懸賞で旅行に当選した」という
偽装で目的地のリゾート惑星に行くのですが、極秘だっちゅうのに、なぜか懸賞
旅行はラジオ番組とタイアップしており、マシンガントークなDJにつき合わされ
て、何もかも筒抜け。
このDJのせいで、映画そのものがDJショーのノリでバキバキ進んでいくのが、
面白いんですね。
目的地のリゾートに着いてみれば、「ホテル兼遊覧宇宙船」のデザインが なんだか「タイタニック」だったりするし、敵の仕掛けた時限爆弾によって、 ちゃんと脱出ボートのシーンもあって、船員の代わりにボーイさんが、乗客を 必死の誘導するシーンがあったりする(笑)
このリゾートでコンサートを開く宇宙人歌手が、"石"を託されて運んできて
いるのですが、そのコンサートの曲が、クラシカルなオペラアリア風から舞台裏
の"石"を巡る暗闘のアクションの盛り上がりにシンクロして、ロック調の曲に
変化していくのも、この映画のかなり大きな見所という感じがします。
とにかく曲が良い。
そして、最後は地球の、最初の神殿に戻って敵を倒すために、5つの要素を
起動する事が出来るか! というのが山場になるのですが、この神殿の神父が
(最初から出てきていますが)なんとなく、ジェダイの騎士風だったりします。
未来のニューヨークに、東洋人の空飛ぶ屋台が出てくるところは、明らかに
ブレードランナーのパロ。
徹頭徹尾、流行った映画のパロディー要素のてんこ盛りを、ラップのビートに 載せてジャンジャン繰り出すのがこの映画のミソ。
「主人公がレオンのジャン・レノだったら良かったのに」という人もいるみたい ですが、ひょっとしてブルースウィリスを出したこと自体が、ダイハードのパロディー なのかも知れないと思えてくるところが笑えるんですね。
頭を空っぽにして笑うも良し、どこが何のパロディーなのかマニアックに掘り 返すも良し。とにかくエンターテイメントな作品なのでした。(98.9.27)
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |