液晶プロジェクタ SONY CPJ-A300 導入記
1998.6.13
一年ぐらい悩んでいたプロジェクターの更新をついに果たしました。
従来使っていたSONYのCPJ-200もなかなか手軽でデザインも優れており、気に
入っていたのですが、さすがに100インチ近い大画面に対応するようには作られ
ていないのでちょっと非力で、音響のグレードアップに伴い、ついに更新を決意
しました。
CPJ-A300 vs CPJ-200 仕様比較
|
CPJ-A300
| CPJ-200 |
液晶 | 単板30万画素 | 単板18万画素 |
ランプ | 80W メタルハライドランプ | 55W ハロゲンランプ |
明るさ | 60ANSIルーメン | - |
消費電力 | 120W | 75W |
その他 | LASER AVLINK対応 | - |
一気に三板式液晶や、三管式に行かなかったのは資金的な物もありますが、
当面設置の問題をクリアできそうにないと言うのが大きかったのです。
したがって、三脚に取り付けて使える手軽な単板式液晶プロジェクタを検討し
ていました。
今回の購入の決め手は
・明るい
・色が綺麗
・解像度が高い(画素が多い)
・設置の自由度が高い
の4点です。
それから、持ち帰り可能だったことも大きい。
ライバル機のSHARP"コビジョン"が秋葉原のあちこちの店で山積み(在庫し過ぎ?)
になっているのに比べ、こちらは入荷待ちでなかなか店頭になく、某店で聞いた
ところ
「入荷日は未定でたぶん一ヶ月以上先。
入荷日にたまたま来店した人が買えるという状態」
と言われたもので、某LA○Xの店頭で見たとたん手が出てしまいました(^^;
以下は、90インチ(4:3)のマット面に投射した条件での感想です。
●明るさと色再現性
まず、明るさと色の美しさの元は、光源の「メタルハライドランプ」にありま
す。
明るいというのは単にワット数が上がると言うこともありますが、色は、光源
の種類に負うところが大きいようです。
従来機、CPJ-200は「ハロゲンランプ」を使っていて光源そのものが若干赤み
がかった、いわゆる「電球色」系の光で、映画の場合は字幕を見れば一目瞭然で
すが、何となく赤みがかって、いわゆる純白は出ませんでした。
人間の目は、光源の種類によって色の感じ方を補正する力があるので、部屋を
暗くして鑑賞していれば平気になるものですが。
しかし、絶対的な明るさの不足からくる弱点もあります。それは、原色の
表現など、色再現性が弱いこと。
たとえば、「純粋な青」を出そうとする場合、人間の目に青は暗く見える色
なので出力の低いプロジェクターでは何も見えなくなってしまう傾向があります。
そこで、ちょっと水色に振っているようです。
赤も、純粋な赤より、朱色に近い。
それを正しい色合いに近づけようとすると、明るさを絞るのですが、そうす
ると暗いシーンは本当に何が映っているか分からなくなります。
そういうわけで、従来機で見るときは、シーンに合わせて明るさのつまみを
こまめに調整してみていました。
それでも、夜のシーンを深いブルーの照明で演出するような監督が居ますけれ
ど、正直どんなに調整しても最適位置が得られなくて辛い。っていうケースも有
りました。
(例えば、グラン・ブルー、ニキータ、バットマン&ロビン、等々)
新しいCPJ-A300は、純赤、純青がかなり綺麗に出ます。
店頭で見た限り、発色の深さでは、同じSONYの代表的な液晶プロジェクター
VPL-W400QJにも勝っていると感じました。
(VPL-W400QJは、きめ細かくしっとり系の画だが、原色系の表現は弱い)
わが家でセットアップして真っ先に、この道に"はまった"原因でもある
スターウォーズのLDを見たのですが、冒頭の帝国軍の戦艦に追われるレイアの
船に襲いかかる砲撃の「赤」。続いて画面を覆い尽くすように現れる、帝国軍
戦艦の船体の「白の輝き」。そして船尾のエンジンの噴射する「青い炎」。
いや〜感激した!
ビカッと戦艦のエンジンの輝きが目に飛び込んだ瞬間、映画館で見たときの
感動が蘇ってきました。なんだか、そのシーンばかり、10回連続で見ても飽き
ないんじゃないかと言う気がします。
続くレイアの船の船内の白さや、帝国の突入部隊の白い鎧のテラっとした
質感も単板式プロジェクタなのにちゃんと表現されます。
もちろん、ライト・サーベルの輝きも目を射るような鮮やかさ。
この鮮やかさには、感激で興奮状態です(^^)
●単板30万画素の実力
次に、18万から30万画素への解像度の向上です。
現在人気商品のSHARP"液晶コビジョン"(18万画素)という商品も、
「メタルハライドランプ」採用で色の美しさが評判になっているのですが、その
製品との大きな違いが「30万画素」の液晶です。
VGA表示可能なプロジェクタの640*480(=30万)*RGBと比べるとちょうど1/3の
解像度。計算上からは、ノーマルVHSよりちょっと劣る程度と考えて良いと思い
ます。
実際の使用感からすると18万画素では画数の多い字幕が見にくいこともありま
したが、30万画素ではほとんど気になりません。
後述の画素構造から、縦横斜めの線のうち右上がりの斜線"/"だけは、階段状
に成りがちなので、文字ではそれが見えてしまいます。
しかし、実際の映画の画面では『バットマン&ロビン』の悪役「ミスター・
フリーズ」の銀色のメークのパウダーっぽい質感が、18万画素ではただの銀色の
べた塗りに見えていたのが、30万画素の方ではちゃんとつぶつぶとラメっぽい
感じが見えるではないですか。
色再現性がいいこともあるのでしょうが、これは、凄いことだと思いました。
形のはっきりした物を輪郭だけで見ていると、18万画素との違いが分かりにく
いのですが、面や動画で見ると歴然と違うという感じです。
また、蜂の巣配列の18万画素では細い垂直線(白)が縦は綺麗に出るのですが、
横線がグレーになったり白くなったりしていたのに対して、30万画素では、縦横
ともくっきり白で表示されます。
前の機種が蜂の巣状の画素配列であったのに対して、CPJ-A300は、斜めに長方
形の煉瓦を積んだような模様をしています。
店頭で見たときには、この変わった画素構造が気になって仕方なかったのです
が、微妙にピントをずらすことによって上手く、画素の枠線を薄めることが出来
ます。
「回折格子フィルター」というものの威力なのでしょうか、ピントリングを回
しても、単純にボケるというのでなくて、画素がじわっとミックスされていく感
じの部分が、ピントリングの回転幅にして2〜3mmの幅であります。
そのようにほんのわずか、ピントを送ってやると、静止画を注視する場合は、
わずかに画素感が残りますが、動画部分では全く気にならない滑らかな感じにな
ります。
いずれにしても「解像感」という程の解像度はないわけで、そのかわり画素の
目立たない滑らかな画面を得ることには成功していると思います。とにかく感心
しました。
●さらに希望するところ
上を見れば切りがありませんが、単板式液晶プロジェクタとしては、文句無し
に最高のコストパフォーマンスを達成していると思います。
唯一の不満と言えば、黒浮きでしょうが、液晶である限り宿命的な物であると
は思います。画質調整だけではどうにもならない物は残ります。
ただ、同じSONYのデータ用プロジェクタのCPJ-D500は、A300以上に黒が浮き
まくりだったので、設計上こちらのほうがAV用に振った作りになっているのだろ
うとは思いました。
ずっと上のグレードの三板式液晶も、どんどん技術革新していくと思いますが、
液晶が三管に追いつく時代までは、このプロジェクタと楽しく過ごせそうです。
[その後の使用感]
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