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脇の人間が二人も死んだことと、直希が生死不明になったことは、もう少し
救われなかったかと思います。
まあ、最近は「そんなことで人を殺すのか?」というような些細な動機による
殺人が現実世界で頻発してしまい、推理小説作家は「やってられん」と思うで
しょうが、それでも、ドラマの中で人が死ぬのは本当にどうしようもない時
だけであって欲しいな。
全体的に見ればとても面白かった。役者も良かったし。
不満な点は、「国分の仕返し」が何年かに一度刺しに来るなんて、単純な物で
良かったのかということかな。もっと凄惨極まりない仕返しを考えられなかった
ところが、「根は善人な国分さん」って理由だったら腰砕けかも。
まあしかし、主人公の美那子にとってはあまりにも悲しすぎる結末で実の
父親が側で見守っているとはいえ、こんなに次々と愛する物を失う悲しみを
負わされるなんてのは、見ていても辛いとしか言いようがない。
危うく寝込んで会社を休むところだったぞ(苦笑)
基本的に、このドラマでは『関係者一同が事件当夜、短い時間に前後して森田家に訪問した』
ことは間違いないと思われる。
各登場人物は、現場で惨事を目撃したために、互いに真犯人について憶測を持ち、
それぞれの思惑で行動しているため、視聴者は惑わされている。誰も彼もが怪しい行動を
とっているのはそのためと思われる。
そして真犯人は別にいる。
キャルの愛情表現については、「不器用であった」としか言えない。
「僕はお金持ちだから何でも買ってあげるよ」という表現も、長くつき合って本当の
ローズを知ることが出来たら変わっていったのかも知れない。時代だって変わるし。
ローズの駆け落ち発言以降のキャルの行動を見ていれば、体面第一の行動であれば、
ローズの絵を警備担当者に見せない気がするし、ローズが決定的に不倫(実質的に)を
働いていることがわかっても、なお沈んでいく船の上で、必死にジャックの手から
取り返して、ボートに乗せようとはしなかっただろう。
もちろん「お金をつかませているから自分は大丈夫」という計算はあったろうが、
それにしても、あの状況下であそこまで出来たのは、立派。
最後はピストル持って追いかけ回して、捨てぜりふの一つも言ったとしても、
救助された後ではやっぱり、ローズを探しているのだし。
すれ違いの愛ではあっても、彼なりに真剣であったことは認めてあげて良いと思うな。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |