スピーカーセッティングの微調節


 ここまでで、基本的な接続と、AVアンプ(SONY "TA-V88ES")の基本的な設定を
終えました。ちょっと落ち着いて、色々な映画を見ながら(仮設置状態だった)
サラウンドスピーカーの設置について考えました。

●フロントスピーカー

 SONYのSS-A5 このセッティングは基本的には従来の2チャンネ ル・ステレオ時代と何ら変わるところはありません。オーディオ指向と言うより は音楽指向の設計のスピーカーですが、低音も高音もたっぷり鳴ってワイドレン ジな印象です。  セッティングのポイントは、前のシステムでステレオで映画を楽しんでいたと きに「トゥルーライズ」の画面左右に飛び散る薬挟の金属音が綺麗に広がるよう に、と苦心したときの結論、  「リスニングポイントに垂直になるように内側に振る」という方法そのままで す。  これによって明らかに定位感が改善されたのは、壁からの反射音が届かな いうちに直接音が耳に入る割合が増すからだと思います。  ゆったりと音楽を聴くには、部屋の響きを生かした方がよいのでしょうが、 音のリアルさを考えたら、キーワードは「ダイレクト」でしょうね。  ちなみに、トゥルーライズはドルビーサラウンド(PRO LOGIC)です。  一度ドルビーデジタルの音を聞いてしまうと、実に物足りなくて悲しいです。 重低音がバリバリ言っていただけで感動していた昔が懐かしい(^^;;  LDではドルビーデジタル版が発売されていますので、DVDによる再発売を待っ ています。

●リアスピーカー

 パイオニアのSS-T7。設置の話で説明したとおり、部屋の隅、天井近くに取り 付けました。  その状態でアンプのパラメータを調節したときは[+6.0db]の設定だったのです が、フロントと同じようにリスニングポイントに垂直に角度を再調節したら、 [+5.0db]で、他のスピーカーと音量のバランスが取れるようになりました。  わずかな角度の違いで1.0dbの音量差が生じていたとは、意外でした。  もちろん、背後からの音も一段と明瞭感が増したのは言うまでもありません。 確かに後ろから音のする感覚です。  考えてみれば、人間の耳は前から来る音の方に感度が良くできていますから、 リヤスピーカーから出て一旦前方の壁で反射した音を聴いてしまう可能性もある わけで、直接音をしっかり聴かせるためには、きちんと「耳に向ける」 必要があるのでしょう。  ドルビーデジタル以前のサラウンドでは 「サラウンドスピーカーの音を壁に反射させて広がり感を得る」という方法も 紹介されていましたが、単なる「包囲感」ではなく明瞭な存在感を引き出そうと するドルビーデジタルには、別の発想が必要と言うことでしょう。  また、広がり感の演出については、AVアンプの側がデジタルで残響付加の機能 を持っています。これを生かすには、スピーカーからの直接音だけ聴かせて、 部屋はなるべく響かないことが必要です。  一般的な音楽録音でも同様ですが、部屋の響きと、人工的な残響処理が重なり 合うと不自然な音になりがちです。  目の不自由な人は音だけでかなり周囲の状況が分かると言いますが、普通の人 でも、耳から周囲の空間の形状や障害物の有無を聞き取っています。たとえば コンサートホールでも、二階席の屋根の下や壁際の席で天井の低さや壁の存在を 響きの違いとして感じるのは誰でも実感できると思いますが、普通の室内でも壁 からの反射音で、部屋の広さ(狭さ?)を感じてしまいます。  だから、スピーカーからの音は、直接耳に届くように。部屋の響きは耳に入ら ないように。が大切なんですね。

●センタースピーカー

 パイオニアのSS-T9。カタログや雑誌でセンタースピーカーは、よく床にじか 置きしている写真を見かけるので、設置方法は後から考えようと思ってました。  一応、耳を直撃の原則から、(すっかり使わなくなった(^^;)ダンベル   ◇ を使って、斜め上を向けて設置しました。        側面図→  ○=○  しかし、スクリーンの下端が床から50cm以上有るので、どうしてもセンターの 音が下がって聞こえます。(役者が床でしゃべってる感じ)  これは良くないということで、スピーカースタンドの自作も考えたのですが、 結局市販の黒い箱を買ってきて、膝くらいの高さに持ち上げて使うことにしまし た。音響的に箱は好ましくないのでしょうが、とりあえずダンベルで目方をかけ て中の空間はCDを入れて塞いでいます(^^;  そんなものでも、ほとんど不自然さは解消されてぐっと自然な音になりました。  しかし、理想的には映画館のようにスクリーンの裏にスピーカーを置きたいく らいですね。

●サブ・ウーファー

 ヤマハのYST-SW150。単に部屋の隅に転がしているだけで何の工夫もないので すが、とりあえず直置きではなく、約3cm角の木のブロックで四隅を支えていま す。効果のほどは…(?)  いくら重低音の方向性が曖昧だからと言っても、本当はLRのスピーカーの間に 設置した方が良いに決まっていますが、インテリアとの共存を考えれば、そうい うわけにも行きません。妻の嫌がる顔が目に浮かびます(^^;  まあそんなわけで、わが家のスピーカー設置は決着を見たと言っていいでしょ う。実際は一月ぐらいあれこれいじり回していたのですが。

次回は『デジタルシネマサウンド』の巻きです
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