映画の音声方式
映画用の音声フォーマットについてまとめました。
[D]ドルビー・ステレオ
[SR]ドルビー・スペクトラル・レコーディング
■L ■C ■R L+C+R +S(サラウンド)の4チャンネル、アナログ記録。
4チャンネルをアナログ的に2チャンネルに混合。
■S 小さな映画館はまだまだこれしかないところが多いです。
レンタルビデオはこの方式。
原理的に、元の4チャンネルを完全には分離できないので、
後述するデジタル記録よりサラウンド感は少ないものとなりま
す。
具体的には、右図のようにL-chの音は ■L □C ×R
L,C,Sの3chから出ます。
□S
また、S(サラウンドチャンネル)の音は、
S,L,Rの3chから出ます。 □L ×C □R
[SR]は、[D]よりノイズ低減機能を強化 ■S
しています。
[SRD]ドルビー・デジタル
■L ■C ■R L+C+R + LS+RS + SW(重低音専用)の独立記録の6チャンネル
■SW デジタル記録でCD並の音質。
D,SR のように2チャンネル信号を分配して作っているわけでは
■LS ■RS なく、各チャンネルが完全に独立しています。
従って、360度すべての方向に音を定位させたり、各チャンネ
ル間の移動を演出することが出来ます。
SF映画やアクション映画でミサイルが飛び交うようなサウンド
は、はっきりどの方向に飛んでいくのか分かります。
また、重低音専用チャンネルがあるため、地響きやヘリコプターの音は
完璧です。
最近の一部のLDや、全てのDVDの標準音声です。
[DTS]デジタルシアターサウンド
…チャンネル構成はSRDと同じですが、SRDがフィルム上に光学的にデジタル
記録しているのに対し、DTSは、CD-ROMに記録した音声をフィルムと同期し
て再生しています。利点は、圧縮率が低いのでSRDより音が良くなるとか。
[SDDS]ソニーダイナミックデジタルサウンド
… 最大で L+L + C+C + R+R + LS+RS の8チャンネルが可能なデジタル記録
これが再生できる劇場は少ないですが、他の方式への変換が容易なので
この方式で作られる映画が最近多いらしい。「スターシップ・トルー
パーズ」のエンドクレジットにもこの方式で作ったことが書いてありま
した。(普通そんなところ見てない(^^;)
ソニーが作った方式だけに、圧縮方式はMDと同じ。
8chの規格ですが、実際の映画では6ch使っている物が最大だそうです。
[THX]THXサウンドシステム
… 言わずと知れたジョージルーカス様が制定した劇場規格のこと。
東京近郊では立川、鎌倉にしかない。これは、特定の音声方式を指す言葉
ではなく、映画館の環境全ての基準に対する指標みたいなもの。
よけいな明かりが無いとか、空調ノイズが無いとか。
●デジタル記録とアナログ記録の違い
オーディオのCDとLPの違いともまた少し違う部分はあります。
・雑音 … デジタルの方が雑音が少ない
・周波数特性 … デジタルの方が低音から高音までフラットな特性
映画では、音の波を光の強弱の帯で表現し、フィルムの画面横に記録していま
す。そのため、完全な再生は出来ず歪みや雑音が生じます。
[D][SR]は、オーディオテープのDolby機能と同じように、このノイズを低減す
る機能を持っています。
ドルビーデジタル[SRD]では、音声をデジタル録音、圧縮して、そのデジタル
信号の0/1をフィルム横の格子状の領域に光の点の有無として記録しています。
デジタルですから、記録した情報は完全に再生できるために、
■□□□□ 原理的に雑音が発生しないし、周波数特性も変化しません。
■□■■□
■■□□■ ←こんな感じ
□□□■■
・サラウンド感 … デジタルの方が、完全なサラウンドを実現
各方式の説明の中でも書いたように、アナログ2chから4ch処理する[D][SR]方
式は、他のスピーカーからも音が漏れてしまうので、曖昧な方向感しか出せませ
ん。
デジタル記録は、すべてのチャンネルが完全に独立しています。
また、サラウンドチャンネル(後ろのスピーカー)がアナログ方式はモノラルで
デジタル方式はステレオなので、「背後を移動して行く音」というのは、デジタ
ル方式でないと表現できません。
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