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私見では、リヤSPが無い場合、PRO LOGICソフトはバーチャル3D処理するよりも 2ch STEREO再生した方が良いと思います。
また、DS無しのただの2CH STEREOにPRO-LOGIC処理するとかえって音場が狭まりますが、 これはいわゆる「方向感強調回路」のためなのでしょう。
わが家のセットアップは、
FRONT :LARGE
CENTER :SMALL
REAR :SMALL/BEHIND
SUB WOOFER:YES
としています。
CENTER:+4.5 → +5.0
REAR :+5.5 → +6.0
LFE :-6.0 → -5.5〜-4.5
全てのスピーカーの音量がフラットになるためには、左の数字ですが、セリフの
明瞭度、サラウンド感のUPの為に右のようにほんの少し強化しています。
センター/リアが無い場合、この設定値は無視されるようです。
とにかく、センター/リアの小型SPは能率が低く、こんなに上げないと聞こえないの?
というくらいです。(メインの能率が高いとも言うかな)
また、DD再生では、全チャンネル音量フラットが前提ですが、DS再生では、
それよりさらに+1〜3db増加させた方が、サラウンド感が明確になります。
ソフトの再生時には、リヤに耳をくっつけて、音は出ていますか?
"DOLBY"モードでは、ノーマル/エンハンスとも、気を付けるのはこれだけだと
思います。
後ろのスピーカーに耳をくっつけて音が出ていること、その音量が確認できたら、
あとは、ソフトの出来によるところが大きいと思います。
以上3モードですが、バーチャル・マルチ・リヤ / リヤ・シフトは、微妙な効果なので、
びっくりするような効果を期待してはいけないと思います。
カタログにも「ピュアオーディオ的アプローチ」と書いて有るくらいで、あまり
変わったと思うほど効かすのは、(3D以外でも)逆効果と思います。
さて、エンハンス・サラウンドはフロントだけでリアに音を回す効果ですが、これ
はパイオニアのLDなどに内蔵されているSRSより圧倒的に効果があります。
私はDDのロゴ・サウンドなどで確認していますが、斜め後ろくらいまでには音が
回り込みます。
バーチャルの場合、スピーカーの設定を、フロントオンリーする必要があるかについて、
これは、3Dの中のモードを切り替えていくと"バーチャル・エンハンス・サラウンド"
に出入りするときにアンプの中で「カチッ」という音がするでしょう?
つまり、自動的にリアのアンプはOFFされるみたいなので、セットアップの変更は
いらないと思います。
3Dのバーチャル・エンハンス・サラウンドでは、EFFECT量は、フロントに対する
リアの音量です。
大きくしすぎるとかなり奇妙なことになりますが、まあ真ん中へんから試して
みるというものでしょうね。
その他の設定は、"DOLBY"モードの時の注意と変わり有りません。
・結線
まず、2CHステレオの状態での定位感はどうでしょうか。(C-SP無しで)
映画のセリフが画面中央にピンポイントで定位しますか?ジャズやクラシックなどの
生音系のCDや、FMのニュース(モノラル)などでも良いと思いますが、センターにある
べき音がビシと決まるでしょうか?
これが広がって聞こえると、スピーカーコードの+/-が逆相になっている可能性が
あります。なにせ、AVアンプは何十本ものケーブルを繋ぐので、中には間違いだって
あると思います。私もビデオのIN/OUTを逆に繋いで悩みました(笑)
念のためしつこく調べた方が良いと思います。
センター/リアも同様ですね。
・設置
ホームページの「スピーカーセッティングの微調整」
にも書いていますが、置きかた一つも、サラウンド効果を引き出すには厳密さが
いります。
でも、基本は2CHです。
最初に、座る位置は固定します。
バーチャル××は、頭や耳たぶの回折まで計算に入れたモードなので、
顔の向きを変えただけで効果が変わります。
基本は、「二等辺三角形の頂点」ですね。
結果から行くと、FRONTは、耳の高さにツイーターが来て、しかも
内側に振って、垂直に音が耳に届くように(わが家ではしています)。
リスニングポイントで、スピーカーの側面が見えない状態ですね。
PRO-LOGICのソフトを2chで聴いても、スピーカーの設置が完璧なら スピーカーの外にまで音が広がります。逆に言うと、2chで広がりがないと リアSPを用意しても、後ろから音はしますが、サラウンド感としては物足り ないと思います。
BOSEのように、壁の反射を使うスピーカーも有りますが、バーチャル3Dは
特に、反射ゼロの状態で本来の性能を発するはずです。スピーカーを内側に
振るのも、左右の壁からの反射を避ける意味合いが大きいです。
物の少ない部屋だと壁からの反射が、サラウンド感にダメージを与えている
ことも考えられます。
スピーカーの位置で手を叩いてみて「パン」と固く短い音でなく、「ビン」と 濁ったり「ビーン」と尾を引くような音がする場合は、要対策ですね。
スピーカーについては、以上です。
以上のように、ソフトの効果、アンプの設定、スピーカーの配置など、
沢山の要因がからむので、一口にサラウンド感が無いという悩みを
もつ方々も、一つ一つ
地道に潰していくしかないですね。頑張っていい音が聞けるように祈って
おります。
1.クロスオーバー周波数(8kHz)付近に周波数特性上の大きなピークがある。という、癖の多いスピーカーです。
2.80-1kHzの帯域の基音に対する低次高調波が強烈に出ている。
ここで、バーチャル効果の原理を考えると『厳密な位相と音量』が必要です。
ところが、クロスオーバー周波数付近の周波数特性の山、谷はおそらく位相の乱れも
含んでいるはずですし、低次高調波(余計な倍音の付加、音色の変化)は、本来聞こえる
べき倍音とぶつかり、強調や打ち消しを起こして、バーチャル3Dの為にDSPが計算して
付加した微細な音をぐちゃぐちゃにかき消してしまっていることが想像されます。
結論として、
3D効果は「モニター的にきっちりとした音を出すスピーカー」と、 「癖のあるスピーカー」では、同じ条件で設置しても効果に雲泥の差が表れる。と言えます。今回使用したスピーカーをリアに使用していた場合も、フロントで バーチャルするのに比べて「マルチリア」や「リアシフト」の効果が弱いことに ずっと疑問を持っていましたが、フロントと同じ条件での比較によって、 「他の条件を同じにしてもスピーカーが違うと莫大な効果の違いがある」 ということが確認できたと思います。
文:唐澤 清彦 | 映画館がやってきた! |