本-開野口大念仏会に東京・大阪から教信ファンや研究者が殺到本-開

 

 今年の教信上人1145回忌ご縁日に当たる野口大念仏も秋の風を呼ぶように始まり、盛大に9/13・14・15の3日間執り行われました。毎年、当地方の季節の変わり目で、秋雨前線が南下して期間中一日は大雨になる日があるのですが、今年は、通り雨が散水するように境内砂埃を抑え、それまで35℃の酷暑が連日続いていたのが、一気に爽やかな秋風を招いたのです。

 酷暑から秋を感じる爽やかな空気に誘われたせいか、ここ数年「住職は世界的なコントラバス奏者」等のタイトルで愚僧がNHKから民放各局のテレビ・ラジオの特別番組に取り上げられ、その時にも教信寺をしっかり紹介させて頂いたマスコミへの宣伝効果のお陰か、或いは教信ファンの皆さんが研究論考として出版物に刊行して頂いた効果が実を結び始めたのか、阪神淡路大震災より教信寺総伽藍復興事業に普請して頂き、平成の落慶大法要まで、教信寺一山檀信徒様はじめ地元の旁々の御寄進や真心を寄せて頂く連鎖が広まったお陰か、兎に角、本当に多くの参詣者で賑わいましたが、今年はこの念仏会前後にアポのコンタクトがあり、何かに引き寄せられる様に研究者が相次いで来寺されたのが誠に不思議でした。しかし、一番の功績は、この寺を836年に開かれ日本最初期の浄土佛教思想を展開実践され、後世に憧れを持って敬慕される程の大往生の素懐を866年中秋の名月の日に遂げられた教信上人その人のお陰であります。

 それでも、一昔前までは一週間賑わっていましたが、今日では13日の午前10時から加古川市と加古郡の仏教会寺院出仕による両市の戦没者慰霊祭で平和祈願法要され、午後2時に鶴林寺一山住職に出仕手伝いして頂き合同で常行三昧法要、同日夜8時の教信寺一山住職出仕による常座三昧法要、14日午後2時には和讃衆参加される詠散合同法要、午後8時の常行三昧法要が本堂・開山堂で勤修されますが、その間、本堂では説教師様が法要の後に法話し、塔婆回向師様が経木塔婆に書かれた戒名や諸願を読み上げる回向があり、開山堂では2幅の教信上人絵伝の「絵解き」が檀信徒有志によって行われ、境内では薄暮より播州音頭奉納を伴う播州地方最後の盆踊りに地元野口自衛消防団が盛り上げられ、夜空に星が輝く頃、境内は夜店の明かりで煌々と照らされ子供達が縁日を楽しむのです。

 そして、祥月命日の15日の午前11時に本堂で結願法要をし、毎月15日の例月回向と同じコースで開山堂でお勤めし、阿弥陀石仏納髪諸精霊の回向をし、いよいよ御廟所で御開山教信上人の五輪塔前で塔頭住職・参詣者・年番世話人・ボランティアスタッフ皆一同に洒水し教信上人様へ報恩謝徳の思いを込めて手を合わせるのです。これが終わると、境内中央で念仏会に上がった塔婆や、檀信徒の法要終わった年忌塔婆、49日祀り終わった七本塔婆や初盆終わった白木位牌などを一斉に精念抜きして、お炊き上げを読経の中、点火し護摩供養の様に天空に送り火をするのが昨今の野口大念仏のスケジュールになっています。これだけの行事ですから準備もお供えの花も供物も掃除も大変です。特に夜店から出るゴミの後片づけには毎年頭を痛める処です。これら一切の行事のサポートを塔頭が4ヶ院あるので4年に一度、その寺院の住職・寺族・世話人や婦人部が寝る暇もなくご奉仕されて、始めてこのご縁日が成り立っているのですから労役奉仕される皆さんのご苦労も計りしれません。しかし、労役をこの地方で率先して活動され、念仏を授けてくださり、この地域のご先祖様は皆、教信上人様に救われ、貧困と悪環境のなかでも当地の民百姓は上人様より口称念仏を授かり、生きる喜びと大往生の死に方を自ら身を以てお示し下さりお教え下さったお陰で、その末裔たる今日の私たちが此処に存在させて頂いていると言う感謝の念を抱いて下さるから、野口大念仏は700年以上も続いているのです。

 そんな野口大念仏にお心を寄せていただいているのは、このホームページをご覧悦していただいている貴方様を始め、多くの日本全国の同朋から世界各地より参詣された教信ファンの皆さんも同じです。

 今年は特に不思議なご縁が有り、電話やお手紙、E-Maillのご連絡を頂いた方には13日や14日の前夜祭は夜10時頃まで賑やかですよとご案内するのですが、それでもそれぞれにご都合があり、準備や後片づけの念仏会前後にもご縁のある熱心な教信ファンや教信研究者の旁々が訪ねてこられました。13日の仏教会の慰霊祭後に、当院の先代慶明師に中学生時代教わり、現在は龍谷大学・大谷大学での教壇に立たれてる浄土真宗住職やご縁のある御寺院様と懐かしくお話しさせて頂き、奈良大学講師の浜田全真師様が訪ねられ、15日は当山年番世話人さん達が、まるで行事が終わって掃除片付けする日のように奉仕活動に最後の汗をかかれるのですが、本当は教信上人祥月命日の結願法要なのです。遠方の旁々は、時々15日が命日だから一番盛大な法要が15日11時からあるだろうと、参詣されるのですが、「後の祭り」とはこのことで閑散とした法要となっています。これに間に合うように東京から始発の新幹線でご内室様を伴いご一緒に駆けつけられた神谷伊勢夫師様には驚かされました。今年2月の兵庫県立歴史博物館で愚僧が「教信沙彌と播磨の念仏」と題して講演した時も、わざわざ東京から駆けつけて下さったのですから誠に光栄かつ恐縮の極みでありました。16日には一遍上人研究第一人者で相愛大学人文学部教授の砂川博先生が来訪され、後日には著書の「一遍聖絵研究」岩田書院ISBN4-87294-300-7 C3021\8,400+税を届けて下さいました。昨日18日は同じく東京よりハイエースバスのレンタカーで朝出発した9名の東洋大学インド哲学科の学生サークル御一行が夜7時に到着され、6時までの到着予定が遅れて夕食もしていないと聞き、寺庭婦人と急遽カレーを解凍して接待し、それから講話質疑応答に対応させて頂きました。また野口大念仏に合わせて東京都立高校教諭・立正大学講師の谷山俊英先生より、やはり当院先代よりアドバイスされたお陰で今の自分があると未だに感謝され、教信の絵解き研究や社寺縁起の研究成果を上げられた教諭より教信寺等担当の執筆発刊記念にと「社寺縁起伝説辞典」戒光祥出版ISBN978-4-900901\15,000+税と、「絵解き研究・第11号」ISSN 0288-593Xをわざわざ郵送で届けて下さいました。今年の野口大念仏会にご縁を頂戴した多くの皆様へ、心より深く感謝申し上げます。

 今年は、東京からのご縁が重なり、インターネット時代の情報が尚更、教信上人様の遺徳を伝え、多くの同朋者と共に報恩謝徳の回向が出来きました。こうして、この世では世界中と、すでにインターネットで繋がれたと実感します。しかし、あの世との交信が可能になるまでは、まだまだ先師先徳様ご先祖様の様に、日々の精進による夢のお告げを待つしかないのでしょうかね・・・・、早く教信上人さまと親しく交信させて頂き、上人様が過ごされた奈良〜平安初期時代のご自身の心の葛藤や経験、播州賀古の地の郷土史的時代背景や賀古に安住され過ごされた真実の御心をお教えい願いたい思いが益々熱望と重なる、今年の「ねんぶったん」でした。  合掌。     

教信寺貫主 長谷川慶悟

平成22年9月19日

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