映画館がやってきた! ドラマ鑑賞記

HR

■DATA (2002年10月/フジテレビ水11(全24回))
キャスト:
スタッフ:
脚本・総合演出:三谷幸喜

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Story&感想

■1.轟先生の秘密の手紙 [2002.10.9]

 舞台は都内のある定時制高校。学園物とは言いながら、定時制で いろいろな社会人が集まっているというところと、先生のほうがほとんどの 生徒より年下、という学園物にしては風変わりな状況になっているのとともに、 「ベテラン役者の大量投入」が可能になっているのが、なるほど。
 色々な職業の人が色々なことを言うドラマは、言ってみれば 『十二人の優しい日本人』的なシチュエーションだ。

 三谷が慎吾で学園もの!...と聞いたときにはどう考えても嫌な予感しか しなかったのだが、フタを開けてみれば結構面白いじゃないか(笑)

 登場人物の、職業を見ると「性格」のバリエーションと職業をオーバーラップ させる事で判りやすさも出しているのだろう。たとえば、頑固一徹の サラリーマンがいても良いけど、やっぱり「大工」の方がすっと判り やすいからね。
 慎吾が教師なのに「銀髪」なのもそういう外見のとおりいまどきの 青年風の教師なのだろうし、小野さんなんか『踊る大捜査線』以来、 ず〜っとあのキャラクターみたいな?

 ともあれ、お客さんを入れた一発撮りで舞台風のドラマになっているわけだが、 息もつかせぬ笑いの連発。前面に立って芝居をしている人の背後にも芝居があって、 張り巡らせた複線がラストに次々と収まる快感。
 これだけのテンポで展開するコメディーは脚本家は大変だろうと思うのだが、 実に旨くできていると思う。
ベテラン勢が良いのは当然として、慎吾がなかなか良かったのは、 スマスマのミニドラマなんかで結構こういう雰囲気には馴染みがあるのかも しれない。ベテラン役者の生徒側に振り回される役というのも、この配役なら やりやすそうだし。

総合評価…面白い。録画して保存する。
 なんだか繰り返し見ると画面の隅に「一度目には見落とした面白い出来事」が 有りそう。30分ドラマだから3回くらい見直してもまだ楽しめそう。
 さらに1クール終わってから最初の回を見直すと、芝居の変化が楽しめそう な予感もする。
 酒井美紀ってどんな人、と思ったら『彦馬』の舞台に出ていた人らしい。
 後でDVD見よう(通販で買ったけどまだ開けてない)

■2.雨の日の宇部さん[2002.10.16]

 今日は宇部さん(戸田恵子)が主役のストーリー。といっても、逃げ隠れする 役だったが(^^;
 時は下校時刻。大雨で電車が止まった晩、生徒たちは三々五々帰っていく。
 あれあれ…、このままでは慎吾と戸田恵子の二人芝居に…と思っていたら 何だかんだ理由があってみんな学校に逆戻り(笑)
 鷲尾君は和久井さん(白井)を巻き込んで傘も差さずに徒歩で帰ろうと無理 強いするが、あまりの雨に断念。
 須磨さん(小野)は、年下の奥さんが迎えに来るが…
 八木田さん(國村)は、暴走ばあさんが迎えに…
 最初に神野さん(酒井)に「車で送るよ」と声を掛けた慎吾は、淡島さんの 彼氏が迎えにこないと知ると、神野さんをキャンセルして、こっそり淡島さん (篠原)を車で送っていこうとするが、みんなが戻ってきて右往左往。
 そして、宇部さんは「迎えに来てくれるボーイフレンドの2,3人は居ます」と見栄を 張ったものだから、こっそり教室に泊り込もうとしていたところに皆が戻って きて隠れることに。

 …今回の話は1話の様に「伏線を張りまくって連鎖連鎖のテンポで押す」という 脚本ではなかったので空気がのんびりしていたが、これはこれでまったりと 楽しかった。
 「雨の日のお迎え」というテーマで、登場人物の家族や恋人、身近な人間関係 がうまく描かれていて、たぶん回を重ねるごとに登場人物に血が通って面白く なるんだろうな。
 CMの合間に「撮影風景」がちらっと流れたが、かなりの数のカメラが並んでいて、 客席は結構遠い。まさに「公開録画」という感じで「舞台中継」とは違う。
 これは一話の後のインターネットで「芝居が大げさ」などと書かれたことに対する フォローなのかな。
 確かに数十メートル先の観客に生の芝居を到達させようとしたら、普通のドラマの ボソボソ喋りではまるで足りない。現場の雰囲気をちらっと見せることで、 TVを見ている人も親近感が湧くと思う。
 30分生舞台、というのはドリフの『8時だよ全員集合』以来無かったかも 知れないね。そういう感覚に慣れると、ネット上の筋違いな批判は減ると思う。


■3.鷲尾くん、ピザを頼む[2002.10.26]

 授業中に教室にピザの出前を取る鷲尾くん。怖くて注意できない先生(慎吾) 周囲にたきつけられ、ついに校庭で一対一の勝負をする羽目になるが、いつも通り 逃げ回っている。
 そうこうするうちに、ベテラン大工の八木田さんが「俺が話をつける」と出て行き 熱い対決の結果みんなのヒーローとなる。

 …ベテラン俳優陣の奥行きのある演技の中で、追い詰められた慎吾先生の 「ワンパターンの引きつり顔」が ちょっと浮いて見える。彼の演技はスマスマのコントと大差無いので、もう少し 工夫して欲しいと思う。
 ストーリーは毎回「あの手この手で慎吾先生が困る」という話で良いが、 それなら、演技にあらゆる困り方のバリエーションが必要だと思う。
 これで三回目だが、どんどん教室の中の力関係が変動して次回が楽しみだ。 まだ本格的に活躍していない役もあるから、これから色々起きるんだろうなぁ。


■サブタイトル[11.8]


■5.神野さんの最初の授業 [11.8]

 神野さん(酒井美紀)が始めて授業に参加。

 良いんじゃないかな。神野さんの魅力がよく出ていたと思う。


■6.級長選挙[11.13]

 CM前恒例の慎吾の必死の形相が、あまりひどくなかった。慣れてきたのか?
 …香取(轟)先生のクラスは現在級長不在。そこで須磨さんに級長をやってくれるように 打診するが、彼がかっこつけて「一応選挙と言う形を取ったほうが…」というので、 立候補を募ってみると、なんと大工の八木田さんが立候補、本当に選挙になってしまう。
 開票してみると、なんと3対3の同点。ところが八木田さんはただ早々に家に 帰りたくない気分だっただけで、時間潰しに選挙がしてみたかっただけなので辞退する。
 「だったら須磨さんで良い」というのに、形にこだわる本人が再投票を希望。
 ところが、どういうわけか票は分散し、形だけの選挙のはずが再投票のたびに 結果はどんどん意図したものとはかけ離れていく。
 轟先生は「ふざけるな、空気を読め」と絶叫するが事態は混迷を極め、挙句に、 須磨さんは商店街の優待券を配ったり、票の水増しを図ったりと選挙違反のし 放題で自ら信用を失い自滅。やればやるほど泥沼に…

 というわけで、今回は一つのテーマがループしながらどんどんエスカレート していくタイプの笑いで、シンプルに爆笑出来た。シリーズ中最高の出来かも。
 今までの話と違うのは、教室の中で全員でわいわいと盛り上がっている ところかな。
 先生(慎吾)対特定の生徒というやり取りでなく、須磨さん(小野武彦) を中心に全員がひっきりなしに活躍しているのが面白い。役者の魅力が 生きていたということか。


■7.ホイさんが帰ってきた [2002.11]

 中国人留学生のホイさんは元級長。彼が事情で学校を休んでいる間、 職場が潰れたりの不幸が重なっていた。
 やっと落ち着いて授業に出たい、と学校に戻ってきたのだが、みんなは すっかり彼が辞めたものだと思っていたので出席簿から名前が消えていたり、 新しい級長を決めていたりで、彼の居場所が無い。
 落ち込むホイさんのために、何とか彼に自信を取り戻してあげようと、 ホイさんの気功がものすごく利くという芝居を打つのだが…

 ホイさん(生瀬)のキャラクターが濃い。いわゆるコントの中国人。
 ストーリーの笑いが、中国人ギャグに食われていたような感じもある けれど、白井さんが宙に浮くパントマイムなど「おおっ」っと言わせる パフォーマンスもあったりして、満足満足。
 とんでもないものが浮いてしまうラストも、なかなか意外だった。 なにしろ「ワイヤー・アクション」だからな〜
 ただし、どうみてもワイヤーは見えなかったので、もっと手品的な 手法で浮かしていたのかもしれない。


■8.田淵ジョー、現わる [2002.11]

 教室に厳ついけれどくたびれた感じのおっさんがやってくる。 彼はの名前は「田淵ジョー」。淡島さんの彼氏で「元ボクサー」と 噂の怖い奴だ。彼は轟先生と話がしたいというが、すっかりビビリ まくった轟は思わず「僕は鷲尾です!」と逃げてしまう。
 教室で粘る田淵にだんだん辻褄が合わなくなって、須磨さんを 教頭先生にしたり、鷲尾君を轟だと言ったり、しまいには八木田 さんまで轟に変装してめちゃくちゃ。
 気を取り直して「真面目に勉学をしているところを見せ付けて 帰ってもらおう」と英語の授業を始める。
 生徒たちはなかなか正解が出ないが、突然田淵が細かい突込みを 入れる。なんと田淵はこれでも「ハーフ」英語ぺらぺらだったのだ…

 白井さんは「出張」でお休み。
 宇部さんが神野さんに化粧のコツを伝授する小ネタなんかが 結構可笑しい。最初は「飛ばしすぎ」と思っていた宇部さんも 付き合っているうちに、馴染んできたものだ。
 どうも、轟先生の恋心が淡島さんに届く日は永遠にこなさ そうだ。
 今回は「ソコハカとなくおかしい」というレベルだけど、 ゆるさも味の内か。


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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!