映画館がやってきた!

構築日記・不定期便
- What's NEWを兼ねた日記のような読み物 -
2002年5月
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2002.5.31
  • 未見作品リスト消化月間の成果は、5月の一ヶ月間で36本だった。
     さすがになんというか、必死だった(^^;
     しかし、集中していろいろ見ると役者の面白さや、よく似た作品の 監督別の個性とか見えてきて面白いものだ。
  • 『最終絶叫計画』鑑賞(DVDレンタル)
     妻と再見。
  • 『12モンキーズ』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
    1995/米
    監督:テリー・ギリアム(未来世紀ブラジル)
    出演:ブルース・ウィリス,ブラッド・ピット,マデリーン・ストウ

     未来の地球は、細菌兵器の汚染によって地上に人が住めなくなっている。
     囚人であるブルース・ウィリスは、恩赦と引き換えにタイムマシンで「原因」 を調査する旅に送り出される。
     裸で放り出され、未来のことを口走るウィリスは「精神病院」に収容されるが、 そこで狂った青年「ブラピ」に出会う。
     タイムマシンには「有効期間」があり、ウィリスは収容された独房から突然 消えて未来に戻る。
     再三にわたる時間旅行の末に、やがてブラピが過激派環境保護団体 「12モンキーズ」に関係することを突き止めるが、映画の登場人物と 観客は共に、精神病院の狂気と、どの時間軸が現実であるか幻惑された 狂気の中に、正気をすり減らし、全てに意味を見失いかけていく。
     とにかく登場人物が「狂気」であるのは、観客にとっても大きなストレスだ。
     何も信じられない気分の中に、チラチラと正気が見え隠れする。
     過去へのタイムトラベルの中で「細菌に汚染された未来は決定済みである」 という前提が、暗くのしかかる絶望感であり、狂気であれ、正気であれ、 進まなければならない、強烈な動機でもある。
     ウィリスが繰り返し夢に見るビジョンは、逃れられない時間旅行者のループ を予感させる。
     とにかく、最初に未来の結論を見せられ、「ラストが決まっている過去への旅」を 絶望的に眺めるのは 変な気分だ。そして、映画のラストには「決定済みの絶望」の中にも、もしかしたら未来 が変わるかもしれない「ささやかな希望」。
     これは、映画を見ることの気持ちよさがカケラも無いくせに、それに耐えて見終えると 物語の巧みさに唸らされてしまうという、憎い作品である。

  • 『アメリカン・ヒストリーX』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
    1998/米,原題:"American History X"
    監督 トニー・ケイ 脚本 デビッド・マッケンナ
    出演 エドワード・ノートン(兄・デレク)
    / エドワード・ファーロング(弟・ダニー)T2のあの子役
    Story:
     三年前、ネオナチの闘士だった兄デレクは黒人車泥棒を撃ち殺し刑務所に入って いたが、出所してくる。
     弟のダニーはそんな兄を英雄視し兄の留守中にネオナチに参加。授業のレポート でナチズム礼賛を書き、危険思想の持ち主として退学になりそうになる。
     アメリカン・ヒストリーXとは、校長がそんなダニーのために始めた特別授業の 名前。最初の授業は、兄の投獄が自分と家庭にどんな影響を与えたのかをレポート にすること。
     帰宅した兄はかつての激しい黒人差別を捨てすっかり変わっていた。
     とまどう弟にデレクは刑務所で起きたこと、これまでの人生で、何が自分を 人種差別に駆り立てていったのかを語り始める。そしてダニーは白人至上主義の 空虚さ、偽善性に気付かされ、この町で生きていくのに何が本当に必要なのかを悟る。
     しかし、この待ちに満ちた人種の壁と憎しみは兄弟にとって悲劇的な現実を見せ付け たのだった。

     「胸にカギ十字の刺青を施して不敵に笑う兄デレクの肖像」は、実に狂気に満ちている。
     いわゆる「プア・ホワイト」の有色人種に対する憎しみの裏返しの優越。この映画の 冒頭はそれを激しく見せ付ける。
     黒人の車泥棒を射殺したことで逮捕されたデレクは、懲役三年の刑を勤める。
     刑務所は当然荒くれどもの支配する世界だが、デレクはどこのグループにも属さずに 一人で突っ張っている。
     洗濯係に指名されて明るい黒人青年と一緒に働くことになるが、黒人を蔑視している 彼は当然話もしない。だが、勝手にしゃべり続ける相棒は、 「自分は電気店からTVを盗んで懲役三年だ」と言い、デレクは驚く。
     「警官に腕をつかまれた拍子に、持っていたTVが警官の足の上に落ちたんだ。」
     それだけのことが警官に対する暴行と認定されて懲役三年以上。なのに、自分は 三人の黒人を撃ち、一人は銃で死に、一人は首の骨をへし折って殺して、それでも たったの三年だ。法律までが黒人に激しい差別を加えている現実を始めて実感した デレクは、それを境に自分の「白人至上主義」が、父や周囲の大人の主張、歴史的な 偏見をただ鵜呑みにして、自分の目で見ていなかったことに気がつく。
     それからのデレクの心境の変化は劇的だ。刑務所で過ごす日々のあらゆることに 今までとは違う意味を見出し、事の本質に目を開いていく。
     映画的に見れば、やや「とんとん拍子」にコトが運びすぎるような気もするが、 冒頭のデレクの「ゆがんだ世界観」に感じた嫌悪が、霧が晴れるように透き通り すがすがしい気持ちになれる。
     兄の言葉を真剣に聞いた弟は、白人至上主義の集団から足を洗うことを決め、 宿題のレポートをまとめる。
     家族全員で穏やかな暮らしの再スタートを切ろうという、その日の朝、学校の トイレで弟は敵対黒人グループの少年が持ち込んだ銃に倒れる。
     現実の壁は、有った。
     映画の手法として主人公を殺して終わるのは決して気持ちの良いものではない が、この作品の場合は「ダニーの悲劇」が無かったら、都合の良い絵空事 の物語だという感想が残っただけかもしれない。
     「これが現実だ」と叩き付けられた最後の悲劇と、兄弟が辿り着いた高い理想と のギャップには、たぶんアメリカの 抱えている苦しみがそのまま託されているのだろう。
     観客に示された、徹底した白人至上主義への嫌悪感から 理想と希望に浄化された開放感、そして苦い現実という激しい感情の起伏。 その映画的鮮やかさに対して作り物に対する警戒感を感じるスレスレの 起伏を演出しながら、結果的にはちゃんと説得力がある。しっかりした話だと思う。

     同じような感情の起伏を持った『ペイ・フォワード』のラストの死は、絶対に 許しがたい「映画のテクニック」にしか見えないのに、本作では悲劇に現実味が ある。
     物語が必然的に悲劇の形をとるのと、「ここで主人公を殺せば、客を泣かせ られるだろう」という商売っ気が透けて見える場合と、同じ死にこれほどの 違いが有ると、考えさせられる典型的な作品だった。
     考えてみれば「有りそうな設定の、ありがちな展開」ではあるが、 それを細かなエピソードの積み重ねで真面目に丁寧に作っているのには好感が 持てる一本といっていいだろう。

2002.5.30
  • 三谷幸喜「さよならは言わない」 伊藤俊人さん告別式
  • 伊藤俊人さん告別式、500人が最後の別れ
  • ウィルスが凄い
     最近は毎日たくさんのウィルスメールが来るが、夕べは一晩でいつもの ウィルスが18個も届いた。げ〜
     どうもこいつはFromアドレスも偽っているようで発信元が感染しているわけでも ないようで、添付ファイル名もバリエーション豊富。ただ同じようなサイズなので 見ないでじゃんじゃん消しているけれど…
  • 『パトリオット』鑑賞(DVDレンタル) ★
    2000年/米,原題:THE PATRIOT「愛国者」
    監督 - ローランド・エメリッヒ 音楽 - ジョン・ウィリアムズ
    脚本 - ロバート・ローダット (プライベート・ライアン)
    ベンジャミン・マーチン - メル・ギブソン
    Story:
    1776年、サウスカロライナ。フレンチ・インディアン戦争の勇士だったベンジャミン・マーチン (メル・ギブソン)は、農夫となり、7人の子供の良き父親として平穏な日々を送っている。 妻は他界し、今ではメイドのアビゲールが子供たちの面倒を見ていた。戦争の残忍さを身を 持って体験しているベンジャミンは、今では平和主義者となり、家族への愛を大切にしている。
     だが独立戦争が始まった。
     止める父の声も聞かず長男は出征して行く。戦況が変わり、一家は否応無く戦渦に巻き込まれ、 家族を守るためについにベンジャミンも武器を取って民兵を指揮する。

     なぜか『ブレイブハート』に続いてメル・ギブソンの戦争物。今度は米独立戦争。
     歴史的事実を背景にしたフィクションという点で比較すると、『ブレイブハート』より少し リアルに近い感じ。メル・ギブソンの指揮する軍隊が「民兵」というのは、歴史に残らない 人たちの活躍という点では『ブレイブハート』と同じ話の作り方だ。
     独立戦争の資料は「スミソニアン」に大量にあるそうで、史実にかかわるところは なるべく正確を期しているそうだ。
     しかし、メルギブソンはインディアン出身、「チェロキー族」という設定だ。歴史上の彼らは 入植者に相当殺されたはずで、彼らを英雄にして話を作るというのは「そんなことって あるのかな〜」とちょいと疑問ではある。
     敵は汚いことを沢山する。民兵の支持母体の村を丸ごと焼き殺すなんてのも平気。
     今の感覚なら「故意に誤爆」というところかな。英国軍は「紳士的」とか言いながら、 勝つためには何でもやる。(負けるけどね)
     スターウォーズでも反乱軍の基地を聞いてから惑星を粉々にするというのがある。 あれですな。そういう奴はやっぱり負ける。

     まあストーリーは頑張って勝ったという以外「どうってこと無い」ので、興味は 「歴史の再現」だ。
     戦闘シーンは、『ブレイブハート』と比較したら、ぜんぜん綺麗。
     平原を横一列に並んで行軍し、合図でいっせいにぶっ放す。そうすると前列の1〜2割りの 兵士が弾に当たってばたばた倒れる。両軍で交互にこれを繰り返し、限界まで来て 隊列が崩れたら馬で追い掛け回して陣地をとる。こういう戦い。
     『ブレイブハート』は刀でずば、どびゅわ、びっしゅ〜、でぐちゃぐちゃの 血まみれ。特に鉄砲なら勝った方は無傷なのに対して、刀では勝ったほうも返り血を 浴びて鬼のようであるからして、まあ、太平洋戦争の時代にも、戦場に刀を持ち歩いた 日本人が怖がられるのも道理かなと。そう思うわけだ。
     それにしても、将棋の駒のように向かい合って発砲し、自分が死ぬかどうかは運次第、 というのは、腕がよければ生き延びる可能性も高い剣の戦いと比べるとずいぶん 酷いような気もする。
     何しろ兵隊に鉄砲だけ持たせて盾も鎧も無いのだから、人間を「駒」としか考えて いないのは明らかだ。
     そこに行くと、メルギブソンの民兵軍団は主に待ち伏せと奇襲を本領とし、なるべく 死なないで頑張っている。
     英国軍が「最初に指揮官を狙うのは紳士的じゃない」と主張しているのも、 なんだか凄い理屈だ。
     この戦争は次弾の装填に時間が掛かるためにのんびりしているけれど、時代と共に がんがん撃てるようになり、機関銃の発明で前に進むことが出来なくなり、塹壕戦 が始まり、戦車が生まれ、地雷が生まれと、そういう歴史の一ページとしての興味で 見ることも出来るけど、まあ、いずれにしても悲惨である。
     それでも、まだ戦争がやめられない人類ってほんとに馬鹿。
     映画的には、死んだ息子の鉛の兵隊を一つ一つ溶かして弾として使い、最後の ひとつを使い切るのが最後の戦いだとか言う恥ずかしい演出が目立つ(^^;
     それに、妻を亡くしたメルギブソンが、戦争中に妻の妹とラブラブになる。
     なんだか、筋とは関係なく必ず「キスシーン」を入れないと気が済まない とか、そういう契約をしているのでしょうかね…。変だと思うけどねえ。
     メル・ギブソンは今度は「ベトナム戦争」がテーマの戦争映画を撮った らしいけれど、何が出るのか、またワンパターンなのか気になる(笑)
     音楽はあんまり『スターウォーズ』っぽくないなと思っていたけれど、 結婚式シーンの黒人の演奏する曲が、イウォーク族っぽかった。
     衣装は『タイタニック』でも衣装をやった人らしい。

  • 『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイヤ』鑑賞(DVDレンタル) ★★
    1994/米
    製作: デヴィッド・ゲフィン/スティーヴン・ウーレイ 監督: ニール・ジョーダン 原作・脚本: アン・ライス 撮影: フィリップ・ルスロー 音楽: エリオット・ゴールデンサル
    出演: トム・クルーズ(=レスタト) /ブラッド・ピット(=ルイ) /キルスティン・ダンスト(=クローディァ) /アントニオ・バンデラス(=アーマンド) /スティーヴン・レイ(=サンチャゴ) /クリスチャン・スレーター(=マロイ)

     うひ〜、トム・クルーズの牙がブラピの喉元に(^^;
     バンデラスが演じる最古のヴァンパイヤもなかなかセクシーだ。
     現代アメリカ、地元FMのインタビュー番組の取材を受けたのはなんと、 ヴァンパイヤだった。半信半疑のレポーターにヴァンパイヤ・ルイ(ブラピ)が 語る半生は壮絶だった。
     …まあとにかく、「ヴァンパイヤは美形である」というのが、この作品の 何よりも重要なところではないか。
     コッポラの『ドラキュラ』なんかかなり異常なデザインだったし、古い吸血鬼映画の 主人公はいずれにしても「怪奇」な感じが前面に出ていたけれど、この作品ではなん たってまず、トム・クルーズだから。貴族の香りが漂う。
     ルイ(ブラピ)は、妻に去られた若い農園主。奴隷を使っていた時代だから、 彼も当然貴族風の生活をしているが、心の傷で死にたがっている。そこに レスタト(トム・クルーズ)が現れる。それで、首筋にがぶり。
     美形が好青年にガブリという「イケナイ雰囲気」このワンカットだけで、 強烈にイメージに残ってしまうのは『アイズ・ワイド・シャット』のイケナイ 感じの比じゃないですねえ。危険です。
     それで、二人のキャラクターの対比がまた際立っている。
     レスタトにとって人間は「食料」。できれば、ヨーロッパの純度の高い 貴族の血が味わいたい、というグルメ。
     ところがルイは人生自暴自棄になっている時期に「死んで元々」という くらいの気持ちでヴァンパイヤの血を受け継いでしまったので、人間の心を 捨てられない。ルイにとって吸血は立派な殺人。それで、鶏やねずみの血で 飢えを満たしながら苦しむところをレスタトに「吸血鬼の恥」となじられる。
     その対決がまた良いでしょ。
     やがて、ペストで死んだ母親の元を離れずに泣いている瀕死の少女を助けたい 一心で ルイは仲間を増やしてしまう。クローディア10歳(キルスティン・ダンスト)。
     この子が、子供ならではの我慢できなさで、見境も無くがんがん殺す。
     レスタトにっこり、ルイ苦悩。
     しかし、ヴァンパイヤは不死であり、年をとらないのでクローディアは何十年 たっても子供のまま。心は大人になるのに。それで、レスタトの血を受け継いだ ことでこんなになったと憎む。何しろ人形のような金の巻き毛を「大人っぽく」と カットしても一瞬で元のように生えそろってしまうのだから、変わらない自分に ストレスを感じても無理は無い。
     レスタト殺害で、ヨーロッパに逃亡するクローディアとルイ。
     そして、パリで出会うのがアーマンド(アントニオ・バンデラス)
     パリには吸血鬼が何十人も居て、舞台に見せかけて美女を殺してしまう 「ヴァンパイヤ劇場」を運営している。
     アーマンドはその劇場の主催者。生贄の美女はラテン男の瞳に魅入られて なすすべも無く身を捧げ死んで行く。退廃しきった客もさすがに恐怖を感じて 逃げるように帰っていくが、まさか本物の吸血鬼が…と、ばれることは無い。
     アーマンドは「多くのヴァンパイヤは屑野郎だが君は違うな」とルイを特別 扱いするが、それがまた「極め付けに怪しい」。
     そのことが引き金で、古株の吸血鬼に襲われ、クローディアを殺され、 傷心のうちにアメリカに帰るルイ。
     かつての住処を訪ねてみるとそこには…

     トム・クルーズとバンデラスの競演シーンが無いのがやや残念だが、結局この 作品の良いところは、4人の個性あるヴァンパイヤがそれぞれ美形だってことで、 特にトム・クルーズが自信に満ちた貴族を演じているのは、激しく美しい。
     美しすぎてホラーの要素が霞んでいるのは弱点かもしれないけれど、それも バンデラスのパリの劇場での生贄シーンが「死のエクスタシー」を美しく撮っている のが素晴らしく「美しくて怖い」ので良いのではないかな。
     作品中、唯一笑ったのが「まいが〜」って叫んだブラピくん(^^;
     吸血鬼なのになぁ、まあ元人間だから良いか。
     ちなみに、十字架とニンニクは怖くないという設定ではある。たぶん白木の 杭とかも利かなそう。
     ヤバイのは日光と死人の血(たぶん献血の血はダメそう)、首を落とされるとか、 火にも弱い。 あと体力回復に棺おけは必需品だとか。

    原作(夜明けのヴァンパイヤ)との比較HP
  • 『最終絶叫計画』鑑賞(DVDレンタル) ★
     冒頭いきなり、【お客様へお願い】という、例の映画の冒頭のお願いのパロディー が入っている。ほどほどだったらばらして良いそうだ(笑)
     実は最大のネタ元『スクリーム』を見ていないのだが、基本的にホラーは好き じゃないので、多分この先も見ない(^^; が、『最終絶叫計画』はその半分近くが スクリームがネタだとはいっても、知らなくても笑える部分は多い。それが シモネタだったりするのは、ちと情けないがまあ、いいじゃないかと(笑)
     『タイタニック』や『マトリックス』など非常に視聴率の高いネタもあるし、 『ブレア』のネタも激しく分かりやすくて笑った。映画館のマナーが悪くて 殺されちゃうのは、パロディーじゃなくて風刺なのかな、これも爆笑。
     『オースティン・パワーズ』のようなパロディー映画のまたパロディーとか 複数の映画に良く似たシーンがあるのを冷やかすようなシーンもある。
     DVDには各シーンのモトネタが分かる「パロディー・チャプター」が付いているので、 これで確認して二度楽しめる。今後のパロディー映画のDVDには、ぜひ標準 装備にしていただきたい。
  • 『スリーピー・ホロウ』鑑賞(DVDレンタル) ★
     脇役に銀河皇帝の「イアン・マクダーミッド」、サルマンの 「クリストファー・リー」が登場する、今や有名だが、怪しい雰囲気の役者大集合 ということ? そのなかでも「クリスティーナ・リッチ」が一番怪しい風貌だけど。
     あまりにも暗い画面なのでプレイヤーのガンマ調整で暗部を少し持ち上げる。
     ジャンルはホラー映画だろうが、色彩設計がファンタジックなのが印象的だ。
     「首無し騎士の話」であるから、ばっさばっさと首が飛ぶが、描かれ方が様式的で それほど「ゲロゲロ」ではない。
     主人公の刑事は「科学的捜査とやらの威力を証明して来い」と事件の村に送り込まれた が、これが達成できたのかというと結局は「剣と魔法」の世界で、最後には、愛と体力と 運が物を言うという感じ。つまり、ファンタジーなのだ。
     事件物であるから「犯人は誰だ」という謎解きもあるが、イマイチ情報不足で 「推理物」としては弱い。ていうか、この刑事、起きた事件の後を右往左往している だけで有能とは思えない。
     事件の関係者が次々と殺されて、ほとんど誰一人として救えていないというのは、 金田一耕介などもそうだけれど、捜査ミスもあるのじゃないか知らんね…?
     それと、結局真実は犯人の口から語られる(筋は通っている)ので、名探偵が人を 集めてさて、というのでも無い。
     あまり深く考えずに、デート向きのホラームービーとしては佳作である。
  • DVD普及率 - 意外にもまだまだPS2が再生機器のトップだったりする。それにしても我が家には パソコン、PS2、専用機、LD/DVD機と4台もある。そのうち録画機も買って5台体制か…。
  • 『スターウォーズep5・帝国の逆襲(オリジナル版)』LD鑑賞
     訳は岡枝慎二。詳しくは知らないが「大御所」と言って良い年代の人らしい。
     「理力」というのは名訳だと思うが、大御所ならではの言語感覚かな。
     全般的には特別編の訳と比較すると文字数も少ないようだが、かなりの超訳だ。 先日来、英語字幕と特別編の字幕との聞き比べなど、ぼちぼちやっているが、 私ごときの英語力だと、まだまだ見比べるたびに発見がある。
     特別編は、スピンオフ小説の訳語統一作業の成果が大きく反映しているのだと 思うが、だから安心して読めるけれど、字幕の表現力としてはオリジナル版に 光る部分もあるのはまた確か。
     改めて正解不正解ではなく「字幕もひとつの作品だ」と思う。
     話し言葉の口調を字幕に置き換えるときの扱いも、両者で差が大きい部分だ。
     でも、これは比較してみて気が付いたことで、映画の理解そのものについては、 オリジナルの俳優の演技があるのだから「大外れは無し」と感じた。字幕の表現が 違っても、頭に入る最終的な人物のイメージは同じ。
     イギリス英語、アメリカ英語 の別は分かるし、アイルランド訛りとか、オーストラリア訛りとか、あるいは移民の ブロークンな言葉など、映画を見ているうちに何となく パターンが蓄積されていて、それらの使い分けによる性格表現もおよそのところは分かる。
     貴族階級の言葉はまだ字幕でも表現できるが、スラングの多用など極端に乱れた 場合は、やはり耳で感じるのが良いし、吹き替えだとオリジナルの雰囲気は 表現不可能なことが多そう。
     こればっかりは、たくさんの作品に触れて慣れるしかないだろうな。もちろん、 まともな英会話の勉強も役に立つと思うけれど、映画に出てくるような言葉は 教室では無さそうだし。
     そういえば、特別編がリリースされたときの月刊"HiVi"で「特別編の訳には ダース・ベイダーの貴族的な血筋が表現されていない」と意見している人が いたけれど、恐らく「ロード・ベイダー」という呼称から貴族をイメージして いたのだろうけれど、実際には「奴隷出身の跳ね返り青年」だったわけで、 訳には「短気な暴君の感じ」が出ていれば良かったのかと思う。
     私がこれは今以上に上手く訳して欲しい、と思うのはC3-POの慇懃だが どこか人間離れしてロボット臭い変な言い回し。理系の用語で文系の言い回し をするような、そんなチグハグサを訳文で表現するには、訳者も理系人間の 協力が必要じゃないかなと思える。

     絵を見ると、特別編とはずいぶん色味が違う。特にスーパースターデストロイヤー。
     Xウィングの貨物スペースはダゴバからの出発シーンを見ると胴体下部にドアがある が、沼から荷物を引き上げたときには水面下のはずで、どうしたのだろう。
     思えば、最初のころの「ライト・セイバー」のチャンバラはぬるかった。どこから 見ても構えたところに打ち込んでいるようにしか見えないもんね…。
     エピソード5からちょっとは修行して、6ではだいぶ見られるようになったという 感がある。1では殺陣がひとつの見所になっていたし、2ではヨーダを含めたジェダイ の騎士の面々が激しいバトルを見せてくれるらしいから、楽しみ楽しみ。
     特別編の特典映像で「白バックの合成ラインの消去」について説明していたが、 合成ラインを気にしだすと、とくに対象物があまり大写しでないときにバッチリ 見えて驚く。
     ジャバの宮殿にたむろすエイリアンの一部がデジタル合成に変わったのも 有名なところだが、確かに挿げ替えられたエイリアンは人形っぽい。動きや 質感より何だか重心位置が狂っているのが、主因のような気もするが。とはいえ、 「だからなんだ」とも思うわけで、別に見逃してやってもいいくらいのもの。
     エピソード1などと比べて一番の違いは特撮などではなく、ルークとレイアの 二人が「妙にB級な風貌」なことで、こりゃ致命的。その後のハリソンフォードの 活躍との落差を見たって、残念ながら冷酷な事実。恐らく、メイクやスタイリスト のセンスの問題も大きいと思うが、いくら昔の作品だからといっても、 白黒時代のハリウッドスターが今でも輝いていることを考えれば、あの二人は 普通の人過ぎるような気がしてならない。
     まあ、6のルークは時々「成長」を感じさせるカッコいいシーンもあるけど。 それでも、レイア姫がナタリー・ポートマンの血を引いているようには 見えないもんなぁ…
  • 『スターウォーズep6・ジェダイの復讐(オリジナル版)』LD鑑賞
     三作目になっても意外と合成ラインは見えるものだ。
     「彼は私の兄なの」という直前に流れているさわやかな曲が、バーンスタインの キャンディードのラストの種まきの歌にそっくりだな。
     特別編でラストの「熊踊り」が銀河全体のお祭りに差し替えられたわけだが、 熊だけでは確かに寂しいがあれも捨てがたい。しかしテーマ曲へのつながりは オリジナル版の方が気持ちいいような気がする。

     三作TVサイズで鑑賞して、一番差があったのは「星の数」と「スターデストロイヤー」 の表面の細かい細工の質感。これらは圧倒的にTVサイズのほうが有利。
     4:3のTVサイズで640*480(約30万画素)で表現されている領域を、シネスコでは、 たぶん370*280(約10万画素)しかなくて、その差はかなりある。
     スクイーズのDVDになれば、水平解像度がLDより高いことと、垂直方向が1.3倍に 増えることから、見た目で倍近く解像度が上がるはず。早く発売して欲しいものだ。
     まあ、スターデストロイヤーの勇姿を高解像度で見たいという希望は、4,5,6では 無くエピソード2のDVDで先にかなえられそうだけれど。
2002.5.29
  • 『カルメン(1915)』DVD購入
     無声映画時代の作品で、伴奏レコードを使っていた作品らしい。
     ツタヤで半値で投売りされていたのを発見して確保。
  • 『スターウォーズ4,5,6オリジナル版』のLDオークションにて購入
     TVサイズで発売された最後のバージョンだと思う。音声はデジタル2ch
     約10年前のディスクなので、数箇所絵が飛ぶシーンもあったが、ノイズはほとんど なくて良い状態だと思う。
     出来たらワイドスクリーン版も欲しいなぁ。黒いboxの。
     今ではオークションで結構定価以上になっていることもあるようだ。
  • 『スターウォーズ4(オリジナル版)』LD鑑賞
     画面も懐かしいが、フォースが理力になっている字幕でびっくりした(笑)
     見るとけっこう「なんだこれ〜」と思う翻訳が多くて笑える。特別編とはまるで 別物だ。
2002.5.28
  • 『耳をすませば』DVD購入
  • 『魔女の宅急便』DVD鑑賞 ★☆
     LDを持っているので保留にしていたけれど、『耳をすませば』と一緒に買って しまった。凄く名作とも思わないけれど、時々見たくなる作品ではある。
     声優リストを見たらキキ◆高山みなみ/キルスティン・ダンストだって。 こんなところでスパイダーマンの彼女に会うとは。しかも、けっこうオリジナルの キキの声のイメージに近い。
     そこにいくと英語の黒猫ジジはフィル・ハートマンとかで、ちと分別くさいオヤジ声で オリジナルのちょっと子供っぽい感じとは違うな。
     日本語と比べると、英語版は台詞も増えているし、BGMも余分に使われている。しかも 別アレンジでムーディー。
     日本語版は比べると、音楽の使い方の控えめさが目立ち「これぞワビサビ」と思うほど。
     このDVDの英語字幕は日本語の直訳に近く、吹き替えはかなり作りこまれているのはどう いう理由なのかわからないが、米国人の考え方を推測するのも面白いだろう。
     オープニング/エンディングのキキのラジオから流れてくる歌謡曲は、英語の曲に 変わっている。これは米国のちょっと古い流行歌なのか?
     「魔女」の話だけれど、原作は日本ではキリスト教系出版社から出ているし、 なんとなくそのへんウヤムヤになっている気がするが、さすがに作品中に十字架は出て こない。ヨーロッパの古い町並みであれば当然町の中心であるはずの教会も、何だか 時計塔にすり変わっているし、絵の上でキリスト教とバッティングしないように気を 使っているのは分かる。
     恐らく、この世界のどこでもない場所なんだろう。
     とはいえ、森の中でアヴァンギャルドな絵を書いている絵描きのウルスラは、これは キリスト教の聖人の名前らしい。
     『魔女の宅急便』は「少女の成長物語」だが、『千と千尋の神隠し』と比較すると キキは最初から「特技」を生かして自活するし、家を出たその日のうちに「魔女好き」 の奥さんの世話にはなるは、ボーイフレンドは出来るはで、仕事上のトラブルは 若干あるものの「並み以上にはできる娘が順調に成長する話」だなあと思う。
     魔法が弱くなって悩み、人命救助でがんばる流れはサスペンスが盛り上がるけれど、 「魔法は血」だし、弱くなった原因も、戻った原因もウヤムヤなので、たぶん 「思春期に人生に対して感じる漠然とした不安の象徴」みたいな機能を担うという 以上の意味は無いのだろうな。魔法のことも、ウルスラが「描けないスランプ」に 悩むのと全く同じ扱いなのは、この作品の中では正しいことなのだろう。
    ●クオリティー
     転送レートは高いが、圧縮がらみのノイズが散見され、どういうわけか、 プログレッシブ表示のランプが点灯しないシーンが多い。ちょっと不思議。
     ただ、総合的にはLDよりずっと綺麗で色ズレもない。
  • 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』鑑賞(DVDレンタル) ××
     もの凄く良い話なのかも知れないけれど、全編手持ちカメラでズーム多用、それが 画面から顔がはみ出るくらいのドアップで、常にふらふらと手ぶれしているので 大画面だと吐き気がして5分と正視できない。
     要するに「ホームビデオ風」を狙ったのかも知れないけれど、勘弁して欲しい。
     なんだか、主人公も理不尽に死んでしまうようだし、こんなひどい画面で人の 不幸を見ても楽しくないだろう。
2002.5.27
  • 伊藤俊人氏死去40歳だそうな。惜しい俳優を亡くしました。
  • 玄関にピクチャーレール設置
     以前から掛けている海の絵(安いリト)と、『スターウォーズ・エピソード1』のポスター、 スペインで撮影した闘牛の写真を掛ける。
  • 『JFK(特別編集版)』鑑賞(DVDレンタル) ★★
    1991/米,189/206min
    監督…オリヴァー・ストーン
    出演…ケビン・コスナー,ジョー・ペシ,ジャック・レモン,ドナルド・サザーランド, トミー・リー・ジョーンズ

     ケネディー暗殺事件を調べる検事の物語。
     検事役のケビン・コスナーがめちゃくちゃカッコよく、役にはまっている。
     近年SF/アクション系作品ではずしまくっている彼だが、こういうシリアスものはものすごく良いのに。
     根本的には「米国には軍需産業への予算をめぐる、巨大な陰謀があり、平和を目指すケネディーは CIAと軍に暗殺された」という主張。
     なんだか最近アメリカ映画を見るとコレばっかなんだけれど、現代社会にも陰謀があると 思えるよね。WTCに飛行機がつっこんだ直後の、捜査の速度。絶対に事前に情報を持っていた けれど、実行されるまで待っていたとしか思えない迅速な捜査と逮捕だった。
     テロリストを泳がせた目的は一つ。
     大規模な事件を起こさせ、国民と世界の目を「反テロ」に開かせること。予算を取ること。 ビンラディンを合法的に消すこと。
     そのためには、米国民が数千人死んだって構わないんだ。
     そういう、やばい立場の人間が米国内に一定の勢力を持って存在するのではないかと、 『JFK』と『13デイズ』『ソードフィッシュ』を続けて見ると思うね。
     米国にとって軍事は巨大産業。縮小はタブーであり、企業と軍人は一体となって戦争を 維持している。…というのは、良心的に考えれば極めて「SF未来社会」的、例えば警察が 民間会社化している『ロボコップ』の世界みたいな話だが、どんなに反対運動があっても 日本の公共事業が土木工事から離れられないように、巨大な金の流れは人の命が掛かって いようとも止められない。
     学校で銃の乱射事件が起きても、業界の抵抗で銃規制さえ出来ない国が、より巨大な 金の流れである戦争を止められるはずが無い。アメリカの正義というのはお金であり 「勝てば官軍」が常態になっているだけなのだろう。
     最近はハリウッドと軍が協力関係にあるのも凄い。
     軍隊テーマの作品に協力することで、どのくらいのお金が流れるのか分からないけれど。
     願わくば「宇宙開拓物」でも撮影してNASAにお金を流して、夢を見させて欲しいものだ。

  • 空から降る一億の星 7
     賢哉に続いて、井川のお嬢様が自殺。キムタクは育った施設に過去を尋ねに行き、 さんまちゃんは犯人を撃ち殺した過去を語り、柴咲コウは睡眠薬自殺を図る。
     すごいスピード展開になっているが、ペース配分が間違っている気がする。
     八嶋さんがまったくどこかに行ってしまったのも寂しい。
2002.5.26
  • 観劇『ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ』(in 東京グローブ座)
    脚本:マリー・ジョーンズ 演出:イアン・マッキルヒニー(オリジナル演出家)
    出演:市村正親/勝村政信
     2001年、ロンドン、ニューヨークで上演されると同時に大絶賛の嵐を浴び、数多くの演劇賞に輝く話題作。オリジナル演出家イアン・マッキルヒニーを迎えて、日本版初演!日本を代表する演技派&個性派俳優の市村正親と勝村政信が、登場人物・老若男女15役を二人だけで演じわける!これぞ舞台の醍醐味!燃える男二人の火花散る熱演バトル
    <ストーリー>
     舞台はアイルランドのひなびた農村。過疎でさびれたこの村で、ハリウッド・スター女優キャロライン(もちろん市村)を主役に起用した大メジャー映画のロケが行われる。うだつのあがらぬ男チャーリー(またまた市村)とジェイク(これは勝村)の二人も地元エキストラとして駆り出される。
     そんな二人を取り巻くロケ現場は、ハリウッドチームのわがままが横行する滅茶苦茶ぶりだ。演技力ゼロの大スター、予算と段取りしか気にしない監督・助監督たち(全部市村と勝村)がパブで愚痴っているところに、キャロラインが入ってくる。ふとしたきっかけで彼女と知り合いになったジェイクは、誘惑されるまま彼女の部屋に向かうが・・・・・・。

     なんだか、アイルランド付いているのか(^^;
     舞台の上には、大小の箱と折りたたみ椅子二脚のみ。箱は衣装ケースになったりテーブルになったり 棺になったり、さまざまに使いまわされる。
     役者は二名のみ。瞬時に別人に成り代わって15人を演じ分ける。まさに演劇的な手法の 極地で、映画のロケ隊と地元エキストラの確執や、彼らの夢を演じる。
     チャーリー(市村)は、エキストラをやりながらスタッフに自分の脚本を読んでもらうチャンスを 伺っているが、友人ともどもそれがどうしようも無いクソ企画であることを感づいている。だが、 地元の生活に絶望したエキストラ希望のある青年の死(クスリをやっていることで役をもらえず 追い出された)をきっかけに、この映画のロケにまつわる 出来事こそ、自分たちのオリジナル脚本になると気付き、成功への確信に満ちた興奮のうちに 幕を閉じる。
     映画の製作を演劇で語るという発想は面白い。
     一人何役もの使い分けは、役者にとっても挑戦的で楽しいことだろう。市村氏の女優役には 結構笑ったが、基本は「ポーズと声色、口癖、衣服」で別人格を演じ分けているようだった。 つまりいつも自分の肩を抱いているのは女優、腰が曲がっているのは老人、ジャケットを斜に 着込んでいるのはヒネた青年、常に「皆さん聞いて下さい」という感じで切り出す助監督… という具合に。
     一瞬で別人格に入れ替わる面白さ。観客にも集中力を要求する。
     常に「自然体」でしか演技の出来ないアイドル俳優は、こういう芝居を見て何か刺激を 受ければいいのにと思うくらい、これは興味深かった。
     脚本は中盤まではなんだか地味。
     アイルランドが舞台だと、地味で貧乏くさくなるのはもう、必然といってもいいだろう。
     本当の意味で、ストーリーが活気を帯びるのは、一人の青年の自殺をきっかけに、 これこそ自分たちの映画の脚本に成ると、主役の二人が夢を膨らますラスト。 「華やかなハリウッドの虚像とアイルランドの貧困と若者たち」なんてストーリーは、 それこそイギリス映画の典型パターン。本当にそんな脚本がありそうだ。
     ラストにいたるまでの憂鬱は、複雑な人間ドラマが興味深いが、たぶん二度目のほうが 理解が深まって楽しめるのかもしれない。一人複数役に対する興味と、ストーリー、同時に 消化するのは観客の経験も要するような。
     ラストで気分は映画的に盛り上がるので、本当は映画的にカッコいいエンディングを 期待したかったが、そこはちょっと地味だった(^^;; エンディングというのは難しい
     特に拍手を浴びたシーンは、二人のアイリッシュ・ダンス。
     男踊りと、女踊りを使い分けて、何人もの男女が組になって踊っているような雰囲気を 上手く出していた。観客も去年あたりのブームでアイリッシュダンスを知っているから、 男女男女の踊りの交代で、複数の人数が入り乱れているさまを想像できる。数年前の日本 だったら、理解されなかっただろうなと思う。こっそり「アイリッシュダンスを見ておいて よかった」と、小さな自己満足に浸れる(笑)

  • 『ディープ・インパクト』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
    1998/米,原題:"Deep Impact"キツイ衝突
    STAFF 監 督 :ミミ・レダー
    脚 本 :マイケル・トルキン/ブルース・ジョエル・ルービン
    製作総指揮 :S.スピルバーグ
    音 楽 :J.ホーナー
    CAST
    タナー :ロバート・デュバル, ジェニー(TVキャスター):ティア・レオーニ, リオ(彗星の第一発見者) :イライジャ・ウッド, ロビン :バネッサ・レッドグレーブ, ジェイスン :マキシミリアン・シェル, ベック(大統領):モーガン・フリーマン
     あ、イライジャ・ウッドだ。彗星を最初に発見する高校生役で。
     なかなか利発そうではないですか。身長もちょっと小柄なくらい(当たり前) だけれど、ホビットのメイクをしたほうがもっとカッコいいかな。

     ハリウッド映画は何故かネタがかぶる。
     何年か前には「噴火映画」が二つ公開されたが『ディープ・インパクト』には 『アルマゲドン』。どちらも地球に巨大隕石が落下して人類滅亡の危機、という 状況下の物語だが、世紀末、ノストラダムスの大予言をイメージしたら、 こんな作品が作られるのも無理からぬところ。
     一説には「極端な秘密主義」のために、ある程度製作が進むまで、ネタがかぶっていても お互いに知る術が無いのだともいうが…。
     しかし、この二作品は同じテーマを扱っていても、目の付け所はずいぶん違う。
     『アルマゲドン』の目指すところはアクションと浪花節だ。
     ある日突然、大接近した小惑星を爆破するために掘削のプロであり、宇宙の度素人の 不死身の男、ブルースウィリスがNASAに呼び出され、若者を連れて宇宙に飛び出し、 地獄のような小惑星の表面で爆弾を埋めるが、リモコンが壊れて一人残って自爆する。 自己犠牲に涙の一方で若者とウィリスの娘の恋愛の成就。という話。
     見所は、爆破チームのチームワーク、アクション、自己犠牲。だね。
     『ディープ・インパクト』の見せ場は、もう絶対助からないと知った地球上 の人々の行動。
     彗星は二年前に発見されるが、パニックを恐れて発表は伏せられ、その間に政府は 「彗星爆破計画」と「米国100万人に限定したノアの箱舟計画」と「核ミサイルによる迎撃作戦」 の三つの計画を遂行する。
     およそ火星軌道上での「彗星爆破計画」は失敗。地球上では抽選に当たった100万人が シェルターに避難するが、50歳以上で最初から対象外の人や、抽選に漏れた人、抽選に 当たったのに漏れた人との愛のために残る人etc.のドラマが展開する。
     落下のカウントダウンの中で人は何をするのか、落下の瞬間人々は何を見て死んで いくのか。あるいは生き残るのか。
     さらに、「彗星爆破計画」のメンバーによる計画外の最後の捨て身の攻撃の浪花節つき。

     科学考証は「どっちもどっち」という感じの低脳ぶりだが、『ディープ・インパクト』 が発見から衝突までのプロセスを技術的にも政治的にも「もっともらしく見せよう」 としているのに対して、『アルマゲドン』は、ヒーローを ぶち上げるためには無理が通ると思っているフシがある(笑)
     ドラマ的には「ほとんど不死身のブルースウィリス」にまともに感情移入できる人がいる と思えない(そのために美人だけれど平凡なヒロインを用意した?)のに比べて、 『ディープ・インパクト』は、「選ばれなかった普通の人々」 を描いて、高校生の恋愛とか、長年別れわかれに暮らしてきた親子の愛の復活とか、 小さな子供を持つ親の情とか、身近に想像できる感情を描いている。
     ただし、だから高尚か?…というと、所詮は素人でも思いつくようなお涙エピソードを 並べただけで、目新しい展開はどこにも無いとも言える。
     「彗星発見、秘密にする政府、ロケットの派遣、爆破失敗、シェルターの抽選」、 という主要な要素は、ちょっと天文学に興味のある人なら誰でも一度は考えたことのある ストーリーで、しかも、天文学的に当然そうなる。そして「残った人々の生き方、死に方」 の描写も、離婚した夫婦、新婚さん、母子、自立した子と親という代表的な人物を それぞれハッピーエンドにしただけだから個性が無い。
     地球滅亡という非常事態の中で、人間はもっと色々なドラマを繰り広げないか。 シェルターに潜り込もうと策謀する人々や、やけくそになって 快楽に走る人、金に物を言わす人、富がもはや助けにならないと絶望する人、 宗教に逃避する人、UFOを待つ人々、集団自殺、あるいは殺人、デモ、暴動etc. ありとあらゆる追い詰められた人間のパターンを描くことが可能だろうに、この映画は 「戒厳令」の一言で皆おとなしく死を待っている。
     こんなときに、警察活動で人は行儀良く死を待つだろうか。警官や軍人だって人の子、 シェルターに向かうバスの中で警官による殺人や身分証の偽造事件がおきても不思議は ないし、シェルター警備軍に漏れた軍人が部隊単位で同時多発的に「軍事クーデター」を 起こしてすでにシェルターに避難済みの人間を皆殺しにして乗っ取ってもおかしくない。
     抽選コンピュータへのハッキングや、オペレータへの賄賂もあるだろう。
     だいたい、公平に抽選されたと誰がわかる、あなたなら納得するか?
     政治家、芸術家、宗教家、あらゆる特権的にシェルターに入れる人々に対する内部告発 が起き、権威は引き摺り下ろされるだろう。
     大津波に備えて、標高の低い国々から、内陸の高地を持った国に対する戦争も考えられる。
     「人類滅亡」宣告された人たちが巻き起こす騒乱は、恐らく限りが無い。なのに、 この映画には個人的な愛を成就させたいと願う人しか出てこない。
     所詮は「スピルバーグ/ミミ・レダー」の甘いおとぎ話かと思う。

     結局、人間ドラマを描こうとして通り一遍の描写に終始した『ディープ・インパクト』 より、ばかばかしいけれどアクションで突き抜けた『アルマゲドン』 の方が、映画としては成功だったということで如何かな?
    淀川さんのページ
    くわしいストーリー

    ●科学考証
    こんなページを見つけた
    アルマゲドンとの比較ページ
     この人は考証はアルマゲドンに軍配を上げているが、残念なことに映画館で一度見ただけ なので、勘違いが見受けられる。ともあれ、順に確認しよう。

    • 彗星の発見
       高校生が天体観測会で偶然見つけることになっているが、確実に世界中の「コメットハンター」 と呼ばれる人々が先に見つけているだろう。超新星爆発なら偶然早い者勝ちで見つかる可能性も あるが、じわじわと近寄ってくる彗星を肉眼で見つかる前にそれ専門で追っている人が見つけ ないはずが無いからだ。
    • 軌道要素の確定
       連絡を受けた天文学者が望遠鏡をのぞいて、その場で軌道計算をしているが、何日もかけて 少しずつ動きを追わない限り軌道が分かるはずないし、それが地球に衝突するなんて精密な 計算はさらに時間が掛かるはず。
    • 彗星は秘密に出来るか
       発見と同時に専門誌/ネットに掲載され、軌道が確定する頃には大騒ぎ。
       高校生が肉眼で発見した彗星は、発見者が黙っていても次々と大勢に見つかるはずだし。
       そもそも、二年前に発表して、国家の生産能力のすべてをシェルター建設に投入すれば、 100万人なんてケチなことを言わずにもっと大勢が救えたのではないかという疑問もあり、 少なくとも津波に飲まれる沿岸の都市から高地への避難計画ぐらい出来たでしょう、当然。
    • 彗星への到達方法
       例のページでは「月を使って方向転換しないと彗星には行けない」とあるけれど、そうでもない。
       なぜならば、『アルマゲドン』の小惑星は月の軌道の内側で迎撃する設定だが、本作では 作品中の「軌道を示すグラフィック」を見る限り、作戦ポイントはほとんど火星の軌道上に あるように見える。
       この場合は、ロケットは軌道をらせん状に回りこんで彗星の後ろから追いつくように 飛ぶ。地球から出発して地球に戻る楕円軌道が彗星と交わればいいのだから。
       減速しなくても、太陽系の外から中心方向にロケットを飛ばすことはできる。彗星が 回っているのと同じように、ロケットだって太陽の引力に引かれて戻ってくるのだから。
    • 燃料の問題
       『アルマゲドン』は軌道上でシャトルに給油するという凄いことをやっているが、 こちらは、ロケットは軌道上で組み立て済みで、シャトルは乗り換えている。年単位で 余裕のあった『ディープ・インパクト』の方が無理が無さそうではある。
    • 彗星とのランデブー
       『アルマゲドン』は頭から小惑星に突入してボコボコ。あれじゃカーチェイスだし、 逆噴射するなら進行方向と逆を向かないと、エンジンは後ろにあるのだから。その点 本作はきわめてゆっくり確実に彗星に近づいていて、最後は着陸モジュールによる 着陸でまとも。
       操縦士が「アポロ計画」の生き残りなのも泣かせる。
    • 彗星表面でサンバイザーは必要か
       参考ページで、こういう疑問がある。映画では、彗星の日向に出てしまった飛行士が 太陽の熱で顔面を火傷して失明する。
       たぶん、彗星の氷が瞬間的に沸騰する描写から「湯沸かし器の何倍もの熱量」を 製作者が想像したに違いない。
       でも、ほとんど真空だから物凄く低い温度でも水は沸騰するのね、氷が蒸発しても 火傷をするほどの温度まで上がっているわけではない。だからああは成らないはず。
    • 核爆弾で彗星が割れるか
       この話では直径20km。地下の水爆実験の縦坑の深さが如何ほどか知らないが、 本当に割れるのかな…。『アルマゲドン』だと直径400kmもあって絶対無理だと 思うのだけれど。
    • なぜ核爆弾を半分残した
       作品中、なぜか持って行ったすべての核弾頭を投入せず、為に二つに割れるが 粉々には出来ず、第二次攻撃で命を捨てることになる。何故最初から全部使わない?
       どうせなら彗星を100回吹き飛ばしても余るほどの核をぶち込めばいいのに。
    • なぜ十分離れないで爆破した
       爆破すれば破片が飛ぶのは当たり前なのに、十分離れないで爆破したために 通信設備が故障。馬鹿です。
    • 彗星をミサイル攻撃
       戦争用の核ミサイルなんて、地球を半周するくらいの飛行能力しかないのに、 大気圏突入の何時間も前の位置の彗星にとどくはずが無い。
    • 彗星が細かくなったらハッピーエンドか
       映画では彗星を粉々にすることに成功しますが、燃え尽きたとしても、相当な量の 燃えカスが大気中に浮遊して、太陽が遮られる気がします。
       また、どんなに細かく砕いたとしても、直径20kmの塊が均等に小さな破片になる はずがありません。ビルほどもある塊がシャワーのように降り注いで、クレーター だらけに成るのが現実的じゃないかと思います。
    • 世界の死亡者は数百万人
       大西洋の津波だけでこの数が発表されたのですが、そんなものでは済まない ような…。時間的にほとんど逃げられないはずなので、数億になっても不思議は ないような…。
2002.5.25
  • 母の四十九日で帰省
     始発〜最終の高速バスで日帰りだったが、朝五時起きで0時近くの帰宅。 さすがにきつかった。
  • 南箕輪中学校の経ヶ岳強歩50周年記念の講演会があったそうな。
     父が講師の女性アルピニストの*さんにサインをもらったと喜んでいた。普通は サインをしない人なのでとてもレアなのだとか。
     なぜレアなサインをもらえたのかというと、競歩大会はどこの学校でもあるが、 南箕輪中学校では村内の経ヶ岳、標高2296mの山頂目指して山登りするハード な、超ハードな行事である。が、この行事を始めたのが 当時中学生だったうちの父なんだそうだ。
     なんてきついことを発案したのだろう(^^;;
     もっとも、こういうきついコースなので時間制で上れるところまで登って タイムアウトしたら下山して良いことになっているのだが、お陰でうちの村の住人は 全員登山経験有りということになっている。
  • ハイキングの達人・経ヶ岳
2002.5.24
  • 『魔女の宅急便』DVD購入
  • 『耳をすませば』DVD購入
  • 『007/オクトパシー』鑑賞(レンタル) ★
    1983/英,原題:"Octopussy"
     ロジャー・ムーアのボンド。オープニングのドキュンポーズは両手で銃を構え 腰を落とし重心が安定していて、ショーン・コネリーのボンドとは考え方の違いを 打ち出している感じ。
     今度の敵は「狂ったロシアの将軍」。
     軍縮時代だが、軍が弱体化して平和になるのを快く思わない彼は、サーカスの 列車の中に核爆弾を隠してヨーロッパの米軍基地内で爆破しようと目論む。
     007出動の発端は、その資金源となるロシアの宝飾品の偽物のオークションに 潜入するところから始まる。
     これを競り落とした人物がインドの富豪だったことから、主な活躍の舞台は インド。トラや、蛇や、象や、インド観光が楽しめる。
     アクション映画として、ロジャー・ムーアのボンドは成功している。
     冒頭の小型ジェット機が格納庫の中を通り抜ける特撮はなかなか見事でつかみは 申し分ないし、インドの市街地でのカーチェイスは道路封鎖が不十分で無関係な人が 通りを通行する中での撮影という危険さなのに、仕上がりはコミカルさとシリアスとの バランスがよく、ムーア本人の体の切れもよく、格闘も見られる。
     今回のボンドガールは「オクトパシー」その人らしいのだが、女性だけの館なんて ものが出て来て、真っ赤な装束の彼女たちが終盤忍者バリの集団アクションを見せるのも 面白い。…そのわりに、オクトパシーの年齢が高めで、飛びぬけて美しくもないというのが 弱いけれど。
     ともあれ、ボンド映画全体の中では結構楽しめる作品でお勧めできる。

     メイキング。先に書いた「インドの市街地でのカーチェイスは道路封鎖が 不十分で、一般人がスタントの車の間をすり抜けた」とか、 「列車の屋根の上のスタントで下見をしていない区間に突入してしまい、 スタントマンが電柱に激突して6ヶ月の重傷を負った」とか。こういう事故は完全に スタッフの手落ちで、英国の安全感覚は怖い。
     ジェット機の特撮で、上にジェット機の実物大模型を載せた車で倉庫を走り抜けたが、 その「車のブレーキが壊れていてあわや大惨事」というエピソードもこの作品にはある。
     英国人のアクション作品はヤバイね。
     香港映画だと、怪我をしてもあまり話題にならないかもしれないけれど(^^;
2002.5.23
  • 『ソードフィッシュ』鑑賞(レンタル) ★
    2001/米,原題"SWORDFISH"
    監督:ドミニク・セナ(60セカンズ)、
    プロデューサー:ジョエル・シルバー(マトリックス)
    キャスト:ガブリエル・シアー(J.トラボルタ),スタンリー・ジョブソン(ヒュー・ジャックマン) X-メンのウルヴァリン,ジンジャー(ハル・ベリー)X-メンのストーム

     "SWORDFISH"とは「メカジキ」のこと。この映画の中の作戦名。わたしゃ「太刀魚」のことかと思ったよ、 そんなわけないか(笑)
     ちなみに太刀魚は英語で "hairtail = 髪の毛しっぽ, scabbard fish = 刀の鞘魚, cutlass fish = (そり身で幅広の)短剣 " だとか。

     冒頭、いきなりトラボルタ(ガブリエル)がぶち上げる映画論が観客を引き付ける。
     ところが、これが銀行強盗が警官相手に話していた、という設定なのだから「おぉ」という インパクトがある。
     映画の時間軸は4日前に戻り、この銀行強盗の片棒を担がされることになるハッカー、スタンリー のスカウトシーンから描く。最近離婚して「娘に合わせてもらえない」裁判するにも金に困って いる。という設定は「子供が病気」に代わって、このところのハリウッドのお気に入りか、 しばしば見かける気がする。
     組織に引き込まれてみると、敵か見方かよく分からない女が居たりするのもよくあるが、 この映画のテーマは「ミスリード」、ついだまされるような仕掛けが沢山あるというのが 売りだそうだ。
     仕事は「麻薬取締り局」が作戦の副産物として作り出した資産約100億ドルを盗むというもので、 ガブリエルはその資金で「テロリストを暗殺を目論む組織」の一員だった。
     ここで突然話は「政治的メッセージ」を帯びる。
     2001年公開映画だから、企画はWTCテロより先なのだろうけれど、この映画では テロリストを殺すためなら、一般市民が巻き込まれても良い。一人二人死んでも仕方ない。 それが100人1,000人になったって何だって言うんだ、という狂信的なパワーで事を 進める危ない組織の話だ。
     すべての出来事に二重性を持たせたこの話の中で、悪役もまた正義のために悪を辞さない という論理なのだが、今の時代背景の中では単純に「お話」として見ることの出来ない 話になってしまった。
     現にアメリカは「テロ撲滅」を口実に外国の民間人をがんがん巻き添えに殺しているし、 アメリカの意にかなった政府を作り上げているし、映画どころじゃない、この現実。
     アクション映画としては面白いけれど、現実に圧倒されている。ご愁傷様である。

     特撮は、『マトリックス』のマシンガンショットをさらに拡大して、爆発シーンを 屋外でぐる〜んと回り込んで撮ってしまうという凄いことをやっている。効果としては CGIでも実現できそうって感じだし、爆発という不定形でどの角度から見ても均一に見える ものを回り込んでいるので、規模のすごさの割りには『マトリックス』の時のインパクト を超えては居ないと思うけれど。
     トラボルタは「ヨーロッパスタイルの伊達男」という設定なのだそうだが、こんな奴いるか? とのけぞるほど怪しい。髪型にヤギひげ、目も危ないしね。金持ちで権力もあるという雰囲気は むんむんしているが。「怪優」を目指しているのかね、この人は。地球外文明 的といっても差し支えない怪さ。SF的風貌とも言えるが「戦隊モノ的」と言っても良いくらい だ(^^;
     ともあれ、テーマに対する引っかかりを除いてしまえば、つかみもバッチリだし、 つかみの映画的面白さが全体にまでは行き渡っていないとはいえ、 「お金をかけた分は十分楽しいアクション映画」といえる一本だった。
  • 公式サイトBGMに注意
2002.5.22
  • ホビットの食卓研究
  • 『ブレイブハート』鑑賞(レンタル) ★
    1995年/米 2:57
    監督・製作:メル・ギブソン
    脚本:ランドール・ウォレス(「仮面の男」「パール・ハーバー」 )
    音楽:ジェームズ・ホーナー(「タイタニック」「パーフェクト・ストーム」)
    出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マッグーハン
    Story:
     13世紀末スコットランドは、イングランド王エドワード1世の支配下で苦しんでい た。その頃、イングランド兵に家族を殺されたウィリアム・ウォレスが成長して帰郷。 幼なじみと結婚するが、彼女もイングランド兵に惨殺される。
     復讐を誓うウォレスは祖国開放を願う民衆たちと共に抵抗軍を組織し、イングランド軍 との闘いを開始した。
     緒戦を華々しく飾ったものの、狡猾なエドワードは領地を餌にスコットランド貴族を 手なずけ、民衆とウォレスは裏切りの中に散って行く。

     序盤は長閑。主人公の子供時代から始まり、新妻の喉をかき切られて やる気を出すまでに45分。これが結構長い。
     その後はひたすら裏切りと血みどろの戦争。ちょっと妻にはお勧めできない。
     ラストのウォレスの処刑シーンなんか、直接画面には映らないけれど、カギのようなもので 腹を割いて内臓を引きずり出し、手足をバラバラにもいでいるらしいです。げろげろ。
     本作がアカデミー賞を取ったのは、特撮に頼らない肉弾戦の戦闘シーンによるところが 大きいと思うが、騎馬がどど〜っと並んだ姿は「角川映画」みたいな感じもするし、 とにかく戦闘シーンが残虐。で長い。メルギブソンの顔は、映画の半分ぐらいの時間は 血塗れのまま。
     もうひとつの人気の秘密は、アメリカには、アイルランド系を初めとして、イギリス から逃れ出てきた家系が大勢いて、「大英帝国と戦った農民出身の英雄」に対して 共感する層が厚いのだろう。タイタニックでも「この船はアイルランド人が作ったんだ」と、 英国と貴族、資産階級に対する対抗意識がバチバチ描かれているように、何世紀経っても 被支配階層の恨みは消えないらしく…。
     さて、歴史映画は好きだが、この映画からはイギリス/スコットランドの香りがしてこない。 脚本の軽さは「仮面の男」「パール・ハーバー」の脚本家と知れば納得できるし、 色彩感覚が濃厚にハリウッドカラー、「夜は青い」というのもいい加減定番 過ぎる。しかし、ヨーロッパ製の歴史物では「夜は赤い」という事になっている。
     主役のメルギブソンは、母親はアイルランド出身で「アイルランド人が演じている」 という血筋が売り物になったようだが、それなのにスコットランド系の人間には見えない。 これは今までの役のイメージが大きいんだと思う。

     歴史映画として、当時の風俗を描いているのは面白い。
     日本で言うと鎌倉時代くらいだそうだが、農民の住居は円筒形に石を積んだ上に 木の葉で屋根を作った「竪穴式住居」のようなもの。ほとんど縄文時代のよう。
     恐らく日本のほうが床があった分だけまだ文化的な感じ。
     貴族の館は石造りの砦のようなもので、農民との落差は物凄いものだ。
     武具の落差も激しくて、鎧兜に鉄の武器を持った英国軍に対して、農民は素手に近く 「武器の性能の差が征服者と被征服者を決定付けていたのだなあ」と納得させられる。
     誰一人として風呂に入っている気配が無く、登場人物がみな獣じみて不潔なのもすごい。 ただし、ソフィー・マルソーは別(^^; フランスが文化的だったのか、スター様だから なのかは分からないけれど。

     「アイルランドの自然は美しい」と言いたい気持ちは伝わってくる。こんなに血みどろの 映画でなければたぶん、景色も楽しめた。
     ストーリーは、時代背景はそのままだが「正史からは抹消されたこんな英雄がいたに 違いない」という空想物語。地元貴族が民衆を裏切ったり…ということは多分本当なの だろうが、ウォレスその人は架空。
     ソフィーマルソーが、皇太子妃イザベラ(フランス王フィリップ四世の娘)役で 登場し、和平交渉役に派遣されてウォレスと恋におちて子供を宿してしまう。 という、史実には無い役割を演じている。
     ウォレスはイングランド兵に殺された妻の復讐のために 立ち上がったのに、敵国のお姫様と寝ちゃまずいだろう。妻が化けて出るぞ。
     ハリウッドの脚本は粗野。筋が通らなくたって「美女とのロマンス」があれば客が喜ぶと 見透かしている。
     大予算で「英雄、ロマンス、裏切り」って黄金の三大話を撮ったから売れる。
     多くの人の望郷の念も揺さぶる。でも根底がチープな発想で出来ている。
     そういうわけで、脚本0点、歴史風俗的興味1点。という感じの作品であった。

    史実との比較など
    淀川さん 誉めてます
    IRISH-ON-FILM INDEX - アイリッシュな映画ばかりを集めたサイト。密度高く、何事もマニアというのは立派だと感心したよ。

2002.5.21
  • 『生きない』鑑賞(レンタル) ★
    脚本・主演:ダンカン
     「沖縄初日の出バスツアー」が募集される。だが実態は、借金苦、子供が病気、後半年の命、 不倫。さまざまな理由をしょった人たちが、観光バスの転落事故による保険金詐欺を目論む 「自殺ツアー」だった。目的地は沖縄のとある崖。過去にも転落事故があり、 多額のは賞金の上積みも期待できる場所だった。
     決行の朝、ツアーコンダクター(ダンカン)の前に予定に無い客が現れる。彼女は 叔父さんが旅行を止めたのでもったいないと勝手に参加してきたのだった。ツアコンは 一瞬悩むものの、彼女の運命と考えて参加を認める。
     異常に暗い12人の客だったが、いつの間にか彼女の明るさに巻き込まれて、普通に 楽しい旅行のようになる。だが、後の無い彼らにとって引き返すことの出来ない旅という 事実は覆しようが無い。
     …果てしなく暗い自殺ツアーの面々と何も知らない女の対比が面白い。
     ツアコン自身が自殺希望者で、ダンカンの般若の面を崩したような表情がそこはかとなく 非情で不気味。不倫カップルの運転手とバスガイドの二人の控えめなラブラブぶりや、 会社をつぶした親父、病気を苦にする男などなど、それぞれに死にたい理由が目いっぱい 態度に表れた描写の細部に凝っているところがこの映画の面白いところだと思う。
     ラストは何も知らずに参加してしまった元気女がこのまま巻き込まれて死んでしまう のかどうかというサスペンスタッチの展開となるが、そこでも偶然と必然の入り混じった 絶妙な解決を提案している。
     最悪だけれどたぶんハッピーエンド、そんな捻ったラストに唸らされた。
  • SW字幕、戸田 or 林
     そこはかとなくエピソード2待機モードに入ったので、隙(?)を見ては旧三部作のLDを見返している。
     日本語字幕と同時に英語字幕を重ねて表示しながら見ているのだが、今回見た『ジェダイの復讐』 では「おや?」と思って一時停止して確認して「誤訳とも言いがたいがニュアンスが違う訳になって いるんじゃないか」というところがずいぶんあった。
     『エピソード1』の戸田訳で有名な「小惑星ナブー」の誤訳などから「2は林訳で」 という声も多いようだが、公開後何年もたって「理力」が「フォース」に変わったりという訳文見直しを潜り抜けた作品のLDの字幕でも、改めて考えたら「なんか違うな」という訳がたくさんある。
     してみると、「戸田訳にきちんとSW用語の監修を付けた」というのと、同じくらいの 品質なのではないかという気がしてくる。
     ノベライズの翻訳に関しては、SW用語の訳語の公式データベースを管理している会社があって、役者はそこの助けを得て仕事をしていると、あるノベライズの訳者後書きにあり、同じ事を字幕のために行えばいいだけのことである。これは映画会社の体制つくりの問題だから、誰が翻訳家になっても同じことだろう。しかも今回はすでに公開前にノベライズの翻訳済み のものが出版されているので、すべての用語の訳語は確定しているはず。
     批判活動をしている人は、もっと「配給会社の体制」に批判の重点を持っていったほうが良いのではないだろうか。
  • 空から降る一億の星。TVガイド誌に
     みんなの関心が「女子大生を殺したのは?」ってとこに集約されているのはちょっと幻滅するよね。 もっと人間関係、人を見てもらいたい・・・
     というキムタクのコメントが載っていたそうだ。
     いやぁ、役者がそれを言ってはおしまいだろう。人間関係が描けて居ない脚本、演出、 役者の皆さん方へたれのお陰で、人間関係に目が行かないのではないか。それに、 人間関係の面白さを描くなら、視聴者には遠まわしにでも事件の謎を解く鍵を 提供すべきではないかと思う。
     脚本家はラブストーリーを意図し、プロデューサーはサスペンスを狙って脚本に手を 加えているという噂も聞く。そこがソモソモの間違いなのでは? ま、三谷幸喜の話で 聞いたように、ドラマの現場で脚本が切り貼りされるのは「あること」らしいが、 サスペンス物でそれをやったら辻褄が合わなくなって破綻する危険が大きすぎると思う のだけれど。
2002.5.20
  • 近所の「毎月20日は焼肉半額」という店「アリラン」で夕食。
     半額といっても「肉のみ半額」なので、ビールやご飯物を頼むと3割引くらいの感覚か。
     こういう時くらい「特上牛カルビ」とか頼めば一皿で1000円以上の特になると分かっていても 頼めない小市民ではある(笑)
     普段より人が多いせいか若い店員の性能が悪く、時々おばちゃんの韓国語(?)の叱咤が 飛ぶ。さっと注文を取ってどんどん運んでこないと、儲からないよなぁ。しかも、周りの 20代の元気なテーブルに競り負けている気もする(^^;
     当たりだと思ったのは「上タン塩」。冷凍ものらしいが厚切りでふんわりサックリという 歯ごたえで幸せ。狂牛病騒ぎ以来見かけることの少なくなった「レバサシ」は三種類のタレ が選べるが定番のごま油で、非常に旨い。まったく血の香りがしないほど綺麗に処理されていて ひたすらトロトロと濃厚な旨みが楽しめて感動した。
     カルビとハラミも厚みがあって旨い部類。豚トロは下味の塩が強すぎた。韓国では 豚のほうが主流だとは言うけれど、国内の店ではまだまだ新参者で研究されていないのかも。 豚トロより豚バラを頼めばよかったかもしれない。
     ご飯物として「石焼ビビンバ」と「辛い冷麺」を頼んだ。石焼は、どこの店に行っても 頼んでいるけれど、旨い。上の部類に入ると思う。石がしっかり焼いてあって ほどよいおこげが出来るのが正しい。別添えの辛味噌は結構辛かった。
     で冷麺のほうは、危険なくらい辛かった(笑)
     スープは別添えで、どうもこれで溶いて辛さを調節するような感じなのだが、 とにかくひたすら真っ赤で、こんなに辛いのに旨みを感じるのは不思議。翌日お尻で 二度おいしい予感(笑)
     二人でビール二本、ご飯物も取って苦しいほど食べて6000円台。料理の出が遅い ことを除けばお勧めできる店だ。
     ところでこの「アリラン」、ガスの無煙ロースター使用だが、なんだかちっとも 無煙じゃなくて、店を出てから匂いにびっくり。最初からいかにも煙もくもくなら 覚悟するんだけどね(^^;
  • 自宅で焼肉するときには「豚トロ」が流行る前から豚、主にバラ肉を愛用していた のだけれど、牛は焼肉屋にかなわないことが多いのに対して豚は自宅でも結構うまい 気がする。
2002.5.19
  • 『13デイズ』鑑賞(レンタル) ★
    2000/米,原題:"Thirteen Days"
    出演 ケビン・コスナー / ブルース・グリーンウッド / スティブン・カルプ / ディラン・ベイカー / ルシンダ・ジェニー / ビル・スミトロビッチ / ケイトリン・ワックス / ピーター・ホワイト
    1962年10月16日。11月の中間選挙対策に追われるケニーの前に、国家安全保障問題担当・特別補佐官 マクジョージ・バンディが深刻な顔で現れる。二日前、偵察機がキューバ上空から撮影した写真に弾道 ミサイルが確認されたのだ。
     空爆を主張するマックスウェル・テイラー統合参謀本部議長、ロバート・マクナマラ国防長官。
     しかし、第三次世界大戦の引き金を引くことは避けたい大統領は、弟のボビーこと ロバート・ケネディ司法長官と親友のケニー(大統領特別補佐官)と相談する。
     キューバ侵攻も辞さない軍部からなんとか「海上封鎖」を取り付けるが、ミサイル発射準備が 整うまでに、ソビエトに対して撤収の約束を取り付けないと世界の軍事バランスが崩れる。
     18日。空爆を迫る軍部を退けた大統領は、国連総会のため訪米したソ連外相グロムイコと 会談するが、外相はミサイルの存在を否定する従来の主張を繰り返す。
     20日。トルコに配備されているミサイルの撤去を取引材料にする宥和案がスチーブンソン 国連大使から出されるが、大統領はこの案を見送る。
     22日。海上封鎖実施を発表。
     24日。海上封鎖発動。大統領とボビーは宥和案をマスコミにながし、世論の反応を探る事にする。
     25日。新聞を見て驚いたバンディがケニーのもとを訪れ、ケネディ兄弟の弱腰を批判。
    スチーブンソンはケニーの期待に応え、ミサイル存在の証拠写真を突き付けるという強い態度でソ連大使に迫り、ソ連の不当さを印象づける事に成功する。
     26日。ケニーはABCの記者から、KGBのエージェントが「米国がキューバに侵攻しない確約をすればキューバのミサイルを撤去するという」妥協案を伝えてきたという情報を得る。
     27日未明。この打診を裏付けるようなフルシチョフ首相の電文が届き、事態は解決に向かい始めたかに見えた。だがその後、トルコにおけるNATO軍のミサイル撤去を求める第二の電文が届き、一同は困惑する……。

     歴史的な正確さはわからないが、映画は「アメリカ」から見たこの危機の政治の舞台裏を描く。
     「ソビエト」の出方がわからない、というシチュエーションは、リアルタイムでの当事者感覚を 引き出すのに成功している。
     「何とかして出動したい」とはやる軍部のお偉方の姿と、そんなことをしたら全面核戦争だと 恐れる政治家のパワーゲームが、ソビエトとの駆け引き以上に克明に描かれるが、海上封鎖が スタートした後で見せる将軍たちの緊迫したやりとりで、「ただの戦争馬鹿じゃないんだよ」 というポーズも見せている。
     知恵と勇気で第三次世界大戦の危機を乗り越えた若き政治家の物語。
     今を生活していると、2000年のアメリカがこういう映画を作ったことに驚くし、 この先ずっとこういう視点の映画は作られないであろうことに暗い気持ちにもなる。
     絶対負けない戦力を持ったアメリカが世界に兵隊を送り込む。テロリストと共に無垢の 市民を大量に巻き込む。しかし、アメリカの傲慢な国際政治のある限りテロは無くならない。 アメリカの市民も傷つく。報復で第三世界も傷つく。
     『13デイズ』を見て、戦争回避に全力を尽くす政治家に感動しても、もはや そんな政治家はアメリカには居ない、という現実。まさに、映画は現実の前では 霞むということだ。
  • 『ロードオブザリング指輪物語(バクシ版)』鑑賞(レンタルDVD) ☆
    1979年 アニメ 監督:ラルフ・バクシ
     たぶん純粋にアニメ映画としての評価だけだと×〜××クラスの作品でその傾向は 特に後半ほど強い。だが、原作を読んでPJ版『ロード・オブ・ザ・リング』を見た人が マニア的興味で見ると、☆ひとつは出してもいいかなと…(^^;;
     ストーリーは原作三部作の第二部真ん中まで。ということは、当初は二部構成の 続き物を作ろうとしていたのではなかろうか。脚本の分量としては、PJ版のほぼ 倍の速度(半分の密度)で話が進む見当だ。
     技術的には、実写フィルムをトレースしたり、実写をゼロックスして荒らしたような 技法や、実写のシルエット(影絵)を使ったりと、古いディズニーの実験的作品のような テイストがあって、商業作品たるべき完成度が感じられない。
     実写から起こした輪郭先がぎこちなく動くのがゾンビ的に気持ち悪くて、その不気味 さが「モルドール・テイスト」と言えなくもないが、正義の味方までみんな気持ち悪いから 辛いこと限りなし。
     キャラクター・デザインに魅力がないのも辛い。
     ホビットがオヤジくさいのはまだ我慢するとして、馳夫は「肉体労働者風」だし、 ボロミアはバイキング風角突き兜をかぶってハナから悪人顔だし、 エルフ族は「どこが美しい人」だろう?と悩むようなものだし、ドワーフたちとの身長の 書き方が曖昧だったり、魔法使いがただのジジイにしか見えなかったり、とにかく 絵の魅力がない。
     それでも第一部は色々とイベントが多いし、PJ版との脳内変換も効くのでなんとか 見られたが、話が第二部に突入するとひたすら団体での戦闘シーンが多く、暗い画面が ぐちゃぐちゃ動き、音声は「阿鼻叫喚」で、地獄のプロモーションビデオを見せられて いるよう。赤い画用紙にゼロックスした紙芝居のようなザラザラした画面が延々と続く のはほとんど拷問である。
     幾らなんでも製作側もこれは相当に破綻していたのではないかと推測される 出来栄えであって、エヴァンゲリオンの最終話付近の予告編を髣髴させる荒れ果て振り なのである。
2002.5.18
  • 表紙カウンターが27万になる
  • ホビットの食卓研究
  • 『メッセンジャー』鑑賞(レンタル) ★☆
     自転車にも交通法規は適用されると思うのだ(笑)
     久々、ホイチョイプロ企画の青春映画。仕事が取れなくてつぶれそうな社員二人の 自転車便会社を やっている草薙剛くん(SMAP)だが、ひょんなことからバイク便とスピード競争をして勝ち、 あるアパレル系商社の営業権を獲得する。仲間を集め、見事な連係プレイで夢のような 月間売り上げを達成するが、先のレースに恨みを持ったバイク便の策略にはまり、 営業権を掛けたレースのリターンマッチを挑まれる。
     今度は実際の仕事どおり、都内のどこで発生するかわからない荷物を商社まで 届けた者勝ち、しかしバイク便は社員500人、自転車は5人。受け取りにかかる時間を 考えると圧倒的に不利なのは見えていた。
     レース当日、猛然とダッシュする自転車便の後を追って、黒ずくめのバイクが三台 出動する。なんとバイク便は「妨害工作員」まで繰り出してきたのだ。果たしてレース の行方は…
     …な〜んていうスリルに満ちた展開と平衡して、当然ラブも絡むわけだが、どっちが 主役なのかはよく分からない。
     イケイケ飯島直子が自転車便と接触事故を起こしたためにしばらく代行する。という ストーリーもある。予告編を見てどういうことかと思ったら、彼女はパトロンの ファッション・ブランドの夜逃げに巻き込まれて、住む所まで差し押さえられたという 設定だったのですね、これが。
     それで本筋だけれど、面白い。面白いけれど黒バイクから逃げるためにかなり 際どい(お巡りさんに止められそうな)ことをやっているので、かなり「漫画的」では ある。それに、黒バイクが自転車便を阻止するためにぴったりくっついたり、先回り 出来るのなら、荷物を持ったバイク便はもっとずっと先行可能で、絶対に負けるはずが ないと思うのだ。一応「スピード違反で捕まってタイムロスした」ことになっているが、 それも含めて「チキチキマシン猛レース」みたいに、妨害工作する暇に まともに走っていれば余裕でゴールできるんじゃない?と(笑)
     ともあれ「SMAPの草薙剛映画」としては、「無愛想だが真面目で自転車好き」という キャラクターが演技力とか無関係に彼に似合っていて良作。港区近傍のオフィス街が 主なロケ地なので、サラリーマンのご当地映画としての興味もある。
     遠景で常に見えている東京タワーが、なんとなくレトロに東京的。

     妻が言うには「これでSMAPでは木村君だけが映画に乗り遅れている」ということ らしい。他のメンバーはホラー、少年向け、青春もの、とジャンルを分けてそれぞれ 映画に出ているが、木村君は「某ハリウッド監督の企画」が流れたままそれっきり だとか。
     今でさえTVドラマでは「もはや旬を過ぎた」と酷評されているのに、上を狙って アイドルとしてのピークに大仕事を出来ずに終わってしまうのはもったいないと 思うが…
  • アイドル映画といえば思い出すのが山口百恵。
     『伊豆の踊り子』『潮騒』etc.とずいぶん映画を撮っているのに、どうにも地味な 純文学的ドラマばっかりなのはどういうことかと惜しまれる。当時のファン層だって 興味があるはずのないお題。
     原田知世や薬師丸ひろ子はもともと役者デビューだとはいっても、メジャーな エンターテイメントにたっぷり出演して今でもDVDで見返すのが楽しみなのに。
     しかもTVドラマでも百恵ちゃんは「赤いシリーズ」と言って、病気、犯罪、血縁etc. が絡んだ不幸のどん底から這い上がるようなテーマばっかり。
  • 『R.O.D 3』鑑賞(レンタル) ★☆
     「偉人軍団」の目的は「自殺交響曲(これを耳にすると死にたくなるらしい)による 人類殲滅」だった。これを放送するために打ち上げられるロケットを阻止せよ。
     …というストーリー。で最終回。
     紙を自在に操ることの出来る超能力者、という設定も楽しいし、いまどきのOVAで スカート丈が膝下のヒロインというのも珍しい。普段の仕事が産休の代用教員なんて のも普通じゃない。大英図書館が、秘密エージェントを派遣しているとか、何はとも あれ紅茶は飲むという設定もスパイ物のパロディーとしてちゃんとしている。
     だけど、30分もの3本で実質90分に満たないというのは、この設定で遊ぶには なんとももったいなかったように思う。
     原作なしの企画物では、今はこのぐらいが限界なのだろうか。
  • 『ショーシャンクの空に』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
    1994/米,原題:"The Shawshank Redemption"
    出演 ティム・ロビンス / モーガン・フリーマン / ウィリアム・サドラー / ボブ・ガントン / ジェームズ・ホイットモア
    公式HP
     友人が「お勧め」というので、TSUTAYAに行ったら、三本くらいあるDVDがいつ見ても 貸し出し中。毎週のようにチェックしていたのに、ようやく借りられるまでに二ヶ月以上 かかったというのはどういうこと…?
     おかげでタイトルと予告編だけから、さんざん想像してしまった。予想と実態、危険な 状態である(笑)
     銀行家「アンディ」は無実の「不倫の妻と間男殺し」の罪を食らってショーシャンク 刑務所に入る。
     刑務所の中は「俺も無実だよ」という奴から全身極悪の奴まで色々居るが、とにかく看守と 所長は定番どおり最悪。退屈な刑務所での慰めは、小さなハンマーで刻むチェスの駒と、女優の ポスターだけ。
     だが、屋外作業中に看守の遺産相続話を耳にして税金が安くなる方法を 教えてやったことをきっかけに、アンディは看守の税務処理から、囚人の勤労奉仕をネタにした 所長の裏金作りまで深くかかわることになる。このことで彼は囚人代表として所内の発言権を 増し、刑務所内図書館の整備をやったり、20年もたつ頃には住めば都になっていく。
     ところがある日投獄されてきた新米のチンピラから「他の刑務所でアンディの妻殺しの 真犯人と会った」という情報を得る。
     再審請求のための活動の自由を願い出るアンディだが、極悪非道の所長はこれを握りつぶし 関係者を始末する。
     そしてついにアンディはある行動を起こす。
     …こんな流れで、予告編の締めは「彼は誰もが予想さえしなかった奇跡を起こす」

     でも、別に「奇跡」ってわけじゃないなこれは。
     この「キャッチ・コピー」を見て私は『グリーン・マイル』系のキリスト教的奇蹟、 超常現象系映画だと思ったもの。でも違うの。奇跡というのは「脱獄」のこと。 良くないです、やたらに「奇跡」という言葉を使うのは安っぽくなって。
     「自由を夢見て挑戦し続けた無実の男の物語」とでもしたほうが、絶対に良い。
     ちなみに原作タイトルは「刑務所のリタ・ヘイワース」(スティーブン・キング)
     これだと、彼らの日々の暮らしのささやかな楽しみ、小さな希望の象徴という感じがする。
     映画の原題は"The Shawshank Redemption"
     "redemption"は、「償還」とかキリストによる「罪の贖い」とか「救い」など。「約束を果たす」 なんて意味もある。
     複数の意味があるけれど、すべて映画のラストのエピソードを見事に包含しつくしてネタバレ 的でもある(笑)
     だって、"redemption"て宣言されたら、無実の主人公は救われるだろうし、悪徳所長には ツケが回ってくるだろうし、主人公が仲良くなったこの映画の語り部的存在、モーガン・フリーマン との約束は果たされるに決まってるじゃん、アメリカ人なら誰でもラストを予感しながら見るはず よ。
     だけど邦題『〜空に』では、主人公がオペラ「フィガロの結婚」の「手紙の二重唱」 のレコードを放送して看守は激怒、「中庭の囚人たちは心が洗われて空を見上げる」という 爽やかな屋外シーンのクレーンショットが「空にだなぁ…」とはまってしまう。
     それは、主人公が「ショーシャンク図書館」を開設するくだりのクライマックスなので とても印象的なんだけれど、それ自体には救いも約束もない脇筋の話。邦題のおかげで 本国の観客とはだいぶバランスの違う解釈と感動を日本人は押し付けられたって気がする。
     TVで散々放送された予告編の「土砂降りの中で両手を広げてくるっと回る」映像が 『シャイン』とウリ二つなのも痛い。
     「モーガン・フリーマン」の語り部となる親友の存在はなんとなく 『海の上のピアニスト』系の視点で、いい話系にはすごくありがち。
     結局、『シャイン』と『グリーン・マイル』のダブルで二番煎じな予告編イメージが、 本編とはまるで見当違いな「心を病んだ天才的囚人が奇蹟を働く」という妙なイメージ を作ってしまった(^^;
     本当は「無実の罪で捕らえられた聡明な男が、刑務所内で友情を育て、しまいに 悪徳所長を出し抜いて脱獄して自由と大金を得る。」という「レミゼ系」の話なのに。
     そして私は『レ・ミゼラブル』は大好き。
     この作品を見て唯一釈然としないのは、無実の主人公は名前を変え大金をつかんで 国外で第二の人生を送るわけだがあくまで「脱獄」なので、自由は取り戻したけれど 犯罪者のままなんだね。いいのかな、それで。
     もちろん、刑務所時代に所長の汚職の片棒を担いでクリーンではない彼ではあるけれど、 生まれ変わったとしても殺人罪を背負ったままというのはなんだかね。

2002.5.17
  • 『007/007は二度死ぬ』鑑賞(DVDレンタル) ☆
    1967/英,邦題:"You Only Live Twice"
    キャスト:ショーン・コネリー / 丹波哲郎 / 浜美枝 / 若林映子 / ドナルド・プレザンス
     007シリーズ第5作の本編は、なんといっても、日本を舞台とし丹波哲郎、浜美枝、若林映子が 登場するということで、 ボンドファンならずとも一度は見ておきたい007だろう。そして、この映画を一言で表現するなら 「オースティン・パワーズ in ジャパン」だ。
     アメリカの有人人工衛星が謎のロケットに捕獲され消息を絶つ。
     たちまち米ソ関係が悪化するが、英国情報部は仇敵スペクターの犯行と断定し、 ロケットの秘密基地があると思われる日本に007を派遣する。
     日本の秘密警察のエージェント、タイガー田中(丹波哲郎)の協力を得てスペクターの 陰謀に挑戦する。
     1967年といえば「東京オリンピック(64)」の直後の企画。復興著しい東京の姿が麗しい というか、今と変わらぬホテル・ニューオータニの丸い展望レストラン(?)がスペクターの 日本の隠れ蓑企業として登場するのも、なんだかまばゆく見える。
     女エージェント「若林映子」の運転するスポーツカー(トヨタ2000GT)の白く流線型な車体 もまた美しい。そして、嬉しいことに丹波哲郎が良い
     詳細な言及をはばかるほどゆがんだ日本観による演出は噴飯物ではあるが、 それでもなお、丹波哲郎の「知的でタフげな立ち居振る舞い」を見ると、ショーン・コネリー のボンドは「鈍重でふやけて見える」と言っても過言ではない。丹波氏が「S.コネリーは大根」 と言ったのも有名だが、だいたい、秘密兵器の超小型ヘリコプターに乗って出撃するシーン 以外は「若林映子」の車で日本中引き回されて いるだけで大して働いていないし、アクションシーンはふにゃふにゃだし、で、お世辞にも 「エリートスパイ」には見えない。女と偶然に助けられて立ち回っているだけである。
     …と言ったら、これは『オースティン・パワーズ』のエッセンスそのものではないか。
     猫を抱いた悪の秘密結社の親玉、裏切り者を消す割れる床、火口の奥に作られた巨大な 秘密ロケット基地、カーチェイス、正義の味方のハイテク兵器、変装、何故か忍者etc. のいかにもスパイ映画のあれこれは、実はミッショ・ンインポッシブルほどお金をかけても、 A.パワーズのようにいかにもハリボテ感覚で作られていても大差なくて、スパイ小説の 本質は「女と強運だ」と。それを自覚的にノリまくっているのがオースティン氏で、 無自覚なのがボンド。どちらも笑えることには違いない。
     後年の「ボンドカー」に代表されるように、秘密兵器にワクワクするとか、実物大で 作ってしまった秘密ロケット基地とか、お金をかけたガジェットが売りという楽しみ方も 当時はあったと思うし、それで正しかったのかもしれないが、ボンド氏のキャラクターを 生かしているのはオースティン氏だと思う。
     もし、そこまでシモネタに振るのはどうかと思う向きには「植木等」ではどうか。
     「諜報部員は〜、気楽な稼業と来たもんだっ」と。植木等なら、なんだか敵の女スパイに 情けをかけられてホイホイ情報が手に入ったり、何度も敵にやられるくせに止めを刺されずに 道端に放り出して目を回したり、ハエが止まるほどゆるいパンチで敵がぶっ飛んだりしても なんか許せる。
     もしかしたら英国人にとってS.コネリーのにやけた顔は、植木等に匹敵するのだろうか。

     一本の映画としては「はずれ」だが、パロディー物を含むスパイ映画の祖として、 やはり007は外せないアイテムなのが悩ましい。製作当時とは別の視点から楽しむが吉である。

  • 007映画を見てずっこける場所
     それは、オープニングで振り向きざまにポーズをつけて銃を撃つあのシーン。
     ボンドが引いた足の踵が「ぐきぐき」っと揺れているのを見るたびに、 「あぁ、そういう映画なのか…」身のこなしの美しいアクションが 見られるわけがないのは、実はここで告白されているのだなと。
  • エピソード2クローンの攻撃写真集
     ナタリー・ポートマンが美しいのでつい買ってしまったぞ。
2002.5.16
  • 『007/ダイヤモンドは永遠に』鑑賞(DVDレンタル) ×
     金返せと叫びだしはしないけれど、007シリーズとして無くてもいい作品だなあ、これは。 というのが率直な感想。
     1971年、前作の『女王陛下の007』がコケて建て直しのために「もう一度だけ」 という約束で、ショーンコネリーが演じた最後の007という。
     「各地で盗まれたダイヤが市場にも出回らずに行方不明になっている。戦争が終わって 平和になったのだから、君もこれからはこういう地味で堅実な仕事をこなして行かなけ ればならん。」
     なんちゃって、ボンド君はダイヤ探しに派遣されるのだが、上司が「地味で堅実な…」 というだけあって、マジで地味な仕事が延々続く。人は次々と殺されるけれど こっそり地味に。いったい何時派手なアクションが展開されるのだろうかと思って みていたら最後まで地味でまったりしたまま。どういうことかねこれは…。
     ボンドはダイヤモンドを密かに収集するグループと早々に接触するのだが、 取ったり取られたりの競り合いの中でやたら何度も敵に捕まり、殴られたり ガスを食らったりしながら意識喪失するのに、敵がぜんぜん止めを刺さないのが 笑う。敵がカス。
     敵の目的は「軌道上にダイアモンドを使った強力なレーザー兵器を上げて各国の 核兵器を破壊し、身代金を要求する」というもの。
     敵の親分にもボンドは何回も遭遇するが、そのたびに手ぬるくケリをつけようとしない。
     敵の首領は、整形手術で影武者を用意しているのだが、その影武者がそれぞれ ダイヤの首輪をした白猫を抱いている。『オースティンパワーズ』なら違和感無い けど、本家で見ると一段とマヌケ(^^;;
     窓から女が投げ出されると下がプールで無事、というオチが二度も出てきたのも泣ける
     首領の住処はラスベガスのカジノ・ホテルのペントハウスだが、作戦の最後、 衛星の指揮を取るために、「海上油田」に偽装した基地に行く。
     これが、機関銃以外の武装が無いために、発見した米軍ヘリの群れにコテンパン にされる。情けない。
     そして、最初から最後までショーンコネリーを含む乱闘シーンのアクションに まったく切れが無くてほとんどスローモーションのごとくヨタヨタしている。
     八百長プロレスみたいと言ってもいいかな。
     メイキングを見ると「ショーンコネリーは振り付けを覚えないんだよ。だから 時々本当にパンチがあたることもあるんだけれど、彼は怒らないね」という 証言があり、つまり、振り付けを覚えないがために、当たっても怪我をしない程度の ぬるいアクションしか出来なかった。というのが真相じゃないかと思う。 これじゃあ…
     まことに脚本もアクションもぬるい、惰性の007であった。むしろ 『オースティンパワーズ』のモトネタとして見る方が楽しめる。
     唯一個性的なのは、ラストでボンドガールが007とマッタリしながら、セックスは しないというところ。つまり「ボンドはダイヤモンドの魅力に負けた」わけだ(笑)
  • マンションのビオトープに最近急激に生き物が増えている。隣の江戸川で釣った魚を 放流している人が複数いるらしい。このままだとすぐに限界がくるのでは?
     と思っていたら、網を持ってビオトープの魚を取る小学生の群れを発見。コラコラ。
     自然界の天敵は、小学生だった(^^;;
2002.5.15
  • 『ハリーポッターと賢者の石』DVD購入・鑑賞 ★★
     定価2,980円だがどこの店でもいっせいに割引販売していて「売る気」みなぎる。
     この価格で2枚組み(特典つき)なので、大勢買うだろう。
     特典ディスクの中身はまるでゲームのようになっていて、魔法の道具を買いに行くには ブロックを正しい順番でたたかなければならないとか、買い物をする前に銀行に行かなけ ればならないとか、ドアを開けるためにキーを捜さなければならないとか、やらなければ ならないことが山ほどある。
     こういう仕様、もし子供が喜ぶとしても、私はゲームがしたいわけではない、という 普通の人にとってはとても嬉しくないし、せっかく収められている内容が見られない という可能性も高い。
     収められている内容の多くは例えば「魔法の先生の紹介」だとクリックすると 本編映像の一部分が流れる…ということは、特典でしか見られない新たな情報は そこには無い。ということ。
     特典ディスクでしか得られない情報の主なものは、「カットシーン7点」 「美術設定イラスト十数枚」「寮の性格設定」「インタビュー集」だけ。あとは ほぼ本編の中でわかることしかない。
     インタビュー集はいわゆるメイキング映像。これは普通に面白い。
     美術設定は、興味深いが一枚一枚めくって行かなければならなく、全体のどのへんを見ている のかもわからないので忍耐を要する。
     メイキングは複数のゲームをクリアしないと見られない場所に隠されている。
     結局、この特典ディスクは、山ほどあちこちクリックしなければならない割には、 得られる情報が少ない。「クリック数と情報の比」ということを適切に考えて ほしい。
     特典として欲しかったと思うのは、登場人物の設定を書いたものなど、原作を読んで いない人に対する補完情報。美術設定集の充実。キャスト・スタッフの情報。どういうわけか、 キャスト・スタッフは本編ディスクに名前の一覧表があるだけで、詳しい情報が一切無い。 つまりは「魔法の国と現実が断絶している」ということなのかもしれないが、それは おかしいのではないだろうか。
     ともあれ、特典に対するがっかり度は高くて「安いなりのことはある」という感想を 持ってしまった。

     本編は絵も綺麗だし、申し分ない。
     改めて見ると、今更ながら「子供が喜びそうだな」と思う。しかし、基本的に ずるが多くて、本当は味方の先生をあそこまで悪そうに見せなくてもと思うし、ライバルの 生徒と悪そうな先生のカットバックでミスディレクションするのは「あざとい」と思う。
     そのほかの良い先生たちは、あからさまに「エコヒイキ」が激しいし、そのわりには 危険を知らせる子供たちの警告に対して無関心なのはどういうことだと思う。そういうのが とってもご都合主義で「子供向け」の看板が無ければ非難ごうごうだろう、きっと。
     などと文句を言いながら、たぶんPart2が公開するとまた見に行きそうだけれど。
     それは、美術が良いとか、子役がかわいいとか色々あるけれど、育ち盛りの子供のことで、 あの可愛さは次回作ではずいぶん変わってしまいそうな気もする。

2002.5.14
  • 『ギルバート・グレイプ』鑑賞(DVDレンタル) ☆
    原題:What's Eating Gilbert Grape
    キャスト:ギルバート(ジョニーデップ)、アニー(ディカプリオ)
  • 公式(ASMIC-ACE)
     ディカプリオの業績を語るときに必ず出てくるこの作品。
     一度見ておこうかというわけで借りてみた。
     アイオワ州エンドーラ………
     ひとつ屋根の下で暮らすグレイプ家に愛と奇蹟が訪れる。

     という名作風のコピーに「癒し系」を感じるが、中身を見て「うへ〜」としり込みする。
     主人公ギルバートはアイオワ州エンドーラ(見渡す限り畑の続く何も無い町)から生まれてこの方 24年間出たことがない。家族の面倒を見なければならないからだ。
     18歳の弟は頭が弱くて大きな三歳児くらい手間がかかるし、父親は自宅で首吊り自殺しており、 夫亡きあと過食症を病む250kgの母親、2人の姉妹、一人はわがまま盛り…の面倒を見無ければ ならない。まさに青春どん底だ。
     それでも彼はそれが自分の運命と受け入れ、弟がどんなに迷惑をかけても一途に守り、 ママの世話を焼き、妹のわがままに怒ってもぐっとこらえて生きている。
     小さな町は暮らしにくいことも多い。陸に打ち上げられた鯨のような母親は 近所の子供たちの好奇心の的だし、勤め先の小さなスーパーは大型店に客をとられて 潰れそう。子持ちのマダムは退屈な夫への不満の捌け口をギルバートに求めて、旦那との 間で危機一髪。それなのに、ママの体重で抜けそうな床の補強もやらないと暮らせない。
     はっきり言って、「どうにもならない不幸」にビッシリ取り付かれたこの生活。 見ているだけでイライラする。「愛」というよりは「家族の責任」物語。
     そこに外の世界からの闖入者がやってくる。
     トレーラーハウスで全米を放浪して歩く、ベッキーとその祖母。彼女らは旅の途中で 車が故障してしばらくこの町に留まることになったのだ。
     人妻不倫vs旅の香りのする少女。当然ギルバートは少女に惹かれるね。 彼女は弟にも優しく接してくれる天使のような女性。 でも、 ギルバートは街を出ることはできない定め。どうにもならない。
     彼女のいる幾日かの間にも弟の警察騒動とか、人妻の夫の変死事件や、いろいろな事が おきるが終に車も治り彼女の旅の再開の日が来て、ギルバートの日常が戻ってくる。
     と、思いきや、太りすぎでお母さんが死んでしまう。
     二階のベッドで死んだ母親を誰も担ぎ出すことができず、クレーン車を呼んで母を 笑いものにするくらいなら…と、兄弟は悲しい思い出がぎっしり詰まった家を丸ごと 燃やしてしまう。
     そして、一年後、ギルバートは弟を連れて、ベッキーと旅立ち、妹はそれぞれの 道を行く。
     この街から抜け出せてハッピーエンドのようには見えるが、実は「母親が死んで お荷物が無くなった」というのが最大のポイントで、なんか釈然としない。だいたい トレーラーハウスで放浪の旅をしている人たちって、どうやって食っているのだ。 という不信もある。ばあちゃんの年金か?
     とにかく町を出たい。それはわかるが、でも、どうするのだろう。田舎のスーパー だから障害児の弟を連れて出勤しても仕事はできたけれど、都会ではそれは難しかろう。 行った先にも苦労ばかりあると思うとかわいそうだが、映画的にぼかしているのは 「キレイゴト」のような気もする。

     ちなみに、ギルバート役のジョニー・デップはなかなか好感の持てる芝居。
     注目のディカプリオは、94年のこの作品時点ではなんと20歳。
     18歳の精神障害児を演ずるのだから、せいぜい15,6歳なのかなと思っていたので 意表を疲れたのだが、この幼さは驚きである。たった三年後のタイタニックでは そこそこの「青年」をやっているので演技がすごいのかとも思うが、今見ることが できる『ギャング・オブ・ニューヨーク』の予告編では無理して老けメーク して辛いようにも見える。
     どっちにしても、役柄は大半が「うえ、あえ」と言ってぐにゃぐにゃしている だけなので、これで役者としてどうなのか、演技がどうなのかはよくわからない。
     巨大なママは、特殊メークかと思いきや、ダーレーン・ケイツという、びっくり人間 の生身だそう。マジですごい形をしている。
     映画の中でもソファに座りっぱなしでほとんど動かず、数箇所懸命に動くシーンが 感動シーンになっているのだから、本物の迫力は凄い。
     解説には「公開後に“今年度最も心を打つ映画”と称賛され、ハートフルな愛の物語の傑作と評された。」とあるのだけれど、こういう異常な シチュエーションでの物語というのは、一般的な批評を拒むオーラが出ていて やりきれないと思う。
     とにかくきつい話だ。

  • 『スパイダーマン』のノベライズ本を見つけたので買ってしまった。 感情の描写が映画よりさらに多くて結構補完された。
     ボリューム的にも「スパイダーマンの誕生過程の葛藤」について映画以上の 比重をかけている。もちろん、アクションシーンの描写は映画のほうがお得意 には違いないけれど。
    スパイダーマン原作の情報がある
2002.5.13
  • ホビットの茸料理
     妻と夕食の買い物に出かけて、ふと思いついて「今日のテーマはホビット料理にしよう」 と提案してみる。とりあえず「キノコ料理」というだけのことなのだが、なるべく、ホビット の食文化を想像してみる。
     キノコはブラウンマッシュルーム、シメジ、白舞茸、etc.ベーコンは基本で、ジャガイモ も入ってボリューム感を出してみるという基本線を話し合って、細部は妻にお任せ。
     結構うまいものが出来上がって大満足。
     それにしても、ビルボの家にはずいぶんたくさんのご馳走があったはず。ご馳走が大好きな ホビットのことだから、食卓のバラエティーは凄いはずなので、早くDVDがでて食卓を 詳細に観察してみたいものである。
  • 空から降る一億の星5
     げげげ〜、キムタクと深津がキスしちゃったよ。ということは兄弟ではなくて幼馴染なのかな。
     柴咲がさんまちゃんの優しさに心を開き「秘密を明かす」とか、お嬢様がライフルで誰かを撃つ (かも知れない)とか、次週に送られた話もたくさん。
     思ったとおり毎週のように「○○と見せかけて××」という展開の連続だが、そろそろ 「やっぱり△△」だな、という拠り所もほしい。推理に必要な重要なピースが最終回に出てきて 大どんでん返しというのは止めてほしいからね。
     八嶋さんが来週深津に振られるらしいが、だからといってこれから本筋に一切絡まないで 居なくなってしまうというのも反則だと思うし、八百屋のチンピラ息子も今まであれだけ 出番が多くていつの間にかいなくなるのはどうかと思う。頼むぞ脚本。
2002.5.12
     ポスターフレームを買ってきて、『スパイダーマン』のポスターと、 『スターウォーズ・エピソード1』のダース・ベイダーの影を落とすアナキンの ポスターを飾る。
     二枚とも、高さはいわゆる「全紙」サイズの900mmだが、幅が微妙に大きくて「全紙」 の枠に入らない、しかしこれより大きいフレームはB1で完全に一回り大きく、あまりが 大きすぎる。困ったものだ。
     ともあれ玄関に飾ったので今日からうちに帰ると「アナキンがお迎え」である。 妻もダメとは言わなかったぞ(笑)
     でもリビングに飾った『スパイダーマン』は、「えぇ…」と言われたが…(^^;;
  • 『あの頃ペニーレインと』DVDレンタル・鑑賞 ★☆
    公式ページ
    1973年、たった15歳でローリングストーン誌のライターとしてデビューした少年がいた。厳格な母親に育てられ、セックスもドラッグも知らない優等生。その上、ロック・ジャーナリズムになんのコネクションも持たない少年が、一体どうやって成功を収めたのか?
     監督/脚本のキャメロン・クロウの半自伝的映画だそうだが、才能のある人の少年時代は われわれの青春とは一味違うものである。たとえば、自分の青春時代も「それなり」に熱くドラマティック だったなあと密かに思ったりするのだが、人に語るような物ではないし。…いや、もしかすると 誰にでもドラマはあって「語る才能」のある奴が世の中に出てくるだけなのかもしれないけれど。
     まさに、そんな「語る才能」で若くしてマスコミの世界にデビューしたのがこの映画の主人公、 ウィリアムだ。
     あまりにも厳格な母に絶えられずに18でスチュワーデスを目指して家を出た姉の、弟への 贈り物がロックのレコード。弁護士を目指して勉強していた弟ウィリアムはロックの世界に 興味を持ち地元新聞や雑誌に批評記事を投稿し注目される存在になる。
     彼の才能を認め応援してくれたライター、レスター・バンクス は「残念ながらロックはもう終わりだ」という。

     1970年代といえば、私の少年時代でもある。70年代はちょうど小学生〜中学生。ラジオでは 歌謡曲に混ざって洋楽も少しは聴くことができたが、FMをつければ「母の内職の友」だった 歌謡曲とはぜんぜん似ていないロックンロールが聴けて、しかしあっという間に洋楽シーンは 変転し「耳当たりの良い踊れる曲」に移り変わっていくのを体験していた。
     なにしろ、初めて買ってもらったラジカセで最初にエアチェックした曲が「ソウル・ドラキュラ」 だったのだから、曲は格好よかったけれどどうも軽い。「サンフラワー'??(年号だった気がする)」 というのも愛聴。ビートルズなんかすでに伝説化していて、ベイシティーローラーズが大流行、 nackのマイシャローナが一発ヒットして、世界中の音楽プロモーターが地方都市のバンドを 発掘して回っていたのもこの頃。
     たぶん歌謡曲もこの時代に「自作自演」「シンガー・ソングライター」「ニュー・ミュージック」 の変遷過程だったし、ピンクレディーブームも、キャンディーズの伝説の解散コンサートもあった。
     いっぽう、シンセサイザーがまだ無い時代に、クラシック(現代音楽)の世界では、電子音楽、 ミュージック・コンクレートが流行って雑音の中で電子音が金切り声をあげていたのが、瞬く間に ロックミュージックに取り込まれていったのもこの頃。(現代音楽、それも電子の金切り声を聞いて いる小学生もかなり変だが、日曜の晩のFMはそれしかなかったのだからしょうがない)
     本当に、音楽シーンは激動していた。
     そう思うと、80年代にサンプリングとシーケンサーが登場してテクノがやってきて、 去って行った後は、ダンスミュージックとラップだけ、今やどれもこれも似たようなサウンド ばかりで後の世に残る人がいるような気がしない。

     閑話休題。ともあれ、それは熱い時代だった。
     ロックが「反逆の象徴」から「商業音楽」に成り代わって行こうとするその世界を 描くこの作品の雰囲気は、だからとても懐かしい。
     登場するバンドメンバーの発言の一つ一つがロックの時代に乗り遅れた私の世代に憧れを はらんでいる。その世界に「まっさらなファン」として飛び込んで行くウィリアムは、 この映画の観客の気持ちを代弁するような存在。ロックだった時代の再現がこの映画だ。
     原題の"ALMOST FAMOUS"(有名直前)も、ロックな精神を誇り高く歌っているようだ。
     邦題はなんでか「あの頃ペニーレインと」まるで私小説。なんとなく「四畳半フォーク」 のごときウェットで地味な文芸映画のタイトルである。たぶんその世代の人が命名した のだろうが(^^;
     確かに、「私はグルーピーではない、音楽を愛するバンドエイドよ」と宣言する 謎の美少女ペニーレイン(ケイト・ハドソン)は重要な存在、時代を映す鏡のひとつではある。 女優としてその美しい存在感は記憶しておくべきだ。彼女が切ない笑顔をすると、胸が 締め付けられる。
     でも、この映画はロック映画。恋愛映画の体裁を借りた「あの頃のロック」映画なんだよね。
    Music...

    "America" Simon & Garfunkel
    "Sparks" The Who
    "It Wouldn't Have Made Any Difference" Todd Rundgren
    "I've Seen All Good People:Your Move" Yes
    "Feel Flows" The Beach Boys
    "Fever Dog" Stillwater
    "Every Picture Tells A Story" Rod Stewart
    "Mr. Farmer" The Seeds
    "One Way Out" The Allman Brothers Band
    "Simple Man" Lynyrd Skynyrd
    "That's The Way" Led Zeppelin
    "Tiny Dancer" Elton John
    "Lucky Trumble" Nancy Wilson
    "I'm Waiting For The Man" David Bowie
    "The Wind" Cat Stevens
    "Slip Away" Clarence Catter
    "Something In The Air" Thunderclap Newman
     使われた音楽は、みな当時を代表するバンドの曲だが肝心の"Stillwater"の名前に 心当たりが無いあたり、さすが、映画に使われるだけのことはある。つまり、有名すぎると 映画にしにくいってことね(^^;;
  • 『ザ・ウォッチャー』鑑賞(DVDレンタル) ★
     「こんどのキアヌ・リーブスは助けてくれない」とかいうTV-CMが頭にこびりついている。 これ『マトリックス』を意識した文句だと思うけど。
     連続殺人犯(キアヌ)が以前の街での事件で心を病んだFBI捜査官を追ってやってくる。
     犯人は事件を起こし彼に捜査されることだけを望んで犯行を繰り返す。そして、 殺人予告は一枚の写真。夜の九時までに送られた写真の女性を保護しないと殺されてしまう。 しかし、女性たちは大都会で孤独に暮らしている人ばかりで、TVで大々的に尋ね人広告を 連打してもなかなか捕まらない。そして、ぎりぎり手遅れになるという形で次々と犯行が 繰り返される。
     …とにかく長髪のキアヌが「つかみ所の無い不気味な殺人ヲタク」という役柄に ぴったりで「薄気味悪い」。一見普通の人で、でも狂っているというのがミソ。
     でも、作中のFBI捜査官が
     「いまアメリカ中に何人のシリアルキラーがいると思う? お前を捕まえたら別の犯人をまた追うだけだ、お前なんか特別な存在じゃない
    …と言うとおり、彼が特別物凄く歴史的に特異な犯罪を犯しているとは見えず、 大勢いるシリアルキラーの一人という感じではある。
     もちろん、映画としてはそれは物足りないのだが…。
    批評ページ
2002.5.11
  • 『スパイダーマン』鑑賞(VC市川#1) ★★★ [鑑賞記]
     私はこの映画で三回泣いた。
     「ヒーローはなぜ戦うのか」その答えをこれだけはっきりと掲げた話も少ない だろう。今年一番の感動作、今のところ。…スターウォーズが抜く予定なので(^^;;
2002.5.10
  • 天井から猫
  • 『ミュージック・オブ・ハート』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
    公式ページ
     本当に有った話。…ここ数年こういう映画多いね、"Based on true story."
     確かに実話の持つ重みや世界の厚み、広がりは映画の厚み、広がりを保障するし、 どんなに突飛な展開をしても、決して「なんだ、ご都合主義だな」なんて言われ ないし。事実は小説より奇なり。『エリン・ブロコビッチ』なんか、まるで映画 みたいな本当の話で面白かったし。

     さて、こちらの話はイーストハーレム、1980年に始まる。
     離婚して新しい生活を始めなければ…と、とりあえず「50挺ものヴァイオリン」を 抱えて二人息子のニックとレキシーと共にニュージャージーの実家に戻ってきた ロベルタ・ガスパーリ(メリル・ストリープ)は、地元のスーパーで働きはじめた ところへ、高校時代の同級生ブライアン・ターナーと再会する。
     夫が海軍将校で転勤が多いためにヴァイオリニストとしての夢を断念した ロベルタにブライアンは学校の先生になることを勧める。
     しかし訪れたところは、アメリカの中でもきわめて物騒な地域イースト・ハーレム の小学校だった。教師としての経験の無いロベルタは一度は断られるが、その熱心さに 校長のジャネットはヴァイオリンの課外クラスの臨時教員として採用してくれる。
     自分の50挺のヴァイオリンを提げてクラスに向かうロベルタ。しかし、子供たちは 言うことを聞かず、ヴァイオリンでギターのまねをする子、果ては弓でチャンバラ ごっこを始める生徒まで出る始末。
     しかし、彼女の熱意は生徒を変えた。家で練習をしてこない子供には退場勧告する くらい厳しい指導にも生徒はついてきて、見事に父兄に披露できるほどの合奏ができる レベルに成長する。
     しかし、その中にも、黒人の子供が白人の音楽を学ぶことに対する偏見や、家庭の 事情で町を去らなければならない子供、暴力事件に巻き込まれて親をなくす子供など 厳しい現実の数々と立ち向かわなければならなかった。
     家庭の中では、父親がいない寂しさから母親に反抗する子供にも接しなければなら ない。
     10年の月日が流れ、今では地域の三つの学校でヴァイオリンクラスを持ち、 抽選が必要なほどの人気クラスに成長した彼女の授業が、突然、市の財政問題の ため中止される。
     あまりのことに激しく校長に抗議するロベルタだが、すでに校長も手を尽くした あとでどうにもならなかった。ところが、父兄や友人の中からこのクラスを支える 運動が起き、クラスの存続ためのチャリティーコンサートが企画される。しかも、 著名音楽家がどんどんゲスト出演してくれることになり、生徒たちの演奏は 広く感動を巻き起こし、この活動を続けられるようになる。

     「一生懸命やりました。平坦では有りませんが、報われました」
     そういう話ですね。
     予想どおりの感動。という感じ。
     音楽を趣味にやっている人には、「うわ、本物のパールマンがゲスト出演しているよ」 というようなポイントで痛く感動するけれど、映画じゃなくてNHK的に ドキュメンタリーでとってもらっても感動の質とか量とかは変わらないだろう というのが、『エリン・ブロコビッチ』とはちょっと趣が違う。エリンは完全に 「映画」として面白かったのだけれど、こっちは「ドキュメンタリー」テイストが 濃厚。どちらも「仕事と子持ちの恋愛」を描いているのだけれど。
     ヒロイン俳優に感じる生活感の量だろうか?
     メリルストリープにおばさん役が似合いすぎるからだろうか…(^^;;

2002.5.9
  • 『キス・オブ・ザ・ドラゴン』鑑賞 ★☆
     麻薬取引の捜査協力でフランスを訪れた中国人捜査官(JET.リー)が罠にはめ られる。実は麻薬取締官こそが仲買人だったのだ。…というのは、どこかで見た ような設定。
     リーは証拠のビデオを手に中国人街に逃げ込み上司と連絡を取るが、接触現場 を襲われ、上司は殺されビデオを奪われる。
     だが偶然、麻薬取締官に娘を拉致され無理やり働かされていた娼婦と知り合い、 彼女が犯行現場を目撃していたことを知る。
     リーは娘を救うことを条件に、彼女と反撃に移るが…。
     という話。
     ストーリーの流れはシンプルで、冒頭の「こいつが黒幕か!」というの以外 変なひねりも無くがんがん進む。ヒロインが子連れの娼婦というのが唯一の ひねりで、安易なヒーローとのロマンスを避けている。リーがウルトラ真面目な エリート捜査官で、色気方面にはまったく弱いという設定と上手く馴染むし、 俳優本人のキャラクターが「イケイケ」では無いので、正解だと思う。
     ハリウッド映画に対するフランス映画のひねりかも知れない。
     ともあれ、過度なひねりもロマンスも排して、映画はひたすら「アクション」の 一本柱を貫く。
     リーは中国警察最高のエリートで何一つ弱点が無いというヒーローだが、 敵の麻薬捜査官とその一味も、前半の激しい銃撃戦から後半のカンフー対決 まで、リーの技が存分に楽しめる。
     何より「ワイヤーアクション」を使わない絵がこんなに爽快だとは、改めて 感動。ハリウッドのワイヤー多用アクションはあくまで"SFX"だし、香港映画の ような「それが許される劇的空間」でもなく、銃vs超能力に見える。
     ところが、本作はあくまで生身のアクションに見えるように撮っているから 観客にも力が入る。当たった時の痛さも違う。技の切れ、スピードも違う。
     考えてみれば、地に足が着いていれば瞬時に全方向に対応できるが、吊って しまうと振り子のように揺れるしかない。動きの大きさと機敏さは反比例する。 登場人物が超能力者で無いのなら、跳躍力をサポートするぐらいの使い方が 適当に思え、日本のトランポリンはその点優れていると思う。
     カンフー映画としては「針」が必殺技として使われるのも珍しい。
     針は敵を倒すにも、見方を癒すのにも使われ、いかにも東洋テイストで、 日本人なら「必殺」や「北斗の拳」を思い出すだろう。
     この映画の演出でかっこいいのは、ガラス入りパーティションをバリバリ 壊しながら戦うところ。
     銃なら、煙や炎が上がるところ、肉弾戦+ガラスの飛散で上手く盛り上げて いる。狭く区切られた空間故、突然攻撃を受けるスリルもある。
     ともあれ、ストーリーの単純さを「弱い」と指摘する人はいるかもしれないが ジェット・リーの最近のアクションに物足りない思いを抱いていた人には大 サービスの映画に間違いない。
  • sonyのベストバイ第二弾
2002.5.8
  • 『悪いことしましョ!』鑑賞 ★
     ブレダン・フレイザーが美貌の悪魔にそそのかされ魂と引き換えに七つの願いを かなえてもらう契約をするが、次から次へとろくでもない結果になり、最後の願い に全てがかかる…
    という話。悪魔との契約がネタになるとこれは定番の展開だが、主人公が恋する 女性より悪魔のほうがイケイケの超美女なのが、まず可笑しい。
     彼女を妻にして大金持ちに…という願いが、コロンビアの麻薬王で妻は浮気しており 組織もたちまち乗っ取られ…と大はずれに終わるところから、あの手この手で願いが 裏切られる連続は最初こそ「やっぱり」と思うがだんだん「次はどの手?」と楽しく なってくる。
     後味のいい結末なので、息抜きには最適の映画。願いごとのブレダンの扮装や 出てくるたびに衣装の変わる悪魔を鑑賞するだけでも面白い。
  • 『ドリブン』鑑賞 ★
     シルベスタ・スタローンが引退したレーサーに扮し、連勝から突如スランプに落ちた 若いレーサーを指導し優勝に導く話。
     クレジットを見るとスタローンが主演俳優のようだが、若手レーサーが優勝する 話なので、だいぶそっちに食われているし、加えてライバルチームのドライバーとの レースと恋の鞘当の二重の争い、同じチームの二番ドライバー争いと、二人のベテラン の戦いがあり、合計4人が拮抗している。
     なお加えて、いかにも過去を引きずっている車椅子のチームオーナーとスタローン、 スタローンに独占取材状態の女記者、若手レーサーのマネージャーに徹してきて、 過保護が鼻につく兄の憂鬱なども絡む。
     多くの登場人物がサーキットを舞台にそれぞれのドラマを展開するが、観客に 見えるのは「現在形」の断面だけで、そこに至るバックグラウンドの描写がほとんど 無いので、全てが散漫で他人事に見える。
     脇筋が乱立して結局何が売りの作品なのか、それが曖昧になっている。
     たとえば「スピードの恐怖の先にある栄光」「引退したドライバーとオーナーの 過去の因縁」「レースチームの物語、ピット裏話」「サーキットの娘」などなど、 何でも良いから太い柱を立てて脇筋を刈り込んだ脚本であるべきだった。
     まるで、豪華キャストに振り回されて、それぞれの見せ場の取り合いになった TVドラマのような話だが、こちらはスタローン以外は良く知らないので、面白くは 無いのだ。
     というわけで、映画としては「レースのスピード感の演出が新しい」という以外、 取り立てて語るところも無い作品だと思うが、元アクション俳優としての スタローンの存在感はなかなか良かった。
     彼の映画を見るとどうしても「シュワルツネッガー」を意識するが、シュワ氏の 近作がいまいち盛り上がらず「肉体派俳優の老化の悲劇」を感じるが、『ドリヴン』 のスタローンはきっちり「渋い先輩レーサー」になりっきて魅力的である。 そのぶん本作の脚本の駄目さが惜しまれるのだが、これから良い脚本を得てヒットを 飛ばすのはきっとスタローンに違いない。
     私はもともとシュワルツネッガー・ファンだが、彼も後数年で還暦なのだから いつまでも筋肉ヒーローが似合うわけが無い。それがスタローンを見ていて痛感 された。ダイハードだって今では精神化医を演じてる。役者の賞味期限を感じる 話だ。
  • 役者の賞味期限
     もうひとつ気になるのがディカプリオ。今度の新作も予告編を見る限りは 浮いている感じだが。
     キャメロン監督にも、そろそろ映画を撮って欲しいし。
2002.5.7
  • 今日から平日、日常に復帰。とはいうものの、先月半ばの葬式からほとんど間髪 入れず連休に入ってしまったので、休みすぎで日常が遠い…
  • 空から降る一億の星3
     ネットを見ていると「何故女がコロコロキムタクになびくのかわからん」という 意見に「現実だってそうだ」という反論があったけれど、ドラマだからこそ観客が ヒロインに感情移入できるような説得力が欲しい。そうで無ければ「現実でも理解で きないカップルって居るよね」という見方は「冷めた傍観者」でしかない。それは 主役級の女優の恋の理由としては足りないと思う。
     「箱入り娘が自由で危険な香りがして、しかし本当は優しい男に恋をする」 というのは有りそうな話だけれど、出会いのシーンがかなり不自然だったので、 当たり前の理由ではちょっと説得されたくないのが、今回の難しいところ。
     とはいえ、回を追うごとに回りの事情が整理されてきて、初回の不可思議感覚が 和らいできた感じはする(^^;
     ドラマは「背後に巨大な陰謀」が有りそうな感じなのだけれど、最初の女子大生 殺しの動機がまだ誰も触れてないような。これで最後まで引っ張って驚かせるのか な?
     回を追うごとに背後関係が見えていく作りのドラマらしいので、取りあえず 次回も見ようと言う気にはなっている。しかし、『眠れる森』の謎解きがなんとも 反則っぽかったので、ミステリー部分に期待しては居ないのだが。
     毎回真剣に犯人を推理していたあのドラマ、ラストの失望は忘れられん(^^;;;
     深津が赤や黄色の派手なマニュキアやアイラインを引いているのが、気になる。
     キムタクは部屋の格子を赤から青に塗り替えていた。
     色使いに意味があるのかな?
     前話に続いて「カメラワーク」台詞ごとに顔面ドアップの切り返しで繋ぐのは 止めて欲しいな。14インチTV向けに撮っているのかも知れないけれど、それに しても芸のない。
  • 空から降る一億の星4
     4話の深津のマニュキアはダークレット。
     25年前の事件に関わる会話がたくさん出てきた。
     三田の事件のお嬢様の実家も傾いていたというのが、井川の実家に重なる。
     現場から出た付け爪がどうした?被害者のものとは限らないわな。
     今度も出てきた深津の見合いストーリー。彼が映画マニアだという設定が、 ビデオの並び順の謎解きに絡んできたりして。
     深津が刺されそうになったのは、直接目撃されたのもさることながら、 さんまちゃんが「涼はワシの知り合いとつきあっている」と言ったので、お嬢様と 人間違いで刺されたのかなぁ。それにしても、ひっそりと後を付ける柴咲、怖い。
  • 先日見た視聴率調査のページによると「録画」はカウントされないそうだ。
     確かに番組ごとではなく一分単位に何を見ているかという調査には組み込みにくい けれど、我が家のように見たい番組だけ録画で見る。という人は少なくないと思う ので、実質の視聴率はもっと高くなりそう。もっとも、CMを早送りしてしまうので スポンサーにとっては視聴率ゼロと同じかも。
     テレビが複数台あって、二つ映っていたら視聴率を半分に割るというのも初めて 知った。「紅白」の視聴率が下がるわけだ。家族全員で一台のTVを見る時代じゃな いから同じシリーズの番組が昔のような数字が出なくても、単純に番組の人気が おちたと言えないのは、数字の仕組みからも正しいことらしい。
  • 海自のイージス艦派遣について、自衛隊幹部が「是非アメリカから日本政府に 要請を出して下さいな」と米国に根回ししていたことが発覚。
     やっぱり現場は好きあらば前に出ていこうという魂胆だということが分かったわけ だが、政府や国民の頭越しに米国に力添えしてもらうとはちと「やばすぎる」のでは 無いか。
     アメリカに協力する日本も敵だ、と要らぬ恨みを買ってテロの標的にされたらいっ たい誰が責任をとれるのかと…。
2002.5.6
  • GW10.最終日。妻のお友達が来て宴会。懲りずに『エピソード2』の予告編を 鑑賞。
     GWは事前にいろいろ予定が立たなかったので、有りものの映画を見たり、掃除 したりして過ごしたけれど、午前中はお客様対応の最後の大片づけ。
  • 『四月物語』鑑賞 ☆
     星半分。主役が「松たか子」じゃ無ければ星無しかなぁ…?
     北海道の田舎から東京の大学に合格して上京する新入生、松たか子。冒頭のお見送 りシーンで幸四郎ファミリーがずらりと並ぶのが、「うわ〜本物の家族だ〜」と感激 するが、彼らはここにしか出演せず、「やっぱり」とは思い残念でもあるが、まあ、 当然だし、彼らを投入出来た監督だかプロデューサーだかの手腕は認める。
     でも、本題のストーリーはびっくりするほどのシンプルな日常の描写で、 展開らしい展開もなく 「松たか子の女子大生可愛いな〜」という視点で見ていかないと、とてもついて いけない(^^;
     予告編では「彼女が東京の大学を受験したのには、ある秘密があった」という 謎を掛けていて、新入生の自己紹介シーンで「あなたはどうしてこの大学を?」 と聞かれて(秘密にしているので)絶句する。という絵もある。
     古ぼけたアパートに住み、隣人(一人住まいの女性)とちょっと仲良くなる エピソード、何を考えているのかよく分からない同級生の女の子に巻き込まれる ようにして「釣りクラブ」に入ってしまうなどの、普通の日常を送りながら、 彼女は自転車で街を訪ね歩き、ある本屋に通う。
     そこに何があるかが、彼女の秘密の答えだが、分かってしまえば「な〜んだ」 というささやかな秘密であるのがこの映画のキモであり、「青春だな」と共感して 許してしまうことが出来るか、「なんて地味な話だ」と愕然とするかは見る人の 好意の問題だろう。
     自分の18,9の年頃の感覚、若さ故の浮遊感覚を思い出すと懐かしさとともに 見ることが出来るが、普通に一本の映画として考えれば、この70分くらいの作品は 30分そこそこのエピソードにまとめて、そこから始まるドラマを一時間くらい見せ るだろう。
     だけど、この作品は違う。だからもの凄く退屈で変な作品でもあるし、青春の ふわふわ感を絶妙に表現しているとも言える。
  • 『アラビアのロレンス』鑑賞
     ピーター・オトゥールファンの友人が居て兼ねてから約束だったので。
     砂漠の描写は大画面ほど壮大で良い。ハイビジョンならもっと凄いだろうなあと 思うけど、DVDでも結構砂漠のサラサラ感は有る。
  • 『イングウェイのコンチェルト』鑑賞 ★
     お客様の持ち込みDVD
     去年妻の合唱団が共演した演奏会で、「エレキギターの早弾きの神様」と 呼ばれるイングウェイが、オーケストラとの協奏曲を書いてちょっとコーラスも 入る。
     本人が言うには、今までのプログレなんかでオケを使っていたバンドは、 オケを従えたロックだけれど、これは、オーケストラの音楽で正統派の協奏曲。 その独奏楽器がギターなんだという話。
     オケは「日フィル」で指揮者はポップス系の仕事もしている竹本とかいう人だが クラシック奏者の多くに見られる「ライブなノリの欠如」が感じられて、どことなく 重い。
     ロックミュージシャン同士の共演ならば、もっと疾走感が有るのではないかと思 うし、曲調もノリを要求しているようだ。同じロックとオケの同居でも、いわゆる プログレ系のそれなら「オケは重厚、荘厳」を求められていると思われ、 この曲はそれより、一体化してロックの方に踏み込むことを求められているよう だ。
     それはたぶん、答えられるクラシックミュージシャンが少なくて、理想の演奏 が出来る可能性がちょっと低そう。そこはちょっと脳内補完してあげたい。
     ただ、ギターに関しては本当に凄い。
     火花の飛び散るようなプレイであることは間違いなくて、びっくりした。
  • 『ハード・デイズ・ナイト』鑑賞 ★
     お客様の持ち込みDVD
     ビートルズのメンバーが電車で旅をするシーンに始まって、年寄り連中から ちょっと煙たがられたりという冒頭のシーンをいくらか見る。  私はビートルズ世代より下ということになるし、子供の頃は地方に住んでいたので 上の世代の人たちの熱狂も直接は知らないのだけれど、それでもビートルズは一つの スタンダードとして聞いてきたし、古楽好きの視点からイギリスの伝統音楽との 接点がしばしば感じられて、奥も深くいい音楽だと思う。大好き。
     この映画はほんの少しだけしか見なかったけれど、白黒の画面の中になんだか 生き生きした気分を感じた。
2002.5.5
  • GW9.あれこれレンタルしてみた。実は今日中に三本は見てしまうつもりだったが、 『スターウォーズ』の地上波放映なんか見てしまい予定が…(^^;
     吹き替えは概ね良好だが、ルークの声が軽すぎ、レイアの口調が姫と呼ばれるには ちょっとぎこちない感じがするなあと感じた。ハリソンフォードはたぶんいつもの人 なので一番しっくりくる。
     画面はTVサイズなのでワイドなLDより総画素数で倍近く多く、中央部だけで比較す ればさらに多い。走査線数で言えば倍密。だからいままで散々幾度も見ていたはずな のに「うわ、こんな事になっていたのか」と思うことが何度もあった。早くスクイーズ なDVDが発売されて欲しいし、出来ればハイビジョンソフトになって欲しい。
     ラストに『EPISODE 2』の予告編が放映される。
     録画して10回は見て、雰囲気は感じるが巧みにどんなストーリーかは分からない(^^;
  • 『悪いことしましょ』DVDレンタル
  • 『ザ・ウォッチャー』DVDレンタル
  • 『ミュージック・オブ・ハート』DVDレンタル
  • 『キス・オブ・ザ・ドラゴン』レンタル
  • 『ドリヴン』レンタル
  • 『四月物語』レンタル
2002.5.4
  • GW8.
  • 靴のこぼれ話
  • 『仮面の男』DVD鑑賞 ★
     ルイ14世物の勢いで鑑賞してしまった。
     これは他の作品(女優マルキーズ、王は踊る)と違ってアクション物なので比較の 対象としてはどうかとも思うが、舞台がフランスだろうがなんだろうがきっちり 「ハリウッド映画」にしか見えないのは不思議である。
     一つには画面に汚れがないことか。宮廷の屋外のシーンなど「人気のない観光地」 に見えてしまう。つまりはその通りなんだけれど、細かな部分がたぶん手抜きなんだ ろう、リアリティーというのは細部に宿る物だから。
     音楽も衣装もやはり米国の物だし、役者が英語をしゃべっていると言うことを抜き にしても、今の日本の若い娘が和服を着て時代劇を演ずるみたいな、借り物臭さが 抜けていない。
     ライティングと色温度の考え方も相当違う。
     室外でも室内でも、仮面の男はTV的なクッキリした色調で明るく、蝋燭の明かりで 照らされていたはずの夜と昼の屋外の差がないのは作り物くさい。
     まあそういう細かいことを問わないのは、スター映画だからなのかも知れないが。
2002.5.3
  • GW7.
  • ビデオリサーチ - 視聴率の仕組みが分かる
  • 黒澤明とその時代(BS2)
     東宝から黒澤DVD-BOXが出るという。所が大事な作品が入っていないような気がする。黒澤没後に放送されたNHKの特集を見返してみた。全作品は30作
    • 1943. 姿三四郎 (東宝)
    • 1944. 一番美しく (東宝)
    • 1945. 続姿三四郎 (東宝)
    • 1945. 虎の尾を踏む男達 (東宝)
    • ---- ここから戦後 ----
    • 1946. 我が青春に悔いなし (東宝)
    • 1947. 素晴らしき日曜日 (東宝)
    • 1948. 酔いどれ天使 (東宝)
    • 1949 静かなる決闘 (大映)
    • 1949. 野良犬 (新東宝)
    • 1950 醜聞(スキャンダル) (松竹)
    • 1950 羅生門 (大映)
    • 1951 白痴 (松竹)
    • 1952. 生きる (東宝)
    • 1954. 七人の侍 (東宝)
    • 1955. 生きものの記録 (東宝)
    • 1957. 蜘蛛の巣城 (東宝)
    • 1957. どん底 (東宝)
    • 1958. 隠し砦の三悪人 (東宝)
    • 1960. 悪い奴ほどよく眠る (黒澤プロ・東宝)
    • 1961. 用心棒 (黒澤プロ・東宝)
    • 1962. 椿三十郎 (黒澤プロ・東宝)
    • 1963. 天国と地獄 (黒澤プロ・東宝)
    • 1965. 赤ひげ (黒澤プロ・東宝)
    • 1970. どですかでん (四騎の会・東宝)
    • 1975. デルス・ウザーラ (モスフィルム・日本ヘラルド)
    • 1980. 影武者 (黒澤プロ・東宝)
    • 1985. 乱 (ヘラルド・他)
    • 1990 夢 (黒澤プロ)
    • 1991 八月の狂詩曲 (黒澤プロ)
    • 1993 まあだだよ (大映・電通・黒澤プロ)
     よく見ると、東宝って映画が苦しいときには、黒澤に映画を撮らせていない。 つまりお金を出す力がなかったのだなあと言う気がする。
     ちなみに情報によるとBOXで発売されるのは上で"."を付けたもの。
     大映、松竹、黒澤プロ作品は発売されない。
     引っかかったのは『羅生門』が大映作品だと言うところ。黒澤の最高傑作 はという質問をしたら、多くの人がこの作品か『七人の侍』かどちらかをあげるはず。
  • 『王は踊る』DVD鑑賞 ★☆ [鑑賞記]
     ルイ14世時代、国王のために3,000曲もの音楽を捧げたリュリ。彼の周囲に渦巻く 愛と陰謀を描く。
     ルイ14世時代、17世紀を描いた作品というと他に、
    • 『仮面の男』暴虐な若きルイ14世と4銃士
    • 『女優マルキーズ』ルイ14世の寵愛を得るほどのスターになった女優とモリエール のロマンス
     などを見たことがあるが、ルイ14世は長生きしたこともあって歴史上のエピソード に事欠かない(と妻が言っておる)。
     本作はルイ14世の少年時代から中年期まで幅広い時代にまたがり、宮廷作曲家として 雇われた若きリュリが死ぬまでのエピソードが「王権の権威と調和の象徴」としての 音楽とダンスを巡って繰り広げられる。
  • ルイ14世時代の映画は他にもある。『宮廷料理人ヴァテール』 『モリエール『アンジェリク〜はだしの女公爵』
2002.5.2
  • GW6.家具屋さん巡り。
  • 晴海に行ったついでに、埠頭に「ふじ丸」が居たので見物。
  • 妻と『ヴァンプショウ』鑑賞
2002.5.1
  • GW5.妻と『パッド・ニュース☆グッド・タイミング』DVD鑑賞

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!