映画館がやってきた! |
現在でも、録音機の最高峰はDATで有ることに変わりはないと思いますが、DATによる 地道なカット編集も、総演奏会時間4時間、曲数50曲以上ともなると、ちょっと気が遠く なるほどの作業です。まして、これをカセットテープのA/B面への割り振りを含めて、 最短時間に編集するというのは、表計算ソフトを使っても一大作業で、しかも、なかなか 計算通りの結果にならない(^^;
そんなわけで、とある演奏会での録音で、切りつめまくって90分テープ2本(45分x4面)
に納まる計算だった録音がどうにも納まらなくて挫折してから、
『MDを導入してパソコンで編集するぞ』という野望に燃えるようになったのでした。
一方デジタル録音にはSCMSの壁がありますが、今回は同時に『SCMSのキャンセラー』を
導入したので、無制限にダビングをくり返すことが出来ます。
DATなら、原理的には無限にくり返しても劣化がないところですが、MDの場合は、
外部とのインターフェースはリニアPCMのため圧縮伸張処理が伴うので、たとえ
デジタルでも、ダビングによる音質劣化はあります。アナログ経由より有利でしょうが、
残念なところです。
Cカセット | 45 | (60) | 90 (45*2) | 120 (60*2) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
MD | 60 | 74 | 80 | ||||||
DAT | 60 | 90 | 120 | 180 | (240) | (360) |
DATは、標準で180分もの連続録音が出来、コンサートやエアチェックなどの用途は、これ無しで
考えられません。
Cカセットは、90分を標準的に使いますが、45分で面が切れるのが、長時間の演奏を編集して
入れるのにとても不都合です。A/B面で5分ずつ無駄が出来たら80分しか使えないし、ぎっしり
詰めるために曲順を組み替えるのは、なかなか大変な作業です。
MDは、Cカセットと比べて連続で長時間録音できるため、余計な悩みは減りますが、
最大が一般的に74分。SONYの新製品で80分
[プレスリリース]で、規格の上ではこの80分が限界だそうで、Cカセットとの
相互のダビングを考えると90分にわずかに足りないため、不便を感じます。
(もっとも、80分という製品の発売によって"後わずかでCDを丸ごとMDにダビングできない"
という状況はだいぶ緩和されますが)
コンサートの記録テープを作成して面倒なことは、長時間の演奏をどう収めるかです。
4時間の演奏会なら、実質演奏時間は3時間〜3時間半(180〜210分)でしょう。
DATなら、120分テープ二巻(240)で、適当に切れば良し。
Cカセットは、90分テープ2本に納まりそうですが、実質は45分*4面なので、どうしても
90分以上の薄手テープを使わなければなりません。
MDはどうしても三枚必要になり、60*3(180)〜74*3(222)の間で調整することになります。
カセットより面数が一つ少ないのは利点ですが、一つの編集で、複数の媒体にダビング
するマスターを作るのはのは、困難です。
カウンターは総時間・総残り時間・一曲経過時間・一曲残り時間を切り替えて
表示しますが、パソコンなんだから、複数表示しても良いんじゃないかという気がします。
使っていて結構頻繁に切り替えます。
各曲のタイトルと時間がリスト表示されるのは大変便利です。
編集精度は、本体では0.01秒なのですが、このソフトは0.06秒単位です。
それでも、DATの0.3秒に比べると格段の精度で、生録の会場録音で曲の頭にノイズが
かぶっているような状況でも、すっぱりと切り落として、クリーンな繋ぎが出来ます。
そうやって、不要部分を切り出した部分は、ドラッグ・アンド・ドロップで削除したり、
ちょっと後ろにどけて置いて、戻したくなったら元に戻すなどが出来るので、パソコンを
使うことの威力はあります。
最大の欠点は、本体にあるUNDO機能が無いことで、うっかり削除してしまったら
取り返しが尽きません。パソコンリンク中は"REMOTE"と表示されて一切本体のボタンは機能
しないので、本体にあるUNDO機能も何も使えません。
このことと、本体の編集精度をフルに使えること、本体の他の機能(リピートなど)も
コントロールできるように、今後のVer-UPに期待したいと思います。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |