映画館がやってきた!

構築日記・不定期便
- What's NEWを兼ねた日記のような読み物 -
2001年4月
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2001.4.30
  • もとパソコン通信の仲間(今はインターネットに移行している)で、 コンサート開催
     今年でもう9回目になる。良く続いてる。楽しいけど疲れたな〜(^^;
     来年は10周年記念でオペラ/ミュージカル特集になるという話である。
2001.4.29
  • BS-hiをボケボケ見ていると、大臣の座談会などがあったのだが、 扇千景大臣の発言って、論理的に何を言っているのが全然分からないほど支離滅裂 だなぁと思う。だいじょうぶかい?
  • 『サタデー・ナイト・フィーバー』鑑賞(BS-hi) ★
    1977年アメリカ
     ジョン・トラボルタ主演で、音楽はビージーズ。私が中学から高校生の頃に ディスコブームがあって、この映画を初めとするディスコ映画がたぶん、ブーム の火付け役だったんだろうと思う。
     この映画の最大の見せ場は、中盤にあるトラボルタのソロのダンスだろう。
     ちょっと頭はでかい(笑)けれど、手足は長いし、ぴっと片手を上げて腰を 突き出すポーズ一つだけでも格好いいと言える。
     もう一つ、ビージーズの音楽も懐かしくて涙でそう(笑)
     ただし、映画としての出来はどうかな? アメリカのあまり富裕でない 家庭の少年がペンキ屋の店員をしながら、ダンスに打ち込む。「いままで人に 認められたのはダンスしかない」とか言って。
     ペアを組む女は、音楽事務所に勤めていて、芸能人(ハイクラスな人たち)と 話をしたことだけが自慢で、いつか自分もハイクラスな人間の仲間入りがした いと望んでいる。二人とも結構貧乏くさい。
     さらに、いつもつるんでいる仲間が彼女を妊娠させて悩んでいるとか、 喧嘩出入りとか、あまり可愛くない女の子に付きまとわれているとか、 両親の期待を一手に引き受けていた兄がドロップアウトして家庭内が パニックになったりetc.とサイド・ストーリーが非常に多くて煩わしい。
     メインのストーリーは、トラボルタが夢見る女の子をパートナーにして ダンス大会に優勝するまで、なんだけれど結局踊りに関わる話が非常に 少なく、ガンガン早送りしたい内容だ。
     この映画が作られた当時は、社会問題を取り入れたりしないと映画として 成立しないとでも製作サイドは思っていたのだろうなぁ。きっと。
     致命的なのは、「ダンス大会で明らかに主人公より踊りがうまかった ラテン系のペアが二位になって、トラボルタがこんなのは不公正だと 怒って優勝賞金を彼らに押しつけて出ていく」という、ダンス大会の結果。
     「移民差別問題」なんかをここで持ってきたわけだけれど、主人公の ダンスがはっきりと、盛り上がっていないのが分かるだけに、観客の期待 を裏切っている。中盤の何でもないダンスの方が大会のダンスより明らかに 良いから、見ているこっちは「おいおい」と声が出てしまうぞ。
     「アメリカの青春群像を描きたい」という意図が監督にあったとしても、 肝心の主人公の格好良さを殺しているのはどうだろう。
     とにかく、「トラボルタのソロ」これだけで十分な映画ではある。
  • ランプ時間2090H
     暗い〜、辛い〜、と言いつつまだ使う。
  • 川井憲次関連リンクへのりんく
  • 今週号のテレパルをチェックしたら見たい映画が16本もあった。う〜む(^^;
  • 『始皇帝暗殺』ちょっとだけ鑑賞(レンタル)
     中国産角川映画。
     タイトルバックの戦争シーンで、大平原に軍馬がどどどっと走り回るのが、 角川映画らしいといえば、そういう感じ。(そんなんばっかとも言う(笑))
     レンタルビデオなので、ビスタをTVサイズに切っているのだけれど、 この映画会話のシーンになるとバストショットの切り返しばっかなので、 これをTVサイズにすると延々「顔しか映っていない画面」の連続と いうことになる。
     スタッフは全員中国人のようだが、このカメラのセンスは唖然としちゃうなぁ。
2001.4.28
  • NHK交響楽団定期演奏会(Cプログラム)鑑賞
    • 指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
    • ソプラノ:中嶋彰子
    • ハイドン/交響曲第86番ニ長調
    • マーラー/交響曲第4番
     ハイドンはまあまあ。各楽章の出だしがアヤシイような気がしたのだが…(^^;
     マーラーは結構良い。緩急が絶妙だし、ソプラノも充実を感じた。
     マーラー・マニアの友人のKAZUさんが来ていて、「最後がずれてやばかった ですね〜」と言っていたが、きっと曲を聞き込んでいる人以外にはばれなかった だろう。
     ブロムシュテットも年寄りだから、音楽表現はともかくきびきびした指示 なんかは甘くなってるんじゃないかと、マーラーのラストとハイドンの出だしから そう思った。
  • N響の読み物の座談会で、団員が「オーケストラの演奏は、良ければ指揮者の、 悪ければオケのせいになりがちだが、指揮者のせいで大事故が起こりかける ところを、オケが必死でカバーすることも多い」
     と書いていたが、聴いていても、たまに「この指揮者やばいよ〜」と 思うことはある。楽団員の皆さんには、挫けず頑張ってもらいたい(^^;
2001.4.27
  • 『機動警察パトレイバー OVA-BOX』DVD鑑賞 ★★
     後期OVA、前半が「対グリフォン決着編」で、後半が「隊員の日常&不条理編」。
     双方それなりに面白いのだが、押井守が脚本の不条理ストーリーは、 どこから見ても『うる星やつら』の世界。じわじわとデジャヴ感覚が 押し寄せる(笑)
2001.4.26
  • 妻の演奏旅行に便乗したベルギー旅行の代金を振り込む。
     それはそうと、まだちっとも予習をしていないので何となく 「ビールの本場だから飲もう」としか考えていないのが恐ろしい(笑)
     旅行写真家としては、とりあえずフィルムの20本も持っていけば、とも 思っているが、何が取れるのかも良く分からない。
     オーストラリアに行ったときには「シドニー湾の風景」と「動物園」で コアラとか?などと考え
     スペインに行ったときには、なんとなく「闘牛」と「ガウディー」と 撮影目的があったのだが、ベルギーはこのままだと本当に「飲むだけ」 ということになるかもしれん。
     とりあえず、飲み代は確保して置けと言うことか…(^^;
  • 『インビジブル』DVD購入
  • 『タクシードライバー』DVD購入
2001.4.25
  • 『ルパン三世・カリオストロの城』DVD購入 ★★
     既発のLDと比べるとまずノイズが少ない、色乗りが鮮やか、スクイーズ収録で 解像度も高い…と、この作品の古さを考えるとなかなかの質だと思う。わずかに 輪郭強調が見えるが、ビクター系の作品(最近だとM:i-2)のように気になるほど ではない。
     通常よりややアンダースキャン気味の収録で、フィルム上の情報をすべて 見せようと言う作りだ。
     画質が良いせいか、ざっと見ただけで画面上で今まで気が付かずに見過ごして いた細かい物に気が付いたところもあり、DVD化された恩恵を感じた。背景画の 筆のタッチも感じられる。
     音質は「オリジナル・モノラル」と「疑似ステレオ」だが、モノラルの方が 良いような気がする。幾分鮮度が高い感じ。
     特典の絵コンテ動画はやけに解像度が高くて、倉庫に眠っていたふにゃふにゃの紙 という質感まで見える。また、編集が良くできていてかなり「作品」っぽい仕上がり になっている。
     本編ディスクと、特典ディスクが二枚になっているので、二台のプレイヤーで 再生して、これをTVとプロジェクターで同時にみると、このコンテからよくこういう 緻密な小道具を散りばめられるなと思う部分も有れば、このまま作品としてみられる というくらいコンテが緻密なところもあり、比較して面白い。
2001.4.24
  • 『のど自慢』鑑賞(レンタルVHS) ★
     群馬県高崎市にのど自慢がやってきた。のど自慢出場にかける地方都市の 人々のあれこれを描いた問題作(?)
     主人公は全く売れない演歌歌手、赤城麗子。その他にカラオケ好きの タクシーの運転手。歌手を目指す女子高生。商売に失敗してばかりのお父さん。 自閉症の孫と二人暮らしの老人などなど。
     みんなのエピソードをそれぞれ取り上げつつ話は進むが、主人公の赤城麗子 は地方周りの営業でたまたま実家のあるこの町に来ていたところで、 「親が絶対反対」で参加できなくなった娘の出場葉書を手に入れ 「ただ、大勢の前で歌ってみたい」という一念で出場する。当然マネージャーは かんかんで「カネ一つだったらどうするんだ」と怒るが、彼女は 「もし合格できなかったら歌手をやめる」と言う。
     …とにかく、徹底的に売れない演歌歌手の悲惨な日常をたっぷり見せて、 「のど自慢」の舞台に立つことで再起していくという、『ロッキー』みたいな ストーリー…といったら言い過ぎか(^^;
2001.4.23
  • 『トーク・レディオ』鑑賞(TV) ★
     アメリカの地方都市のラジオ局で視聴者からの電話の相手をする 人気番組があった。日本語で言えば「ラジオで話そう」か。
     パーソナリティーがユダヤ人であるために反ユダヤ人問題についての 過激なトークも多く、脅迫状や爆弾入りの小包、鉤十字の旗などが 次々と送られてくる。街に出ても過激なリスナーに飲み物をぶっかけ られたりと散々。それでも、彼は脅迫にもめげず毎日過激なトークを 繰り返していた。
     しかし、彼の緊張と疲労と心の不安が頂点に達し、誰もがジンと 来るような本音のトークをしたその晩、彼は局の駐車場で何者かに 銃で滅多撃ちにされるのだった。
     …という話。
     某掲示板での「三谷脚本はパクリだ」と主張する人が『ラジオの時間』 の元ネタの一つとして上げていた作品だが、「ラジオの生放送が舞台」 という以外は全く関係なかったなあ。
     やっぱり「ガセ」だったのか。
     まあしかし、映画そのものはユダヤの差別問題を軸に、都会の孤独と 不安みたいなものをそれらしく描いていて面白かった。
     ラストシーンは、話の流れから想像できることとはいえ、衝撃的な 幕切れではある。
2001.4.22
  • 『北北西に進路を取れ』鑑賞(レンタルDVD) ★
     いきなり誘拐されるが、実は人違い。いったい自分は誰に人違い されたのかと探すうちに関係者が殺され、今度は殺人事件の犯人 として追われる羽目に。果たして真実にたどり着けるのか…
     …という話。
     え〜、全体のストーリーはなかなか起伏があるけれど最近の作品と比較すると やっぱりテンポが遅くて前半で危うく投げ出すところだった(^^;
     今風にはもっと短いカットでガンガン繋いで説明的なシーンは飛ばして しまうんだろうな。
     最初登場人物が混乱している時、観客も混乱しているわけだが、 これが整理されてストーリーが見えてくるのは「人違いされた張本人」 が黒幕として登場してからなので、ここまでをなるべく早く済ませるとか。
     「北北西に進路を取れ」と言われても、日本人にはアメリカの地理が 頭に入っていないので、ぴんと来ないのも弱点か。日本人なら 「京都に行く」「大阪に行く」のニュアンスの違いは分かるし、たぶん この作品の中に出てくる長距離列車で移動していく感じも土地勘が働けば もっと面白いはず。
     後半はトリックに次ぐトリック、逆転逆転の連続で面白い。
     主人公が敵をかわす手際もどんどん鮮やかになっていく。ただ、ラストの 崖っぷちに追い込まれるシーンはシチュエーション的にベタで誰にでも先が 見える割には長すぎて飽きるかも。
     ラストは作品の構成的には山場が来るべき位置だけれど、話として 面白いピークは、その20分ほど前の「謎の人物」の正体が明かされる所までで、 後は蛇足に思える。
  • 石川ひとみがTV(日テレ)に出ていた。懐かしい。
     デビューから、大ヒット「まちぶせ」直後の入院、ホリプロの 契約破棄からB型肝炎患者への偏見と闘った日々などのお話が聞けた。
     それは良いんだけれど、最後の結婚の話の後、司会の「福留」氏が 「早く子供を作りなさい」をしつこく繰り返し、石川ひとみが困った 顔をしているのを見て私は激怒してしまった。
     B型肝炎は日常生活では感染せず、血液感染と母子感染がある。 …という話を番組の中で話したばかりで、石川ひとみも母親からの 感染でキャリアになり、芸能生活絶頂期に発病してどれほどその後の 生活の中で病と偏見に対して闘ってきたか…という話題を番組で したばかり。
     当然、結婚するときには自分の子供が病気と闘うことになる リスクに対しては、夫とさんざん話して結論は出しているに違 いない。
     そういう相手の事情を知ったうえでか、ゲストのいうことなんか 聴いてもいないのか、どっちにしても福留は無神経な最低野郎である。
2001.4.21
  • お客さんが来て、ラージなスピーカーと、スモールなスピーカーで 聞こえ方の違いについて研究。
     リア・スピーカーだけの音を聞いて作品によってリアの使い方の違いが 大きいということを試したり、SWだけ鳴らして、LFEの使い方が作品ごとに 違うということを確認したり。
    視聴ソフト
    • グラディエーター … 5.1chの雰囲気を確認。
    • マトリックス … メインSPのラージ/スモールの感じの違いを聴く。リアがここぞという時だけに使用されており、低音はほとんど入っていないことを確認。LFEチャンネルにほとんど音が無く、低音の大半はLRチャンネルに入っていることを確認。
       スモールなスピーカーを使用すると音が軽くなるけれど、それを補うために 低音を増やすのではなく、メインの軽さに合わせて低音の量も軽めにした方が バランスが整うという話。
    • ゴジラ(米) … マトリックスと違い、目一杯LFEチャンネルを使っていることを確認
    • U-571 … 本作ではリアSPにもフロントと同様の低音が含まれていて、スモール なスピーカーを無理にラージ設定で使用すると音が歪むことの確認。
     などなど、わりと分析的に、作品ごとの5.1chの使い方と、それを聴くために どんなスピーカーを用意するのがコストパフォーマンスがよいのかということを 考えてみた。
     簡単にいえば、全部ラージが理想だけれどリアはスモールで構わないという サウンドデザインの映画が多いということかな。
  • 『セブン』鑑賞(TV) ★
    ・モーガン・フリーマン(サマセット=あと7日で引退のベテラン刑事)
    ・ブラッド・ピット(ミルズ=やる気満々で転任してきた5年目の刑事)
    ・グウィネス・パルトロウ(トレーシー(ミルズの妻))
     新人刑事、ミルズが転任してきたとたん異常な殺人事件が起きる。
     両手両足を縛られ限界までスパゲッティーを食べ続けて内臓破裂で死んだ男。
     そして、続いて起きた事件では壁に「強欲」と書かれていた。
     サマセットはこの連続殺人が7つの大罪をなぞった連続殺人だとにらんで、 ミルズにダンテの神曲、カンタベリー物語を読んで犯人の手がかりを見つける ように示唆する。
     7つの大罪とは「大食、強欲、怠惰、憤怒、傲慢、肉欲、妬み」。
     そうするうちに、ベッドに一年間縛り付けられ死にかけた被害者が見つかり、 そこに「怠惰」の文字が見つかった。
     この街の図書館の貸出記録から、関連図書を借りた人物に目を付けて踏み込む と、まさに犯人の家。だがすんでの所で取り逃がす。
     犯人は、犯行の順番を変更し、「傲慢」「肉欲」の殺人を犯すと自首してくる。
     これで殺人は5つ。だが犯人が自首してきた意図は何か、後二つの殺人は どのようにして完遂されるのか?
     …という話。
     猟奇殺人もので相当怖いという評判を聞いていたけれど、それほど怖く もなかった。というのは、次に起きる殺人がどんなものかは分かっている し、殺されるシーンはなくて死体が発見されるだけで、死体はどうせ作り 物なんだし(笑)
     とはいえ、7つの大罪に沿ってどのような殺人が起きるのかという、 一つ一つの見せ場の作り方はなかなか上手いと思ったし、「警察なんか早く 退職して静かに暮らしたい」と願うサマセット(モーガン・フリーマン)が いつの間にか「この犯人だけは逮捕してから止めるぞ」という心境の変化は 面白かったし、ブラピのミルズ刑事がバリバリに張り切る姿も良かった。
     ただ、ミルズの妻(グイネス・パルトロウ)が、事件とは全く無関係なのに 前半から不自然なほど時間を割いて登場しているものだから、いやでも 「これは何かある」と思ってしまうわけだが、彼女が事件に絡むとしたら 当然被害者だよね。とすると…と考えているとラストの筋書きが意外に 早い段階でバレてしまうのがいかん。

     怖さを感じない理由の一つとして「絵が暗すぎる」というのも有るかも 知れない。米国版のDVDが凄い高画質だという噂はあるが、ビデオだと 暗いシーンの大半がノイズに埋もれてしまって、本当は怖いものが映って いるのかも知れないけれど実はよく見えてない(^^;
  • 秋葉原にてカナレの同軸ケーブルの切り売り。
     3c2v=130円/m,5c2v=150円/m プロジェクター用に5C2Vを5m*3本を買うと2250円。プラグ6個で1200円 として、 合計3450円。やはりケーブルくらいは自作で楽しまないと損か(^^)
2001.4.20
  • 『古畑任三郎 15』鑑賞(レンタル(VHS)) ★ [鑑賞記]
    最終回。  テロ集団のリーダー(江口洋介)は、架空の「電車の乗っ取り」をでっち 上げ、メンバーの一人を「公安部の刑事」として乗り込ませ、電車の運行 掲示板と電話をハッキングして、脅迫電話をかける。
2001.4.19
  • トイレットペーパーの芯からTVを覗くとクッキリと見える。
     先週の日曜にゴロゴロしていて発見した。不思議でしょう?
     たぶん、処理すべき視覚情報の量が制限されるために、脳の情報処理システムに 余裕が出来たのだろう。恐らく「画面の外の生活空間」は「ノイズ」 であり、明らかに主観的画質に影響している。
     部屋は整理整頓して、暗黒化!
  • ドラマ『ラブストーリー は『恋愛小説家』か?
     一部掲示板でそういうネタで盛り上がっているのだそうだ。
     豊川悦司(=永瀬康)が、ジャック・ニコルソンの演じた小説家とすると、 向かいの部屋の画家に当たるのは、同じく向かいの部屋の画家志望の香取慎吾(DJ鍋友恭二)。
     子持ちのウエイトレス、ヘレンハントは、出版社の契約社員、須藤美咲(30)=中山美穂
     まあ、主人公に恋人が居るのは当たり前として、「恋愛小説家」と向かいの「画家」という 組み合わせは確かに似ている。
     小説家の偏屈さというのは、喫茶店にマイカップをキープしているというところが似ている。 ただ「人嫌いでも、病的な潔癖性でも、犬嫌いでもない」みたい。浮世離れ していて、恋愛小説などを読む読者を少し馬鹿にしているというのは、恋愛小説家の 「パブリックイメージ」かも知れない。 人物設定によれば「ピュアで心優しいあまり、いろいろなことが怖くてバリアを張っている」 のだそうだ。
     そういう「売れすぎたことでスランプに落ちている書けない小説家」のイメージに トヨエツはぴったり。
     向かいのイラストレーターは、第一話の段階では正体不明。
     ただの「向かいの住人」というには、やたらと小説家の私生活に干渉しているのが ちょっと不思議ではある。根がいい人で人に憎まれない?
     中山美穂の役は、「ピュアな性格だがそれが災いし、押しが強すぎて男にふられてばかりいる。」 という設定で、ヘレンハントの「人生に挫折感を感じて臆病になっているウェイトレス」 とは全然違う。やっぱり、中山美穂には快活な役が似合うのかも。美人だからシリアス な恋愛ドラマが多いけれど、明るいコメディーも似合うと思うな。
     同時に、トヨエツと香取君の役も「恋愛小説家」と似ている以上に役者の得意な 演技や今の彼らのイメージにピタリと合わせて書いているのが、脚本家の偉いところ かも知れないと思う。
     第一話には「そんな馬鹿な」と思う理不尽なエピソードがたくさんあったのだけれど、 どうもコメディー作品にしたいらしい。その割りにははじけてない気もするけれど、 登場人物同士がうち解けるに従ってこれから崩していくのかも。
     とにかく今シーズンはこれが一番「次回が楽しみ」なドラマ。
     最初から波乱は有りつつも、ハッピーエンドを予感させるところが良い。
     「眠れる森」のラストは悲惨だったからな〜。推理はそっちのけだし、必要もないの に主人公は死んぢゃうし。キムタクの希望で死んだらしいけど、殺して盛り上げるのは 安易だって。むかむか。
     「ビューティフルライフ」は、ドラマとしては凄く良かったけれど、 分かっていても主人公が死ぬのは痛い。
  • それはそうと「ラブストーリー」ってタイトル。良く付けたなぁ。
2001.4.18
  • 『Love Letter』鑑賞 ★☆
     山の事故で夫=藤井樹(いつき)を亡くした渡辺博子(中山美穂)は、三回忌を 済ませた後 で寄った彼の実家で彼の中学時代の卒業アルバムを見せられる。そこに載ってい た彼がかつて住んでいた小樽の住所に手紙を出した。
     届くはずのない天国への手紙に、何故か返信が来る。
     お互いに正体が分からないまま神戸の渡辺博子と小樽の藤井樹(中山美穂)の 不思議な文通が始まる。

     中山美穂&豊川悦司って、先週から始まったドラマ「ラブストーリー」と 同じだ。
     いい話だな〜。中山美穂の一人二役の設定が凝ってるし、 しかもそれがアイディア倒れでなく生きた設定になってるのは上手 い。これは泣ける。しかもやたら泣かせるのではなく「ぐすっ」と 軽く目頭が熱くなるくらいの絶妙な泣き。
     あんまり「さあ泣け」という映画は遠慮したいので、こういう後味の 良い作品は良いなあ。
     夫を亡くした後の渡辺博子を支える古くからの友人に豊川悦司。
     で、中山美穂と二人の主演ということになっているが、実質的には 渡辺博子の中山美穂と小樽の藤井樹の中山美穂の二人が主役かな。
     中学生時代の藤井樹も結構主役。

     インターネットで話題の、リップシンク問題にも注意してみたが、 確かに中山美穂のセリフは遅い。しかしこの作品、セリフも効果音もほとんどの シーンがアフレコで作られているみたいなので、役者のアフレコの技術が イマイチなだけなんじゃ?
    (あるいは監督がリップシンクより、芝居を優先している、というのは 有りそうな話)
     たとえば、中山美穂が函館を訪ねた先で郵便受けの蓋を閉めるとか、 送られてきたポラロイドカメラの蓋を開く音とか、そういうタイミングの はっきりした効果音は完全に絵と音がシンクロしていて、合っている。 だから、全体がズレズレに成っているわけではない。
     肝心の「作品としてOKか」という点は、完全にOK。  考えてみれば、映画のどこを見ているかというと「役者の目」を 見ているみたい。あと、指先とか。
     気にしだすとドツボにはまるような気もするが、アフレコが 下手だといっても、洋画の吹き替えやアニメの口パクよりは合っている わけで(^^; ま、それで作品が否定されるもんでも無いでしょう。
     アフレコであることは、同期問題とは別に全てのセリフが明瞭で 聞き取りやすいのはなかなか良い。独白と芝居の中の セリフの響きの差も自然。
  • ランプタイマーが2000hに。
     そのとき映っていたのはなんと『Love Letter』の中山美穂でした(笑)
  • 『みんな〜やってるか!』鑑賞(レンタルDVD) ★
     タイトルが馬鹿すぎるのであまり興味がなかったけれど、公式ホームページの 筋書きを見たらなかなか沢山のエピソードが詰まって面白そうだったので レンタルしてみた。
     スケベな妄想にふける青年(ダンカン)は、たまたま見ていたエロビデオ から「やっぱ、ナンパには車だ」と思いついて車を買うが、何故か全く モテず子供にまで馬鹿にされる。
     ならばと買ったオープンカーは酷い欠陥商品でバラバラに。
     突然妄想が閃き「飛行機のファースト・クラス」ならスチュワーデス さんがもの凄いサービスをしてくれるに違いない。それには金だ、それには 銀行強盗だ、それには銃だ、とめくるめく妄想が展開する。
     銀行強盗に失敗すること数度、現金輸送車強奪も失敗。次には 徳川埋蔵金を掘ったり、役者になったり、やくざの食客になったり、 透明人間になって女湯をのぞいたりと、果てしない暴走が続く。
     …まあとにかく、間抜けでがっくり来るような、ショートギャグが 延々二時間続くのだが、馬鹿馬鹿しいと思いながらあっという間に ラストまで見てしまうので、昔「ひょうきん族」が好きだった人には 最適じゃないかな(^^;
     DVDは画質が悪いので有名な日本ヘラルドの作品だけれど発売は バンダイのためか、のどかな郊外のロケ風景がやたらと清々しく 美しい。内容はこんなとぼけているのに高画質っぽい(笑)
2001.4.17
  • 『古畑任三郎 14』鑑賞 ★☆ [鑑賞記]
    14-1 田中美佐子 - 几帳面でない人間に完全犯罪は向かない
    14-2 福山雅治 - 車椅子の殺人者。自室から一歩も出ずに犯行を
    14-3 玉置浩二 - 飛行機の中で消えた重要参考人

  • 日本映画批評家大賞 というのがあるそうで、作品賞の『ざわざわ下北沢』って知らないなぁ…。 『バトルロワイヤル』を話題賞としたのに遠慮が見える。でもこの話題賞は例の議員さんに あげるべきかも(笑)
     女優賞の黒木瞳(破線のマリス)は納得。
  • YKK「電動外付ブラインドシャッター」
  • OZONEのページ
  • カーテンのオンラインショップ/クレール
  • ニチベイのブラインド高遮光タイプ有り
  • タチカワ・ブラインドの商品一覧 業務用に遮光タイプ(シークレット)有り、博品館の並びにショールーム(日祝月休)
  • 映画"ジュブナイル"とドラエモン(監督インタビュー)
     お子さま向け映画だと思って気にもとめていなかった作品だが、 「故障したドラえもんを、科学者に成長したのび太が修理する」という、 インターネットで有名になった「ドラエモン幻の最終回」に触発されて作られた 話なんだって。
     個人的にはロボットのデザインが「ハロっぽい」と思ったくらいなのだが、 ドラエモンの世界観を背負って作られた話なら、以外に泣けるのかも。と思っ てしまった(笑)
     この日記上でも先月から「三谷作品はパクリか否か」という話について何度か 考えたけれど、例えば舞台なら全く同じ話で演出や出演者が変わるだけで、まったく 別の作品になるし、国や時代設定を変えて原作が分からなくなるくらい変形した物まで、 一つの話から様々な作品が生まれる。
     それは映画でも同じで、ハナから盗作の意図があるのは拙いし、オリジナルの 焼き直しでしかなかったり、安っぽくなったりと、マイナスの結果になることも あるけれど、インターネットで知った一部の人だけのあいだで噂の物語を映画の形で 定着させたなんてのは、いい話じゃないかと思う。
     一部にはこれをパクリだという人もいるようだが、昔からある物語を時代に合わせて 再構成する「翻案」ってのは映画のお家芸だと思うが。
     監督インタビューの中で「最近の日本映画はホラーばっかりなので…」という 発言があったのだが、これも同感。しかも、安易な続編商法になっている気がする。
     興行的には成功とは言えなかったようだが、あれは予告編が良くない。
     「CGIでこんな絵が作れるから」というようにも見えるし 「SMAP人気をあてに作りました」とも見える。今なら慎吾ママで、子供も 見に行くかも知れないけれど、アンチSMAPの成人男性は絶対見ないと思うし。
     ジュブナイルというタイトルも良くない。タイトルから分かる「青少年向け」 というのは、絵を見れば分かるんで「それで何なの?」と映画館では思った もんだ。
  • パクリというと良く話題になるのが『ライオンキング』と『ジャングル大帝レオ』
     これはパクリとまでは言わないけれど「出来は良くない」と思う。というのは、 レオの雰囲気や登場キャラクター の設定はことごとく良く似ているのに、イマイチ話に捻りが無くてディズニー的に 無難にいつも通りに作ったように見えたから。
     そりゃ〜ディズニーの力を持ってすれば、アフリカの自然描写なんかは 素晴らしい物が出来るし、群の大暴走も迫力はある。でも子供向けの説教臭い 話だ。ジャングル大帝も何となく仏教的な説教話ではあるけれど、そこはかとなく 「動物から見た人間へのあこがれ」と「人間の視点から見た自然への敬意」 ってものが滲んでいるじゃない。そこが大きく違うんだな。
  • 千葉県水道局HP
     市川市の水源は、江戸川の「矢切取水塔」から取っているらしい。東京の金町の 浄水場より少し下流で、 航空写真で見ると1/4位の規模の浄水場だ。
     市川市のための浄水場が松戸市にあるのは、恐らく松戸市の排水の合流点より上流に 取水口を設け用という仕掛けになっているかららしい。
  • 掲示板バブル
     一年ほど前、何人かの友人がレンタル掲示板を開いたが、どこもオープン当初の 勢いがない。掲示板が増えすぎて分散しているのじゃないかな。お友達のページの多くは ほとんどメールで話せばいいことを何となく書いているというページが多いもの。ただ、 直接の友達じゃない人とも知り合えることもあるけれど。
2001.4.16
  • 『古畑任三郎 13』鑑賞(レンタル) ★★ [鑑賞記]
    13-1 大地真央 女歯科医の殺人。古畑がアリバイづくりに利用される
    13-2 津川雅彦 古畑の級友の作家。名探偵は殺人を止めることができるか
    13-3 市林正親 指揮者の殺人。絶対音感と耳の鋭さが殺人の証拠に
  • 宝塚『ベルサイユのばら・フェルゼン編』鑑賞(BShi) ☆
     ベルばらからもう25年がたち、宝塚では今年再演の計画があるとかで、 ハイビジョン収録された11年前の公演を放送。
     「フェルゼン」は、マリー・アントワネットの愛人で、断頭台に送られ ようとする彼女を救おうと奔走したという人。これを主人公にした別バージョン。
     映像はハイビジョン初期の意気込みを感じるもので、広々とした空間を見せて、 人物のアップも腰から上くらいの距離感が中心でやたらにアップして追いかけて、 主役以外の人物が何をやっているか良く分からないという、一般的な舞台中継の 欠点からは一線を画している。
     とにかく、衣装は金糸銀糸ラメいっぱいのピカピカなので、ハイビジョンで 撮りがいのある映像だと思う。
     長い長い原作を3時間程度にまとめて、しかも主役が「フェルゼン」という 一般的には脇役の人なので、ストーリー性という点ではどうかと思うけれど、 「異界の疑似体験」という意味ではこういう映像は面白い(笑)
2001.4.15
  • プロジェクターのランプタイマーが1980Hになり、ついに 『ランプを交換して下さい』のメッセージが出る。
     とりあえず、一度リモコンで何かすると表示は消える。
     明るさはまだまだ行ける。
  • 『ブルース・ブラザース』鑑賞 ★★
     3年のムショ暮らしから帰ってみれば、税金が払えずに閉鎖されようとして いる孤児院を救うため、ブルース・ブラザースが再結成される。
     彼のいない間真っ当な仕事に戻っていた元のメンバーを何とかかき集め、 慈善コンサートを開くが、謎の女につけねらわれるは、警察からは交通違反の 常習で追われるは、アメリカ・ナチ党とのいざこざで追われるはで、コンサート の終了もそこそこに税務署に向かって走り出したBBを追う大カーチェイスが 始まる。
     …という話。
     話は全然たわいないけれど、全編音楽に乗ってノリノリムードで乗り切る。
     シカゴ市街地でのカーチェイスは、良くもこんなに滅茶苦茶なカーチェイス が許されたと思うほど膨大な数のパトカーがクラッシュする。
  • 『3-4x10月』鑑賞 ★
    1990年/松竹富士/96分
     レンタルのVHSなんだけど、DVDならきっと沖縄の太陽がいい感じなんだろう なぁと思う。それだけ、詩的なバイオレンスである。
     草野球チームの万年補欠の主人公が勤めるガソリンスタンドで起きたヤクザ とのゴタゴタに端を発し、助け船を出したコーチ(元ヤクザで今は喫茶店のマスター) がボコボコにやり返された仕返しのため、沖縄に銃を手に入れに出かける。
     沖縄で出会ったヤクザ(ビートたけし/渡嘉敷)の世話になり、金のトラブルで 追いつめられた彼らが仕返しのために手に入れた銃のおこぼれに預かり東京に 戻る。
     銃を持って事務所に乗り込んだものの、撃ち方が分からず捕まってボコボコ にされる。だが、タンクローリーを盗み出した彼はこれで事務所に突っ込み 大爆発を起こすのだった…。
     …という話だが、とにかく間合いが長くて白い。主人公がほとんどしゃべら ないってのもあるが、無駄に時間が流れる。
     沖縄に行って銃を手に入れる間のたけし達との関わりも、とにかく振り回され ながらあとにくっついているだけで、わけ分からない。
     まぁ、そういうわけの分からない時間が過ぎるのだが、草野球のグラウンドに 流れる時間、沖縄で流れる止まっているかのような時間、そういう変な時間感覚 がやけに印象に残る話だった。
2001.4.14
  • 『その男、凶暴につき』鑑賞(レンタル) ★☆
    1989年/松竹富士/バンダイ
     モノレールの見える湾岸の街。悪いやつには暴力も辞さない刑事、 東(ビートたけし)は、新人刑事の菊池と麻薬の売人殺人事件を追うが、 薬の出所が唯一署内で親しくしている仲間である「岩城」が横流し しているものだということを知ってしまう。
     独自に調べる東だが、横流しを終わりにしようとした岩城を、 売人グループは消してしまう。
     次々と消されていく関係者。売人グループのボス「仁藤」は 命じてもいない殺しまで楽しんでやってしまう「清弘」に動くなと 命令するが、東が訪ね歩く先々で売人関係者の殺人は続く。
     清弘宅にがさ入れして署内で暴行を加える東だが、あまりの激しさを 見過ごせなくなった新任所長は、東に辞表を書かせる。
     しかし、釈放された清弘が東を襲い、深手を負いながらも逃げた東は、 密売屋から銃を手に入れ、最後の始末を付けるために清弘のアジトに 乗り込む。
     二人の決着は意外な結末を見せるが、この物語に終わりは来ない のだった。
     …という話。
     北野作品に対して「突然のバイオレンス」なんて言い方がある けれど、この作品に対してそういう感じはしない。確かに暴力シーンは 多い。しかし、「張り飛ばすぞ!」叫びたくなるシチュエーションで 無言で手が出るという、感情の波に逆らわない暴力であるだけに 寡黙な男の表現手段として訴えるものがある。
     敵の暴力も破滅的だから、刑事の暴力もエスカレートする。そして、 辞職した後の東の「後は己の力しかない」という追いつめられた 状況が力の爆発を期待させる舞台を形作る。
     とにかく、全体を多うダークな雰囲気は、昔懐かしい感じもあり、 香港ノワールのようでもあり、拳の重さを感じるバイオレンスだ。
     そして悪いやつが死んで終わりというのではない、東の正義を 無力感で塗りつぶすような苦いラストには唸らされた。

     港区海岸辺り(田町の海側)のロケ地は、いかにもやばい商売の 人間達が潜んでいそうな風景。
     役者達もなかなかいい顔をした奴らが揃っている。
     一本見て一番痛そうだったシーンは派手な殴り合いや銃撃ではなく、 ビルの屋根で追いつめられたチンピラが何とか掴まっている指先を 殺し屋がナイフで「ツー」っとゆっくり切り付けるシーン。
     痛かったな〜。

2001.4.13
  • 『マクベス(蜷川幸夫/唐沢寿明/大竹しのぶ) in シアターコクーン』鑑賞
     久しぶりのシェイクスピアのストレートプレイ。
     舞台デザインは四方をハーフミラーに囲まれたステージで、正面と奥を開け 閉めして舞台転換したり、正面のミラーの前で芝居をしている後ろで、照明を 入れると浮き出して見えたり、6本の蝋燭が無数の星のように輝いたり…と、 なかなか良い効果を出していた。
     主役マクベスに唐沢寿明、マクベス夫人に大竹しのぶ。
     大竹しのぶはハマリ役でしょう。なにしろ彼女の狂気の芝居はこれまでの 様々なドラマでも発揮されていたとおり、迫力がある。
     彼女と組み合わせると、唐沢寿明のマクベスはちょっと押され気味。
     もちろんマクベスという芝居そのものが「妻に後押しされて一線を越えてしまう」 という話だが、本人の持つ毒が相対的に弱い。これが以前見た「鹿賀丈史」の マクベスだと簒奪王の器があると見えるが、唐沢寿明の舞台は「絶叫芝居」 になってしまってテンションが上がりっぱなしで表現のダイナミックレンジ が狭くなっていると見た。
     鹿賀芝居の低い声色で緊張感を維持してそこから爆発するような上手さは やっぱり舞台向きで、唐沢芝居はもっと日常性のテンションのレベルに合っ ているように思った。
     主人公に会わせてか、他の出演者も全体に若くてフレッシュな印象を受けた。 こういうのも、なかなか良い。最後に勝つ王子は王子らしい年頃だし、マクダフ も妻子のある役だが、結構新婚さんという感じの年頃に見えた。

     ところで、前半ラストの盛り上がり、マクベスが即位の宴のさなか、 殺したばかりのバンクォーの幻覚に狂乱しマクベス夫人がこれを鎮める という緊迫したシーンで、一回席後ろの客から三回ほど笑いが起きたのは、 こりゃいったいどういうことなんだろう。
     唐沢寿明を始め若くて格好いい役者が多数出演しているから、その手の 役者のファンで、マクベスの筋も何にも分かっていない客が大勢入り込んでいた のだろうか? はっきり言って「勘弁して欲しいな〜」と思うよ、ああいう 滅茶苦茶なリアクションは。

  • SONYからプログレDVDの廉価モデル
    2-3変換対応型のプログレ回路は、独自変換技術「バイ・ピクセル・アクティブIP変換」だそうだ。 つまりDVP-S9000ESは業界標準LSIを使っていた変換機能をやっと自社技術で (たぶん特許をかいくぐって)実現したことになる。だからきっと安くなったんだな。
     とはいえ、直接画質に関係する部分以外、使い勝手まわりの色々なスペックはあれこれ 簡略化しているようなので、こいつの上位機種もそのうち出るのだろう。
  • 市川市には水道局が無い???
  • 新小岩の歴史
  • 未来鉄道db
  • 昨夜のニュース。総裁出馬のうち一番無名な麻生太郎が、 「赤字国債は買った人の所にお金が戻るのだからプラスの遺産だ」と 公言していた。
     この人は算数も出来ないのか。国民全部から広く集めたお金が、 最終的には"国債の利息を得る銀行"に流れるってことは、数%の人が潤って 大多数の人は利息分をせっせと税金に納めるって事じゃん。
     儲ける人がいるから国債が売れるのであって、儲ける人がいるって事は 支払う人がいるってことだよ。
     麻生!これじゃ、ネズミ講に引っかかる馬鹿と同じレベルだぞ。
     景気浮揚というのは、公共事業(=借金して物を買う事)ではなく、 事業がしやすい構造を作ることだ。どこかに不当に儲けすぎている人がいれば、 そこが「お金の澱み」になっているのだから、それを壊して流さないと。
     あとは「老後が不安でお金を使えない」という構造を変えることだね。
  • 教科書問題
     韓国とはまだもめているけれど、実際教科書の選定の段階で例の歴史教科書は 採用されるだろうか? 当然PTAや教職員団体は採用反対するだろうから、 一冊も売れない可能性もあるんじゃないかな。
  • Clip-Onの40G化後継機
     SPモードで13時間というと、一週間サイクルを毎日2時間ずつ録画可能という容量だ。
     我が家ではすべてのTV番組はいったん録画してCMを飛ばすことで時間 節約しながら見るようにしているので、これがあれば便利だろうな〜。
2001.4.12
  • 新TVドラマ『ルーキー』チェック
     都内の警察の生活安全課に、新人刑事(堂本光一)がやってきて成長物語。
     ベテラン勢に黒木瞳や筧さんが出ているので見てみたが、第一回の 長時間スペシャルはイマイチエピソード密度が薄くテンポが悪い。
     これは、脚本のせいかな〜。
     筧さんがバリバリの熱血刑事。黒木瞳が離婚歴が有りキャリア指向の 有能な刑事だけれど女だから出世が難しい…という役所をやっていて、 道具立ては面白いけれどノリが悪いんだな。
     主役の新人刑事が「ドジすぎ」ておいおいと思うし、熱血刑事は 熱血過ぎて馬鹿馬鹿しい。女性刑事に対する本庁刑事の虐めも必要以上 に理不尽。
     そうすると『踊る大捜査線』の織田君みたいな 「こんな刑事が居たらいいよね〜」という程々の虚構感から逸脱している。 『踊る大捜査線』はサラリーマン社会のような警察で、友情有り、 コメディー有りというアプローチだが 『ルーキー』は「昔の刑事ドラマに堂本が紛れ込んだような…」という センを狙っているのだろうか…?
     『踊る大捜査線』のインパクトを越える新鮮な刑事ドラマって難しいとは 思うけれど。
  • 「仁義なき映画論」ビートたけし/文春文庫…読了
     1990,91年に週刊誌で連載された映画評で、監督北野的には3作、4作目あたりの 時期のもの。
     「監督北野」の視点で他の作品を色々見て論評するというスタイルで、 ぼろくその批判が目立つが、「俺ならこう撮るな」という一言があるから けなしても説得力がある。で、単なる毒舌の書と言うだけでなく中には 絶賛している作品もあるわけで、好きなことをズバズバ言う人が誉めている 作品なら見てみようかな〜という気も起きる。
     だって、いわゆる「映画評論家」の人たちは仕事を貰ってなんぼだから、 干される危険を冒してまで悪い物を悪いと言える人って居ないでしょ。
     それでも良心的な批評家なら例えば、『13ウォーリアーズ』のパンフレット に寄稿する場合、決してストーリーなどには触れずに、北欧の歴史や 『七人の侍』との関係性や、スケールの大きさだけに言及して記事を書く。 でも、これって厳しいよね。
     この本にあるように「黒澤監督も歳で、若い頃と同じヒットばかりが 打てる訳じゃないのは当然」なんてことは、たとえ「全盛期の閃きが 時々感じられるのを楽しめばいいのだ」とフォローしても、商業誌では 滅多に書けないだろう。
     この本の最後に「映画評論家はパンフレットの引き写しばかりせずに、 せめて自分の文体を持て」とあるのをみて、本当にそうだと思った。
  • では、こうやって日々「鑑賞記」を書いている自分は何を書くべきか。
     日記スタイルで好きなことを書いているといっても、誰かがアクセスして くれることも意識している以上、公式ページの引き写しや新聞記者の書く 当たり前の内容を書いても仕方ない。
     何故面白いのか、あるいはダメなのか、自分の視点から克明に分析して みることは、それで他人に影響を与えようなどとは 思わないが、この作業は 「明日は何を見よう?」という楽しみを確実にレベルアップする。
  • 日本映画入門 - 私も日本の白黒映画を押さえておきたいと思う。黒澤は結構見たけれどまだまだ 色々あるはずだから。
  • 七人の侍を 紹介したページ
  • オフィス北野
  • 江戸川・行徳可動堰改修問題
  • 行徳可動堰の改築は地域住民の意見を聞きながら
  • 利根川治水百周年
  • 市川市航空写真
  • BSデジタルチューナーのランキングなど
2001.4.11
  • 『13ウォーリアーズ』鑑賞 ×〜☆
     1999年/米国作品
     マイケル・クライトンの「北人伝説」原作。
     今から千年ちょっと前の時代、黒海沿岸地域に進出しているヴァイキングの元に 北の同胞から「伝説の魔物に襲われ国が滅びようとしている」という知らせが 届く。
     同胞の危機に立ち上がったのは占いで吉とされた13人。しかし13人目は北人 以外の人間でなければならぬと占われ、たまたま居合わせたアラブ人の詩人 (A.バンデラス)が同行することになる。
     たどり着いた北の国は、魔物の攻撃によりまさに滅びに瀕していたが、助っ人 たちの活躍で魔物もまた、特異な風習を持ってはいるが人間には違いないことが 分かる。
     村人との反目、村の女とのロマンスetc...味方も仲間を失いつつも 村の守りを固め、雨中、数百もの敵の騎馬兵を撃退する ことに成功する。
     しかしそれでもなお敵は圧倒的に多く、敵のねぐらを襲い神と崇められる 「母」と「熊頭の戦士」の二人を倒すことになる。
     潜入作戦で「母」を倒し、最後の戦いでついに「熊頭の戦士」を倒し、 平和を取り戻した北の国を後にバンデラスは国に帰って物語を書き綴る。

     という話だ。
     とにかく、130億円の制作費をつぎ込み壮大なスケールで描こうとしたよう だが、102分の本編のうち冒頭の15分くらいはな〜んにも起こらなくて、絵は 暗くて見にくいし「もうだめ!」と思いつつも「それでも何かあるかも」と 辛抱しつつの鑑賞。
     はっきり言って、この映画を見れば誰でも『七人の侍』と対比する だろうが、黒澤が個性あふれる「七人の侍」が集まるまでの話を丹念に面白く 描いているのに対して、本作はとにかく北の国にたどり着くまでは延々 説明カットの連続で、なんにも面白いこと無い。
     それで、こちらは倍の13人もの戦士がいるわけだから、肝心の戦いが 始まってからも、そのたびに仲間が2人、4人と失われても悲しくもない。
     だって13人のうち影の薄い雑魚キャラから順に居なくなるだけだから、 感情移入が生じる用意がないわけで、命は紙切れのように薄っぺら。
     「ヴァイキング…広くはケルト民族は、再生を信じており死ぬことを恐れない」 という文化的背景は確かにある。だからスクリーンの上で涙が流れる 必要はない。しかし観客にも感動がないというのは、これは人物が描けていない からに他ならない。
     この感覚は話が先に進んでも変わらず、助っ人のリーダー「ブルヴァイ」が 最後に力つきるシーンでもほとんど喪失の痛みが無いんだな。
     このことは、視点がバンデラスで作られていることも大きいだろうが、 彼はあくまでも この物語に巻き込まれた人間で、同じように剣を持っても「立っている位置」 が違うから最後まで12+1人なんだね。だから、痛くない。
     『七人の侍』なら、見る人はきっとあの侍達の誰かと同化して戦を体験し、 最後に「また生き残ったな…」と自分の感覚として呟くことが 出来る。けれど、この話ではあくまで「奇譚に遭遇したアラブの詩人」の感覚 止まりで、最初から死ぬ覚悟なんか無いし。
     「主演俳優が物語の中心に居ない」というこの作り、絶対に失敗している。

     監督は『ダイハード』のジョン・マクティアナン。
     近作の『トーマス・クラウン・アフェア』が結構良かったことを考えれば、 こんなに外す理由は、長〜い原作を100分ちょいに切り刻んだことと、 バンデラスの使いどころを誤ったことが二大要因だろう、きっと。
     私は「バンデラス」だからこの作品を見たわけだけど、全然主役の位置じゃ ないし、見せ場が無いんだもの。憤っちゃうよ。

     130億円の使い道は、広大な北欧の風景のロケ地と建物、そこにつぎ込んだ 人件費に消えたらしい。
     これもなんだか間違っている気がする。
     確かに近年「本物のスケール感」が賞賛された作品は幾つもあった けれど、引きの絵を取るだけなら、デジタルマットでも何でも金の掛から ないやり方はいくらでもあるわけで、今時「360度本物の景色」に価値がある わけじゃない。
     セットだってなにも全部本物の巨大木造建築を作る必要なんかさらさら無く て金の使いどころを間違っているとしか言い様がない。
     自分で飛行機を飛ばしてロケ地探しに二年もかけるんなら、その時間で きちんとキャラの立つシナリオを作って、せめて名前を呼ばれる奴らには どの一人にも、ぐっと来る死に様を用意してやるのが、作家の 仕事ってもんじゃないかと思うね、私は。

     音楽はジェリー・ゴールドスミス。
     大作家だけれど、冒頭のアラブの音楽は「あれ、『ハムナプトラ』?」と 思ってびっくり。名前を確認して「なんだ同一人物か」と納得したけれど、 ちょっと手抜きでは? 北欧のシーンでもまぁ、普通ってことで終わってし まったし。
     この人、米国の国威発揚サウンドにはめざましいモノがあると思うけれど、 この仕事は彼のカラーに合っていなかったのかも。

     音響効果面ではまずまずの仕事をしているのではないか?
     最近は「ドルビーサラウンドと大差のない5.1ch」というアクション物は ほぼ絶滅して、外れを掴むことが少なくなったと思う。

     そういうわけで、バンデラスが出ていなければ限りなく「見て損した」に 近い作品だったけれど、もしかしたら「バンデラスを中途半端な役に据えた から失敗したのか」と思うと複雑な心境になる一本だった。
     何度も繰り返し見れば、各キャラクターに対する愛着が沸いて少しは 楽しめるのか…?でも、そんなに何度も見たいか?それが問題だ。

  • 勢いで『七人の侍』のビデオを鑑賞
     やっぱり面白いわ〜。でも終わったのは深夜で体力の限界(笑)
     最後の戦い直前の雨の中、村人側の精神状態もかなりボロボロで士気が 下がっているわけだけれど、その辛さがひしひしと感じられた。
       三船敏郎(菊千代)なんか、あんなに格好悪いのに、どうしてあんなに 格好いいのかと思ってしまう。
2001.4.10
  • 愛読御礼! 表紙カウンターが140,000ヒットに到達。
     表紙の最終行で"ひっそり"と集計しているが、アクセスが多いとやっぱり嬉しい(笑)
     
  • 『ライムライト』鑑賞(BS) ★
    1952年/米国/モノクロ
     1914年、ロンドンの夏。仕事のない老道化師のカルベロは、同じアパートの 住人の娘をガス自殺を発見し救い出し、自分の部屋で看病する。
     娘は病気で足が動かないことを悲観して死のうとした踊り子だった。
     道化師は娘の足が動かなくなった原因が過去の家族関係から来た精神的な ものだと知り、娘に生きる希望を説き立ち直らせる。
     やがて彼女は舞台で大きな仕事を得るが、道化師の方は観客から見放され 絶望する。そんな時、彼女から愛を打ち明けられるがその状況に耐えきれず 自分から去っていく。
     だが、彼女は彼が大道芸人として生計を立てているところを発見し、 大きな舞台に出られるように計らう。だが、落ち目の彼のために桜を用意 し、笑う場所まで指示していた。
     爆笑に湧く舞台だが、複雑な思いの関係者。だが、アンコールで出した 芸に笑わなかった客が最後の最後に笑ってくれたのだった。しかし…。
     という話。チャップリンの道化師がめいっぱい人生を語る。
     若い踊り子とのロマンスと、芸人としての挫折。とにかく 「甘く切ない」という言葉をそのまま映画にしたような映画。
  • 『古畑任三郎 12』鑑賞(レンタル) ★☆ [鑑賞記]
     面白い!以前のシリーズより演出がスピーディーなのかなぁ?
    ●12-1 市川染五郎 落語の若旦那が先輩からネタを盗む
    ●12-2 真田広之 メディアプランナーが自分の夢を実現しようとして
    ●12-3 松村達雄 日本酒で村おこし。村長の名誉を守れ
2001.4.9
  • 『L.A.コンフィデンシャル』鑑賞(TV) ★★
     ずっと前に録画していたもの。吹き替え版。
     ロスのマフィアの親玉が逮捕されたことによって、新しい利権の秩序を 争って殺人が連続する。
     カフェでの大量殺人にある刑事が巻き込まれた事件で射殺された犯人と おぼしき三人の黒人青年だが、証拠を洗っていくうちに幾つかの矛盾に 気付く刑事たち。
     だが、つぎつぎと新たな殺人が起き忙殺される彼らだったが、 それらの事件に関連があることに気が付く…。
     …まあ、はっきり言って事件は非常に混み合っていてとても数行では説明し きれない。その複雑さを退屈させず最後まで見せるというのはなかなかたいし たものかも知れない。
     ケビン・スペイシー、ラッセル・クロウ、ガイ・ピアースの三人が中心的に 動く刑事たち。それに上司としてジェームズ・クロムウェル、ヒロインに キム・ベイシンガー。
     よくまあ、これだけの役者を揃えたものだと思う。
     面白かったな〜。
     推理ものとしてみると、勿論最初に警官が殺されて「黒人青年が怪しい」 と叫んでいる時点から「こりゃ〜警察内部が噛んでいて、黒人は冤罪臭いな」 とぷんぷんするのだが、そもそもタイトルが「LAの秘密」だから客は 「どんなでっかい不正が隠れているのか」と暴く気満々で見ているわけ だから、序盤から不正の印を臭わすのはとても上手い。
     中盤で事件の謎が深まって、疑問点が膨張拡散していくと、客の気分も 拡散しちゃう。それで「ハッキリしろ〜」とイライラしてきた頃に急転直下 で、事件の尻尾を掴んだ刑事が次々と危険に巻き込まれて大銃撃戦だ。
     全体としては「裏社会の物語」でアクション的には地味だし、推理物と しては謎がごちゃごちゃしすぎている感があるけれど、 事件の謎にイライラしながらもつい最後まで持って行かれてしまうという 映画的な上手さは確かにある。

     絵的にはラッセル・クロウが主役っぽいが、真面目で出世の虫で 嫌なやつのガイ・ピアースが意外に…う〜ん…最後まで性格が変わったと は言い切れないんだけれど、嫌なやつとばかりはいえないな〜というぐらい に変わっていくところが面白い。
     結局警察内部は薄く濁ったくらいの状況のまま、ザラザラしているから こそパワーがあって、純に徹したラッセル・クロウはドロップアウトして いくという渋い流れが作品全体の、ハリウッド映画にしては特異な色合い を象徴しているのかな。

  • 『古畑任三郎 11』鑑賞 ★★ [鑑賞記]
    犯人=緒形拳。古畑サードシーズンの第一話。
     びっくりするほど、演出が違う。演出=鈴木雅之、ホラーでスタイリッシュ な映像。
2001.4.8
  • 地震で時間のずれたNHKの宇多田ヒカルの特番が再放送。
     最近、3Dガンマを修正し邦画DVDで調整したプロジェクターにズバリとは まって感動するくらいのライブ感だ。
     最近ヨドバシカメラ錦糸町店にしばしば行って色々なメーカーのプロジェクター を眺めるが、ライブ物を見ると売場が真っ暗でないだけ、メリハリを付けた機種が よく見えるのだけれど、歌手が綺麗に映っているプロジェクターは引き替えに 直接ライトの当 たっていないバックバンドが真っ黒につぶれていたり、ハイライトが真っ白に抜け ていたりして、ちょうどライブ会場のバックに投影される大画面の中の画質みたい になっているのだけれど、今日の我が家のプロジェクターは、過去最高にモニター 的な透明な質感が出て臨場感最高だ。
     ハイライトはもともと綺麗なVW10HTだが、宇多田の黒い衣装への照明の照り返し や、茶髪の微妙なグラデーションもいい感じ。
     あとで、妻に見せて自慢しよう(笑)
  • 今週も来客。毎週来客があるので部屋が片づく…。
  • ゆとりの新指導要領
     週末のNHK子供ニュースを見たら、その中の小学生の子供が 「学校で教わることがそんなに減って馬鹿になったらどうしよう」と口走っていたぞ(^^;
     理科の教科書を見ていくと「月の満ち欠けの形は二つまで」…教科書に満月と半月しか載ってない、 「昆虫の種類は二種類まで」…せめて表紙に色々な蝶の写真を載せて名前を添えようとしたら削除された とか、凄い話も。
     台形の公式((上底+下底)*高さ/2)が乗っていない件は「自分で考えよう」というコーナーに なっているらしく、これでは教科書じゃなくて問題集だし、わからない子供には絶対わからない。
     この辺の幾何ってパズルみたいで楽しいと思うんだけれどなぁ…。
     「すべての子供に達成感を」と役人は言うけれど、これは達成感以前の レベルで、頭が良い子を不幸にすると思うな。 幼稚園の運動会で手を繋いでゴールインするみたいなもんだ。
     なんだか「未来社会の幻影」が見える。当然現在と比べて偏差値の中心はどっと 下方にシフトするから、エリートを目指すなら義務教育以前から「特別教育」を受けさせる しかない。
     そうすると近代スポーツと一緒で、お金を掛けてシステマチックにトレーニングした 頭脳が、低下しきった一般国民の平均を遙かに越えるようになり、学習塾や有名私立の ブランド化は加速するだろう。
     そうして金と知識のある一級市民と、金も教育もない二級市民があからさまに断絶する 時代がやってこないとも言えないわけだ…。未来は産業革命時代の支配の図式が 復活しているかも知れない。
2001.4.7
  • 『夜の大捜査線』鑑賞(BS) ★
     先日DVDで発売されたばかりだけれど、BSのアカデミー賞シーズン映画で放映された 物を録画していたのを思い出して鑑賞。
     原題は"IN THE HEAT OF THE NIGHT"〜夜の熱気の中で
     映画はタイトルを読み込んだブルースをバックに始まる。
     〜夜の熱気の中で、冷たい汗が額をはいずっていく〜
     と、いささか渋いムードに包まれて映画は始まり、南部の田舎町で一つの 殺人事件が起きる。
     たまたま夜明けの電車を待っていた黒人刑事バージルは、大金を持っていたために 地元警察に捕まってしまうが、この警官がろくに尋問もせずに引っ張ってくるような どうしようもない警官。…というのも、この町に根を張っている黒人差別意識から、 黒人を見たら犯人と思え…とでもいうようなムードが蔓延しているからだった。
     バージルは北部からたまたまこの町に来ていた殺人課の刑事だったが、連絡を 取った上司から「手伝ってやるように」と言われ、偏見と縄張り意識に燃える所長 の拒絶に合いながらも、地元警察を信用しない被害者の夫人の要請もあって、 捜査を仕切ることになる。
     次々と地元警察が怪しい人間を引っ張ってくるがどれも誤認続きで、しかし、 最後に意外な人物が逮捕される。
     というお話。
     全編に渡って、酷い黒人差別エピソードが連続するので、これが些か不快だ。 もちろん主人公が黒人ヒーローなので それをはねのけて格好いいということかも知れないが、田舎警察の あまりの無能振りと相まって、見苦しさばかりが鼻につく。
     真犯人は最初から画面に出て来る人物で、これは推理物の定石だが、 その彼が犯人であることを匂わせる証拠は最後の最後にならないと提示されない ので、その点推理物としてはルール違反である。それに物証が弱いので、最後に 犯人が自白するシーンで事件の全容を説明しているけれど、 「この金はタンス預金なんだ!」って言われたらそれ以上の追求は難しいんじゃ ないかな〜と思うのは私だけではあるまい。
     そういうわけで、この映画は「捜査」よりも南部の黒人問題テーマなんじゃ ないかと思う。
     所長が黒人大嫌いなんだけれど捜査するうちに微妙な友情のような物を見せ ては、また反発するという感情の揺れを細かく描いているところも、ポイント が犯人探しだというわけではないのだと言っているようだ。
     そうしてみると、困ったのはこの邦題なんじゃないか?
     『夜の大捜査線』というものの、バージルは最初から最後までほとんど 一人で地味に調べ回っているわけで、かけらも「大捜査線」などで有り はしない。
     事件も大詰めの夜、エアコンの壊れた所長の家に泊まったバージルが二人で 話しながら、一瞬所長が彼に心を許したかに見え、すぐまた白人のプライドの 鎧に身を固めてしまうシーンこそが一つの山場であり、事件を解決して去って いくバージルを見送る駅で、やっとこだわりのない笑顔を見せた二人の表情 のクローズアップでこの映画が終わることを考えれば、この 作品のタイトルは「夜の熱気の中で」以外にはあり得ないんじゃないだろ うか?
     それなのに「サスペンス風の邦題」を与えられたことで、観客の興味の ポイントをミス・リードしてしまった気がする。
     だから、これは邦題とは裏腹に中身は渋い文芸作品であって、刑事物の サスペンスを期待した人には大はずれ。黒人問題映画として見て、なるほどね、 という作品で、私にとっては、う〜む、という屈折した印象を残す一本で あった。
2001.4.6
  • 『ブルース・ブラザース』購入
  • 『X-MAN』購入/鑑賞 ☆
     意外にアクションやCGが凄いって感じがしない。というのは最近の平均値が 高いからだろうけれど、ストーリーも平板で盛り上がりがない。不思議だ。
     不死身の狼男(ウルヴァリン)と命を吸い取る女の子(ローグ)が 主人公なのだろうけれど、 キャラクターとしての求心力もなんだか弱いし、サブキャラに至っては どれもパッとしないし、超能力バトルも期待したような凄さが無い。

     メイキングでは「見たこともない映像が…」と言っているのだが、 それは誇大広告。
     じっくり考えてみたが、もしかすると日本人はああいう「怪人」の類は 仮面ライダーを初めとした特撮物でさんざん見ていて、超人たちのアクション なんか当たり前に見慣れているからなんじゃないかな?
     だって敵怪人が、謎の首領以下「猫男」「カエル男」「カメレオン女」なんだよ。
     超能力の描写も、目から光線が出る、嵐を呼ぶ、念動力、傷が治るetc.と来たら そこには何一つ新しさは無い。光線が飛び交うのは「さくや妖怪伝」で堪能した ばかりだし、傷がふさがる描写なんてターミネーター2の昔となんら変わらない。
     CGIのつるっとした質感の合成はすでにインフレ化している。
     最もビジュアル的に新しいといえる「ミスティークのカメレオンスーツ」は、 素肌の上にシリコンゴムの鱗を丹念に貼り付けた上にエアブラシで全身を仕上げる という労作だが、 メイキングでは「毎日6〜8時間も掛かるのよ」と自慢しているが、その丁寧 な全身特殊メイクが全身くっきり見られるシーンなんて全然なくて肩すかしだ。
     あれなら基本は着ぐるみでアップの数カットを撮るときだけ上半身メークで 間に合ったんじゃ無いの?と思ってしまう。役者は毎日苦労したのにお気の毒と 言うべきか。

     一方、アクションの要素はと見ると、超能力者の中には単に、キック、パンチ、 跳躍etc.が超人的であるという特性も含むため、力業も多用するが、これも カンフー映画でやり尽くしたアクションに遠く及んでいないし、せめて 『マトリックス』ほどに爽快でもない。
     この程度の殺陣ならば、いっそサイキックなバリバリ合成で肉体感が 無くなるほど演出してしまえば良かったのに。今時生身のジッエト・リーでさえ パンチをぶち込むと骨までしびれるんだから。

     監督のコメントを見たら「差別と偏見を描きたかった」とか言っている。
     なんだと?
     確かに地域社会で超能力者が阻害されるシーンはあるが、アメリカでは今でも 人種差別が深刻だとか、そういう社会的主張をこんな娯楽作に織り込まれても 今更だし、議会での「ミュータント登録法」に関するやりとりのシーンも、 真面目に描けばそれなりに迫力ある物語になりそうだが、「反ミュータント」 の議員が勝手にまくし立てる一幕があるだけで、当事者(ミュータント)との心に訴える ような切実なやりとりなんて欠片もない。
     あれは、単に敵役に政治家を用意するための説明カットに過ぎない。
     そういう法律が成立し掛かった社会背景を背負ってはいるが、議会のシーン以外に ミュータントと一般人の摩擦を描く絵は無い。それで、どうやってミュータントの 社会的な立場を描いたつもりなのか?
     結果として新しさ無し、アクション無し、深み無しの無い無い映画だ。

     ひょっとすると「力への恐れ」を卑近な人権問題なんかに置き換えたことが 最大の間違いなのかも知れない。
     超能力者の存在は「マイノリティーの保護」問題とは全然違う。
     『アキラ』で描かれた超能力の暗部のどろどろ感や、それを取り巻く人 の恐れや社会現象の描写がここには無い。
     『ガンダム』のように「ニュータイプによる支配」の要素もあるが、 悪役があまりに社会から逸脱していて現実との接点を喪失しているから 支配される未来にリアリティーが無い。「異形による支配」という意味では 『ゾンビ』映画や『デビルマン』の原作の様な恐怖が描ければポイントに なったろうが、議員が一人失敗して溶けただけで、身近に恐怖が迫り来る 怖さはない。
     超能力者故に社会から逃避するローグは、放浪初心者で早々に仲間に 拾われ、十数年間の孤独を感じさせるよりは「ただの人恋しさ」のサイズの 悲しみしかなく『クロスファイア』くらいに怒濤の不幸と、能力を使うこと の美学が感じられれば「彼女がヒロインだ」と認めてやっても良かったのだが、 ここでは小娘のままだ。
     やたら大勢の超能力者が出てくるため、過去が描かれているのが敵役の 首領だけというのは確かに弱みだ。
     とにかく、あらゆる点で不発の映画。 いっそ「アメコミヒーローがガンガン敵をなぎ倒す」に専念すれば爽快だった かも知れないのに。

  • 「古典教養そこつ講座」夏目房之介/文春文庫
  • 大阪で犬が死んだ毒薬事件の薬品は農薬で、1000〜2000倍に水で薄めて使うものだそうだが、 それが毎年700トン作られているんだって。
     そんな凄い毒がそんな大量に使用されているとは、ダイオキシンetc.どころじゃない んじゃないかね〜。 焼却炉がどうのこうのと莫大な予算をかける前に農薬を減らさないと、なんだか怖いよ。
  • 富士フィルターのページ  色フィルターでプロジェクターの補正をしようという話は時々見かけるが、ずばり 水銀灯の補正をするためのcc/ccフィルター(40M+5R)というのを被せたらどうだろう?
  • 4月に入ってからsonyの業務用機器が続々出ている。 (プレスリリース)
     家庭用機器も開発してくれ〜。
  • 業務用だけれどめっちゃ格好いいプロジェクター新発売とにかく、SF的デザイン。
  • 筍ごはん
  • 5/19に『ひかりごけ』というDVDが出るらしい。男性の俳優の名前がずらずらと 並んでいるのできっと「あの」ひかりごけだろう。映画になっているとは知らな かったが、暗いぞ〜きっと。
    出演:三國連太郎/奥田瑛二/田中邦衛/杉本哲太/津嘉山正種/笠智衆
  • 7/25 HERO DVD BOX発売6枚組22,800円(日本ビクター)
     3枚組、12,000円にすべし。なら買うのに。
2001.4.5
  • 『超時空要塞マクロス 5,6』鑑賞(レンタル) ★
     マイクローンスパイが亡命してきたり、ミンメイとカイフンが 怪しくなったり、みさとひかるが進展しなかったり…
     この辺になると、敵は「修理する」という文化が無いことが 露わになって、ブリッジのガラスなんか壊れっぱなしで侘びしい。 要するにゼントラーディは「破壊」しか知らないということなのだろうけれど、 そこはかとなく「哀れな巨人たち」という感じが漂う。
  • 『風の谷のナウシカ』のLD再見
     初期のジブリ作品のLDの品質の悪さは有名なことだが、よく見ているとこのLDは カットごとに画面の中心が上下に行ったり来たりしている、かなりの幅で。
     最近のニューテレシネなビデオ版ではどうなっているのだろう?
     久しぶりに本作を見たが、話の中ではかなり大勢、ガンガン死んでいる。 「自然を大切にしよう」という内容から優良映画に指定されているみたい だけれど、ジブリ作品の中では一番たくさんの死人を作っているかも。
     冒頭の死んだ村、ペジテの大型機墜落、 風の谷の戦闘で王様を含む双方に少なからぬ死者、トルメキアの飛行艇多数撃墜、 ペジテ市壊滅、オームの群に大量殺戮光線…。
     出血描写は確かに少ないかも知れないけれど、実は大変なことだ。

     他に人が死ぬことがストーリーに大きく関わる作品というと、 『ラピュタ』で「人が虫のようだ!」と叫ぶシーンをのぞくと『もののけ姫』 までは皆無なのではないかな?
     もののけ姫の予告編で「宮崎駿雄の凶暴な情熱が…」と言っていたが、 これを我慢していたのかぁ(^^;
2001.4.4
  • NHK「そのとき歴史が動いた」で『風と共に去りぬ』が取り上げられた。
     当時の大恐慌時代を吹き飛ばそうという制作者の熱意から企画されたとか、 スカーレット・オハラ(=ビビアン・リー)の女優が決まらず、撮影が二年も 始まらなかったとか、脚本が完成せずに何度も中断したこと、黒人の人権問題に 配慮して色々脚本を変えなければならなかったことなどの話。
     じつは、豪華な邸宅の天井部分は今で言う「マット画」だったことなど、 貴重なメイキング映像を交えて解説。
     スカーレット役のカメラテストのフィルムなんてものも残っていて、 「なるほど、こいつらは不合格になって仕方ないな〜」なんて無責任に 見たり(笑)
     そして、スケジュールの都合で主役未定のまま大炎上シーンの撮影に入って 燃えさかる炎を撮ったプロデューサーに後ろから声をかけたのがビビアン・リー で、真っ赤な炎に照らされた彼女をみたプロデューサーはその場で彼女しか居ない と決めたこと。など。
     ほんとかね〜、出来すぎたエピソードだと思うけれど、彼女がその タイミングの演出効果を狙ってプロデューサーに挨拶に訪れたのなら、 それはまた凄い話だと思う。
  • 『略奪された七人の花嫁』鑑賞 ★
     ずっと前にBSで録画して途中まで見て放置していたラストを鑑賞。
     7人兄弟の長兄が町で嫁さんをもらったのを羨ましく思った弟たちが町で 嫁さんを捜して仲良くなるのだが、結局町の男に取り返えされてしまう。
     そこで、兄弟は「ローマ時代の昔から男は敵から女を奪い取るもの」 とか理屈を付けて町から娘たちをさらってくる。
     当然追っ手が掛かるが途中の峠で雪崩を起こし、兄弟の住む山奥の小屋は 下界と孤立。逃げおおせて冬を越す。
     最初は雪の中で泣いて暮らしていた娘たちも、春の訪れまでにはすっかり 仲良くなり銃を手に娘を取り返しに来た親たちの前で結婚式を挙げる。
     という話。
     音楽は記憶に残るほどではないにしても、耳に気持ちの良い曲だし、なにより、 斧を振り回して踊ったり、牛や豚、鶏の親子をめでながら愛を語ったりする という、超カントリーなミュージカルは他にないのでなんだか楽しい。
  • ゆとりの新指導要領(朝のニュースから)
     小数点はヒトケタ同士の計算しか教えないとか、円周率が3だとかいう話。
     たとえば小数点のかけ算なら「ヒトケタの計算を教えれば二桁以上は応用で考え られるから必要ない」んだと。その応用の仕方はだれが教えるんだい。2ケタ、 3ケタと練習するから応用力が身に付くんじゃないのか?
     さらに、応用を教えるのが先生の裁量に任されるとなれば、先生の技量によって 今まで以上に学力に差が開き、学校で出来たゆとりは塾通いで帰宅が遅くなることに すり替わるんじゃ無かろうか?
     我々30代後半の人間の義務教育がもっとも「詰め込み教育」だったらしいのだが、 若い人と話をすると「なんでそんなことを知らないのか」と思うことが頻繁にある。 「○○の授業、居眠りしていたんじゃないの?」だが、そもそも習わなかったと言 うことが多々あるわけだ。
     小中学生の頃は、なんでも詰め込めばいくらでも頭に入る時期だ。私は小学生の 時に理科系の本なら何でも、さらに百科事典(2種類)を丸ごと読んだものだが、 そういう知識に対する渇望が今の子供には無いのかな〜、怪獣や車の名前とか 無駄なことまでどんどん覚えるのが子供のはずだよ。
     学校で知識を教えないから、勉強したいやつは塾で受験対策を詰め込む。ますます 物事の本質から遠ざかる。日本はきっと駄目になるよ…。
     学級崩壊だって、簡単なことばかり教えているから授業が退屈で先生が なめられているのではないかな。難しい内容をがつんと教え込めば先生を 尊敬するかもよ…。
2001.4.3
  • 『古畑任三郎 10』鑑賞(レンタル) ★ [鑑賞記]
     SMAPが犯人SMAPを演じる。
     草薙君がコンサート・スタッフにゆすりにあい、他のメンバーが協力して 楽屋裏で殺し、自殺を偽装する。
  • 『五条霊戦記』鑑賞 ★★☆
    監督:石井聰亙 製作:仙頭武則 脚本:石井聰亙/中島吾郎 音楽:小野川浩幸
    出演:
    遮那王(義経):浅野忠信、 芥子丸(義経の影武者):細山田隆人、 剛人(義経のボディーガード):成田浬、 少進坊:鄭義信、
    武蔵坊弁慶:隆大介、 鉄吉(刀マニア):永瀬正敏、 阿闍梨(弁慶の師):勅使河原三郎、 湛塊(弁慶のライバル):船木誠勝、
    平忠則:岸部一徳、 朱雀法眼:國村隼、 聖:光石研、 朝霧:粟田麗、

     この作品は既成の「弁慶と義経」の伝説にとらわれず、源氏の再興の足がかり として平家の侍を次々と切り倒し、都で鬼と恐れられた若き日の義経と、 不動明王のお告げによって「鬼退治」を使命と考える破戒僧、弁慶の 壮絶な戦いを凄まじい殺陣で映像化した。
     東北の山中の原生林にロケを敢行し、平安時代の京都の暗い夜、都の外れの 無宿人たちの集まる掘っ建て小屋の凄まじさ、魔の潜む森…そういう中世日本の 呪術的暗がりが画面に描き出されている。地元からはかなりの協力を得て 作られたというセットの建物や小道も本当に年月を重ねたかのようだ。
     メインである五条大橋も本当の山の中に造られ、おとぎ話に出てくるような 朱塗りの美しい橋ではなく「この橋の先には魔の領域がある」とでも 言いたげな朽ちた橋になっている。 それも、平安時代の現実を考えるとリアルに感じられる。

     ストーリーは、人界に降りた二人の鬼、義経と弁慶が宿命的に戦わねば ならない情念に突き動かされて剣を交え、そこに時の権力者 平忠則の思惑や、無宿人(平安都市周辺部に住まう平民)鉄吉、湛塊、朝霧 らの生き方が絡む。
     戦わなければならない宿命を負うた男たちを描くのに、言葉は非常に 少なく、セリフで 物語を読みたい観客は完全に置いて行かれるだろう。しかし、主役の浅野忠信、 隆大介らの強烈な存在感が、彼らの内面の衝動と葛藤を網膜に伝えてくる。
     脚本にはもっとたくさんのセリフがあったのだと言うのだが、言葉を そぎ落とし、ハイスピードな映像で繋いでいくことによってセリフの芝居では 表せないほどの感情の高ぶりを伝えることに成功している。
     弁慶を救った高僧師阿闍梨役の勅使河原三郎ら、心、宗教の側面から物語を 支える役者たちも、葬式坊主ではなく心と肉体を鍛え抜いた「修行者」として の厳しさがにじみ出て、刀を持つものも気押されるという迫力を本当に発している。
     武芸者に修験者、争いに巻き込まれつつ生きる市井の男女。彼らの発する リアルな気に満ちた画の中に、飛び散る 血しぶき、坊主の精神世界が宇宙空間から護摩壇にスーパーズームする、 血のような太陽etc.のケレンに満ちた映像が一瞬挟み込まれることで、 幻想的なイメージもかき立てられる。
     sfxが多用されていることはもはや売りにならない時代の映画として、 合成のテクニックはこれ見よがしでなく自然だ。しかし、本物の空気感を 求めて東北の山奥にロケ地を求め苦労した成果は出ている。まだまだ 本物の価値はある。
     特筆すべきSFXカットは目白押しだが、笑ってしまったカットが一カ所 だけ。魔の森で弁慶が気圧されて目眩を催すシーンで、視界がぐるぐる 回り出すのだが、本当にぐるぐる回している。つまり、大きな回転台を 組んでその上にカメラと役者を乗せて「が〜」っと回しているのだが、 涼しい顔の義経がガクンガクンと揺れまくっているので 「必死で踏ん張っている首から下の姿」が浮かんで微笑ましくなって しまうのだ(^^; これは弁慶の心の目に映った義経なんだから、リアルな 踏ん張りがバレてしまう撮影は変だった。
     火矢を切り落とす義経は合成。切り結ぶ刀から飛び散る火花も合成 だが、この辺は見事な映像美になっている。
     義経は「倒した相手の能力を己のものとすることが出来る」という 設定である。
     そのため、最初は普通の日本の剣術だったものが、敵方の中国の二刀流の 剣士を倒した後で、彼の剣を身につけ京劇に良くある「二本の剣をびゅんびゅん 回転させつつ迫る」剣法を使うようになる。これが結構華麗でもっと見たいと 思うような殺陣である。
     隆大介の武蔵坊弁慶の素晴らしさも、この映画の重要な見所だ。
     『踊る大捜査線』の本庁デカの端役だったときのスーツ姿からは 想像も出来ない、もの凄い気を発して鬼を演じている。女子供も殺す 極悪の無頼漢だった昔から、阿闍梨に拾われて修行した人の世の無情を知る 僧形のものとしての武蔵、義経を倒すために鬼となる武蔵。そのすべての カットに言葉が不要なほどの存在感がある。
     さらに、五条大橋の対決シーンでの「アーマード弁慶」は、仁王像を 彷彿とさせる姿でラストを盛り上げる。
     阿闍梨の力をも我がものとし、最後まで無の境地の目をした義経と、 怪しい高みに上り詰めてしまった弁慶が最後に見つめ合う視線が、どうにも 怪しい。怪しすぎる。でも、この話の決着として派手に散る二人の心情とし てはそれもありかも知れないと言う説得力はある。「試合の後で手を取る」 みたいな心情がもうちょっと純化したような…。

     サウンドも重要な仕事をしている。緻密なリアリティーだけでなく、 心を表すような音もあるし、 音楽もまた、黒澤映画のような重みと現代的なビート感が絶妙に解け合って 映画のスピード感をかき立てる。
     現代物と違って、爆発も、銃器も、ヘリ、戦車の類もないのに映画全体は 実に「音が与える重量感」に満たされている。
     本当は無音に近いシーンもたくさんあるのにそれが無音に 感じないのは静かなシーンにも高いテンションが漲っているからだと思う。 音と音楽の使い方がこれほど格好いいと感じるのは「予告編」では最近 多いことだが本編では希なことだと言える。
     とにかくこの映画はストーリーのあれこれについて語る気にならない。 平安の闇を体験する、イメージの奔流のような作品なのである。
    ●このDVDは劇場公開版のDD5.1ch音声に加えて家庭で楽しむためにと完全リミックス された6.1ch音声が、DD-EX、DTS-ES、の2種類の方式で収録されている。(さらに 音声解説もある)。
     音声解説によれば、劇場の方が家庭よりライブだということを考慮して音を 作り直したというので、恐らく派手めになっているのだと思う。だが、非常に凝った 立体的な音を作っていて目まぐるしいかと思うと、絶叫系の映像の背後に音楽 だけが入っていたりして「引くことによってその先を激しく見せる」という 手法を使ったり、逆に音楽なしのSEだけにしたりと、音の演出は大変凝って いて派手なだけではない。緊迫した心理状態を表すかのように、大音量で 鼓膜を圧迫する純粋な低音も効果的。
     監督が「近所迷惑になるぐらいの音量で聴いてください」と言うように、 ダイアログをはっきり聞き取るためにはSEの音量が大きくて、勢い大音量で 聴かざるを得ないと言う感じだが、それなりの効果はあると言える。
    ●DVDパッケージは、通常のトールケースに本編/特典の二枚のディスクが入っ ていて、二枚目は 通常の見開き右の内側に、一枚目は中に蝶番で止められた板に固定されている。 こういうパッケージは初めてだが、最近、FOX系の特典二枚組ディスクがやたら 場所を食うという批判に答えているのかも知れない。(お客の声もさることながら 販売店だって場所をくって大変だろうし) とりあえずgood.

  • 五条霊戦記の遮那王に首をかっ斬られ隊
  • 掲示板
  • ストーリーなど
2001.4.2
  • 『羊たちの沈没』鑑賞(レンタル) ★☆
     もちろん、『羊たちの沈黙』のパロディーなのだが、主役がなんとビリー・ゼーン (タイタニックのキャル)だというので思わず借りてしまった。結構色物映画に 出ていたという話は聴いたことがあるが…。
     膨大なホラー映画のパロディーが披露されるが、中にはホラーと関係なかったり MTV系のポップスの某有名ミュージックビデオからのパロディーなどもあり、 所々に有名人のそっくりさんが参加していて目を疑ったり、パロディーとは関係 ないところで、わかりやすいべたべたギャグなども出てくるので、たぶん 映画オタクでなくても爆笑だろう。
  • 米国の偵察機が中国の領空付近で中国空軍機と接触事故。
     電子的な探査能力満載のはずの偵察機が戦闘機にぶつかるなんて、それで 戦争が出来るのか? 中国は「偵察機が急に曲がってぶつかってきた」と 言っているが、どちらがぶつかったにしても粗末な話。たぶん人為的ミス という点で潜水艦事故と大差ないぞ…。
     ちなみに、この偵察機は中国近傍を飛びながら電波傍受なんかをするのが 任務らしい。
     ところで、米軍は「落ちた飛行機の中をさわっちゃ駄目」と言ったらしいが、 自分の家の軒先に落ちてきた盗聴セットを手つかずで返す国があるだろうか。
  • プロジェクターのランプ時間が1900時間に。
     明るさは減ったが、まだまだ行ける? ランプ時間に対して点滅回数が少ないのが 良いのかも知れない。
  • 1,800映画ポータル - なにが1800?
  • 公式サイトなどへのリンク集
2001.4.1
  • 好天。花見日和。
     午後から市川駅前から歩いて回れる桜の名所をしらみつぶしにする。
     文学の小道〜真間川堤〜真間山しだれ桜〜里見公園
     里見公園には発電機持ち込みでカラオケ大会をやっている連中がいて あきれるが、あまりの混雑のせいか桜も何もない江戸川の河川敷で 宴会を開いているグループが多数いるのには驚いた。「花見」なんか どうでも良いってことか(^^;
  • 江戸川の河川敷をみると、あちらこちらに転々とTV、冷蔵庫、エアコンが 廃棄されている。リサイクル法施行前に業者が集めて問題にならない程度に 分散して捨てているのではないか?ひどい話だ。
  • 某掲示板のエイプリルフール書き込みで「WSJ(ワーナー・スタジオ・ジャパン)」が オープンという記事があった。
     もっとも気に入ったネタが「雨の日だけ行われる"雨に唄えばパレード"」という もので、その光景が目に浮かぶ。パレードって雨が降ると無くなってしまうから、 こういう企画があったらいいなぁ。
     その他は『パーフェクト・ストーム』『マトリックス』『風と共に去りぬ』など。
  • 妻は前々からオーストラリアにあるという『タイタニック・ツアー』に行きた がっている。
     これは、入り口で一等船客ツアーと三等船客ツアーに分かれて二度楽しめるという 趣向らしいが、マジだろうか(^^;;
  • FSJは欲しい
     『タイタニック』といえばFOX、FOXといえば『スターウォーズ』だが、これは それっぽいのがディズニーランドの「スターツアーズ」にある。それらしい サイド・ストーリーみたいになっているのが良いところなんだと思う。
     スターウォーズの乗り物なんかすべて面白そうで、映画全編「体感シアター」 にしても遊べると思うが、二時間座席を振り回されたら、たぶん死んぢゃうので ボツ(笑)
     アスレチック系の「エントラップメント・トラップ」は、妙齢の女性限定。
     レストランは、タイ料理二種(アンナと王様/ザ・ビーチ)、フレンチ(タイタニック・ディナー) アメリカ下町料理(ソウル・フード)、パスタ・ハウス(エイリアン)などなど。
     「パスタハウス・エイリアン」は客の中に食事中に胸を押さえて倒れるキャストが 紛れ込んでいて盛り上げる。くぼ、げぼぼ…(^^;;
     居酒屋系と言えばやっぱり、「モスアイズリー・スペースポート」の例の店か、 タイタニックの唄って踊れるケルティック・バーですね。
  • インプレスの嘘ニュース - 昔はASCIIが4/1版を出していたが、それに近いノリだな。
     顔文字をJISで制定というニュースがあるが、米国では「顔文字で特許を取得」 というニュースがあったはず。偶然の一致か?

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文:唐澤 清彦 映画館がやってきた!