教信寺だより
(お彼岸)
突然ですが、今日から秋です。そして、もうお彼岸になりました。お彼岸とは、かの岸と書きます。かの岸はサトリを開いた仏様や菩薩様が住まわれる極楽浄土の世界。一方、大きな「三途の川」を隔てた我々の住むこの世界は迷いと苦しみと悲しみと罪深い世界。そこで、生きてる間に、この迷いの岸から向こうの悟りの岸へ、皆で「到彼岸」(とうひがん)この川を渡るためには、どうすればいいのでしょか?と言う質問にお答えされたのがお釈迦様のありがたい教えで、この、春と秋のお彼岸の期間に功徳を積むと効果が最もあるところから、日本ではご先祖様への墓参りが風習となりました。先に渡られたご先祖様から、この世の私たちを生きてる間に悟りの世界へ招いてくださってると身近に感じる時なのです。
p.s念仏会前に3度目の脳梗塞で倒れた母でしたが、奇跡的に回復され昨日脳神経外科から退院されました。しかし院長の紹介で、自立を促すリハビリ目的の病院に、そのまま転入院しました。早く元気に帰ってきて欲しいと待つのは人間だけじゃなく、可愛がっていたネコ達も限界に来てるほど待ち望んでいます。ばっちゃんの闘病と介護にネコの恩返しがあると嬉しいのですが、これも到彼岸なのでしょうか・・・・。9/20合掌
「彼岸花」
「ねんぶったん」が終わると、直ぐに秋の空気になりました。そして、毎年この時期に野道には彼岸花が赤く咲いています。今朝も鐘つきの後、境内諸佛、開山ご廟所、境内の石仏や墓石、そして先代の墓へお参りしますたら、霊園には様々な色の花がお供えされていました。
しかし彼岸に関係なく、お志のある近隣のお花屋さんが毎日毎日、教信上人ご廟所に売れ残った商品の満開のお花を供えられるのです。今朝はユリの花を盛って生けてありました。本当に美しいお花です。本当に毎朝素晴らしい功徳を積んでおられる方達に出逢えます。
そういえばスマップの最近のヒット曲「世界に一つだけの花」の歌詞の一節が頭をよぎります。(花屋の店先に並んでた、いろんな花を見ていた、ひとそれぞれ好みはあるけど、どれもみんなきれいだね、このなかで誰が一番と争う事もしないでバケツの中で誇らしげに、しゃんと胸を張っている。そうさ僕らも世界に一つだけの花を咲かせる事だけに、一生懸命になればいい・・・。)素晴らしい歌詞ですよ。皆さんも聞き流さないで、味わってくださいね。合掌 9/22
「冬時間」
肌寒い雨に、薄暗い今朝の鐘突きでした。彼岸を境に昼と夜の長さが逆転します。これからどんどん夜明けが遅くなり日が沈むのが早くなるのですね。欧州では夏時間と冬時間のチェンジの頃です。北欧や北極、南極では太陽が昇らない暗い昼の季節になっていくのです。
人は皆同じでも、違った場所では皆違った時間を過ごし、違う時間に同じリズムで生きてる。場所が変われば環境も変わる。心や感じ方が同じでも、見る物や気候が違えば、表現の仕方や、生活が違う。地球上にいる人々の暮らしは、星の数ほど違って、皆一生懸命生きている。違うから文化があり、違うから興味があり、出会えば新鮮な感動がある。長く滞在すると異文化の摩擦も生じるが、少々違っていても相手を認めることが仏教の根本なのですね。
最近の日本人は、アメリカ文化の悪いところだけの影響を受け自分の事ばかり認めさそうとし過ぎてます。先ずは自分から相手を認めてあげましょう。利害関係が深ければ深いほど、これはなかなか難しい行為なのでしょうけど・・・・。合掌 9/24
「ネコの背中」
昨夜も大きな雨が降り、庭の飛び石のクボミに水が溜まっています。朝靄からはマイナスイオンいっぱい漂うしっとりとした空気を感じながらお参りから戻って来ると、いつもの様に、鐘の音に飛び起きたネコ達が庭先まで出てきて迎えてくれます。お参りが終わったら4匹のネコ達の朝食の準備です。しかし、人の気配で出てくる猫達は、本当は、母の退院を待ち望んでるのでしょう。日中も庭先を見つめて座ってる猫達の背中が妙に寂しく見えるのです。。。。。合掌 9/25
「仏教は多神教」
一神教と多神教ってご存知ですか?天地創造の神は一人である。に対して、山や森の木の一本一本にまで仏様や神様が宿ると信じる宗教心を指します。一般に白人黒人は一神教、黄色人種は多神教信者が多いようです。勿論、我々日本人は聖徳太子が日本の国教を仏教に定めて以来、それ以前の神道も吸収合併した多神教であると言えます。一神教は単純明快で解りやすいのですが、多神教は複雑になりすぎますが、絶対なる信仰に対し、バラモン、ヒンズー、道教、儒教、神道、イスラム、自然信仰などの神様仏様を崇めながら柔軟に受け入られる仏教思想は、理想の平和思想だと言えるでしょう。相手が信じる気持ちを察して、信じる気持ちは同じだとお互いを学び認めてあげる、その素晴らしい民族の結集が日本人だったのですが、明治維新から第二次大戦後の敗戦国としての日本伝統文化を否定しながらの経済復興で、近年の戦争を知らない世代は、利益の為なら他民族が崇拝する神を悪魔だと言って爆撃してしまう利己主義なアメリカ文化を受け入れし過ぎたかも知れませんね・・・・・・。合掌 9/27
「仏像はビーナス」
だから寺院に祭られるご本尊様も様々な仏様です。もっとも宗派によっても多少系列があります。天台宗・真言宗系に多いのは大日如来、不動明王、薬師如来、観音菩薩、地蔵菩薩、禅宗系は釈迦如来、浄土宗系は阿弥陀如来、そして守護神や、それぞれの宗祖様や聖者を安置されていなど実に多種多様です。皆さんの各家庭のご先祖さまのお仏壇にも、色々なご縁の深い仏様を最上段中央にも安置されているでしょ?人々が崇拝し、心のよりどころにされている本尊が広大なのが仏教の核心たる由縁です。しかし、2500年前のお釈迦様の時代には仏像は存在しなかったのです。約2000年前にインドの西北部にあるガンダーラ地方で、ギリシャ彫刻の技術と仏教思想が融合し、お釈迦様が入寂された約500年後に初めて仏像が作られたのです。その仏像のお顔はまるでギリシャ神話のビーナスそのものでした。皆さんのお宅のお仏壇のご本尊様は実はギリシャと北インドから遠い時空の旅をされておいでになったのはご存知でしたか?合掌 9/29
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