2002.5.31
- 未見作品リスト消化月間の成果は、5月の一ヶ月間で36本だった。
さすがになんというか、必死だった(^^;
しかし、集中していろいろ見ると役者の面白さや、よく似た作品の
監督別の個性とか見えてきて面白いものだ。
- 『最終絶叫計画』鑑賞(DVDレンタル)
妻と再見。
- 『12モンキーズ』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
1995/米
監督:テリー・ギリアム(未来世紀ブラジル)
出演:ブルース・ウィリス,ブラッド・ピット,マデリーン・ストウ
未来の地球は、細菌兵器の汚染によって地上に人が住めなくなっている。
囚人であるブルース・ウィリスは、恩赦と引き換えにタイムマシンで「原因」
を調査する旅に送り出される。
裸で放り出され、未来のことを口走るウィリスは「精神病院」に収容されるが、
そこで狂った青年「ブラピ」に出会う。
タイムマシンには「有効期間」があり、ウィリスは収容された独房から突然
消えて未来に戻る。
再三にわたる時間旅行の末に、やがてブラピが過激派環境保護団体
「12モンキーズ」に関係することを突き止めるが、映画の登場人物と
観客は共に、精神病院の狂気と、どの時間軸が現実であるか幻惑された
狂気の中に、正気をすり減らし、全てに意味を見失いかけていく。
とにかく登場人物が「狂気」であるのは、観客にとっても大きなストレスだ。
何も信じられない気分の中に、チラチラと正気が見え隠れする。
過去へのタイムトラベルの中で「細菌に汚染された未来は決定済みである」
という前提が、暗くのしかかる絶望感であり、狂気であれ、正気であれ、
進まなければならない、強烈な動機でもある。
ウィリスが繰り返し夢に見るビジョンは、逃れられない時間旅行者のループ
を予感させる。
とにかく、最初に未来の結論を見せられ、「ラストが決まっている過去への旅」を
絶望的に眺めるのは
変な気分だ。そして、映画のラストには「決定済みの絶望」の中にも、もしかしたら未来
が変わるかもしれない「ささやかな希望」。
これは、映画を見ることの気持ちよさがカケラも無いくせに、それに耐えて見終えると
物語の巧みさに唸らされてしまうという、憎い作品である。
- 『アメリカン・ヒストリーX』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
1998/米,原題:"American History X"
監督 トニー・ケイ
脚本 デビッド・マッケンナ
出演 エドワード・ノートン(兄・デレク)
/ エドワード・ファーロング(弟・ダニー)T2のあの子役
Story:
三年前、ネオナチの闘士だった兄デレクは黒人車泥棒を撃ち殺し刑務所に入って
いたが、出所してくる。
弟のダニーはそんな兄を英雄視し兄の留守中にネオナチに参加。授業のレポート
でナチズム礼賛を書き、危険思想の持ち主として退学になりそうになる。
アメリカン・ヒストリーXとは、校長がそんなダニーのために始めた特別授業の
名前。最初の授業は、兄の投獄が自分と家庭にどんな影響を与えたのかをレポート
にすること。
帰宅した兄はかつての激しい黒人差別を捨てすっかり変わっていた。
とまどう弟にデレクは刑務所で起きたこと、これまでの人生で、何が自分を
人種差別に駆り立てていったのかを語り始める。そしてダニーは白人至上主義の
空虚さ、偽善性に気付かされ、この町で生きていくのに何が本当に必要なのかを悟る。
しかし、この待ちに満ちた人種の壁と憎しみは兄弟にとって悲劇的な現実を見せ付け
たのだった。
「胸にカギ十字の刺青を施して不敵に笑う兄デレクの肖像」は、実に狂気に満ちている。
いわゆる「プア・ホワイト」の有色人種に対する憎しみの裏返しの優越。この映画の
冒頭はそれを激しく見せ付ける。
黒人の車泥棒を射殺したことで逮捕されたデレクは、懲役三年の刑を勤める。
刑務所は当然荒くれどもの支配する世界だが、デレクはどこのグループにも属さずに
一人で突っ張っている。
洗濯係に指名されて明るい黒人青年と一緒に働くことになるが、黒人を蔑視している
彼は当然話もしない。だが、勝手にしゃべり続ける相棒は、
「自分は電気店からTVを盗んで懲役三年だ」と言い、デレクは驚く。
「警官に腕をつかまれた拍子に、持っていたTVが警官の足の上に落ちたんだ。」
それだけのことが警官に対する暴行と認定されて懲役三年以上。なのに、自分は
三人の黒人を撃ち、一人は銃で死に、一人は首の骨をへし折って殺して、それでも
たったの三年だ。法律までが黒人に激しい差別を加えている現実を始めて実感した
デレクは、それを境に自分の「白人至上主義」が、父や周囲の大人の主張、歴史的な
偏見をただ鵜呑みにして、自分の目で見ていなかったことに気がつく。
それからのデレクの心境の変化は劇的だ。刑務所で過ごす日々のあらゆることに
今までとは違う意味を見出し、事の本質に目を開いていく。
映画的に見れば、やや「とんとん拍子」にコトが運びすぎるような気もするが、
冒頭のデレクの「ゆがんだ世界観」に感じた嫌悪が、霧が晴れるように透き通り
すがすがしい気持ちになれる。
兄の言葉を真剣に聞いた弟は、白人至上主義の集団から足を洗うことを決め、
宿題のレポートをまとめる。
家族全員で穏やかな暮らしの再スタートを切ろうという、その日の朝、学校の
トイレで弟は敵対黒人グループの少年が持ち込んだ銃に倒れる。
現実の壁は、有った。
映画の手法として主人公を殺して終わるのは決して気持ちの良いものではない
が、この作品の場合は「ダニーの悲劇」が無かったら、都合の良い絵空事
の物語だという感想が残っただけかもしれない。
「これが現実だ」と叩き付けられた最後の悲劇と、兄弟が辿り着いた高い理想と
のギャップには、たぶんアメリカの
抱えている苦しみがそのまま託されているのだろう。
観客に示された、徹底した白人至上主義への嫌悪感から
理想と希望に浄化された開放感、そして苦い現実という激しい感情の起伏。
その映画的鮮やかさに対して作り物に対する警戒感を感じるスレスレの
起伏を演出しながら、結果的にはちゃんと説得力がある。しっかりした話だと思う。
同じような感情の起伏を持った『ペイ・フォワード』のラストの死は、絶対に
許しがたい「映画のテクニック」にしか見えないのに、本作では悲劇に現実味が
ある。
物語が必然的に悲劇の形をとるのと、「ここで主人公を殺せば、客を泣かせ
られるだろう」という商売っ気が透けて見える場合と、同じ死にこれほどの
違いが有ると、考えさせられる典型的な作品だった。
考えてみれば「有りそうな設定の、ありがちな展開」ではあるが、
それを細かなエピソードの積み重ねで真面目に丁寧に作っているのには好感が
持てる一本といっていいだろう。
2002.5.30
2002.5.29
- 『カルメン(1915)』DVD購入
無声映画時代の作品で、伴奏レコードを使っていた作品らしい。
ツタヤで半値で投売りされていたのを発見して確保。
- 『スターウォーズ4,5,6オリジナル版』のLDオークションにて購入
TVサイズで発売された最後のバージョンだと思う。音声はデジタル2ch
約10年前のディスクなので、数箇所絵が飛ぶシーンもあったが、ノイズはほとんど
なくて良い状態だと思う。
出来たらワイドスクリーン版も欲しいなぁ。黒いboxの。
今ではオークションで結構定価以上になっていることもあるようだ。
- 『スターウォーズ4(オリジナル版)』LD鑑賞
画面も懐かしいが、フォースが理力になっている字幕でびっくりした(笑)
見るとけっこう「なんだこれ〜」と思う翻訳が多くて笑える。特別編とはまるで
別物だ。
2002.5.28
- 『耳をすませば』DVD購入
- 『魔女の宅急便』DVD鑑賞 ★☆
LDを持っているので保留にしていたけれど、『耳をすませば』と一緒に買って
しまった。凄く名作とも思わないけれど、時々見たくなる作品ではある。
声優リストを見たらキキ◆高山みなみ/キルスティン・ダンストだって。
こんなところでスパイダーマンの彼女に会うとは。しかも、けっこうオリジナルの
キキの声のイメージに近い。
そこにいくと英語の黒猫ジジはフィル・ハートマンとかで、ちと分別くさいオヤジ声で
オリジナルのちょっと子供っぽい感じとは違うな。
日本語と比べると、英語版は台詞も増えているし、BGMも余分に使われている。しかも
別アレンジでムーディー。
日本語版は比べると、音楽の使い方の控えめさが目立ち「これぞワビサビ」と思うほど。
このDVDの英語字幕は日本語の直訳に近く、吹き替えはかなり作りこまれているのはどう
いう理由なのかわからないが、米国人の考え方を推測するのも面白いだろう。
オープニング/エンディングのキキのラジオから流れてくる歌謡曲は、英語の曲に
変わっている。これは米国のちょっと古い流行歌なのか?
「魔女」の話だけれど、原作は日本ではキリスト教系出版社から出ているし、
なんとなくそのへんウヤムヤになっている気がするが、さすがに作品中に十字架は出て
こない。ヨーロッパの古い町並みであれば当然町の中心であるはずの教会も、何だか
時計塔にすり変わっているし、絵の上でキリスト教とバッティングしないように気を
使っているのは分かる。
恐らく、この世界のどこでもない場所なんだろう。
とはいえ、森の中でアヴァンギャルドな絵を書いている絵描きのウルスラは、これは
キリスト教の聖人の名前らしい。
『魔女の宅急便』は「少女の成長物語」だが、『千と千尋の神隠し』と比較すると
キキは最初から「特技」を生かして自活するし、家を出たその日のうちに「魔女好き」
の奥さんの世話にはなるは、ボーイフレンドは出来るはで、仕事上のトラブルは
若干あるものの「並み以上にはできる娘が順調に成長する話」だなあと思う。
魔法が弱くなって悩み、人命救助でがんばる流れはサスペンスが盛り上がるけれど、
「魔法は血」だし、弱くなった原因も、戻った原因もウヤムヤなので、たぶん
「思春期に人生に対して感じる漠然とした不安の象徴」みたいな機能を担うという
以上の意味は無いのだろうな。魔法のことも、ウルスラが「描けないスランプ」に
悩むのと全く同じ扱いなのは、この作品の中では正しいことなのだろう。
●クオリティー
転送レートは高いが、圧縮がらみのノイズが散見され、どういうわけか、
プログレッシブ表示のランプが点灯しないシーンが多い。ちょっと不思議。
ただ、総合的にはLDよりずっと綺麗で色ズレもない。
- 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』鑑賞(DVDレンタル) ××
もの凄く良い話なのかも知れないけれど、全編手持ちカメラでズーム多用、それが
画面から顔がはみ出るくらいのドアップで、常にふらふらと手ぶれしているので
大画面だと吐き気がして5分と正視できない。
要するに「ホームビデオ風」を狙ったのかも知れないけれど、勘弁して欲しい。
なんだか、主人公も理不尽に死んでしまうようだし、こんなひどい画面で人の
不幸を見ても楽しくないだろう。
2002.5.27
2002.5.26
- 観劇『ストーンズ・イン・ヒズ・ポケッツ』(in 東京グローブ座)
脚本:マリー・ジョーンズ 演出:イアン・マッキルヒニー(オリジナル演出家)
出演:市村正親/勝村政信
2001年、ロンドン、ニューヨークで上演されると同時に大絶賛の嵐を浴び、数多くの演劇賞に輝く話題作。オリジナル演出家イアン・マッキルヒニーを迎えて、日本版初演!日本を代表する演技派&個性派俳優の市村正親と勝村政信が、登場人物・老若男女15役を二人だけで演じわける!これぞ舞台の醍醐味!燃える男二人の火花散る熱演バトル
<ストーリー>
舞台はアイルランドのひなびた農村。過疎でさびれたこの村で、ハリウッド・スター女優キャロライン(もちろん市村)を主役に起用した大メジャー映画のロケが行われる。うだつのあがらぬ男チャーリー(またまた市村)とジェイク(これは勝村)の二人も地元エキストラとして駆り出される。
そんな二人を取り巻くロケ現場は、ハリウッドチームのわがままが横行する滅茶苦茶ぶりだ。演技力ゼロの大スター、予算と段取りしか気にしない監督・助監督たち(全部市村と勝村)がパブで愚痴っているところに、キャロラインが入ってくる。ふとしたきっかけで彼女と知り合いになったジェイクは、誘惑されるまま彼女の部屋に向かうが・・・・・・。
なんだか、アイルランド付いているのか(^^;
舞台の上には、大小の箱と折りたたみ椅子二脚のみ。箱は衣装ケースになったりテーブルになったり
棺になったり、さまざまに使いまわされる。
役者は二名のみ。瞬時に別人に成り代わって15人を演じ分ける。まさに演劇的な手法の
極地で、映画のロケ隊と地元エキストラの確執や、彼らの夢を演じる。
チャーリー(市村)は、エキストラをやりながらスタッフに自分の脚本を読んでもらうチャンスを
伺っているが、友人ともどもそれがどうしようも無いクソ企画であることを感づいている。だが、
地元の生活に絶望したエキストラ希望のある青年の死(クスリをやっていることで役をもらえず
追い出された)をきっかけに、この映画のロケにまつわる
出来事こそ、自分たちのオリジナル脚本になると気付き、成功への確信に満ちた興奮のうちに
幕を閉じる。
映画の製作を演劇で語るという発想は面白い。
一人何役もの使い分けは、役者にとっても挑戦的で楽しいことだろう。市村氏の女優役には
結構笑ったが、基本は「ポーズと声色、口癖、衣服」で別人格を演じ分けているようだった。
つまりいつも自分の肩を抱いているのは女優、腰が曲がっているのは老人、ジャケットを斜に
着込んでいるのはヒネた青年、常に「皆さん聞いて下さい」という感じで切り出す助監督…
という具合に。
一瞬で別人格に入れ替わる面白さ。観客にも集中力を要求する。
常に「自然体」でしか演技の出来ないアイドル俳優は、こういう芝居を見て何か刺激を
受ければいいのにと思うくらい、これは興味深かった。
脚本は中盤まではなんだか地味。
アイルランドが舞台だと、地味で貧乏くさくなるのはもう、必然といってもいいだろう。
本当の意味で、ストーリーが活気を帯びるのは、一人の青年の自殺をきっかけに、
これこそ自分たちの映画の脚本に成ると、主役の二人が夢を膨らますラスト。
「華やかなハリウッドの虚像とアイルランドの貧困と若者たち」なんてストーリーは、
それこそイギリス映画の典型パターン。本当にそんな脚本がありそうだ。
ラストにいたるまでの憂鬱は、複雑な人間ドラマが興味深いが、たぶん二度目のほうが
理解が深まって楽しめるのかもしれない。一人複数役に対する興味と、ストーリー、同時に
消化するのは観客の経験も要するような。
ラストで気分は映画的に盛り上がるので、本当は映画的にカッコいいエンディングを
期待したかったが、そこはちょっと地味だった(^^;; エンディングというのは難しい
特に拍手を浴びたシーンは、二人のアイリッシュ・ダンス。
男踊りと、女踊りを使い分けて、何人もの男女が組になって踊っているような雰囲気を
上手く出していた。観客も去年あたりのブームでアイリッシュダンスを知っているから、
男女男女の踊りの交代で、複数の人数が入り乱れているさまを想像できる。数年前の日本
だったら、理解されなかっただろうなと思う。こっそり「アイリッシュダンスを見ておいて
よかった」と、小さな自己満足に浸れる(笑)
- 『ディープ・インパクト』鑑賞(DVDレンタル) ★☆
1998/米,原題:"Deep Impact"キツイ衝突
STAFF 監 督 :ミミ・レダー
脚 本 :マイケル・トルキン/ブルース・ジョエル・ルービン
製作総指揮 :S.スピルバーグ他
音 楽 :J.ホーナー
CAST
タナー :ロバート・デュバル,
ジェニー(TVキャスター):ティア・レオーニ,
リオ(彗星の第一発見者) :イライジャ・ウッド,
ロビン :バネッサ・レッドグレーブ,
ジェイスン :マキシミリアン・シェル,
ベック(大統領):モーガン・フリーマン
あ、イライジャ・ウッドだ。彗星を最初に発見する高校生役で。
なかなか利発そうではないですか。身長もちょっと小柄なくらい(当たり前)
だけれど、ホビットのメイクをしたほうがもっとカッコいいかな。
ハリウッド映画は何故かネタがかぶる。
何年か前には「噴火映画」が二つ公開されたが『ディープ・インパクト』には
『アルマゲドン』。どちらも地球に巨大隕石が落下して人類滅亡の危機、という
状況下の物語だが、世紀末、ノストラダムスの大予言をイメージしたら、
こんな作品が作られるのも無理からぬところ。
一説には「極端な秘密主義」のために、ある程度製作が進むまで、ネタがかぶっていても
お互いに知る術が無いのだともいうが…。
しかし、この二作品は同じテーマを扱っていても、目の付け所はずいぶん違う。
『アルマゲドン』の目指すところはアクションと浪花節だ。
ある日突然、大接近した小惑星を爆破するために掘削のプロであり、宇宙の度素人の
不死身の男、ブルースウィリスがNASAに呼び出され、若者を連れて宇宙に飛び出し、
地獄のような小惑星の表面で爆弾を埋めるが、リモコンが壊れて一人残って自爆する。
自己犠牲に涙の一方で若者とウィリスの娘の恋愛の成就。という話。
見所は、爆破チームのチームワーク、アクション、自己犠牲。だね。
『ディープ・インパクト』の見せ場は、もう絶対助からないと知った地球上
の人々の行動。
彗星は二年前に発見されるが、パニックを恐れて発表は伏せられ、その間に政府は
「彗星爆破計画」と「米国100万人に限定したノアの箱舟計画」と「核ミサイルによる迎撃作戦」
の三つの計画を遂行する。
およそ火星軌道上での「彗星爆破計画」は失敗。地球上では抽選に当たった100万人が
シェルターに避難するが、50歳以上で最初から対象外の人や、抽選に漏れた人、抽選に
当たったのに漏れた人との愛のために残る人etc.のドラマが展開する。
落下のカウントダウンの中で人は何をするのか、落下の瞬間人々は何を見て死んで
いくのか。あるいは生き残るのか。
さらに、「彗星爆破計画」のメンバーによる計画外の最後の捨て身の攻撃の浪花節つき。
科学考証は「どっちもどっち」という感じの低脳ぶりだが、『ディープ・インパクト』
が発見から衝突までのプロセスを技術的にも政治的にも「もっともらしく見せよう」
としているのに対して、『アルマゲドン』は、ヒーローを
ぶち上げるためには無理が通ると思っているフシがある(笑)
ドラマ的には「ほとんど不死身のブルースウィリス」にまともに感情移入できる人がいる
と思えない(そのために美人だけれど平凡なヒロインを用意した?)のに比べて、
『ディープ・インパクト』は、「選ばれなかった普通の人々」
を描いて、高校生の恋愛とか、長年別れわかれに暮らしてきた親子の愛の復活とか、
小さな子供を持つ親の情とか、身近に想像できる感情を描いている。
ただし、だから高尚か?…というと、所詮は素人でも思いつくようなお涙エピソードを
並べただけで、目新しい展開はどこにも無いとも言える。
「彗星発見、秘密にする政府、ロケットの派遣、爆破失敗、シェルターの抽選」、
という主要な要素は、ちょっと天文学に興味のある人なら誰でも一度は考えたことのある
ストーリーで、しかも、天文学的に当然そうなる。そして「残った人々の生き方、死に方」
の描写も、離婚した夫婦、新婚さん、母子、自立した子と親という代表的な人物を
それぞれハッピーエンドにしただけだから個性が無い。
地球滅亡という非常事態の中で、人間はもっと色々なドラマを繰り広げないか。
シェルターに潜り込もうと策謀する人々や、やけくそになって
快楽に走る人、金に物を言わす人、富がもはや助けにならないと絶望する人、
宗教に逃避する人、UFOを待つ人々、集団自殺、あるいは殺人、デモ、暴動etc.
ありとあらゆる追い詰められた人間のパターンを描くことが可能だろうに、この映画は
「戒厳令」の一言で皆おとなしく死を待っている。
こんなときに、警察活動で人は行儀良く死を待つだろうか。警官や軍人だって人の子、
シェルターに向かうバスの中で警官による殺人や身分証の偽造事件がおきても不思議は
ないし、シェルター警備軍に漏れた軍人が部隊単位で同時多発的に「軍事クーデター」を
起こしてすでにシェルターに避難済みの人間を皆殺しにして乗っ取ってもおかしくない。
抽選コンピュータへのハッキングや、オペレータへの賄賂もあるだろう。
だいたい、公平に抽選されたと誰がわかる、あなたなら納得するか?
政治家、芸術家、宗教家、あらゆる特権的にシェルターに入れる人々に対する内部告発
が起き、権威は引き摺り下ろされるだろう。
大津波に備えて、標高の低い国々から、内陸の高地を持った国に対する戦争も考えられる。
「人類滅亡」宣告された人たちが巻き起こす騒乱は、恐らく限りが無い。なのに、
この映画には個人的な愛を成就させたいと願う人しか出てこない。
所詮は「スピルバーグ/ミミ・レダー」の甘いおとぎ話かと思う。
結局、人間ドラマを描こうとして通り一遍の描写に終始した『ディープ・インパクト』
より、ばかばかしいけれどアクションで突き抜けた『アルマゲドン』
の方が、映画としては成功だったということで如何かな?
淀川さんのページ
くわしいストーリー
●科学考証
こんなページを見つけた
アルマゲドンとの比較ページ
この人は考証はアルマゲドンに軍配を上げているが、残念なことに映画館で一度見ただけ
なので、勘違いが見受けられる。ともあれ、順に確認しよう。
- 彗星の発見
高校生が天体観測会で偶然見つけることになっているが、確実に世界中の「コメットハンター」
と呼ばれる人々が先に見つけているだろう。超新星爆発なら偶然早い者勝ちで見つかる可能性も
あるが、じわじわと近寄ってくる彗星を肉眼で見つかる前にそれ専門で追っている人が見つけ
ないはずが無いからだ。
- 軌道要素の確定
連絡を受けた天文学者が望遠鏡をのぞいて、その場で軌道計算をしているが、何日もかけて
少しずつ動きを追わない限り軌道が分かるはずないし、それが地球に衝突するなんて精密な
計算はさらに時間が掛かるはず。
- 彗星は秘密に出来るか
発見と同時に専門誌/ネットに掲載され、軌道が確定する頃には大騒ぎ。
高校生が肉眼で発見した彗星は、発見者が黙っていても次々と大勢に見つかるはずだし。
そもそも、二年前に発表して、国家の生産能力のすべてをシェルター建設に投入すれば、
100万人なんてケチなことを言わずにもっと大勢が救えたのではないかという疑問もあり、
少なくとも津波に飲まれる沿岸の都市から高地への避難計画ぐらい出来たでしょう、当然。
- 彗星への到達方法
例のページでは「月を使って方向転換しないと彗星には行けない」とあるけれど、そうでもない。
なぜならば、『アルマゲドン』の小惑星は月の軌道の内側で迎撃する設定だが、本作では
作品中の「軌道を示すグラフィック」を見る限り、作戦ポイントはほとんど火星の軌道上に
あるように見える。
この場合は、ロケットは軌道をらせん状に回りこんで彗星の後ろから追いつくように
飛ぶ。地球から出発して地球に戻る楕円軌道が彗星と交わればいいのだから。
減速しなくても、太陽系の外から中心方向にロケットを飛ばすことはできる。彗星が
回っているのと同じように、ロケットだって太陽の引力に引かれて戻ってくるのだから。
- 燃料の問題
『アルマゲドン』は軌道上でシャトルに給油するという凄いことをやっているが、
こちらは、ロケットは軌道上で組み立て済みで、シャトルは乗り換えている。年単位で
余裕のあった『ディープ・インパクト』の方が無理が無さそうではある。
- 彗星とのランデブー
『アルマゲドン』は頭から小惑星に突入してボコボコ。あれじゃカーチェイスだし、
逆噴射するなら進行方向と逆を向かないと、エンジンは後ろにあるのだから。その点
本作はきわめてゆっくり確実に彗星に近づいていて、最後は着陸モジュールによる
着陸でまとも。
操縦士が「アポロ計画」の生き残りなのも泣かせる。
- 彗星表面でサンバイザーは必要か
参考ページで、こういう疑問がある。映画では、彗星の日向に出てしまった飛行士が
太陽の熱で顔面を火傷して失明する。
たぶん、彗星の氷が瞬間的に沸騰する描写から「湯沸かし器の何倍もの熱量」を
製作者が想像したに違いない。
でも、ほとんど真空だから物凄く低い温度でも水は沸騰するのね、氷が蒸発しても
火傷をするほどの温度まで上がっているわけではない。だからああは成らないはず。
- 核爆弾で彗星が割れるか
この話では直径20km。地下の水爆実験の縦坑の深さが如何ほどか知らないが、
本当に割れるのかな…。『アルマゲドン』だと直径400kmもあって絶対無理だと
思うのだけれど。
- なぜ核爆弾を半分残した
作品中、なぜか持って行ったすべての核弾頭を投入せず、為に二つに割れるが
粉々には出来ず、第二次攻撃で命を捨てることになる。何故最初から全部使わない?
どうせなら彗星を100回吹き飛ばしても余るほどの核をぶち込めばいいのに。
- なぜ十分離れないで爆破した
爆破すれば破片が飛ぶのは当たり前なのに、十分離れないで爆破したために
通信設備が故障。馬鹿です。
- 彗星をミサイル攻撃
戦争用の核ミサイルなんて、地球を半周するくらいの飛行能力しかないのに、
大気圏突入の何時間も前の位置の彗星にとどくはずが無い。
- 彗星が細かくなったらハッピーエンドか
映画では彗星を粉々にすることに成功しますが、燃え尽きたとしても、相当な量の
燃えカスが大気中に浮遊して、太陽が遮られる気がします。
また、どんなに細かく砕いたとしても、直径20kmの塊が均等に小さな破片になる
はずがありません。ビルほどもある塊がシャワーのように降り注いで、クレーター
だらけに成るのが現実的じゃないかと思います。
- 世界の死亡者は数百万人
大西洋の津波だけでこの数が発表されたのですが、そんなものでは済まない
ような…。時間的にほとんど逃げられないはずなので、数億になっても不思議は
ないような…。
2002.5.25
- 母の四十九日で帰省
始発〜最終の高速バスで日帰りだったが、朝五時起きで0時近くの帰宅。
さすがにきつかった。
- 南箕輪中学校の経ヶ岳強歩50周年記念の講演会があったそうな。
父が講師の女性アルピニストの*さんにサインをもらったと喜んでいた。普通は
サインをしない人なのでとてもレアなのだとか。
なぜレアなサインをもらえたのかというと、競歩大会はどこの学校でもあるが、
南箕輪中学校では村内の経ヶ岳、標高2296mの山頂目指して山登りするハード
な、超ハードな行事である。が、この行事を始めたのが
当時中学生だったうちの父なんだそうだ。
なんてきついことを発案したのだろう(^^;;
もっとも、こういうきついコースなので時間制で上れるところまで登って
タイムアウトしたら下山して良いことになっているのだが、お陰でうちの村の住人は
全員登山経験有りということになっている。
-
ハイキングの達人・経ヶ岳
2002.5.24
- 『魔女の宅急便』DVD購入
- 『耳をすませば』DVD購入
- 『007/オクトパシー』鑑賞(レンタル) ★
1983/英,原題:"Octopussy"
ロジャー・ムーアのボンド。オープニングのドキュンポーズは両手で銃を構え
腰を落とし重心が安定していて、ショーン・コネリーのボンドとは考え方の違いを
打ち出している感じ。
今度の敵は「狂ったロシアの将軍」。
軍縮時代だが、軍が弱体化して平和になるのを快く思わない彼は、サーカスの
列車の中に核爆弾を隠してヨーロッパの米軍基地内で爆破しようと目論む。
007出動の発端は、その資金源となるロシアの宝飾品の偽物のオークションに
潜入するところから始まる。
これを競り落とした人物がインドの富豪だったことから、主な活躍の舞台は
インド。トラや、蛇や、象や、インド観光が楽しめる。
アクション映画として、ロジャー・ムーアのボンドは成功している。
冒頭の小型ジェット機が格納庫の中を通り抜ける特撮はなかなか見事でつかみは
申し分ないし、インドの市街地でのカーチェイスは道路封鎖が不十分で無関係な人が
通りを通行する中での撮影という危険さなのに、仕上がりはコミカルさとシリアスとの
バランスがよく、ムーア本人の体の切れもよく、格闘も見られる。
今回のボンドガールは「オクトパシー」その人らしいのだが、女性だけの館なんて
ものが出て来て、真っ赤な装束の彼女たちが終盤忍者バリの集団アクションを見せるのも
面白い。…そのわりに、オクトパシーの年齢が高めで、飛びぬけて美しくもないというのが
弱いけれど。
ともあれ、ボンド映画全体の中では結構楽しめる作品でお勧めできる。
メイキング。先に書いた「インドの市街地でのカーチェイスは道路封鎖が
不十分で、一般人がスタントの車の間をすり抜けた」とか、
「列車の屋根の上のスタントで下見をしていない区間に突入してしまい、
スタントマンが電柱に激突して6ヶ月の重傷を負った」とか。こういう事故は完全に
スタッフの手落ちで、英国の安全感覚は怖い。
ジェット機の特撮で、上にジェット機の実物大模型を載せた車で倉庫を走り抜けたが、
その「車のブレーキが壊れていてあわや大惨事」というエピソードもこの作品にはある。
英国人のアクション作品はヤバイね。
香港映画だと、怪我をしてもあまり話題にならないかもしれないけれど(^^;
2002.5.23
- 『ソードフィッシュ』鑑賞(レンタル) ★
2001/米,原題"SWORDFISH"
監督:ドミニク・セナ(60セカンズ)、
プロデューサー:ジョエル・シルバー(マトリックス)
キャスト:ガブリエル・シアー(J.トラボルタ),スタンリー・ジョブソン(ヒュー・ジャックマン)
X-メンのウルヴァリン,ジンジャー(ハル・ベリー)X-メンのストーム
"SWORDFISH"とは「メカジキ」のこと。この映画の中の作戦名。わたしゃ「太刀魚」のことかと思ったよ、
そんなわけないか(笑)
ちなみに太刀魚は英語で
"hairtail = 髪の毛しっぽ,
scabbard fish = 刀の鞘魚,
cutlass fish = (そり身で幅広の)短剣 " だとか。
冒頭、いきなりトラボルタ(ガブリエル)がぶち上げる映画論が観客を引き付ける。
ところが、これが銀行強盗が警官相手に話していた、という設定なのだから「おぉ」という
インパクトがある。
映画の時間軸は4日前に戻り、この銀行強盗の片棒を担がされることになるハッカー、スタンリー
のスカウトシーンから描く。最近離婚して「娘に合わせてもらえない」裁判するにも金に困って
いる。という設定は「子供が病気」に代わって、このところのハリウッドのお気に入りか、
しばしば見かける気がする。
組織に引き込まれてみると、敵か見方かよく分からない女が居たりするのもよくあるが、
この映画のテーマは「ミスリード」、ついだまされるような仕掛けが沢山あるというのが
売りだそうだ。
仕事は「麻薬取締り局」が作戦の副産物として作り出した資産約100億ドルを盗むというもので、
ガブリエルはその資金で「テロリストを暗殺を目論む組織」の一員だった。
ここで突然話は「政治的メッセージ」を帯びる。
2001年公開映画だから、企画はWTCテロより先なのだろうけれど、この映画では
テロリストを殺すためなら、一般市民が巻き込まれても良い。一人二人死んでも仕方ない。
それが100人1,000人になったって何だって言うんだ、という狂信的なパワーで事を
進める危ない組織の話だ。
すべての出来事に二重性を持たせたこの話の中で、悪役もまた正義のために悪を辞さない
という論理なのだが、今の時代背景の中では単純に「お話」として見ることの出来ない
話になってしまった。
現にアメリカは「テロ撲滅」を口実に外国の民間人をがんがん巻き添えに殺しているし、
アメリカの意にかなった政府を作り上げているし、映画どころじゃない、この現実。
アクション映画としては面白いけれど、現実に圧倒されている。ご愁傷様である。
特撮は、『マトリックス』のマシンガンショットをさらに拡大して、爆発シーンを
屋外でぐる〜んと回り込んで撮ってしまうという凄いことをやっている。効果としては
CGIでも実現できそうって感じだし、爆発という不定形でどの角度から見ても均一に見える
ものを回り込んでいるので、規模のすごさの割りには『マトリックス』の時のインパクト
を超えては居ないと思うけれど。
トラボルタは「ヨーロッパスタイルの伊達男」という設定なのだそうだが、こんな奴いるか?
とのけぞるほど怪しい。髪型にヤギひげ、目も危ないしね。金持ちで権力もあるという雰囲気は
むんむんしているが。「怪優」を目指しているのかね、この人は。地球外文明
的といっても差し支えない怪さ。SF的風貌とも言えるが「戦隊モノ的」と言っても良いくらい
だ(^^;
ともあれ、テーマに対する引っかかりを除いてしまえば、つかみもバッチリだし、
つかみの映画的面白さが全体にまでは行き渡っていないとはいえ、
「お金をかけた分は十分楽しいアクション映画」といえる一本だった。
- 公式サイトBGMに注意
2002.5.22
2002.5.21
- 『生きない』鑑賞(レンタル) ★
脚本・主演:ダンカン
「沖縄初日の出バスツアー」が募集される。だが実態は、借金苦、子供が病気、後半年の命、
不倫。さまざまな理由をしょった人たちが、観光バスの転落事故による保険金詐欺を目論む
「自殺ツアー」だった。目的地は沖縄のとある崖。過去にも転落事故があり、
多額のは賞金の上積みも期待できる場所だった。
決行の朝、ツアーコンダクター(ダンカン)の前に予定に無い客が現れる。彼女は
叔父さんが旅行を止めたのでもったいないと勝手に参加してきたのだった。ツアコンは
一瞬悩むものの、彼女の運命と考えて参加を認める。
異常に暗い12人の客だったが、いつの間にか彼女の明るさに巻き込まれて、普通に
楽しい旅行のようになる。だが、後の無い彼らにとって引き返すことの出来ない旅という
事実は覆しようが無い。
…果てしなく暗い自殺ツアーの面々と何も知らない女の対比が面白い。
ツアコン自身が自殺希望者で、ダンカンの般若の面を崩したような表情がそこはかとなく
非情で不気味。不倫カップルの運転手とバスガイドの二人の控えめなラブラブぶりや、
会社をつぶした親父、病気を苦にする男などなど、それぞれに死にたい理由が目いっぱい
態度に表れた描写の細部に凝っているところがこの映画の面白いところだと思う。
ラストは何も知らずに参加してしまった元気女がこのまま巻き込まれて死んでしまう
のかどうかというサスペンスタッチの展開となるが、そこでも偶然と必然の入り混じった
絶妙な解決を提案している。
最悪だけれどたぶんハッピーエンド、そんな捻ったラストに唸らされた。
- SW字幕、戸田 or 林
そこはかとなくエピソード2待機モードに入ったので、隙(?)を見ては旧三部作のLDを見返している。
日本語字幕と同時に英語字幕を重ねて表示しながら見ているのだが、今回見た『ジェダイの復讐』
では「おや?」と思って一時停止して確認して「誤訳とも言いがたいがニュアンスが違う訳になって
いるんじゃないか」というところがずいぶんあった。
『エピソード1』の戸田訳で有名な「小惑星ナブー」の誤訳などから「2は林訳で」
という声も多いようだが、公開後何年もたって「理力」が「フォース」に変わったりという訳文見直しを潜り抜けた作品のLDの字幕でも、改めて考えたら「なんか違うな」という訳がたくさんある。
してみると、「戸田訳にきちんとSW用語の監修を付けた」というのと、同じくらいの
品質なのではないかという気がしてくる。
ノベライズの翻訳に関しては、SW用語の訳語の公式データベースを管理している会社があって、役者はそこの助けを得て仕事をしていると、あるノベライズの訳者後書きにあり、同じ事を字幕のために行えばいいだけのことである。これは映画会社の体制つくりの問題だから、誰が翻訳家になっても同じことだろう。しかも今回はすでに公開前にノベライズの翻訳済み
のものが出版されているので、すべての用語の訳語は確定しているはず。
批判活動をしている人は、もっと「配給会社の体制」に批判の重点を持っていったほうが良いのではないだろうか。
- 空から降る一億の星。TVガイド誌に
みんなの関心が「女子大生を殺したのは?」ってとこに集約されているのはちょっと幻滅するよね。
もっと人間関係、人を見てもらいたい・・・
というキムタクのコメントが載っていたそうだ。
いやぁ、役者がそれを言ってはおしまいだろう。人間関係が描けて居ない脚本、演出、
役者の皆さん方へたれのお陰で、人間関係に目が行かないのではないか。それに、
人間関係の面白さを描くなら、視聴者には遠まわしにでも事件の謎を解く鍵を
提供すべきではないかと思う。
脚本家はラブストーリーを意図し、プロデューサーはサスペンスを狙って脚本に手を
加えているという噂も聞く。そこがソモソモの間違いなのでは? ま、三谷幸喜の話で
聞いたように、ドラマの現場で脚本が切り貼りされるのは「あること」らしいが、
サスペンス物でそれをやったら辻褄が合わなくなって破綻する危険が大きすぎると思う
のだけれど。
2002.5.20
- 近所の「毎月20日は焼肉半額」という店「アリラン」で夕食。
半額といっても「肉のみ半額」なので、ビールやご飯物を頼むと3割引くらいの感覚か。
こういう時くらい「特上牛カルビ」とか頼めば一皿で1000円以上の特になると分かっていても
頼めない小市民ではある(笑)
普段より人が多いせいか若い店員の性能が悪く、時々おばちゃんの韓国語(?)の叱咤が
飛ぶ。さっと注文を取ってどんどん運んでこないと、儲からないよなぁ。しかも、周りの
20代の元気なテーブルに競り負けている気もする(^^;
当たりだと思ったのは「上タン塩」。冷凍ものらしいが厚切りでふんわりサックリという
歯ごたえで幸せ。狂牛病騒ぎ以来見かけることの少なくなった「レバサシ」は三種類のタレ
が選べるが定番のごま油で、非常に旨い。まったく血の香りがしないほど綺麗に処理されていて
ひたすらトロトロと濃厚な旨みが楽しめて感動した。
カルビとハラミも厚みがあって旨い部類。豚トロは下味の塩が強すぎた。韓国では
豚のほうが主流だとは言うけれど、国内の店ではまだまだ新参者で研究されていないのかも。
豚トロより豚バラを頼めばよかったかもしれない。
ご飯物として「石焼ビビンバ」と「辛い冷麺」を頼んだ。石焼は、どこの店に行っても
頼んでいるけれど、旨い。上の部類に入ると思う。石がしっかり焼いてあって
ほどよいおこげが出来るのが正しい。別添えの辛味噌は結構辛かった。
で冷麺のほうは、危険なくらい辛かった(笑)
スープは別添えで、どうもこれで溶いて辛さを調節するような感じなのだが、
とにかくひたすら真っ赤で、こんなに辛いのに旨みを感じるのは不思議。翌日お尻で
二度おいしい予感(笑)
二人でビール二本、ご飯物も取って苦しいほど食べて6000円台。料理の出が遅い
ことを除けばお勧めできる店だ。
ところでこの「アリラン」、ガスの無煙ロースター使用だが、なんだかちっとも
無煙じゃなくて、店を出てから匂いにびっくり。最初からいかにも煙もくもくなら
覚悟するんだけどね(^^;
- 自宅で焼肉するときには「豚トロ」が流行る前から豚、主にバラ肉を愛用していた
のだけれど、牛は焼肉屋にかなわないことが多いのに対して豚は自宅でも結構うまい
気がする。
2002.5.19
- 『13デイズ』鑑賞(レンタル) ★
2000/米,原題:"Thirteen Days"
出演 ケビン・コスナー / ブルース・グリーンウッド / スティブン・カルプ / ディラン・ベイカー / ルシンダ・ジェニー / ビル・スミトロビッチ / ケイトリン・ワックス / ピーター・ホワイト
1962年10月16日。11月の中間選挙対策に追われるケニーの前に、国家安全保障問題担当・特別補佐官
マクジョージ・バンディが深刻な顔で現れる。二日前、偵察機がキューバ上空から撮影した写真に弾道
ミサイルが確認されたのだ。
空爆を主張するマックスウェル・テイラー統合参謀本部議長、ロバート・マクナマラ国防長官。
しかし、第三次世界大戦の引き金を引くことは避けたい大統領は、弟のボビーこと
ロバート・ケネディ司法長官と親友のケニー(大統領特別補佐官)と相談する。
キューバ侵攻も辞さない軍部からなんとか「海上封鎖」を取り付けるが、ミサイル発射準備が
整うまでに、ソビエトに対して撤収の約束を取り付けないと世界の軍事バランスが崩れる。
18日。空爆を迫る軍部を退けた大統領は、国連総会のため訪米したソ連外相グロムイコと
会談するが、外相はミサイルの存在を否定する従来の主張を繰り返す。
20日。トルコに配備されているミサイルの撤去を取引材料にする宥和案がスチーブンソン
国連大使から出されるが、大統領はこの案を見送る。
22日。海上封鎖実施を発表。
24日。海上封鎖発動。大統領とボビーは宥和案をマスコミにながし、世論の反応を探る事にする。
25日。新聞を見て驚いたバンディがケニーのもとを訪れ、ケネディ兄弟の弱腰を批判。
スチーブンソンはケニーの期待に応え、ミサイル存在の証拠写真を突き付けるという強い態度でソ連大使に迫り、ソ連の不当さを印象づける事に成功する。
26日。ケニーはABCの記者から、KGBのエージェントが「米国がキューバに侵攻しない確約をすればキューバのミサイルを撤去するという」妥協案を伝えてきたという情報を得る。
27日未明。この打診を裏付けるようなフルシチョフ首相の電文が届き、事態は解決に向かい始めたかに見えた。だがその後、トルコにおけるNATO軍のミサイル撤去を求める第二の電文が届き、一同は困惑する……。
歴史的な正確さはわからないが、映画は「アメリカ」から見たこの危機の政治の舞台裏を描く。
「ソビエト」の出方がわからない、というシチュエーションは、リアルタイムでの当事者感覚を
引き出すのに成功している。
「何とかして出動したい」とはやる軍部のお偉方の姿と、そんなことをしたら全面核戦争だと
恐れる政治家のパワーゲームが、ソビエトとの駆け引き以上に克明に描かれるが、海上封鎖が
スタートした後で見せる将軍たちの緊迫したやりとりで、「ただの戦争馬鹿じゃないんだよ」
というポーズも見せている。
知恵と勇気で第三次世界大戦の危機を乗り越えた若き政治家の物語。
今を生活していると、2000年のアメリカがこういう映画を作ったことに驚くし、
この先ずっとこういう視点の映画は作られないであろうことに暗い気持ちにもなる。
絶対負けない戦力を持ったアメリカが世界に兵隊を送り込む。テロリストと共に無垢の
市民を大量に巻き込む。しかし、アメリカの傲慢な国際政治のある限りテロは無くならない。
アメリカの市民も傷つく。報復で第三世界も傷つく。
『13デイズ』を見て、戦争回避に全力を尽くす政治家に感動しても、もはや
そんな政治家はアメリカには居ない、という現実。まさに、映画は現実の前では
霞むということだ。
- 『ロードオブザリング指輪物語(バクシ版)』鑑賞(レンタルDVD) ☆
1979年 アニメ 監督:ラルフ・バクシ
たぶん純粋にアニメ映画としての評価だけだと×〜××クラスの作品でその傾向は
特に後半ほど強い。だが、原作を読んでPJ版『ロード・オブ・ザ・リング』を見た人が
マニア的興味で見ると、☆ひとつは出してもいいかなと…(^^;;
ストーリーは原作三部作の第二部真ん中まで。ということは、当初は二部構成の
続き物を作ろうとしていたのではなかろうか。脚本の分量としては、PJ版のほぼ
倍の速度(半分の密度)で話が進む見当だ。
技術的には、実写フィルムをトレースしたり、実写をゼロックスして荒らしたような
技法や、実写のシルエット(影絵)を使ったりと、古いディズニーの実験的作品のような
テイストがあって、商業作品たるべき完成度が感じられない。
実写から起こした輪郭先がぎこちなく動くのがゾンビ的に気持ち悪くて、その不気味
さが「モルドール・テイスト」と言えなくもないが、正義の味方までみんな気持ち悪いから
辛いこと限りなし。
キャラクター・デザインに魅力がないのも辛い。
ホビットがオヤジくさいのはまだ我慢するとして、馳夫は「肉体労働者風」だし、
ボロミアはバイキング風角突き兜をかぶってハナから悪人顔だし、
エルフ族は「どこが美しい人」だろう?と悩むようなものだし、ドワーフたちとの身長の
書き方が曖昧だったり、魔法使いがただのジジイにしか見えなかったり、とにかく
絵の魅力がない。
それでも第一部は色々とイベントが多いし、PJ版との脳内変換も効くのでなんとか
見られたが、話が第二部に突入するとひたすら団体での戦闘シーンが多く、暗い画面が
ぐちゃぐちゃ動き、音声は「阿鼻叫喚」で、地獄のプロモーションビデオを見せられて
いるよう。赤い画用紙にゼロックスした紙芝居のようなザラザラした画面が延々と続く
のはほとんど拷問である。
幾らなんでも製作側もこれは相当に破綻していたのではないかと推測される
出来栄えであって、エヴァンゲリオンの最終話付近の予告編を髣髴させる荒れ果て振り
なのである。
2002.5.18
2002.5.17
2002.5.16
- 『007/ダイヤモンドは永遠に』鑑賞(DVDレンタル) ×
金返せと叫びだしはしないけれど、007シリーズとして無くてもいい作品だなあ、これは。
というのが率直な感想。
1971年、前作の『女王陛下の007』がコケて建て直しのために「もう一度だけ」
という約束で、ショーンコネリーが演じた最後の007という。
「各地で盗まれたダイヤが市場にも出回らずに行方不明になっている。戦争が終わって
平和になったのだから、君もこれからはこういう地味で堅実な仕事をこなして行かなけ
ればならん。」
なんちゃって、ボンド君はダイヤ探しに派遣されるのだが、上司が「地味で堅実な…」
というだけあって、マジで地味な仕事が延々続く。人は次々と殺されるけれど
こっそり地味に。いったい何時派手なアクションが展開されるのだろうかと思って
みていたら最後まで地味でまったりしたまま。どういうことかねこれは…。
ボンドはダイヤモンドを密かに収集するグループと早々に接触するのだが、
取ったり取られたりの競り合いの中でやたら何度も敵に捕まり、殴られたり
ガスを食らったりしながら意識喪失するのに、敵がぜんぜん止めを刺さないのが
笑う。敵がカス。
敵の目的は「軌道上にダイアモンドを使った強力なレーザー兵器を上げて各国の
核兵器を破壊し、身代金を要求する」というもの。
敵の親分にもボンドは何回も遭遇するが、そのたびに手ぬるくケリをつけようとしない。
敵の首領は、整形手術で影武者を用意しているのだが、その影武者がそれぞれ
ダイヤの首輪をした白猫を抱いている。『オースティンパワーズ』なら違和感無い
けど、本家で見ると一段とマヌケ(^^;;
窓から女が投げ出されると下がプールで無事、というオチが二度も出てきたのも泣ける
首領の住処はラスベガスのカジノ・ホテルのペントハウスだが、作戦の最後、
衛星の指揮を取るために、「海上油田」に偽装した基地に行く。
これが、機関銃以外の武装が無いために、発見した米軍ヘリの群れにコテンパン
にされる。情けない。
そして、最初から最後までショーンコネリーを含む乱闘シーンのアクションに
まったく切れが無くてほとんどスローモーションのごとくヨタヨタしている。
八百長プロレスみたいと言ってもいいかな。
メイキングを見ると「ショーンコネリーは振り付けを覚えないんだよ。だから
時々本当にパンチがあたることもあるんだけれど、彼は怒らないね」という
証言があり、つまり、振り付けを覚えないがために、当たっても怪我をしない程度の
ぬるいアクションしか出来なかった。というのが真相じゃないかと思う。
これじゃあ…
まことに脚本もアクションもぬるい、惰性の007であった。むしろ
『オースティンパワーズ』のモトネタとして見る方が楽しめる。
唯一個性的なのは、ラストでボンドガールが007とマッタリしながら、セックスは
しないというところ。つまり「ボンドはダイヤモンドの魅力に負けた」わけだ(笑)
- マンションのビオトープに最近急激に生き物が増えている。隣の江戸川で釣った魚を
放流している人が複数いるらしい。このままだとすぐに限界がくるのでは?
と思っていたら、網を持ってビオトープの魚を取る小学生の群れを発見。コラコラ。
自然界の天敵は、小学生だった(^^;;
2002.5.15
2002.5.14
- 『ギルバート・グレイプ』鑑賞(DVDレンタル) ☆
原題:What's Eating Gilbert Grape
キャスト:ギルバート(ジョニーデップ)、アニー(ディカプリオ)
- 公式(ASMIC-ACE)
ディカプリオの業績を語るときに必ず出てくるこの作品。
一度見ておこうかというわけで借りてみた。
アイオワ州エンドーラ………
ひとつ屋根の下で暮らすグレイプ家に愛と奇蹟が訪れる。
という名作風のコピーに「癒し系」を感じるが、中身を見て「うへ〜」としり込みする。
主人公ギルバートはアイオワ州エンドーラ(見渡す限り畑の続く何も無い町)から生まれてこの方
24年間出たことがない。家族の面倒を見なければならないからだ。
18歳の弟は頭が弱くて大きな三歳児くらい手間がかかるし、父親は自宅で首吊り自殺しており、
夫亡きあと過食症を病む250kgの母親、2人の姉妹、一人はわがまま盛り…の面倒を見無ければ
ならない。まさに青春どん底だ。
それでも彼はそれが自分の運命と受け入れ、弟がどんなに迷惑をかけても一途に守り、
ママの世話を焼き、妹のわがままに怒ってもぐっとこらえて生きている。
小さな町は暮らしにくいことも多い。陸に打ち上げられた鯨のような母親は
近所の子供たちの好奇心の的だし、勤め先の小さなスーパーは大型店に客をとられて
潰れそう。子持ちのマダムは退屈な夫への不満の捌け口をギルバートに求めて、旦那との
間で危機一髪。それなのに、ママの体重で抜けそうな床の補強もやらないと暮らせない。
はっきり言って、「どうにもならない不幸」にビッシリ取り付かれたこの生活。
見ているだけでイライラする。「愛」というよりは「家族の責任」物語。
そこに外の世界からの闖入者がやってくる。
トレーラーハウスで全米を放浪して歩く、ベッキーとその祖母。彼女らは旅の途中で
車が故障してしばらくこの町に留まることになったのだ。
人妻不倫vs旅の香りのする少女。当然ギルバートは少女に惹かれるね。
彼女は弟にも優しく接してくれる天使のような女性。
でも、
ギルバートは街を出ることはできない定め。どうにもならない。
彼女のいる幾日かの間にも弟の警察騒動とか、人妻の夫の変死事件や、いろいろな事が
おきるが終に車も治り彼女の旅の再開の日が来て、ギルバートの日常が戻ってくる。
と、思いきや、太りすぎでお母さんが死んでしまう。
二階のベッドで死んだ母親を誰も担ぎ出すことができず、クレーン車を呼んで母を
笑いものにするくらいなら…と、兄弟は悲しい思い出がぎっしり詰まった家を丸ごと
燃やしてしまう。
そして、一年後、ギルバートは弟を連れて、ベッキーと旅立ち、妹はそれぞれの
道を行く。
この街から抜け出せてハッピーエンドのようには見えるが、実は「母親が死んで
お荷物が無くなった」というのが最大のポイントで、なんか釈然としない。だいたい
トレーラーハウスで放浪の旅をしている人たちって、どうやって食っているのだ。
という不信もある。ばあちゃんの年金か?
とにかく町を出たい。それはわかるが、でも、どうするのだろう。田舎のスーパー
だから障害児の弟を連れて出勤しても仕事はできたけれど、都会ではそれは難しかろう。
行った先にも苦労ばかりあると思うとかわいそうだが、映画的にぼかしているのは
「キレイゴト」のような気もする。
ちなみに、ギルバート役のジョニー・デップはなかなか好感の持てる芝居。
注目のディカプリオは、94年のこの作品時点ではなんと20歳。
18歳の精神障害児を演ずるのだから、せいぜい15,6歳なのかなと思っていたので
意表を疲れたのだが、この幼さは驚きである。たった三年後のタイタニックでは
そこそこの「青年」をやっているので演技がすごいのかとも思うが、今見ることが
できる『ギャング・オブ・ニューヨーク』の予告編では無理して老けメーク
して辛いようにも見える。
どっちにしても、役柄は大半が「うえ、あえ」と言ってぐにゃぐにゃしている
だけなので、これで役者としてどうなのか、演技がどうなのかはよくわからない。
巨大なママは、特殊メークかと思いきや、ダーレーン・ケイツという、びっくり人間
の生身だそう。マジですごい形をしている。
映画の中でもソファに座りっぱなしでほとんど動かず、数箇所懸命に動くシーンが
感動シーンになっているのだから、本物の迫力は凄い。
解説には「公開後に“今年度最も心を打つ映画”と称賛され、ハートフルな愛の物語の傑作と評された。」とあるのだけれど、こういう異常な
シチュエーションでの物語というのは、一般的な批評を拒むオーラが出ていて
やりきれないと思う。
とにかくきつい話だ。
- 『スパイダーマン』のノベライズ本を見つけたので買ってしまった。
感情の描写が映画よりさらに多くて結構補完された。
ボリューム的にも「スパイダーマンの誕生過程の葛藤」について映画以上の
比重をかけている。もちろん、アクションシーンの描写は映画のほうがお得意
には違いないけれど。
スパイダーマン原作の情報がある
2002.5.13
- ホビットの茸料理
妻と夕食の買い物に出かけて、ふと思いついて「今日のテーマはホビット料理にしよう」
と提案してみる。とりあえず「キノコ料理」というだけのことなのだが、なるべく、ホビット
の食文化を想像してみる。
キノコはブラウンマッシュルーム、シメジ、白舞茸、etc.ベーコンは基本で、ジャガイモ
も入ってボリューム感を出してみるという基本線を話し合って、細部は妻にお任せ。
結構うまいものが出来上がって大満足。
それにしても、ビルボの家にはずいぶんたくさんのご馳走があったはず。ご馳走が大好きな
ホビットのことだから、食卓のバラエティーは凄いはずなので、早くDVDがでて食卓を
詳細に観察してみたいものである。
- 空から降る一億の星5
げげげ〜、キムタクと深津がキスしちゃったよ。ということは兄弟ではなくて幼馴染なのかな。
柴咲がさんまちゃんの優しさに心を開き「秘密を明かす」とか、お嬢様がライフルで誰かを撃つ
(かも知れない)とか、次週に送られた話もたくさん。
思ったとおり毎週のように「○○と見せかけて××」という展開の連続だが、そろそろ
「やっぱり△△」だな、という拠り所もほしい。推理に必要な重要なピースが最終回に出てきて
大どんでん返しというのは止めてほしいからね。
八嶋さんが来週深津に振られるらしいが、だからといってこれから本筋に一切絡まないで
居なくなってしまうというのも反則だと思うし、八百屋のチンピラ息子も今まであれだけ
出番が多くていつの間にかいなくなるのはどうかと思う。頼むぞ脚本。
2002.5.12
ポスターフレームを買ってきて、『スパイダーマン』のポスターと、
『スターウォーズ・エピソード1』のダース・ベイダーの影を落とすアナキンの
ポスターを飾る。
二枚とも、高さはいわゆる「全紙」サイズの900mmだが、幅が微妙に大きくて「全紙」
の枠に入らない、しかしこれより大きいフレームはB1で完全に一回り大きく、あまりが
大きすぎる。困ったものだ。
ともあれ玄関に飾ったので今日からうちに帰ると「アナキンがお迎え」である。
妻もダメとは言わなかったぞ(笑)
でもリビングに飾った『スパイダーマン』は、「えぇ…」と言われたが…(^^;;
- 『あの頃ペニーレインと』DVDレンタル・鑑賞 ★☆
公式ページ
1973年、たった15歳でローリングストーン誌のライターとしてデビューした少年がいた。厳格な母親に育てられ、セックスもドラッグも知らない優等生。その上、ロック・ジャーナリズムになんのコネクションも持たない少年が、一体どうやって成功を収めたのか?
監督/脚本のキャメロン・クロウの半自伝的映画だそうだが、才能のある人の少年時代は
われわれの青春とは一味違うものである。たとえば、自分の青春時代も「それなり」に熱くドラマティック
だったなあと密かに思ったりするのだが、人に語るような物ではないし。…いや、もしかすると
誰にでもドラマはあって「語る才能」のある奴が世の中に出てくるだけなのかもしれないけれど。
まさに、そんな「語る才能」で若くしてマスコミの世界にデビューしたのがこの映画の主人公、
ウィリアムだ。
あまりにも厳格な母に絶えられずに18でスチュワーデスを目指して家を出た姉の、弟への
贈り物がロックのレコード。弁護士を目指して勉強していた弟ウィリアムはロックの世界に
興味を持ち地元新聞や雑誌に批評記事を投稿し注目される存在になる。
彼の才能を認め応援してくれたライター、レスター・バンクス
は「残念ながらロックはもう終わりだ」という。
1970年代といえば、私の少年時代でもある。70年代はちょうど小学生〜中学生。ラジオでは
歌謡曲に混ざって洋楽も少しは聴くことができたが、FMをつければ「母の内職の友」だった
歌謡曲とはぜんぜん似ていないロックンロールが聴けて、しかしあっという間に洋楽シーンは
変転し「耳当たりの良い踊れる曲」に移り変わっていくのを体験していた。
なにしろ、初めて買ってもらったラジカセで最初にエアチェックした曲が「ソウル・ドラキュラ」
だったのだから、曲は格好よかったけれどどうも軽い。「サンフラワー'??(年号だった気がする)」
というのも愛聴。ビートルズなんかすでに伝説化していて、ベイシティーローラーズが大流行、
nackのマイシャローナが一発ヒットして、世界中の音楽プロモーターが地方都市のバンドを
発掘して回っていたのもこの頃。
たぶん歌謡曲もこの時代に「自作自演」「シンガー・ソングライター」「ニュー・ミュージック」
の変遷過程だったし、ピンクレディーブームも、キャンディーズの伝説の解散コンサートもあった。
いっぽう、シンセサイザーがまだ無い時代に、クラシック(現代音楽)の世界では、電子音楽、
ミュージック・コンクレートが流行って雑音の中で電子音が金切り声をあげていたのが、瞬く間に
ロックミュージックに取り込まれていったのもこの頃。(現代音楽、それも電子の金切り声を聞いて
いる小学生もかなり変だが、日曜の晩のFMはそれしかなかったのだからしょうがない)
本当に、音楽シーンは激動していた。
そう思うと、80年代にサンプリングとシーケンサーが登場してテクノがやってきて、
去って行った後は、ダンスミュージックとラップだけ、今やどれもこれも似たようなサウンド
ばかりで後の世に残る人がいるような気がしない。
閑話休題。ともあれ、それは熱い時代だった。
ロックが「反逆の象徴」から「商業音楽」に成り代わって行こうとするその世界を
描くこの作品の雰囲気は、だからとても懐かしい。
登場するバンドメンバーの発言の一つ一つがロックの時代に乗り遅れた私の世代に憧れを
はらんでいる。その世界に「まっさらなファン」として飛び込んで行くウィリアムは、
この映画の観客の気持ちを代弁するような存在。ロックだった時代の再現がこの映画だ。
原題の"ALMOST FAMOUS"(有名直前)も、ロックな精神を誇り高く歌っているようだ。
邦題はなんでか「あの頃ペニーレインと」まるで私小説。なんとなく「四畳半フォーク」
のごときウェットで地味な文芸映画のタイトルである。たぶんその世代の人が命名した
のだろうが(^^;
確かに、「私はグルーピーではない、音楽を愛するバンドエイドよ」と宣言する
謎の美少女ペニーレイン(ケイト・ハドソン)は重要な存在、時代を映す鏡のひとつではある。
女優としてその美しい存在感は記憶しておくべきだ。彼女が切ない笑顔をすると、胸が
締め付けられる。
でも、この映画はロック映画。恋愛映画の体裁を借りた「あの頃のロック」映画なんだよね。
Music...
"America" Simon & Garfunkel
"Sparks" The Who
"It Wouldn't Have Made Any Difference" Todd Rundgren
"I've Seen All Good People:Your Move" Yes
"Feel Flows" The Beach Boys
"Fever Dog" Stillwater
"Every Picture Tells A Story" Rod Stewart
"Mr. Farmer" The Seeds
"One Way Out" The Allman Brothers Band
"Simple Man" Lynyrd Skynyrd
"That's The Way" Led Zeppelin
"Tiny Dancer" Elton John
"Lucky Trumble" Nancy Wilson
"I'm Waiting For The Man" David Bowie
"The Wind" Cat Stevens
"Slip Away" Clarence Catter
"Something In The Air" Thunderclap Newman
使われた音楽は、みな当時を代表するバンドの曲だが肝心の"Stillwater"の名前に
心当たりが無いあたり、さすが、映画に使われるだけのことはある。つまり、有名すぎると
映画にしにくいってことね(^^;;
- 『ザ・ウォッチャー』鑑賞(DVDレンタル) ★
「こんどのキアヌ・リーブスは助けてくれない」とかいうTV-CMが頭にこびりついている。
これ『マトリックス』を意識した文句だと思うけど。
連続殺人犯(キアヌ)が以前の街での事件で心を病んだFBI捜査官を追ってやってくる。
犯人は事件を起こし彼に捜査されることだけを望んで犯行を繰り返す。そして、
殺人予告は一枚の写真。夜の九時までに送られた写真の女性を保護しないと殺されてしまう。
しかし、女性たちは大都会で孤独に暮らしている人ばかりで、TVで大々的に尋ね人広告を
連打してもなかなか捕まらない。そして、ぎりぎり手遅れになるという形で次々と犯行が
繰り返される。
…とにかく長髪のキアヌが「つかみ所の無い不気味な殺人ヲタク」という役柄に
ぴったりで「薄気味悪い」。一見普通の人で、でも狂っているというのがミソ。
でも、作中のFBI捜査官が
「いまアメリカ中に何人のシリアルキラーがいると思う?
お前を捕まえたら別の犯人をまた追うだけだ、お前なんか特別な存在じゃない」
…と言うとおり、彼が特別物凄く歴史的に特異な犯罪を犯しているとは見えず、
大勢いるシリアルキラーの一人という感じではある。
もちろん、映画としてはそれは物足りないのだが…。
批評ページ
2002.5.11
- 『スパイダーマン』鑑賞(VC市川#1) ★★★
[鑑賞記]
私はこの映画で三回泣いた。
「ヒーローはなぜ戦うのか」その答えをこれだけはっきりと掲げた話も少ない
だろう。今年一番の感動作、今のところ。…スターウォーズが抜く予定なので(^^;;
2002.5.10
2002.5.9
- 『キス・オブ・ザ・ドラゴン』鑑賞 ★☆
麻薬取引の捜査協力でフランスを訪れた中国人捜査官(JET.リー)が罠にはめ
られる。実は麻薬取締官こそが仲買人だったのだ。…というのは、どこかで見た
ような設定。
リーは証拠のビデオを手に中国人街に逃げ込み上司と連絡を取るが、接触現場
を襲われ、上司は殺されビデオを奪われる。
だが偶然、麻薬取締官に娘を拉致され無理やり働かされていた娼婦と知り合い、
彼女が犯行現場を目撃していたことを知る。
リーは娘を救うことを条件に、彼女と反撃に移るが…。
という話。
ストーリーの流れはシンプルで、冒頭の「こいつが黒幕か!」というの以外
変なひねりも無くがんがん進む。ヒロインが子連れの娼婦というのが唯一の
ひねりで、安易なヒーローとのロマンスを避けている。リーがウルトラ真面目な
エリート捜査官で、色気方面にはまったく弱いという設定と上手く馴染むし、
俳優本人のキャラクターが「イケイケ」では無いので、正解だと思う。
ハリウッド映画に対するフランス映画のひねりかも知れない。
ともあれ、過度なひねりもロマンスも排して、映画はひたすら「アクション」の
一本柱を貫く。
リーは中国警察最高のエリートで何一つ弱点が無いというヒーローだが、
敵の麻薬捜査官とその一味も、前半の激しい銃撃戦から後半のカンフー対決
まで、リーの技が存分に楽しめる。
何より「ワイヤーアクション」を使わない絵がこんなに爽快だとは、改めて
感動。ハリウッドのワイヤー多用アクションはあくまで"SFX"だし、香港映画の
ような「それが許される劇的空間」でもなく、銃vs超能力に見える。
ところが、本作はあくまで生身のアクションに見えるように撮っているから
観客にも力が入る。当たった時の痛さも違う。技の切れ、スピードも違う。
考えてみれば、地に足が着いていれば瞬時に全方向に対応できるが、吊って
しまうと振り子のように揺れるしかない。動きの大きさと機敏さは反比例する。
登場人物が超能力者で無いのなら、跳躍力をサポートするぐらいの使い方が
適当に思え、日本のトランポリンはその点優れていると思う。
カンフー映画としては「針」が必殺技として使われるのも珍しい。
針は敵を倒すにも、見方を癒すのにも使われ、いかにも東洋テイストで、
日本人なら「必殺」や「北斗の拳」を思い出すだろう。
この映画の演出でかっこいいのは、ガラス入りパーティションをバリバリ
壊しながら戦うところ。
銃なら、煙や炎が上がるところ、肉弾戦+ガラスの飛散で上手く盛り上げて
いる。狭く区切られた空間故、突然攻撃を受けるスリルもある。
ともあれ、ストーリーの単純さを「弱い」と指摘する人はいるかもしれないが
ジェット・リーの最近のアクションに物足りない思いを抱いていた人には大
サービスの映画に間違いない。
- sonyのベストバイ第二弾
2002.5.8
- 『悪いことしましョ!』鑑賞 ★
ブレダン・フレイザーが美貌の悪魔にそそのかされ魂と引き換えに七つの願いを
かなえてもらう契約をするが、次から次へとろくでもない結果になり、最後の願い
に全てがかかる…
という話。悪魔との契約がネタになるとこれは定番の展開だが、主人公が恋する
女性より悪魔のほうがイケイケの超美女なのが、まず可笑しい。
彼女を妻にして大金持ちに…という願いが、コロンビアの麻薬王で妻は浮気しており
組織もたちまち乗っ取られ…と大はずれに終わるところから、あの手この手で願いが
裏切られる連続は最初こそ「やっぱり」と思うがだんだん「次はどの手?」と楽しく
なってくる。
後味のいい結末なので、息抜きには最適の映画。願いごとのブレダンの扮装や
出てくるたびに衣装の変わる悪魔を鑑賞するだけでも面白い。
- 『ドリブン』鑑賞 ★
シルベスタ・スタローンが引退したレーサーに扮し、連勝から突如スランプに落ちた
若いレーサーを指導し優勝に導く話。
クレジットを見るとスタローンが主演俳優のようだが、若手レーサーが優勝する
話なので、だいぶそっちに食われているし、加えてライバルチームのドライバーとの
レースと恋の鞘当の二重の争い、同じチームの二番ドライバー争いと、二人のベテラン
の戦いがあり、合計4人が拮抗している。
なお加えて、いかにも過去を引きずっている車椅子のチームオーナーとスタローン、
スタローンに独占取材状態の女記者、若手レーサーのマネージャーに徹してきて、
過保護が鼻につく兄の憂鬱なども絡む。
多くの登場人物がサーキットを舞台にそれぞれのドラマを展開するが、観客に
見えるのは「現在形」の断面だけで、そこに至るバックグラウンドの描写がほとんど
無いので、全てが散漫で他人事に見える。
脇筋が乱立して結局何が売りの作品なのか、それが曖昧になっている。
たとえば「スピードの恐怖の先にある栄光」「引退したドライバーとオーナーの
過去の因縁」「レースチームの物語、ピット裏話」「サーキットの娘」などなど、
何でも良いから太い柱を立てて脇筋を刈り込んだ脚本であるべきだった。
まるで、豪華キャストに振り回されて、それぞれの見せ場の取り合いになった
TVドラマのような話だが、こちらはスタローン以外は良く知らないので、面白くは
無いのだ。
というわけで、映画としては「レースのスピード感の演出が新しい」という以外、
取り立てて語るところも無い作品だと思うが、元アクション俳優としての
スタローンの存在感はなかなか良かった。
彼の映画を見るとどうしても「シュワルツネッガー」を意識するが、シュワ氏の
近作がいまいち盛り上がらず「肉体派俳優の老化の悲劇」を感じるが、『ドリヴン』
のスタローンはきっちり「渋い先輩レーサー」になりっきて魅力的である。
そのぶん本作の脚本の駄目さが惜しまれるのだが、これから良い脚本を得てヒットを
飛ばすのはきっとスタローンに違いない。
私はもともとシュワルツネッガー・ファンだが、彼も後数年で還暦なのだから
いつまでも筋肉ヒーローが似合うわけが無い。それがスタローンを見ていて痛感
された。ダイハードだって今では精神化医を演じてる。役者の賞味期限を感じる
話だ。
- 役者の賞味期限
もうひとつ気になるのがディカプリオ。今度の新作も予告編を見る限りは
浮いている感じだが。
キャメロン監督にも、そろそろ映画を撮って欲しいし。
2002.5.7
- 今日から平日、日常に復帰。とはいうものの、先月半ばの葬式からほとんど間髪
入れず連休に入ってしまったので、休みすぎで日常が遠い…
- 空から降る一億の星3
ネットを見ていると「何故女がコロコロキムタクになびくのかわからん」という
意見に「現実だってそうだ」という反論があったけれど、ドラマだからこそ観客が
ヒロインに感情移入できるような説得力が欲しい。そうで無ければ「現実でも理解で
きないカップルって居るよね」という見方は「冷めた傍観者」でしかない。それは
主役級の女優の恋の理由としては足りないと思う。
「箱入り娘が自由で危険な香りがして、しかし本当は優しい男に恋をする」
というのは有りそうな話だけれど、出会いのシーンがかなり不自然だったので、
当たり前の理由ではちょっと説得されたくないのが、今回の難しいところ。
とはいえ、回を追うごとに回りの事情が整理されてきて、初回の不可思議感覚が
和らいできた感じはする(^^;
ドラマは「背後に巨大な陰謀」が有りそうな感じなのだけれど、最初の女子大生
殺しの動機がまだ誰も触れてないような。これで最後まで引っ張って驚かせるのか
な?
回を追うごとに背後関係が見えていく作りのドラマらしいので、取りあえず
次回も見ようと言う気にはなっている。しかし、『眠れる森』の謎解きがなんとも
反則っぽかったので、ミステリー部分に期待しては居ないのだが。
毎回真剣に犯人を推理していたあのドラマ、ラストの失望は忘れられん(^^;;;
深津が赤や黄色の派手なマニュキアやアイラインを引いているのが、気になる。
キムタクは部屋の格子を赤から青に塗り替えていた。
色使いに意味があるのかな?
前話に続いて「カメラワーク」台詞ごとに顔面ドアップの切り返しで繋ぐのは
止めて欲しいな。14インチTV向けに撮っているのかも知れないけれど、それに
しても芸のない。
- 空から降る一億の星4
4話の深津のマニュキアはダークレット。
25年前の事件に関わる会話がたくさん出てきた。
三田の事件のお嬢様の実家も傾いていたというのが、井川の実家に重なる。
現場から出た付け爪がどうした?被害者のものとは限らないわな。
今度も出てきた深津の見合いストーリー。彼が映画マニアだという設定が、
ビデオの並び順の謎解きに絡んできたりして。
深津が刺されそうになったのは、直接目撃されたのもさることながら、
さんまちゃんが「涼はワシの知り合いとつきあっている」と言ったので、お嬢様と
人間違いで刺されたのかなぁ。それにしても、ひっそりと後を付ける柴咲、怖い。
- 先日見た視聴率調査のページによると「録画」はカウントされないそうだ。
確かに番組ごとではなく一分単位に何を見ているかという調査には組み込みにくい
けれど、我が家のように見たい番組だけ録画で見る。という人は少なくないと思う
ので、実質の視聴率はもっと高くなりそう。もっとも、CMを早送りしてしまうので
スポンサーにとっては視聴率ゼロと同じかも。
テレビが複数台あって、二つ映っていたら視聴率を半分に割るというのも初めて
知った。「紅白」の視聴率が下がるわけだ。家族全員で一台のTVを見る時代じゃな
いから同じシリーズの番組が昔のような数字が出なくても、単純に番組の人気が
おちたと言えないのは、数字の仕組みからも正しいことらしい。
- 海自のイージス艦派遣について、自衛隊幹部が「是非アメリカから日本政府に
要請を出して下さいな」と米国に根回ししていたことが発覚。
やっぱり現場は好きあらば前に出ていこうという魂胆だということが分かったわけ
だが、政府や国民の頭越しに米国に力添えしてもらうとはちと「やばすぎる」のでは
無いか。
アメリカに協力する日本も敵だ、と要らぬ恨みを買ってテロの標的にされたらいっ
たい誰が責任をとれるのかと…。
2002.5.6
- GW10.最終日。妻のお友達が来て宴会。懲りずに『エピソード2』の予告編を
鑑賞。
GWは事前にいろいろ予定が立たなかったので、有りものの映画を見たり、掃除
したりして過ごしたけれど、午前中はお客様対応の最後の大片づけ。
- 『四月物語』鑑賞 ☆
星半分。主役が「松たか子」じゃ無ければ星無しかなぁ…?
北海道の田舎から東京の大学に合格して上京する新入生、松たか子。冒頭のお見送
りシーンで幸四郎ファミリーがずらりと並ぶのが、「うわ〜本物の家族だ〜」と感激
するが、彼らはここにしか出演せず、「やっぱり」とは思い残念でもあるが、まあ、
当然だし、彼らを投入出来た監督だかプロデューサーだかの手腕は認める。
でも、本題のストーリーはびっくりするほどのシンプルな日常の描写で、
展開らしい展開もなく
「松たか子の女子大生可愛いな〜」という視点で見ていかないと、とてもついて
いけない(^^;
予告編では「彼女が東京の大学を受験したのには、ある秘密があった」という
謎を掛けていて、新入生の自己紹介シーンで「あなたはどうしてこの大学を?」
と聞かれて(秘密にしているので)絶句する。という絵もある。
古ぼけたアパートに住み、隣人(一人住まいの女性)とちょっと仲良くなる
エピソード、何を考えているのかよく分からない同級生の女の子に巻き込まれる
ようにして「釣りクラブ」に入ってしまうなどの、普通の日常を送りながら、
彼女は自転車で街を訪ね歩き、ある本屋に通う。
そこに何があるかが、彼女の秘密の答えだが、分かってしまえば「な〜んだ」
というささやかな秘密であるのがこの映画のキモであり、「青春だな」と共感して
許してしまうことが出来るか、「なんて地味な話だ」と愕然とするかは見る人の
好意の問題だろう。
自分の18,9の年頃の感覚、若さ故の浮遊感覚を思い出すと懐かしさとともに
見ることが出来るが、普通に一本の映画として考えれば、この70分くらいの作品は
30分そこそこのエピソードにまとめて、そこから始まるドラマを一時間くらい見せ
るだろう。
だけど、この作品は違う。だからもの凄く退屈で変な作品でもあるし、青春の
ふわふわ感を絶妙に表現しているとも言える。
- 『アラビアのロレンス』鑑賞
ピーター・オトゥールファンの友人が居て兼ねてから約束だったので。
砂漠の描写は大画面ほど壮大で良い。ハイビジョンならもっと凄いだろうなあと
思うけど、DVDでも結構砂漠のサラサラ感は有る。
- 『イングウェイのコンチェルト』鑑賞 ★
お客様の持ち込みDVD
去年妻の合唱団が共演した演奏会で、「エレキギターの早弾きの神様」と
呼ばれるイングウェイが、オーケストラとの協奏曲を書いてちょっとコーラスも
入る。
本人が言うには、今までのプログレなんかでオケを使っていたバンドは、
オケを従えたロックだけれど、これは、オーケストラの音楽で正統派の協奏曲。
その独奏楽器がギターなんだという話。
オケは「日フィル」で指揮者はポップス系の仕事もしている竹本とかいう人だが
クラシック奏者の多くに見られる「ライブなノリの欠如」が感じられて、どことなく
重い。
ロックミュージシャン同士の共演ならば、もっと疾走感が有るのではないかと思
うし、曲調もノリを要求しているようだ。同じロックとオケの同居でも、いわゆる
プログレ系のそれなら「オケは重厚、荘厳」を求められていると思われ、
この曲はそれより、一体化してロックの方に踏み込むことを求められているよう
だ。
それはたぶん、答えられるクラシックミュージシャンが少なくて、理想の演奏
が出来る可能性がちょっと低そう。そこはちょっと脳内補完してあげたい。
ただ、ギターに関しては本当に凄い。
火花の飛び散るようなプレイであることは間違いなくて、びっくりした。
- 『ハード・デイズ・ナイト』鑑賞 ★
お客様の持ち込みDVD
ビートルズのメンバーが電車で旅をするシーンに始まって、年寄り連中から
ちょっと煙たがられたりという冒頭のシーンをいくらか見る。
私はビートルズ世代より下ということになるし、子供の頃は地方に住んでいたので
上の世代の人たちの熱狂も直接は知らないのだけれど、それでもビートルズは一つの
スタンダードとして聞いてきたし、古楽好きの視点からイギリスの伝統音楽との
接点がしばしば感じられて、奥も深くいい音楽だと思う。大好き。
この映画はほんの少しだけしか見なかったけれど、白黒の画面の中になんだか
生き生きした気分を感じた。
2002.5.5
- GW9.あれこれレンタルしてみた。実は今日中に三本は見てしまうつもりだったが、
『スターウォーズ』の地上波放映なんか見てしまい予定が…(^^;
吹き替えは概ね良好だが、ルークの声が軽すぎ、レイアの口調が姫と呼ばれるには
ちょっとぎこちない感じがするなあと感じた。ハリソンフォードはたぶんいつもの人
なので一番しっくりくる。
画面はTVサイズなのでワイドなLDより総画素数で倍近く多く、中央部だけで比較す
ればさらに多い。走査線数で言えば倍密。だからいままで散々幾度も見ていたはずな
のに「うわ、こんな事になっていたのか」と思うことが何度もあった。早くスクイーズ
なDVDが発売されて欲しいし、出来ればハイビジョンソフトになって欲しい。
ラストに『EPISODE 2』の予告編が放映される。
録画して10回は見て、雰囲気は感じるが巧みにどんなストーリーかは分からない(^^;
- 『悪いことしましょ』DVDレンタル
- 『ザ・ウォッチャー』DVDレンタル
- 『ミュージック・オブ・ハート』DVDレンタル
- 『キス・オブ・ザ・ドラゴン』レンタル
- 『ドリヴン』レンタル
- 『四月物語』レンタル
2002.5.4
- GW8.
- 靴のこぼれ話
- 『仮面の男』DVD鑑賞 ★
ルイ14世物の勢いで鑑賞してしまった。
これは他の作品(女優マルキーズ、王は踊る)と違ってアクション物なので比較の
対象としてはどうかとも思うが、舞台がフランスだろうがなんだろうがきっちり
「ハリウッド映画」にしか見えないのは不思議である。
一つには画面に汚れがないことか。宮廷の屋外のシーンなど「人気のない観光地」
に見えてしまう。つまりはその通りなんだけれど、細かな部分がたぶん手抜きなんだ
ろう、リアリティーというのは細部に宿る物だから。
音楽も衣装もやはり米国の物だし、役者が英語をしゃべっていると言うことを抜き
にしても、今の日本の若い娘が和服を着て時代劇を演ずるみたいな、借り物臭さが
抜けていない。
ライティングと色温度の考え方も相当違う。
室外でも室内でも、仮面の男はTV的なクッキリした色調で明るく、蝋燭の明かりで
照らされていたはずの夜と昼の屋外の差がないのは作り物くさい。
まあそういう細かいことを問わないのは、スター映画だからなのかも知れないが。
2002.5.3
- GW7.
- ビデオリサーチ - 視聴率の仕組みが分かる
- 黒澤明とその時代(BS2)
東宝から黒澤DVD-BOXが出るという。所が大事な作品が入っていないような気がする。黒澤没後に放送されたNHKの特集を見返してみた。全作品は30作
- 1943. 姿三四郎 (東宝)
- 1944. 一番美しく (東宝)
- 1945. 続姿三四郎 (東宝)
- 1945. 虎の尾を踏む男達 (東宝)
- ---- ここから戦後 ----
- 1946. 我が青春に悔いなし (東宝)
- 1947. 素晴らしき日曜日 (東宝)
- 1948. 酔いどれ天使 (東宝)
- 1949 静かなる決闘 (大映)
- 1949. 野良犬 (新東宝)
- 1950 醜聞(スキャンダル) (松竹)
- 1950 羅生門 (大映)
- 1951 白痴 (松竹)
- 1952. 生きる (東宝)
- 1954. 七人の侍 (東宝)
- 1955. 生きものの記録 (東宝)
- 1957. 蜘蛛の巣城 (東宝)
- 1957. どん底 (東宝)
- 1958. 隠し砦の三悪人 (東宝)
- 1960. 悪い奴ほどよく眠る (黒澤プロ・東宝)
- 1961. 用心棒 (黒澤プロ・東宝)
- 1962. 椿三十郎 (黒澤プロ・東宝)
- 1963. 天国と地獄 (黒澤プロ・東宝)
- 1965. 赤ひげ (黒澤プロ・東宝)
- 1970. どですかでん (四騎の会・東宝)
- 1975. デルス・ウザーラ (モスフィルム・日本ヘラルド)
- 1980. 影武者 (黒澤プロ・東宝)
- 1985. 乱 (ヘラルド・他)
- 1990 夢 (黒澤プロ)
- 1991 八月の狂詩曲 (黒澤プロ)
- 1993 まあだだよ (大映・電通・黒澤プロ)
よく見ると、東宝って映画が苦しいときには、黒澤に映画を撮らせていない。
つまりお金を出す力がなかったのだなあと言う気がする。
ちなみに情報によるとBOXで発売されるのは上で"."を付けたもの。
大映、松竹、黒澤プロ作品は発売されない。
引っかかったのは『羅生門』が大映作品だと言うところ。黒澤の最高傑作
はという質問をしたら、多くの人がこの作品か『七人の侍』かどちらかをあげるはず。
- 『王は踊る』DVD鑑賞 ★☆
[鑑賞記]
ルイ14世時代、国王のために3,000曲もの音楽を捧げたリュリ。彼の周囲に渦巻く
愛と陰謀を描く。
ルイ14世時代、17世紀を描いた作品というと他に、
- 『仮面の男』暴虐な若きルイ14世と4銃士
- 『女優マルキーズ』ルイ14世の寵愛を得るほどのスターになった女優とモリエール
のロマンス
などを見たことがあるが、ルイ14世は長生きしたこともあって歴史上のエピソード
に事欠かない(と妻が言っておる)。
本作はルイ14世の少年時代から中年期まで幅広い時代にまたがり、宮廷作曲家として
雇われた若きリュリが死ぬまでのエピソードが「王権の権威と調和の象徴」としての
音楽とダンスを巡って繰り広げられる。
- ルイ14世時代の映画は他にもある。『宮廷料理人ヴァテール』
『モリエール』
『アンジェリク〜はだしの女公爵』
2002.5.2
- GW6.家具屋さん巡り。
- 晴海に行ったついでに、埠頭に「ふじ丸」が居たので見物。
- 妻と『ヴァンプショウ』鑑賞
2002.5.1
- GW5.妻と『パッド・ニュース☆グッド・タイミング』DVD鑑賞
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